昔は、海んじ潮汲りっ来る豆腐ぉすてーぐとぅやー。
あぬー山道通てぃやー潮汲みーがー行ぢゃぐとぅ、このサンラーという人が。其処ぁよー山が焼きーたんりー、野焼きー。行ちーねー何んあらんしが、潮担みてぃ来ねー野焼きたぐとぅ、ハブがむっくるげーさーむっくるげーさーして、もう焼けそうなってよ、なー死にそうなたぐとぅや。
ハブに、「ぃやーややー私が助きーぬんさわやー、生ちきーぬんさわ、くぬ潮かきてぃ火ぃ消しーぬんさー、上道歩かわん下道歩かわんやー、私むん孫子やー咬んでーとぅらすな、助きてぃとぅらしよー。私がぃやー命生ちきとーぐとぅ」んでぃち潮ぉかきたぐとぅ、このハブぉ生ちちゃんでぃ。
生ちち這てぃ行ちゃぐとぅやー、潮汲みサンラー子孫ねー全然見らってー呉るなちお願いやったんでぃ。「私ねー潮汲みサンラーでぃぬ名前やぐとぅ、私ぁ孫子ややー歩ちゅる所からー退きてぃとぅらしよー、咬んでぃとぅらすなよー」んちよ、今ん歩きよーんり。
昔は、海から潮水を汲んで来て豆腐を作っていたからね。
ある日、サンラーが山道を通って潮水を汲みに行った。すると、行く時は何でもなかったのが、潮水を汲んで帰る途中、山火事にあったんだって。そこで、ハブが火だるまになってのたうち回っていて、今にも死にそうだった。
それを見たサンラーはハブに、「潮水をかけて、助けてやるから、私の子や孫にどこで会っても咬まないでくれよ」と言ってハブに潮水をかけてやった。それで、助かったハブは逃げて行った。
そういうわけで、山道を通るときには、「私は潮汲みサンラーの子、孫だから、私たちが歩くところからは、退いてくれ、咬んだりしないでくれよ」と、今でも唱えながら歩きなさいってさ。