ハジチぬ由来や、昔よー唐旅しみしぇーんち。
昔ぬあぬー、唐旅しみしぇーんりしぇーなー、じこーぬ名誉、なー偉い役人やみしぇーてーるばーてー。
あんし、うぬ人が唐旅かいめんしぇーに、船んかい、あぬー白鳥が止まてぃさぐとぅ、「船ぬ艫綱に白鳥が座ちょーん」でぃちさぐとぅ。「白鳥やあらん ウナイ神どぅ」んち、返しみそーちゃんでぃ。
あんさぐとぅ、今度ぉうぬ人ぉ唐旅ぇしみそーち帰りに、あぬー難船遭たやーに、風吹ち遭たやーに、うぬ船ぇいっけーらさってぃ。さぐとぅ、今度なーうぬ人達や、なー死ぬさやーり思とーぬばーに。うぬ夢うつつそーぬとぅくるんかい、女んかいかんしひち起くさってぃうぬ船ぇ、くぶりとーぬ船るやしが起くさりやーに、うぬ船んかい乗みそーちゃんり。
さぐとぅ、うぬ起くさったぬうれー女なやーに、ちょうどぅハジチ突ち、うぬ手やむるハジチ突ちょーみしぇーたんでぃ。さぐとぅ、くれーうぬ人ぉうぬ助きらったぬ恩義とぅさーに、あぬー唐旅から帰てぃめんそーち家んかい来ぐとぅ、すぐ妻ん達ウナイん達んかい、むるハジチ突ち。うりからハジチりし始またんでぃぬくとぅやしが。
あんすとぅ、うぬ歌やたんてーまん、物ぉあぬー言よーなむんち。あぬ白鳥でぃしぇー厄やてーしが、「船ぬ艫綱に白鳥が座ちょーん」りちさぐとぅ、「白鳥やあらん ウナイ神どぅ」んち、うぬ言葉返ちゃしさーなかい助かたんでぃぬ話やしが。
くりから沖縄ぬハジチぇ始またんりるくとぅ。
ハジチの始まりの話だよ。
昔は、唐旅をするということは、たいそう名誉なことで、偉い役人しか行けなかった。
ある時、役人が唐旅へ行く船上で、船の艫(船尾)に白い鳥が止まった。それを見た誰かが、「船の艫綱に白い鳥が止まっているよ」と歌ったので、「白い鳥ではない、ウナイ神だよ」と、その役人が歌を返したようだ。
その後、唐での仕事を終えての帰り、役人の乗った船は暴風に遭いひっくり返されてしまった。海中に放り出された役人たちは、これまでの命かと意識を失いかけていると、女の人に引き上げられたそうだ。転覆した船も起こしてくれ、引き上げられた役人たちは再び船上に戻ることができた。
その時、船を起こしてくれた女の人の手には、ハジチがいっぱい突いてあったんだって。それで、その役人は助けてくれたことに感謝し、唐旅から戻って家に着くと、すぐに妻や姉妹たちにハジチを突かせたわけさ。それからハジチというのが始まったということだよ。
また、その歌からも分かるように、言葉は使いようでね。縁起が悪いといわれている白い鳥を見て、「船の艫綱に白い鳥が止まっているよ」と、誰かが歌った。それを聞いて、「白い鳥ではない、ウナイ神だよ」と、その言葉を返したことで助かったという話だよ。
それから、沖縄のハジチは始まったということさ。