読谷村しまくとぅば「むんがたい」

継子のこやし運び ままこのこやしはこび

話者 当山ウシ(1889・M22) 地域 長浜 時間 01:03
  • しまくとぅば
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 井戸(かー)()たるむのーあらんやー、うぬ水肥(みじぐぇー)(かた)みとーしが。


 あんさーに、うぬ水肥(みじぐぇー)一担(ちゅかた)()っち()いねー、今度(くんど)ぉまた、一担(ちゅかた)めー其処(ぅんま)んかい(みじ)()っとーるばー。(くさ)()ぬんかい(みじ)()ったぐとぅ、なーまたちゃー()ぬっさ。(また)(かた)みてぃ()いねー、(また)一担(ちゅかた)めー()ってぃ。やぐとぅ、なー十担(とぅかた)()っちーねー、其処(ぅんま)んか十担(とぅかた)()っちょーるばー、(みじ)ぬ。



 なー、あり()かとーてぃ、「其処(ぅんま)()くぬ()るむんなー、(かた)みてぃん()ならん」、うりやるばー。水肥(みじぐぇー)ぬる一戻(ちゅむる)()っち()いるかーじ、自分(どぅー)ぬんな(みじ)其処(ぅんま)()りやーに、(また)(うふ)くなたしぇー、なー(かた)みてぃん()ならん。なー(ぅん)らん(まーる)()りーぐとぅ、てー。「ぃやー()ってーさやー」んち、喧嘩(おー)いんならんしぇーや。


 あんぐとぅ、(かた)みーるかーじ(わっ)ちゃぐとぅ、なー()わいげー()ねー二十担(にじゅーかた)みが()っちゃらー、十担(とぅかた)みが()っちゃらー()からんしが。うりんよ、なー(かた)みらさんれーならんしぇー、大変(いっぺー)しーら()りらんれーならんしぇー。

 井戸を掘った話じゃないよ、継子に肥溜めから水肥を担がせた話なんだがね。


 それは、継子が水肥を一回担いで持って行くと、今度は継母が、担いで行った分の水を肥溜めに入れたようだ。担いだ分の水を入れるので、水肥はずっと同じで減ることはない。担いで行くたびに、その分の水を入れるんだからね。十回担いで持って行くと、十回分の水を入れるということさ。


 継子はそれに気づいて、「そこには水が湧いているのかな、いくら運んでも減らない」と思うが、どうしようもないさ。継子が水肥を担いで行くたびに、継母がそこに水を入れるから、どんなに担いでも減ることはない。継子が見てないときに入れるんだから、「入れたでしょう」と、反抗もできないでしょう。


 だって、担いで行くたびに水を入れるので、もう終わるまでには十回担いだのか、二十回担いだのか分からない。それもね、継母が継子を懲らしめるために、担がせたということさ。

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