読谷村しまくとぅば「むんがたい」

十二支の始まり じゅうにしのはじまり

話者 大城利徳(1908・M41) 地域 高志保 時間 01:59
  • しまくとぅば
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 あぬー、()(なか)んかいやてー、くぬ動物(いちむし)()()きーんでぃ、なー(んかし)殿様(とのさま)がよ、ある場所(ばそ)んかい、あぬ(あち)まりんでぃち、(んーな)んかい(はなしー)さーま(あち)まいるくとぅぬ()たるばーて。


 あんさーい、「今日(ちゅー)(あち)まいる(ふぃー)やぐとぅ、(へー)()きわるやる」んでぃちなー、なー(うし)先頭(せんとう)やしがよ、(うし)一番(いちばん)(さち)(あっ)()いたしがやー。うぬ(いぇんちゅ)でぃしぇー(うし)()ちゃーま、「いぇーいぇー(うし)()っちょーけー(いふぃ)ぐゎー(わん)にん一緒(まじょー)()ちゅさ」でぃち。なー(いぇんちゅ)ぉ (うし)(みみ)ぬかい()とーてぃ、なーうぬ(あち)まいる場所(ばしょ)んかい()ちゅるばーてー。


 あんさーい、うぬ(あち)まいる場所(ばしょ)んかい(ぅん)ぢゃぐとぅ、「トーヒャー(なま)ねー()ちゃしぇー」でぃち、うぬ(いぇんちゅ)(うし)(みみ)から(とぅ)()りやーま一番(いちばん)なとーるばーよ。あんし(うし)二番(にばん)。うんぐとぅーし、其処(ぅんま)んかい順番(じゅんばん)しでー(さち)(ちゅー)しんでーなー(ばの)()きたぐとぅ、(ねー)(うし)(とぅら)(うー)(たち)(みー)(うま)(ひち)(さる)(とぅい)(いん)(ゐー)十二(じゅうに)干支(ひち)()るでしょう。


 あんさーに、うぬ(まやー)んでぃしぇーや干支(えとー)(ねー)んしぇーやー。くれー殿様(とのさま)のーて(いぇんちゅ)んかい、「(まやー)んけい合図(いぇーじ)しーよーやー」んち、うぬ(いぇんちゅ)んかい()ちぇーんりしが、うぬ(いぇんちゅ)ぉなー(まやー)とー(かたち)やしぇーやー、なー、うぬ(いぇんちゅ)ぉなー(まやー)んかい(ぬー)りん()らんてーるば。あんさーい、(まや)(てぃー)ちぇー、なー干支(えとー)んかい()ってー(ねー)んばーて。

 昔、殿様が干支に動物の名を付けるということになって、ある場所に皆集まることになった。




 それで、牛は歩くのが遅いので、「今日は集まりの日だから、早く行かなくちゃいけない」と、誰よりも先に出て行ったようだ。ネズミはその様子を見て、「おい、おい、牛よ、ちょっと待ってくれ、私も一緒に行くから」と言い、牛の耳にピョンと乗って、一緒に行ったわけさ。




 そうして、その場所に来たら、「トーヒャー!やっと着いたぞ」と、ネズミは牛から降りたので、一番になったわけだよ。それで、牛は二番。そのようにして、先に来た順に番をつけていって、子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥と、十二支が決まった。



 それで、猫が干支に入ってないのはね。殿様は、ネズミに「猫にも連絡しなさいよ」と言ったそうだが、ネズミは猫と仲が悪かったから、連絡しなかったんだ。それで、猫は十二支に入ってないんだって。

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