喜名タカハンジャー、「あっ、歌しんでぃるばーなー?」何処からが来らー分からんくとぅやー、「多幸山ぬ山猪 驚くな山猪 喜名タカハンジャーが 遊でぃ戻い」、うりるやんでぃ。
多幸山ぬ山んかい、其処ぁ多幸山んでぃちうみちっちぬ、くひなーなーそーる木ぬかんしうちゃーりたくとぅ、道ぇかんし覆らっとーるばーてー、うぬ道ぇ。覆らったくとぅ、うぬ道ぬかんしさくとぅ、あぬー何やてぃんかみてぃ来る人ぉ、カケージャーさーに盗いたんでぃるばーてー。
あん、盗いたんでぃしが、くぬタカハンジャーが、喜名しんかんたーかい行ぢゃーに、「あんし、山原んかい行ちゅる人、かんししみてーならんむん」でぃち。女んかい道中から砂かみらち、俵んかい入ってぃ砂かみらちゃーに。うぬ砂かみてぃ歩ちーに、うぬ盗人ぉ木ぬ上からカケージャーし、うぬ砂ぁ持っちょーくとぅ力ぬ及ばらんしぇーやー。うぬ盗人ぉ地ん落てぃやーに、うんにーに捕みたんでぃ。
喜名タカハンジャーが、なぜそこを通っているのか知らせるために、「多幸山の山猪 驚くな山猪 喜名タカハンジャーが 遊んで帰るところだよ」と、多幸山を通りながら歌ったということさ。
多幸山はとても物騒な所で、こんな大きな木が生い茂っていて、その木が道に覆いかぶさっていた。そんな所だったので、そこを通る人の荷物を、追い剥ぎが掛け竿で引き上げて盗ったそうなんだ。
そこで、喜名タカハンジャーが、喜名の人たちの所へ行って、「山原(北部)に行き来する人を、そんな目にあわせてはいけない」と相談した。そして、女の人の頭に砂俵を載せて歩かせた。そうとは知らない追い剥ぎは木の上から掛け竿で、その荷物を取ろうとするが、砂が重すぎて引き上げることができないわけだ。逆に木から落ちたので、追い剥ぎを捕まえることができたんだって。