読谷村しまくとぅば「むんがたい」

潮汲みサンラー うすくみさんらー

話者 玉城フジ(1910・M43) 地域 宇座 時間 01:12
  • しまくとぅば
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 (むかし)は、(うみ)んじ(うす)()りっ(ちっ)豆腐(とうふ)ぉすてーぐとぅやー。



 あぬー山道(やまみち)(とぅー)てぃやー(うす)()みーがー(ぅん)ぢゃぐとぅ、このサンラーという(ひと)が。其処(ぅんま)ぁよー(やま)()きーたんりー、(もー)()きー。()ちーねー(ぬー)んあらんしが、(うす)(かた)みてぃ(ちー)ねー(もー)()きたぐとぅ、ハブがむっくるげーさーむっくるげーさーして、もう()けそうなってよ、なー()にそうなたぐとぅや。


 ハブに、「ぃやーややー(わー)(たし)きーぬんさわやー、()ちきーぬんさわ、くぬ(うす)かきてぃ()(ちゃー)しーぬんさー、上道(いーみち)(あっ)かわん下道(したみち)(あっ)かわんやー、(わー)むん(ぅんまが)(くゎー)やー()んでーとぅらすな、(たし)きてぃとぅらしよー。(わー)がぃやー(ぬち)()ちきとーぐとぅ」んでぃち(うす)ぉかきたぐとぅ、このハブぉ()ちちゃんでぃ。


 ()ちち(ほー)てぃ()ちゃぐとぅやー、(うす)()みサンラー子孫(くゎぅんまが)ねー全然(ぜんぜん)(みー)らってー(くぃ)るなちお(ねが)いやったんでぃ。「(わん)ねー(うす)()みサンラーでぃぬ名前(なまえ)やぐとぅ、()(ぅんまが)(くゎ)ややー(あっ)ちゅる(とぅくま)からー退()きてぃとぅらしよー、()んでぃとぅらすなよー」んちよ、(なま)(あっ)きよーんり。

 昔は、海から潮水を汲んで来て豆腐を作っていたからね。


 ある日、サンラーが山道を通って潮水を汲みに行った。すると、行く時は何でもなかったのが、潮水を汲んで帰る途中、山火事にあったんだって。そこで、ハブが火だるまになってのたうち回っていて、今にも死にそうだった。


 それを見たサンラーはハブに、「潮水をかけて、助けてやるから、私の子や孫にどこで会っても咬まないでくれよ」と言ってハブに潮水をかけてやった。それで、助かったハブは逃げて行った。




 そういうわけで、山道を通るときには、「私は潮汲みサンラーの子、孫だから、私たちが歩くところからは、退いてくれ、咬んだりしないでくれよ」と、今でも唱えながら歩きなさいってさ。

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