読谷村しまくとぅば「むんがたい」

屁ひり嫁 へひりよめ

話者 我謝ツル(1901・M34) 地域 渡具知 時間 01:55
  • しまくとぅば
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 あぬーくぬ(ゐなぐ)(ぐゎ)ぬよ、なーいっぺー(ひー)()やーやたんでぃ。あんさーなかい、今度(くんど)ぉうりが(をぅとぅ)()っち()ちゅる(くとぅ)なてぃさぐとぅ。「(あーるー)どーやー、ハールー」んでぃ、(ゐきが)(うや)()みそーちゃぐとぅ。またうぬハールーんりる(ちゅ)ぉ、「(うーび)とーんたいターリー」んたんでぃ。




 あんし、(ぅん)ぢゃーに、(をぅとぅ)()っち(ぅん)ぢゃーなかい、其処(ぅんま)(やー)んじぇーなー、いっぺー(くる)しび(よー)がりし、(よー)がりたぐとぅ。「ぃやーやなー、あんし(やんめー)ぬる()るい、あんし(くる)しび(よー)がりそーる」んり()ちゃれー、うぬ(しとぅ)ぬあん()みそーちゃぐとぅ。「(わん)ねーなー(やんめー)んちん(ねー)びらんしが、(わん)ねー()ぃにじてぃるあんし(よー)がりとーびんどーやー」んり()ちゃくとぅ。「ちゃーん(ねー)んさ、()(とぅ)ばしぇー」んちゃぐとぅ、なー()(うや)()()てぃてぃ、(をぅとぅ)()()てぃてぃさーなかに。



 「あーくれー(とぅじ)ぇならんぐとぅ、なー(ゆみ)んならんぐとぅ(そー)てぃ()き」んち、()ちゅる途中(とちゅう)なかに、今度(くんど)ぉあぬー道中(みちなか)をぅとーてぃ、(きー)()(むん)ぬなとーし、うぬ()(むん)むいる(たみ)なかに、なー大変(いっぺー)うふーし(んーな)なー、ちゃーしんうぬ()いや、むりわるやしがんり()ちそーいねー。今度(くんど)夫婦(みーとぅんだ)(やー)かい(そー)てぃ()ちゅしはっちゃかたぐとぅ、「あぬー(ぬー)(ぬー)んちが」んちゃぐとぅ、「いぇーあぬ()(むん)()とぅすんちやしがやー、(たー)がんなーむいうーさん。(ぬぶ)てぃん(ぬぶ)ららん、あぬうりるやんどーやー」でぃ()ちさぐとぅ。「あんしぇー(わん)()とぅちんーじゅみ」んち、うぬ(ゐなぐ)()ちゃくとぅ、ハールーが。




 今度(くんど)ぉうりが(ふぃー)()やーなかい、うぬ()(むん)全部(むる)()()とぅちさーなかにやー、「とーくれー宝物(たからむん)やぐとぅ」んでぃやーに、「(たから)(ゐなぐ)やぐとぅ」んち、今度(くんど)(やー)んかいまた()(むる)ち、(うや)(やー)ねー(けー)さんよーい(やー)んかい()(むる)ちっ()(とぅじ)ぇさんり。

 あのう、その娘はね、もう大変な屁こきだったそうだ。その娘が嫁ぐことになり、父親は屁が出そうになったら踵で尻の穴を押さえなさいと教えた。人前では気づかれないように「踵だよ、忘れるなよハールー」と注意したら、娘のハールーは「覚えていますよ、お父さん」と答えたんだって。


 そして、ハールーは嫁いで行ったものの、婚家ではもう、顔色も悪くなり痩せてきた。それで、姑が「お前はこんなに顔色も悪く痩せているが、どこか悪いところでもあるの?そんなに痩せてしまって」と言った。姑にそう聞かれたので、「私はどこも悪くはありませんが、屁を我慢してこんなに痩せているのですよ」と答えた。そしたら、「気にしなくていいよ、思い切りしなさい」と言ったので、もう、その姑や夫を吹き飛ばすほどの大きな屁を放ったそうだ。


 さすがに「ああ、こんな女は妻にできない、嫁にもできないから、実家へ戻しなさい」ということになったそうだ。実家へ連れていく途中の道に、実をいっぱいつけた木があって、その実を取ろうと人が集まっていた。どうしたらその木の実を取ることができるか皆いろいろ苦労していたそうだね。妻の実家へ行く途中に、そうしているところに出くわしたわけだ。「何をしているのか」と聞いたら、「あの木の実を取ろうとしているのだが、誰も取ることができない、木に登っても届かず困っているのだよ」と言ってきた。「それでは、私が木の実を落としてみようか」と、ハールーが言ってね。


 そして、ハールーが屁を放って、木の実を全部落とすことができたそうだ。それを見た夫は、「ああ、もう、これは宝物だ。この女は大切にしなくては」と思って、実家へ戻すことはせずに、また家へ連れ帰って妻にしたということだよ。

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