其処ぬ家ぬ、旅どうしぇーさにやーうぬ旦那さんが。あんさぐとぅなー、なー海ん人やみしぇーてーんやー、確かに。
あんさぐとぅなー、なー台風さぐとぅな、てぃーちん帰てぃんめんそーらんなたぐとぅ。珍さ、なー亡しるうさやーんちなー、長ぇ帰てぃめんそーらんたぐとぅなー、いぇりん焼香んでーうさぎーんち、うりしぇーんてー、七日んでーうさぎーんち。
あんさーに、さぐとぅ餅ぃ作てぃなー直ぐ、うんぐとぅーし七日うさぎーんちそーぬ場に、なーうぬ本人が帰てぃ来ぐとぅよー。なーありんかい申し訳ねーんしぇーやー。あんさーなかい、うぬ餅作いぬ白餅ぇ直ぐ赤豆ぃ煮やーに、うぬ餅んかいたっくゎーさーに、お祝いぬフチャギなさーによ、うりなたんりち。うぬ八月十五夜ぬうり、うんなうりどぅ聞ちゃんで話。
その家の旦那さんが、旅に出たんでしょうね。おそらくその人は漁師だったのでしょうね、きっと。
旅に出たあと台風になった。それで、いっこうに帰って来なかった。どうしたのかな、長いこと帰って来なかったので、もう亡くなったのだろうと、法事の準備をしたんでしょうね。
そこで、仏壇にお供えする餅を作っていたら、亡くなったと思っていた旦那さんが帰ってきた。もう旦那さんの法事の準備をしていたなんて気まずいでしょう。それで、直ぐに小豆を煮て、法事用に作っていた白餅に、その小豆をくっつけてお祝いのフチャギ餅にしたんだって。その日が八月十五日だったのか、それから、八月十五夜にはフチャギを作るようになったという、そんな話を聞いたよ。