翁長マヂルー話ぇ、いっぺー美らーやたんでぃしぇーやー。うぬ翁長マヂルーとぅ北谷モーシーとぅぬ競いぬ有たんでぃせー。
あんさくとぅ、北谷モーシーや音うっち美らはしぇーや、翁長マヂルーや、何が、喜名うてー美らー、いっぺーぬ美らーやしが。何時ぬ何日ぁ翁長マヂルーとぅ勝負どーんち、北谷モーシー駕籠んかい乗しらってぃ来んでぃ。
翁長マヂルーどぅしぇー、また、今日や北谷モーシー美らーがめんしぇーでぃるむん拝みわるないさんち。うぬ人ぉ髪ぇいっぺー長はぬよー、うぬ人が髪洗いねー、此処ぬウスクんじどぅ打っちゃきてぃ干しみしぇたんでぃ、髪ぬどぅく長はぬ。
あんし、自分や洗ぇ髪ぐゎーし、芭蕉衣かっとぅぐゎー着ち、飛んじたくとぅ。あぬ北谷モーシーや見ぢゅる人ぉ居らん、翁長マヂルーどぅ見ちゃんでぃ全員、人ぬ有るっさ。
どぅく美らはぬ、翁長マヂルーや美らはぬ、うりさくとぅ。首里ぬ御殿からアットーメーや亡しみみそーちゃくとぅ、自分ぬ本妻や亡ちゃくとぅ、くぬ翁長マヂルー妻するうりんかいなとーてーるふーじ。
あんし、妻し、首里んかい上とーみしぇーんでぃどー、うぬ翁長マヂルーや。上とーみしぇーんしが、其処ぬウミングヮぬ、いぇりんうりんサーダカゥンマリるそーてーはに。男ぬ親んかい、「あぬー、お父さん、うぬ人ぉ国元んかい、産しみんかい帰ち呉みそーり」んちゃくとぅ、「何が、何故んちあん言が」んちゃくとぅ、「息ぬ短ちゃはみしぇーん。寝んとーる息ぬ短ちゃはみしぇーくとぅ、長命ぇ拝みみそーらんぐとぅ、あぬー国元んかい、自分ぬ生まり国んかい帰しみてぃ、うりしみそーり」んちゃくとぅ、「えー、あんやんなー息ぇじょーいやんなー」んちゃくとぅ、「息ぬ鈍さみしぇーくとぅやー、長命ぇ無みそーらんぐとぅ、帰し」んち。帰ち、少ぐゎーゆーるさくとぅ、んちゃ、亡しみそーちゃんでぃ。
だー、うぬ人ぉ亡ちゃーにかい、なーうぬ通いさーにかい、私たー喜名一門ぬ御墓んかい送らっとーさ。ジーファーん鏡ん、今ん有いまま。
うぬ人ぉ、翁長マヂルーや前喜名ぬ女ん子、前喜名ぬ上代元祖ぬ女ん子やるばー、いっぺー美らはたんでぃ。いっぺー美らはぬ、うぬ人が髪ぇ地ぃうっちきーたんでぃ。家うてぃ洗たーにかいやーウスクドーよ、ウスクんかどぅ打っちゃきてぃ髪ぇちょー干しみしぇーたんでぃ。あんすかぬ、髪持ちやい、いっぺー美らはんたんりしがよー。
あんし、家んかい帰てぃち長やもーらんたんでぃどー。すぐ亡しさーなか、なー夫ぐさいん取らんなー、親ぬ家うてぃうぬままし、親ぬ御墓んかい入っちょーんしぇーるばーやさ、今ん。まーにんくさらんあれー、うぬまま。
翁長真鶴は話によると、大変な美人だったそうだね。その翁長真鶴と北谷真牛との美女比べがあったようだ。
北谷真牛は噂に名高い美人でしょう。翁長真鶴もまた喜名では一番の美人だった。ある日、北谷真牛が翁長真鶴と美女比べをするということで、駕籠に乗せられて喜名にやって来た。
翁長真鶴は、今日は北谷真牛という美人がいらっしゃるということだし、お会いしてみようと思っていた。その翁長真鶴の髪はとても長く、髪を洗った後は、このウスクドーのウスク(アコウ)の木にかけて乾かしていたそうだ、髪があまりにも長くてね。
それで、美女比べの日、翁長真鶴は洗い髪に芭蕉衣をパッと羽織って飛び出していった。そしたら、北谷真牛を見る人はいなく、人々の目は翁長真鶴に向けられたんだって。
翁長真鶴があまりにも美しかったんだね。その翁長真鶴を、奥方を亡くされた首里の御殿の主人が、妻に招き入れることになったそうなんだ。
そうして、翁長真鶴は後妻として首里に嫁いで行かれたようだ。しかし、首里の先妻の御子は、たぶん霊力が強かったんでしょうね。その子が父親に、「お父さん、その人を国元へお帰し下さい」と言った。「なぜ、そんなことを言うのか」と父親が聞くと、「その人の息が弱々しく聞こえます。寝ているときの息が弱々しいので、命はそう長くはないと思います。国元へ帰して、自分の生まれ島(出生地)で残りを過ごさせて下さい」と言うのだった。「えっ、そうか、そんなに息は弱々しいか」と聞くと、「息づかいがとても弱々しく、長生きはとうてい無理だと思います。早く国元へ帰して下さい」と言った。それで、翁長真鶴は国元の喜名へ帰して、しばらくしたら、本当にその通り亡くなったそうだ。
そうして、亡くなられた翁長真鶴は、私たち喜名一門の墓に葬られているんだ。その墓にはジーファー(かんざし)や鏡も、当時のまま残っているよ。
翁長真鶴は、前喜名の祖先の娘で、とても美人だったって。その人の髪は地面に届くほど長くてね。家で髪を洗うと、ウスクドーのウスクの木に打ちかけて乾かされていたということだ。それほど美しい髪の持ち主で、とても美人であったらしいけどね。
だけど、家に帰って来てからは、長いこと待たずに亡くなられたので、どの人にも添わずに、実家でそのまま一生を終え、実家の墓に納骨されているわけだよ、そのまま。