あぬー、何処んくぃ、くれーしぐ山原船持っち、彼処からん此処からぬ人ぬ混んちゃーひんちゃーし乗とーる船やるばー。
あぬー、風嵐はっちゃかやーにや。はっちゃかやーに、うぬ船ぬ割りたくとぅ、其処かい人ぬる流りてぃ来がやー。死じぇーんてー、死じ寄てぃ来くとぅ、渡具知ぬ部落かかてぃどー。部落かかてぃ来くとぅ、なー区長、議員なーうれー当たい前やしぇーやー、部落んかい寄てぃ来しぇー。
あんひちゃくとぅ、其処ぬ人達ぬ取い届きひちぇーるぐとーん、うぬ洞窟んかい。あんさーに、今度ぉ骨ん其処てぃ取やーに、くっぴびかーそーる箱ぐゎーぬ有んよー。うぬ箱んかいいっぱい骨ぬ有さ、今ん。戦ねーやんらってーをぅらん、有んどー。
うりんかい、豆腐箱んかい似ちょーんでぃやーにトーフバクバクーでぃちょーるばー。
あのう、その山原船はね、あちらこちらの人たちが一緒に乗っている船だったようだ。
ある時、航海中に嵐にあってしまった。船は壊れて渡具知の浜に人が流されて来たんでしょうね。遭難して亡くなった人たちが、渡具知に流れ着いた。そしたら、区長や議員は当然世話をしないといけないでしょう。
そういうことで、渡具知の有志が片付けて、そこの洞窟に葬ったようだ。その後(何年かして遺体が朽ちてから)、遺骨を拾って、適当な箱に収めた。その箱にはいっぱいの骨が入っているさ、今でも。去る戦争にも壊れず、そのまま残っているよ。
その箱が豆腐箱に似ているということで、トーフバクバクーと呼んでいるわけさ。