うれーよ、村ぬ火ぬ神や、次男新屋前倉根や、あったー西んかい七所帯あたんり。七所帯あてぃ、うにんから七所帯からかん広がてぃ、新屋仲与儀、仲与儀、彼処んかい広がてぃ、うりから松元ぬかい広がい、あんさい今なーチンマーサーち遊び場る在る道路、ガジュマルぬチンマーサーんかい広がてぃ、あんさーい次第次第其処んかい広がてぃもーちょーがはんどー。
あんさーいうぬ七家庭あたん所ぬ水飲でーる井泉ぬ在たんでぃ。ただ溜池ぐゎーふーじーでーやしが、昔ぇちゃっぴがあたらー分からんしが、「其処ぬ水飲みーねー悪な人る出じーぐとぅ、ぐてー敵やーが出じーぐとぅ、其処ぬ水ぇ飲むな」り。言るんさー、石厳當でぇるふーじな人ぬ飲まさんなてぃ、波平ぁくり頑丈者ぉ出じらんなとーたんでぃ。其処飲むる間ぁ頑丈者ぬ居たんりよ。
あんさーい、うにーん南方からイチュマナーが流り舟し風に吹ちーに難破し、私達ぁ部落ぬ下んかい其ぬ人ぉうりしーなたぐとぅ、今度ぉ村中出じてぃ、其りふぃじみーんりしちゃぐとぅ。うにんから、其ぬ人ふぃじみてーならん。武士ガーでぃる水飲でる故にるあんなとる。
くれー警察から正しーが来ぐとぅ、「くり誰がしちゃが、誰がしちゃが」でぃち村中ぬ人んかい座してぃ質問しぇんしぇーがはんて。あんさーい、ある人一人ぬ「私がさびたん」でぃち、頑丈しが出じーたとぅ、「あはー、ぃやーがるしぇーさい」でぃち、頑丈者ぉ、殺ちぇーる人ぉすんかってぃ行ぢゃーい、「うぬ井泉ぬ水ぇ飲むな」りーる話えん。
これはね、字の発祥の火ヌ神は、次男新屋前倉根の西の方に七所帯あったというがね。七所帯があって、波平はその七所帯から新屋仲与儀、仲与儀ね、そこへと広がり、それから松元にも広がり、そうして、今チンマーサーと呼んでいる遊び場がある道路、ガジュマルのあるチンマーサーへと広がっていった。そうして次第にここへ広がってきたそうだよ。
それで、その最初に七所帯があった所に井泉があって、その水を飲んでいたそうなんだ。昔はどれぐらいの大きさの井泉であったのか知らないが、今ではちょっとした溜池のようなものだよ。石厳當のような人物が「そこの水を飲んだら悪い人が出る、乱暴者な人が生まれるので、そこの水は飲むな」と、飲むのを止めたそうだ。それからは波平では乱暴者は出なくなったそうだ。それまでは乱暴者がいたんだってよ。
その頃、南の方から糸満の人が、風に流された舟が難破して、こっち波平の浜辺に着いたのを、部落中の人が総出で、この人を懲らしめたそうなんだ。それから、人を懲らしめてはいけない。武士ガーの水を飲んでいるから、そういうことをしたんだと。
これを警察が調べにきて、「これは誰がしたか、誰の仕業か」と、村中の人を座らせて質問したようだね。それで、ある一人が「私がしました」と名乗り出たので、「ああ、お前がやったのか」といって、その乱暴者は、警察に連行されて行ったんだと。それから、「そこの井泉の水は飲むな」ということになったという話だよ。