昔、私ねーくれー、学校ぬ先生達からる聞ちゃる筈やんどー。
三名ぬいっぺー良い友達ぐゎーが居たんでぃ。うぬ三名ぬ友達ぐゎーでぃしぇー、一人や豆ジョー、また藁ベー、炭ベー、うぬ三人居たんでぃ。
豆ジョーでぃしぇー、今、くまぬ言る空豆やしが。うぬ空豆ぬ口ぬ真っ黒なとーしぇー、如何ぬ意味合し、うぬ空豆ぬ口ぇ黒やがやー。くりから始まいしが、うり黒なたる理由やしが。
ある時、うぬ三人ぬ仲良し友達んちゃーや、互に歩ちゃがちー、散歩さがちー、是非渡らんとーならん川はっちゃかてぃ。うぬ川から渡りわるないしがなー、渡らんねー何処んかに歩ちゅる所ぉ無らん。
あんとぅ、藁ベーやなー長ぇ長はとぅ、「とー、ぃやーや其処んから、くぬ端からあぬ端んかい横たわいねー、彼処着ちゅる筈やぐとぅ。ぃやー上から歩ちゃーに渡らな」、かんし相談しっ。「いー、あんすん。よろしい」んでぃやーに。「とーあんしぇー、私ねー橋ないる意味合やさやー。とー私がなー彼処んかい、彼処んかい橋架きーんどー」、くぬ藁ベーが言やーに、橋ぇ架きてぃ。「とー、橋ぇ架かとーさ、歩けー、誰から歩ちゅが」、くりが始またるばー。
「私から先ないみ」「一人なーる歩かりーる、うぬ二人なーんちゃ歩からん」・・。また、うぬ藁ベーがー持っちゆーさんでぃやーに、必じ一人なー、一人なーるないる。あんとぅなー、豆ジョーや、「んだ、私から先なら」でぃ言ちゃしが。炭ベーや欲ぉ強さぬ、「ゐーいゐー、私から先ないる。ぃやーや私やかー先なてーならん」、あんさーいくぬ炭ベーが先なてぃ出じたん。あんとぅ、うぬ炭ベーや少ぇ心ぉ悪さる者やてーんてー。
あー、うりがなー先なてぃさぐとぅ、うぬ炭ベーでぃいる者ぉ、自分ぬ尻んかい、何処がらんかい、うれー炭るやぐとぅ、火ぐゎーぬ少ぇ点ちょーてーぎさるふーじ。火ぐゎーぬ点ちょーてーぎさるふーじなてぃさぐとぅ。うぬ藁べーからかんし渡てぃ行ちゅんでぃ、とうとう途中、真ん中来る時分に、なーうぬ火ぐゎー大ぎくなやーに、藁べーとぅ摩擦さーに、藁べーやなー炭べーんかい焼かったるばー。焼かったぐとぅ、なー今度ぉ、なー仕方ならん壊りてぃ、川んかい二人ぐーな流さってぃ。藁べーやまた燃さってぃ居らんばー。かんやたんでぃさ。
あんやとぅ、うぬ豆ジョーや、「二人が友達ぇなー、こういう川んかい流さってぃ。くれー私ねー、私一人生ちちょーてぃなー、くれー大変なことになったねー」と言って、非常に哀りっし、ワァーないワァーない泣ち。ちゃっぴ泣ちゃさぐとぅ。じこー泣ち、うぬ口ぇなーちゃっぴん開ちゃぐとぅ、今度ぉ口ぇ如何な閉ららんなやーに。
閉ららんなたぐとぅ、其処からまた、女学生ぬ一人や歩ちゅたんでぃしが。うりが、「何が、ぃやーやあんしぇー、ぃやー口ぇ閉ららんるありー」でぃちゃぐとぅ。「なー。ちゃっぴん泣ちゅんでぃうりしちゃぐとぅ口ぇ閉ららん、かんなとーんれー姉さん。どうにか治ち呉らんなー姉さん」でぃ言ちゃぐとぅ。「とーあんしぇー、ぃやー口ぇ閉いるないさに」でぃ言やーに、針と木綿糸を出して、うぬ豆ジョーぬ口ぇ、うりが黒糸さーに縫てぃとぅらちゃんでぃ。
とーあんさ、うぬちゃっぴん割りとーる口ぇ、なー黒糸さーに縫てぃさぐとぅ、うぬ空豆ぬ口ぇ、うりが治ちゃ黒なてぃ、世ぬ中から生存し行ちゅんでぃんでー。
とー、うれーいったー分からんてーるむんやれー、空豆ぬ口ぬ黒なとーしぇーあんしやんでぃさ。これもおとぎ話。
昔、この話は学校で先生から聞いたと思うよ。
ある所に、とても仲の良い三人の友達がいたそうだ。その友達というのは、豆ぞう、藁べー、炭ベーの三人だったって。
豆ぞうというのは、今でいうそら豆のことね。そのそら豆の口が黒くなっているのは、どうしてかということだがね。これから私が話すのが、そのそら豆の口がなぜ黒くなったかということなんだよ。
ある時、その三人の仲良し友達が、一緒に散歩しながら歩いていると、途中で川にさしかかった。その川を渡らないことにはどこにも道がなかった。
そこで、藁べーは長さがあるので、「さあ、君がそこの端から向こうの端まで横たわれば、向こう岸に届くはずだからね。君の上から歩いて渡ろう」と、三人は相談をした。「うん、そうしよう」と言って、「それなら、私が橋になるわけだね。私が横になって向こう岸まで橋を架けるよ」と、藁べーが橋となった。「さあ、橋は架かっているよ。歩きなさい、誰から先に渡るのか」と始まったわけだ。
「私から先に渡ろうか」「一人ずつしか渡れない、二人一緒には渡れないよ」、藁べーの橋では二人一緒に渡るのは無理だから、一人ずつしか行けないということだった。それで、豆ぞうは、「それなら、私が先に行こう」と言ったが、炭ベーは欲深くて、「駄目だ、私が先に行く。君が私より先になってはいけない」と、炭ベーが先に渡って行った。炭ベーは少し心根が悪かったんでしょうね。
そしたら、先に行った炭ベーのお尻か、体の一部に燃えかすが少し付いていたんでしょうね。炭なんだから、火が少し残っていたんだね。炭べーが渡って行く途中、真ん中まで来ると藁べーと擦り合って火が大きくなり、藁べーは炭べーに焼かれてしまった。それで、藁べーの橋は壊れ二人とも川に流されてしまった。藁べーは燃やされてしまったということさ。
そしたら、豆ぞうは、「二人の友達が川に流されてしまった。私一人だけ生き残ってしまって、大変なことになった」と言って、ひどく悲しんでワーワー泣いた。大きく口を開けてワーワーと泣いたもんだから、今度は口が開きっぱなしでどうしても閉じることができなくなってしまった。
すると、口が開いたままの豆ぞうの近くから、一人の女学生が通りがかったんだって。その女学生が、「どうしたの、口を開じることができないの」と聞いてきた。「もう、大声で泣いてしまったら、口を閉じることができなくなったんですよ、お姉さん。どうにか私の口を治してください」と言った。「それじゃ、君の口を閉じてあげましょう」と言って、木綿糸と針を出して、豆ぞうの口を黒い糸で縫ってくれたんだって。
そうして、とても大きく開いていた口を、黒い糸で縫ったものだから、そら豆の口は黒くなってしまったということさ。
そういうことでそら豆の口は黒くなったんだってさ。君たちはそれを知らなかったでしょう。これはおとぎ話ね。