読谷村しまくとぅば「むんがたい」

長地の馬石 ながちのうまいし

話者 伊波厚徳(1901・M34) 地域 伊良皆 時間 00:52
  • しまくとぅば
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 伊良皆(いらんま)大木原(うふぎばる)長地(ながぢ)んでぃる(とぅくる)なか、(ぅんま)()ちょーるなー(しー)()てぃ、なー(くち)(ふら)ち、また(じゅー)んうち(すり)てぃさくとぅ。




 くぬ(くち)真向(たん)かーなかい上地(いーち)(むら)ぐゎーんち()しが、其処(ぅんま)ぬなーむる(さけー)てーいかんなやい、くれーうぬ(しー)所以(ゆい)るえくとぅ。うり()()とぅしでぃやい、下顎(しちゃかくじ)()()とぅち。


 また(じゅー)や、(じゅー)()かとーる(とぅくる)比謝(ひーじゃ)(むら)んち、其処(ぅんま)んうぬ所以(ゆい)るやるでぃやーい、また比謝(ひーじゃ)部落民(ぶらくみん)(あち)まてぃ(ちゃー)い、()()とぅちさくとぅ。


 なー、(なま)ん、うぬ(ぅんま)(かたち)()いやすしが、(んかし)あんやたんどーでぃる(ちて)(ばなし)やるばー。

 伊良皆の大木原にある長地という所に、馬に似た岩があってね。馬が口を開けているように見え、また立派な尻尾の形にも見えたので長地の馬石と呼んでいるんだ。


 その馬石の口が向いている方向には字上地があるんだが、字上地はちっとも栄えなくてね。それはこの馬石が字上地に向けて口を開けているからだと、馬石の下顎をたたき落したんだって。


 また、尾が向いている方向には字比謝があって、そこもまた、馬石のせいで栄えないのだと、比謝の人たちが集まって来て尾を切り落としたそうなんだ。


 今も、その馬石は残っているが、口と尾の部分が無いのは、昔、そういうことがあったという話だよ。

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解説

民話によると、この馬石は元々口を大きく開けて、頭を上地集落に、尾を比謝集落に向けていた。しかし、上地の人々が「上地の戸数が増えずムラが栄えないのはこの馬の呪いだ」といって馬の下アゴを叩き割った。比謝でも同様に考えて尾を叩き割った。そのため下アゴと尾のない馬の形をした岩が残っているのだという。(「伊良皆ガイドマップ」伊良皆の名所・旧跡、長地の馬石)

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