読谷村しまくとぅば「むんがたい」

そうめんはミミズ そうめんはみみず

話者 上地弘治(1896・M29) 地域 座喜味 時間 02:18
  • しまくとぅば
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 (むの)(みー)んそーらんお(ばあ)がいぇーとーるぐとーん。うぬお(ばあ)やなー(ゆみ)とぅ二人(たい)るめーぐとぅ。


 うぬ(ゆみ)ぬミミジ(とぅ)てぃ(ちゃー)なかいや、ミミジぇ立派(りっぱ)いうぬ(んちゃ)(ぅん)じゃち、あんさーなかい()そーらちぇーるぐとーん、ちゃー。「(ぬー)やが?」りちゃぐとぅ「うり素麺(そーみん)るえいびんどー」でぃち。あんさーんかい じこー美味(まー)さてーがはん、うれーなーミミジャーや(くすい)ややぐとぅ。


 あんさーなかい、うぬお(ばあ)やまた、()むかーじ(むする)(しちゃ)んかい(てぃー)ちなーや、かんし()ちぇーんしぇーたんでぃ、ミミジャー。あんし美味(まー)さるむんくれー()ちょーてぃ、女童(ゐなぐわら)(ちゃー)()ねー()しーるないるでぃち。



 あんさーなかいしぇんへーるぐとーしが、うぬ自分(どぅー)()ちぇーる女童(ゐなぐわら)(ちゃー)(やー)かい(うや)見舞(みーめー)しんが()っ、(むぬ)(みー)んそーらんるあぐとぅ、見舞(みーめー)しんが()っさぐとぅ。うぬ女童(ゐなぐわら)(ちゃー)ぬ、「()(なー)や、あんし近頃(ちかぐる)からー(くぇー)てぃめーる、()()そーちめーが」りちゃぐとぅ、「(わん)ねー素麺(そーみん)()り、毎日(めーにち)()まするかーじ(てぃー)ちなーや其処(ぅんま)んかい()ちぇーんどーや、うり(んー)ちんり、素麺(そーみん)るやるい(ぬー)やが、()ちんり」りちゃぐとぅ。んちゃ、全部(むる)()じゃしんほーちゃぐとぅミミジャーなたぐとぅ。うぬ(ゐなぐ)(ぐゎ)(うるる)ち「アキサミヨー!()ぁくんぐとーるむんる()そーちめーんな、ミミジャーるえいびんでー」りちゃぐとぅ、「ん!」でぃち、()()らちほーちゃんでぃ。


 うりさーに()かたんり、ミミジャー()ろーん、またミミジャーや(ちゅ)(くぇー)いる滋養物(じようぶつ)やさやーりち、(ゐなぐ)(ぐゎ)(かんげー)たんでぃ。うり()らぐとぅる(くぇー)てぃめーてーはにりる(はなしー)やるぐとーん。


 目の見えないおばあさんがいらっしゃったそうだが。そのおばあさんは、嫁と二人で暮らしていた。


 そこの嫁はミミズを取ってきて、ミミズの土をしっかり吐かせて、おばあさんにいつも食べさせていたようだ。おばあさんが「これは何なの」と聞くと、「そうめんですよ」と嫁は答えていた。それは大変おいしかったらしい、ミミズは滋養でもあるからね。


 そこで、おばあさんは、ミミズを食べるたびに、ひとつずつ取っては、筵の下においていたんだって。こんなに美味しいんだから、これは取っておいて、娘たちが来た時に見せてあげようと思ってね。


 そうしていたようだが、そのうちに、娘たちが目の見えない親を見舞いに来た。娘たちはおばあさんを見て、「お母さんは最近太っていらっしゃるけど、何を召し上がっているのですか」と聞くと、「私は毎日そうめんを食べているが、その度にひとつはここに取っておいてあるよ。見てごらん。そうめんでしょう」と、筵の下から出して娘たちに見せた。「アキサミヨー!お母さんはこんなものを召し上がっていたのですか。これはミミズですよ」と、それを見た娘たちが驚いて言った。「えぇっー!」と、おばあさんはミミズと聞いて、びっくりしたとたん、目が開き見えるようになったんだって。


 おばあさんが太ったのはミミズを食べたからだとその時に分かったそうだ。また、ミミズは人間にとって滋養だということもね。

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