何十年りたがやー、うりが穴をぅてぃふるいてぃ、何十年経っち、しっ、さーに出じーねー龍ないんでぃ、ハブぬよ。
また龍ないねー海んじよ、海んじあぬ糞まいんりよ。うぬ龍糞ぬ糞でぃち、うれー黄金ないんでぃ。ありがまいるうれー、あん言たっさー。龍糞ぬ糞よ。
龍糞ないぐとぅ、なー風ぐゎーびかーん喰やーに、何十年でぃち穴んかい入っちょーてぃ、ふるいてぃ出じーねー、海んかい、海潮てぃ行ぢゃーに海じ産すんでぃよ、うぬ龍や。あんすくとぅ、うりが黄金ないんでぃ。
うり探めーてぃ来よー、下原新屋でぃがらー、昔あぬ使ぇ者ぬよ、其処んかい使ぇ者ぬ居たんでぃ。あんさぐとぅ、朝暗さゆー肥桶ぃ担みてぃ、潮担みーがが行ぢゃらーなー、ユートゥーユートゥーし有たんでぃよ。ユートゥーユートゥーし有たんでぃるむぬ、担みてぃ来ぐとぅ、またうぬ主ぇ、「いぇー、うれー何処んかにん置くなよー。とー、家ぬ後ぬ苧ん中んかいいっけらしぇー」でぃち、いっけーらちゃぐとぅよ、黄金やたんでぃ、黄金。
下原新屋よー、昔、下原新屋、あんさーに、すぐあんしる金持ん人ぅなたんりんれー。
あんさーによ、何りん言やんよーいよ、すぐ黄金、肥桶ぬ一担みよ、担みてぃ来にいっけーらちよ、龍ぬまてーんてーな。必じ、あぬ海潮てぃ行ぢまいんりぐとぅ、龍ないねー。黄金なると、龍ぬ糞でぃち。
何十年と言っていたかなあ、ハブが穴の中で成長して何十年も経って、穴から出ると龍になるんだって。
そうして龍になったら、海で糞をするってよ。その糞は龍糞といって、黄金になるそうだ。龍の糞はね、そう言っていたよ。
龍は、何十年も穴の中で風だけ喰って、成長したら海へ行き、潮水の中で糞をするんだってよ。そしたら、それが黄金になるんだって。
下原新屋に使用人がいたそうだが、その使用人が、朝も未だ暗いうちに肥桶を持って潮水を汲みに行ったのでしょうね。そこで、何かゆらゆらしているのがあったんだって。ゆらゆらと浮いていたというけど、構わず潮水を汲んで担いで来たら、その主人に「おい、それは何処にも置くなよ。家の後ろの芭蕉畑にこぼしなさい」と言われたので、そこへこぼしたところ、(ゆらゆら浮いていたのは)黄金だったって、黄金。
下原新屋の昔のことでね、そうして、またたくまに金持ちになったらしいよ。
そうして、何も言わずに肥桶に潮水を一担ぎしてきて、こぼしたら黄金だったって。龍がやった糞でしょうね。龍は必ず潮水の所へ行き、糞をするというからね。黄金になるんだってよ、龍の糞というのは。