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- しまくとぅば単語帳:ア
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ア(~ー)(~ア(~ー)) 喜名,親志,座喜味,伊良皆,上地,波平,都屋,高志保,渡慶次,儀間,宇座,瀬名波,長浜,楚辺,渡具知,比謝,大湾,古堅,大木,比謝矼,牧原,長田
~する人。
- 用例
- ナガチバー(長尻の人。長居する人)。ボーシクマー(帽子組みをする人)。
- メモ
- 類:~サー・~ヤー。
アー 楚辺,大湾
植物。粟。
- メモ
- 音1:アワ。粘り気の少ない粳粟〔うるあわ〕と粘り気の多い糯粟〔もちあわ〕の2種類があり、混ぜご飯や餅を作った。
アー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺,渡具知,古堅
ああ。納得したときに発する語。
- 用例
- アー、アンル ヤティナー(ああ、そうだったのか)。
- メモ
- 音2:アコー・アゴー。類:エー。
アー 渡慶次,儀間,楚辺
泡。あぶく。
- 用例
- アーヌ ブクナイ フチョーン(泡がブクブク吹いている)。
- メモ
- 音2:アーブク。類:アブカー・アブクー。
アーアー 喜名,渡慶次,儀間
ああああ。喘いでいる様。気持ちにゆとりがなく、辛い様。
- 用例
- ワランチャー スダティーンディ、アーアー ソーン(子どもたちを育てるって、アーアーしている)。
アーイナー 座喜味,渡慶次,儀間
ああもう。失敗したり、まずいことをした時に発する語。
- 用例
- アーイナー、イャーガル ムッチョーテーサヤー(ああもう、お前が持っていたんだな)。
アーイヤッカイ 古堅
それ大変だ。他人の失敗などを冷やかしたりする時に発する語。
- メモ
- 類:ウーリヒャックヮイ。
アーキー 渡慶次,儀間,楚辺
おもに演劇における再会の場面。もとは感動詞で、三線音楽の「東江節」を呼称するときに用いられた語が名詞に転じたもの。
- 用例
- シバヤヲゥティ、ウヤックヮガ アーキー スシェー ミグトゥ ヤタン(芝居で、親子が再会する場面は見事だった)。
- メモ
- アーキーと呼ばれる琉球古典音楽の「東江節」は、芝居などで親子や兄弟が再会し、感情が高ぶる場面で使われることが多い。
アーギジャビ 喜名,渡慶次,儀間
あれ。ええっ。しまった。何かし損ねたとき、予想に反したときに発する語。
- 用例
- アーギジャビ、ジン ウトゥチ ネーンサー(しまった、お金を落としてしまったよ)。
- メモ
- 音1:アギジャビ。音2:アギジャバ・アギジャベ。
アーゲ 渡慶次,儀間,長浜
あああ。あきれたときに発する語。
- 用例
- アーゲ、マタン ハジマトーセー(あああ、またも始まったよ)。アーゲ、アネー アランドーレー(あああ、そうじゃないってば)。
アーケージュー 喜名,親志,座喜味,伊良皆,波平,都屋,高志保,渡慶次,儀間,宇座,瀬名波,長浜,楚辺,渡具知,比謝,大湾,古堅,大木,比謝矼,牧原,長田
昆虫。トンボ類の総称。

- 用例
- ウッサヌ アーケージューヌ アチマティ チョールヤー(たくさんのトンボが集まってきているね)。
- メモ
- 音1:アッケージュー。トンボがたくさん飛び交うのは暴風の予兆とされ、*カジフキアーケージューといわれた。
アーケージューグサ 伊良皆,大木
植物。クマツヅラ。野原に自生する多年草。
- メモ
- 葉の形状がトンボに似ていることからついた名前か。腹痛にはその煎じ汁を飲んだ。回虫駆除に効いた。
アーゲーナー 親志
あああもう。あきれたときに発する語。
アーサ 喜名,伊良皆,高志保,渡慶次,儀間,宇座,楚辺,大木,牧原,長田
海藻。あおさ。ヒトエグサ。一重草。近海で採れる緑藻〔りょくそう〕。
- 用例
- ハマウイネー アーサ トゥイガ ゥンジャン(浜下りにはアーサを採りに行った)。サングヮチマングラ ナイネー アーサヌ ユティ チューサ(3月頃になると、あおさが寄ってくるよ)。
- メモ
- あおさとも言うが、和名のアオサとは種類が異なる。乾燥させたアーサは食用として重宝された。
アーサカチャー 楚辺
あおさ掻き。ヒトエグサを掻き出す道具。
- メモ
- 近海でヒトエグサを取り除いてシマダコを獲る時にも使った。
アーサジル 喜名,渡慶次,儀間,古堅,大木
料理。アーサ汁。ヒトエグサと島豆腐を使った汁物。
- 用例
- アーサジルンカイヤ トーフン イリーンドー(アーサ汁には豆腐も入れるよ)。サージャートゥ シ、アーサジルヌ マーサヨー(あっさりして、アーサ汁の美味しいことよ)。
- メモ
- 薄い醤油味や味噌仕立てにしたアーサジルは、家庭料理として親しまれている。
アーサムーサ 渡慶次,儀間,楚辺
めちゃくちゃ。しっちゃかめっちゃか。
- 用例
- アンスカナー、アーサムーサ ナチ トゥラチェール(そこまで、めちゃくちゃにしてくれたね)。
- メモ
- 音1:アーサモーサ。類:アーモーモー・アジャマークジャマー。
アーサモーサ 渡慶次,儀間,楚辺
めちゃくちゃ。しっちゃかめっちゃか。
- 用例
- アーサモーサ ナティ、ヌール ナトーラー ワカラン(めちゃくちゃになって、どうなっているのか分からない)。
- メモ
- →音1:アーサムーサ。
アーシ 座喜味,古堅
地名(沖縄市泡瀬)。
アーシー 渡慶次,儀間,長浜,楚辺,大湾
間食。午後3時のおやつ。
- 用例
- ヤーク ナトーシガ、アーシーヤ ナーマル ヤリー(腹がへったが、3時のおやつはまだね)。
- メモ
- 音1:アシー。類:サンジヂャー・ヒルマムン。楚辺では農繁期には粟雑炊や黍雑炊、ラッキョウの漬物や*ユーヌク等が出された。
アーシームーチー 渡慶次,儀間,楚辺
盆の中日14日の午後に仏壇へ供える団子。
- 用例
- サンジ ナトールムン、アーシームーチーン ヘーク ウサギレー(3時になっているのに、アーシームーチーも早く供えなさい)。
- メモ
- 音2:アシーダーグ。
アーシギン 楚辺
袷の着物。
- 用例
- ワンネー アーシギン ニンメー ムッチョーン(私は袷の着物を2枚持っている)。
- メモ
- 音1:アーシヂン。
アーシヂン 渡慶次,儀間
袷の着物。
- 用例
- アンマーヤ アーシヂン チチ、マーカイ ハイガヤー(お母さんは袷の着物を着て、どこへ行くのかね)。
- メモ
- 音1:アーシギン。
アースン 喜名,渡慶次,儀間
合わせる。
- 用例
- チンガ シアガトーグトゥ、アチャー アースンリ(着物が仕上がっているから、明日合わせるって)。否:アーサン(合わせない)希:アーシーブサン(合わせたい)過:アーチャン(合わせた)継:アーチョーン(合わせている)。
アースン(~アースン) 喜名,渡慶次,儀間,大木
~遂げる。~終える。
- 用例
- ナマヌ グトゥ ハマイネー シーアースンヨー(今のように頑張ればやり終えるよ)。ヒンギアースン(逃げおおす)。
アータ ①長浜,楚辺②長浜③長浜
①両生類。カエル類の総称。②爬虫類。キノボリトカゲ。③人などを軽蔑して呼ぶ語。その際はアータにグヮーをつけて使うことが多い。

- 用例
- ①アータ イクチン トゥッカチミタン(アオガエルを何匹も取っ捕まえた)。③ヤナヤー アータグヮー(いやな奴)。
- メモ
- ①類:アタビー・アタビカー・アタビコー。②類:アタカー・ウヮータ・オールーカンジャー・カンジャー・キーマー・キーマーユー・キーマーラー・クースークェー・コーレーグースークェー・シゴーアタカー・ソーガークェー・チジロークェー・マースクェー・マーター・マータク・マータクヤー・マータクラー・ヤマータ・ヤマアータ・ワタブトゥカンジャーグヮー。
アータナイン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
疲れてぐったりする。
- 用例
- アータナティ ニンジクローン(疲れてぐったり寝入っている)。過:アータナタン(疲れてぐったりした)継:アータナトーン(疲れてぐったりしている)。
アータバイ 喜名,座喜味,渡慶次,儀間,長浜,楚辺,大湾
がに股歩き。よたよた歩き。滑稽〔こっけい〕な歩き方。
- 用例
- アバーヤ アータバイ ッシ、アッチ ハイタン(姉さんは疲れた足取りで、歩いて行きよった)。アッチハジミ ナティ、アータバイ ソーン(歩き始めなので、よたよた歩きをしている)。
- メモ
- 音2:ターターバイ。類:ウヮータバイ。歩き方がキノボリトカゲに似ていることに由来する。疲れた時の歩き方や、幼児のよたよた歩きを表すにも用いる。
アーッサ 喜名,伊良皆,渡慶次,儀間,楚辺
はあ。もう。あれまあ。非常に驚いた時に発する語。
- 用例
- アーッサ、アン ソール シーヨーン アンナー(はあ、そんなやりかたもあるの)。
- メモ
- 音1:ハーッサ。音2:アッシェ・アーッサヨー・ハーッサヨー・ハッシェ・ハーッシャヨー。
アーッサビヨー 喜名,渡慶次,儀間
ああもう。もう本当に。すごいという時に発する語。
- 用例
- アーッサビヨー、ウッピナーヌ ヤー チュクテーサヤー(もう本当に、こんなにも大きな家を造ったんだね)。
- メモ
- 音1:アッサビヨー・アッシャビヨー。音2:アッサミヨー・ハーッサビヨー・ハーッシャビヨー・ハッサビヨ・ハッサミヨー。
アーッサヨー 渡慶次,儀間,大湾
はあ。もう。あれまあ。非常に驚いた時に発する語。
- 用例
- アーッサヨー、デージ ヤタンドー(もう、大変だったよ)。アーッサヨー、デージナ ウークヮジ ヤタンドー(ああ、大変な大火事だったよ)。
- メモ
- →アーッサ。
アーティンプー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あてずっぽう。いい加減。
- 用例
- イャーヤ イチグ、アーティンプームヌイー ッシ(お前はいつも、あてずっぽうな物言いをして)。
- メモ
- 音2:アーラッパー・アーランカー。
アートー 古堅
ああもう。もう本当に。驚きあきれた時に発する語。
- メモ
- 音2:アートートー・ハートー・ハートートゥ。
アートートー 喜名,渡慶次,儀間
ああもう。もう本当に。驚きあきれた時に発する語。
- 用例
- アートートー、イャーヤ サーランケー(ああもう、お前は触るな)。
- メモ
- →アートー。
アーハー 喜名,座喜味,渡慶次,儀間,大湾
ああ、なるほど。そうか。理解した時に発する語。
- 用例
- アーハー、ナマネー ワカトーサ(なるほど、今度こそ分かったよ)。
- メモ
- 音1:アハー。音2:アーハーハー。
アーハーハー 座喜味
ああ、なるほど。そうか。理解した時に発する語。
- メモ
- →アーハー。
アーバサーバ 喜名,渡慶次,儀間,瀬名波,楚辺
余計な口出しをする様。ぺちゃくちゃ。でしゃばり。
- 用例
- チュヌ クトゥンカイ アーバサーバ サンキヨー(他人のことに余計な口出しはしないでおけよ)。アーバサーバ ムン ユムン(ぺちゃくちゃ噂話をする)。アーバサーバ、フリユンタクヤ サンケー(ぺちゃくちゃ、余計なおしゃべりはするな)。
- メモ
- 音2:ウヮーバサーバ。
アーヒャー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺,古堅
ああもう。投げやりになったり、否定する時に発する語。
- 用例
- アーヒャー、ヲゥタティ ウッチャンナギレー(ああもう、疲れてほっとけ)。アーヒャー、アネー アランタルムン(ああもう、そうではなかったのに)。
アービヨイ 親志
ああもう。あれまあ。あれ。ええっ。驚いて心配な時に発する語。
- メモ
- 音1:アッビヨイ。音2:アービヨー。
アービヨー 座喜味
ああもう。あれまあ。あれ。ええっ。驚いて心配な時に発する語。
- メモ
- →アービヨイ。
アーファ 楚辺
魚名。アンコウ。
- 用例
- アーファヌ シル ウサガミソーレー(アンコウの汁を召し上がってください)。
アーブク 楚辺
あぶく。泡。
- 用例
- アーブクヌ タッチョーン(泡が立っている)。
- メモ
- 音1:アブクー。→アー。
アーマークー 古堅
昆虫。アメンボ。

- メモ
- 音1:アーマーコー。類:アーメークー・アーミンボー・アーメーバー・アーメンボー・アメージャー・イチカマドー・カーカマロー・カーガニモー・カーガリモー・カーラマカラー・ターガニモー・タージョージョー・トゥヌジャー・トントンミー。
アーマーコー 古堅
昆虫。アメンボ。
- メモ
- →音1:アーマークー。
アーマン 渡慶次,儀間,楚辺,古堅
甲殻類。ヤドカリ。

- 用例
- ハーマヌ アーマンヌ マンドーシヨー(浜辺のヤドカリの多いことよ)。
- メモ
- 音1:アマン。
アーマンチュー 座喜味,上地,波平,高志保,長浜
創造神の呼称。天の人。
- 用例
- アーマンチューヌ ハナシン ゥンジトーシェーヤー(アーマンチュの話も出ているさあね)。センゼノー、アーマンチューヌ ヒサカタンチ アタシガヨー(戦前は、アーマンチュの足跡ってあったがね)。
- メモ
- 音1:アマンチュー。世の中の様子を見に天から下りてきた神。高志保では最初に国頭に下りてきたとの伝承がある。
アーミックヮー 比謝,大湾,古堅,大木
両生類。オタマジャクシ。

- 用例
- アーミックヮー スクレー(おたまじゃくしを掬〔すく〕え)。
- メモ
- 音1:アーミヌックヮー・アミックヮー・アミヌックヮー。音2:アーミナクー・アミヌックヮグヮー・アミヌミーックヮ。類:アタビーングヮ・アミジャー・アミダカーアミナー。
アーミナクー 座喜味,長浜
両生類。オタマジャクシ。

- 用例
- アーミナクーガ ダテーン シリトンドー(おたまじゃくしがたくさん孵っているよ)。
- メモ
- →アーミックヮー。
アーミヌックヮ 大湾
両生類。オタマジャクシ。

- メモ
- 音1:アーミックヮー・アミヌックヮー。→アーミックヮー。
アーミンボー 比謝,牧原
昆虫。アメンボ。
- メモ
- →アーマークー。
アーメークー 座喜味
昆虫。アメンボ。
- メモ
- →アーマークー。
アーメージャー 楚辺
節足動物。ヤスデ。
- 用例
- アーメージャーヌ マンドーグトゥ、ヘーク トゥティ ドゥキレー(ヤスデが多いから、早く取り除きなさい)。
- メモ
- 類:アマダイムシ・アミダムシ・ヤンバラームシ・ヤンバルムシ・アマデームシ。
アーメーバー 高志保,渡慶次,宇座
昆虫。アメンボ。
- メモ
- →アーマークー。
アーメンボー 渡具知,大木
昆虫。アメンボ。
- メモ
- →アーマークー。
アーモーモー 喜名,渡慶次,儀間
壊れて使えない様。めちゃくちゃ。
- 用例
- アンスカナー アーモーモー ナチェーサヤー(そこまでめちゃくちゃに壊してくれたな)。
- メモ
- →アーサムーサ。
アーラッパー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あてずっぽう。いい加減。
- 用例
- アーラッパー シーヨー シェー ナランドー(いい加減なやりかたではいけないよ)。
- メモ
- →アーティンプー。
アーラミーバイ 波平
魚名。ヤイトハタ。
アーランカー 渡慶次,儀間,楚辺
あてずっぽう。いい加減。
- 用例
- アレー ユカイ アーランカードー(彼はかなりいい加減だよ)。
- メモ
- →アーティンプー。
アイ 喜名,渡慶次,儀間,大木,比謝矼
あれ。おっと。急に気づいたり驚いた時に発する語。
- 用例
- アイ、イャーヤ マーンカイガ(あら、お前はどこにか)。アイ、バッペータン(おっと、間違えた)。
アイエー 喜名,座喜味,渡慶次,儀間,古堅,大木,比謝矼,長田
ええっ。ああ。驚いたり、困った時などに発する語。
- 用例
- アイエー、アンル ナトーンナー(ええっ、そうなっているのか)。アイエー、ワッター ウヤー ナー アミヌ フイルムン ナガリーサヤー(ああもう、私たちの親はもう雨が降るから流されるねえ)。
アイエーナー 喜名,親志,座喜味,上地,都屋,渡慶次,儀間,楚辺,渡具知,古堅,大木,比謝矼,牧原,長田
ええっ。ああもう。予想に反して驚いたり、困った時に思わず発する語。
- 用例
- アイエーナー、イャーヤ ナー チャー スガ(ええっ、お前はもうどうするのか)。アイエーナー、デージ ナタン(ああもう、大変なことになった)。
- メモ
- 音1:アイエナー。
アイエーヨー 大湾
ああもう。おいおいと嘆き悲しんだり、苦しい時に発する語。
- 用例
- アイエーヨー、アイエーヨー、ワン チュイ ヌクチ、チャー スガヤー(ああもう、ああもう、私一人残して、どうするかね)。
- メモ
- 音1:アイエヨー。
アイエナー 座喜味,渡慶次,大湾
ええっ。ああもう。予想に反して驚いたり、困った時に思わず発する語。
- メモ
- 音1:アイエーナー。
アイエナーアイエナー 大湾
おいおいと泣く様。
- メモ
- →音2:アイヨーアイヨー。
アイク 伊良皆,大湾,古堅
漁法。川で行う網代〔あじろ〕漁法。
- メモ
- 川の流れに沿って漏斗状に編んだ竹を入れ、下流の出口に置いたカゴに入ってくる蟹〔かに〕や鮒〔ふな〕を捕った。
アイクバーキ 伊良皆
漁具。アイク(網代漁法)で用いる竹で編んだ網代籠。
- メモ
- 類:アニク。カゴの口は漏斗状になっていて入り込んだ獲物が出られないようになっている。それを川の流れに沿って設置して石などを積み、エビや蟹などを誘い込めるようにした。伊良皆ではアイクバーキを設置して田蟹や鮒、蟹などを捕った。
アイコー 喜名,座喜味,渡慶次,儀間,楚辺,大木,長田
昆虫。蟻。
- 用例
- ナーヌ アイコーヌ マンドーシヨー(庭の蟻が多いことよ)。
- メモ
- 類:アナー。
アイコーカタ 喜名,渡慶次,儀間
蟻が歩いたような形跡。まだら模様。服に汗染みが残っている様にもいう。
- 用例
- ルク アシ ハティ、アイコーカタ イッチョーン(余りにも汗をかいて、まだら模様の汗染みができている)。
アイター 喜名,座喜味,渡慶次,儀間,楚辺,渡具知,古堅
あ痛。痛い時に発する語。
- 用例
- アイター、ヤムグトゥ サーランケー(あいたた、痛いから触るな)。アイターヨー(痛いよ)。
- メモ
- 類:アガー・アガヨー。
アイナー 喜名,親志,渡慶次,儀間,古堅,比謝矼
あれまあ。
- 用例
- アイナー、チャーン ネービランタガヤー(あれまあ、どうもなっかですかね)。アイナー、ワシトータン(あれまあ、忘れていた)。アイナー、ター ヤガリ ウムレー イャール ヤテーサヤー(あれまあ、誰かと思ったらお前だったんだね)。
アイネーン 楚辺
あり合わせ。
- 用例
- チューヌ ユーバノー アイネーンッシ シムサ(今日の夕飯はあり合わせのものでいいよ)。
アイムンネーンムン 喜名,波平,渡慶次,儀間,楚辺,大木
ある物ない物。ありったけ。すべて。
- 用例
- アイムンネーンムン ムル ムタシェー(ありったけすべて持たせなさい)。アイムンネーンムン、ウムトールクトー ムル アビレーワ(すべて、思っていることは話しなさいよ〈吐き出しなさいよ〉)。
アイヤー 喜名,座喜味,渡慶次,儀間,渡具知,大湾,古堅,比謝矼
ああ。あれ。おっと。思いもよらない場面に遭遇した時に発する語。
- 用例
- アイヤー、ナー シマトーセー(ああ、もう閉まっているさ)。
- メモ
- 音2:アイヤナー。
アイヤナー 座喜味
ああ。あれ。おっと。思いもよらない場面に遭遇した時に発する語。
- メモ
- 音2:アイヤー。
アイヨー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺,古堅
あれ。ええっ。ちょっと待てよ。
- 用例
- アイヨー、アネー アランタルムン(あれっ、そういうはずじゃなかったのに)。
- メモ
- 音2:ハイヨー。
アイヨーアイヨー 大湾
おいおいと泣く様。
- メモ
- かつては葬式の時、泣き女が「アイヨーアイヨー」「*アイエナーアイエナー」と泣いていた。→アイエナーアイエナー。
アカ 座喜味
身体や衣服の汚れ。垢。
- 用例
- チンヌ アカ ウトゥシェー(着物の汚れを落としなさい)。
アカ~ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
まったく。本当に。ほんに。
- 用例
- アカヤナワラビヤ、ゥンマヲゥティ ヌー ソーガ(まったく嫌な子は、そこで何をしているのか)。アカフリムンヤ、ヤーカラ ゥンジティ イケー(ほんに馬鹿者は、家から出て行け)。
- メモ
- 「まったくの」「あきらかな」の意を表す。
アカー 喜名,親志,座喜味,伊良皆,上地,波平,都屋,高志保,渡慶次,儀間,宇座,瀬名波,長浜,楚辺,渡具知,比謝,大湾,古堅,大木,比謝矼,牧原
赤。赤い物。
- 用例
- アヌ アカー ソーシェー ワームン ヤサ(あの赤くしているのは私の物だよ)。アカーグヮードゥ ヤイビールイ(赤い物ですか)。クリカージェー アレー アカー ヤンドー(これよりはあれが赤いよ)。
アガー 喜名,座喜味,渡慶次,儀間,楚辺
あ痛。痛い時に発する語。
- 用例
- アガー、ヒサ クンピランケー(あいたた、足を踏むな)。
- メモ
- →アイター。
アカアカートゥ 渡慶次,儀間,楚辺
赤々と。
- 用例
- ヤマヌ アカアカートゥ メートーン(山が赤々と燃えている)。
アカーヌバン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
能率が上がらない。捗らない。
- 用例
- アン ソール シーヨーシェー、イチマリ タッチン アカーヌバンサ(そんなやり方では、いつまで経っても捗らないよ)。
- メモ
- 対:ハカドゥイン・ハバチュン(捗る)。
アカイ 儀間,大湾
障子。
- 用例
- アカイ ヒチ、ナー ンルナヨーンチ(障子を引いて、もう見るなよと)。
- メモ
- 類:ソージ。
アガイウマチー 喜名
{あがりおまつり(上がり御祭)}。行事。その年の最後の御祭。
- メモ
- 宇座では旧5月、8月の*ウマチー(稲穂の大祭)に山内、与久田門中の*ニッチュ(根人)、*ニガン(根神)と部落当役が祭祀を行った。→ウマチー。
アガイスージ 座喜味,瀬名波,古堅,大木
{あがりしうぎ(上がり祝儀)}。小学校の入学祝い。進級祝い。修了式のこと。
- メモ
- →音1:アガイスージー。
アガイスージー 喜名,座喜味,伊良皆,都屋,渡慶次,儀間,瀬名波,大湾,古堅
{あがりしうぎ(上がり祝儀)}。小学校の入学祝い。進級祝いのこと。
- 用例
- クンドー ゥンマガヌ アガイスージーガ アンドー(今年は孫の入学祝いがあるよ)。
- メモ
- 音1:アガイスージ。音2:フディカチミスージ・フリカチミスージ・ミーゥンジーグヮー・ゥンジースージ。喜名では旧2月の彼岸頃に行なわれた。昔は進級できない人もたくさんいたので、進級できたらとても喜んだとのこと。
アガイスーブー 喜名,座喜味,伊良皆,都屋,渡慶次,儀間,楚辺,大湾,古堅,大木
{あがりしょうぶ(上がり勝負)}。進級式。進級祝い。修了式。
- 用例
- イャームン アガイスーブーネー、マギスージ サーヤー(お前のときの進級祝いには、大きなお祝いをしようね)。
- メモ
- 明治期には学校に行くと村から補助があった。学事奨励会は就学率向上に関わる明治政府・沖縄県の政策だった。戦前は、学力不振や家庭の事情から進級することができず、各学年で数名の落第生が出た。それで、無事に進級を祝うことをアガイスーブーといった。優秀者には担任から褒美があったが、褒美をもらえるのはアガイスーブーの時だけなので、その日に休む者はいなかったという。
アガイティーダ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺,古堅
{あがりたいやう(上がり太陽)}。東から昇る太陽。朝日。
- 用例
- アガイティーダ ヲゥガムン(朝日を拝む)。
- メモ
- 音1:アガイティーラ。対:サガイティーダ・サガイティーラ(夕日)。東から昇る太陽は縁起が良いとされ、産児の胞衣の処理、命名、産着を着せる際にも重視された。
アガイティーラ 渡慶次,儀間,長浜,楚辺
{あがりたいやう(上がり太陽)}。東から昇る太陽。朝日。
- 用例
- アガイティーラヌ チュラサヨー(朝日のきれいなことよ)。
- メモ
- →音1:アガイティーダ。
アカイナー 楚辺,渡具知
{あかいぬ(赤犬)}。毛色が赤茶色の犬。
- 用例
- アカイナー、マギー カラトーテール フージヤー(赤犬、大きいのを飼っていたようだね)。ウリカラ ヰーテーヌ アカイナーグヮー カラヤーニ(彼から貰った赤犬飼って)。
アガイナー 楚辺
{あがりには(上がり庭)}。その年最後の闘牛大会。
- 用例
- アガイナーネー イッペー ハネーチュタン(最後の闘牛大会はとても賑わったよ)。
- メモ
- 楚辺では旧5月から9月までの農閑期を利用して、毎月1回闘牛が行われた。最後の旧9月9日にはアガイナーとしての闘牛が行われた。
アカイユー 喜名,渡慶次,儀間,古堅
魚名。赤い魚の総称。イットウダイ属の総称。
- 用例
- アカイユー アギティ カムン(赤魚を揚げて食べる)。
アガイヱイサー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
上がりエイサー。青年会を終える人たちが演ずるエイサー。
- メモ
- 楚辺では*ヱイサーが演じられる旧盆の7月16日に、青年会を卒業する25歳の人たちがお互いの家を巡回して演じる。
アカイラブチャー 渡慶次,儀間
魚名。アカブダイ。
アガイン ①喜名,渡慶次,儀間,楚辺②座喜味,渡慶次,儀間,大木③瀬名波
①上がる。昇る。②終わる。上がる。③入る。上がる。
- 用例
- ①ナーヒン イーンカイ アガイブサン(もっと上に上がりたい)。否:アガラン(上がらない)希:アガイブサン(上がりたい)過:アガタン(上がった)継:アガトーン(上がっている)。②チーヌ アガイン(乳が出なくなる)。マチヌ アガイン(市場が終わる)。③ウチンカイ アガイミソーレー(どうぞ、お上がりください)。
- メモ
- ①対:サガイン(下がる)。②音2:ウワイン・スビナイン。対:ハジマイン(始まる)。
アカインコ 喜名,伊良皆,上地,波平,都屋,渡慶次,儀間,宇座,瀬名波,長浜,楚辺,渡具知,比謝,大湾,古堅,大木,比謝矼,牧原,長田
{あかいぬこ(阿嘉犬子)}。一般に赤犬子〔あかいぬこ〕と記される。おもろ歌唱の名人。歌三線の始祖で五穀豊穣の神。
- メモ
- →アカヌクーウグヮン。
アカインドゥー 伊良皆,楚辺
植物。赤豌豆。えんどう豆の種類。
- メモ
- 花実が赤く、旧1月頃に播種し、4、5月頃に収穫した。
アカガーラー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
赤瓦。
- 用例
- イッターヤ アカガーラー シ フチケーテーサヤー(お前たちは赤瓦で葺き替えたんだね)。
アカガーラーチュクヤー 喜名,渡慶次,儀間
赤瓦を作る者。赤瓦職人。
- 用例
- アカガーラーチュクヤー ナティ、ユチクニ クラチョーン(赤瓦職人になって、裕福に暮らしている)。
アカガイ 喜名,座喜味,渡慶次,儀間,楚辺
明かり。明るい所。
- 用例
- アヌ アカガイヤ、マー ナトーガヤー(あの明るい所は、どこになっているのかな)。
アカガイミー 渡慶次,儀間
明るい所。
- 用例
- ユルナーヤ アカガイミーカラル ケーティ チュールヨー(夜は明るい所から帰ってくるんだよ)。
- メモ
- 音2:アカサンミー。対:クラガイミー・クラシンミー(暗い所)。
アカガイン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
明るくなる。
- 用例
- ヤガテー、ユー アキティ アカガインドー(やがては、夜が明けて明るくなるよ)。否:アカガラン(明るくならない)過:アカガタン(明るくなった)継:アカガトーン(明るくなっている)。
アカガシチー 長田
料理。小豆を入れたおこわ。
- メモ
- 旧8月は一般に悪霊が多い時期と信じられ、それらを払うために家の周囲に*シバ(柴)を差して、アカガシチーを供えた。
アカカビ 大湾,長田
{あかかび(赤紙)}。正月に仏壇や火の神に飾る赤い紙、または赤、白、黄の三色の紙にもいう。
- メモ
- 長田では、正月に火の神や仏壇に、アカカビと木炭3個を昆布で巻いたものを飾った。大湾では、仏壇・火の神・床の間にアカカビーを飾り、その上に塩を置いた。床の間には神様がいらっしゃるということで、*ウブクも供えた。
アカカマブク 喜名,渡慶次,儀間,渡具知,古堅
赤カマボコ。
- メモ
- 高さ約4センチ、長さ約19センチの半円形のカマボコの上部を赤く塗って、お祝い用として使われている。
アカガヤー 村史
甲殻類。蟹の種類。
アカガラスン 喜名,渡慶次,儀間
明るくする。
- 用例
- テービーシ アカガラスン(松明で明るくする)。否:アカガラサン(明るくしない)希:アカガラシーブサン(明るくしたい)過:アカガラチャン(明るくした)継:アカガラチョーン(明るくしている)。
アガカラン アガキ 楚辺
足掻〔あが〕けない足掻き。無駄な足掻きのこと。
- 用例
- アガカラン アガキ サンテーン、チャーン ナランサ(無駄に足掻いても、どうしようもないよ)。
- メモ
- 音1:アガカラン アガチ。
アガカラン アガチ 喜名,高志保,渡慶次,儀間,古堅,大木
足掻けない足掻き。無駄な足掻きのこと。
- 用例
- ヒンスーヤ チャー ヒンスール ヤンムンヌ、アガカラン アガチ シ(貧乏はいつまでも貧乏なのに、無駄な足掻きをして)。アガカラン アガチ、トゥイヌ アガチ(足掻けない足掻き、鶏の足掻き〈どんなに足掻いても、鶏が足掻くようにちっともよくならない〉)。
- メモ
- 音1:アガカラン アガキ。
アカガンター 喜名,高志保,渡慶次,儀間,楚辺,比謝
赤茶髪が伸びている様。
- 用例
- アマンカイ ヲゥヌ、アカガンター ワラビ ヤサ(あそこにいる、赤茶髪が伸びた子だよ)。アカガンターグヮー シ アカヂングヮー チチ(赤毛で赤い着物を着て)。
アカギ 喜名,座喜味,伊良皆,高志保,渡慶次,儀間,楚辺,渡具知
植物。アカギ。トウダイグサ科の常緑高木。
- 用例
- アカギヤ イルガ アカー ソーグトゥ、アン イラットーンディ(アカギは色が赤いことから、そういわれているって)。歌:アカギアカムサガ ハベル ナティ トゥバワ、トゥムシヒチチャヌ イニントゥムリ(赤木赤虫が蝶になって飛べば、友寄平敷屋の遺念と思え)。
- メモ
- 樹皮が赤味を帯び、樹液が赤いことから名前がついた。かつては拝所近くに多く見られたが、現在では公園などにも植栽されている。
アカギンジュー 座喜味
昆虫。トンボの一種。
アカグー 伊良皆
食紅。

アカグチャファ 座喜味,伊良皆,都屋,長浜,楚辺,渡具知
皮膚病の一種。タムシ。
- メモ
- 民間療法では、煮たての熱い甘藷を患部に当てた(長浜)、*フクルギ(はまおもと)からとれる樹液も効き目があった(楚辺)、里芋の葉でこすった(都屋)、*ソーガー(生姜)と塩を混ぜて作った膏薬をつけた(渡具知喜味)/線香で焼く(伊良皆)。
アカクラガー 楚辺,長田
植物。甘藷の品種名。
アガクン 楚辺
①足掻く。働く。頑張る。精を出す。②捗る。
- 用例
- ナーヒン アガクンナー(もっと足掻くのか)。否:アガカン(足掻かない)希:アガキーブハン(足掻きたい)過:アガチャン(足掻いた)継:アガチョーン(足掻いている)。
- メモ
- 音1:アガチュン。
アカコージメー 長浜
{あかかうじまい(赤麹米)}。料理。赤飯。
- メモ
- 赤麹で着色したご飯で、祝いの膳に出した。
アカサビ 喜名,渡慶次,儀間,大木
赤錆。
- 用例
- アカサビヌ ウクリティ チャーギーサ(赤錆が浮いてきよるさ)。
アカサン ①喜名,親志,座喜味,伊良皆,上地,都屋,渡慶次,儀間,宇座,渡具知,比謝,大木,比謝矼,牧原②渡慶次,儀間
①赤い。②明るい。
- 用例
- ①ウヌ イルヤ イッペー アカサン(この色はとても赤い)。②ナマ ヌミーガ イチュシェー アカサンデー(今飲みに行くには明るいよ)。
- メモ
- ①音1:アカハン。②対:クラサン・クラハン(暗い)。
アカサンミー 渡慶次,儀間
明るい所。
- 用例
- クヮックィランヨークー、アカサンミーンカイ ゥンジティ クーワ(隠れていないで、明るい所に出てきなさい)。
- メモ
- →アカガイミー。
アカジナアヤー 都屋,比謝矼
オキナワシャリンバイで染めた濃褐色の縞模様。またはその織物や着物。
- メモ
- 音1:アカズミアヤー。
アカシヌシー 渡具知
地名。渡具知の海浜地名。
- メモ
- 港の入り口近くにある岩で、アカシグヮーともいう。アカシヌシーでは、干満に関係なく魚が捕れたという。
アカジン 波平
魚名。スジアラ。
- メモ
- 音2:アカジンミーバイ。アカは魚の色。赤い着物の意味のアカヂンか、金になるとの意味合いでのジン(銭)か。
アカジンミーバイ 喜名,渡慶次,儀間
魚名。スジアラ。
- 用例
- アカジンミーバイヌ タカサヨー(アカジンミーバイの高いことよ)。
- メモ
- →アカジン。
アカスビ 村史
魚名。マグロの一種。
アカズミ 楚辺
赤染め。茶褐色で染めた布。
- メモ
- 主に芭蕉布を*ティカチャー(オキナワシャリンバイ)の樹皮や根っこを染料にして染めた。
アカズミアヤー 村史
オキナワシャリンバイで染めた濃褐色の縞模様。またはその織物や着物。
- メモ
- 音1:アカジナアヤー。
アカズミイーチリー 村史
オキナワシャリンバイ染めの絣。またはその織物や着物。
アカスン ①座喜味,渡慶次,儀間②座喜味,渡慶次,儀間,楚辺
①離す。②剥がす〔はがす〕。
- 用例
- ①ウヤックヮ ウシムリニ アカスン(親子を無理矢理に離す)。否:アカサン(離さない)希:アカシーブサン(離したい)過:アカチャン(離した)継:アカチョーン(離している)。②ウシヌクスー アカシーネー マシェー アランドー(乳児の頭のかさぶたを剥がすとよくないよ)。
- メモ
- ①対:ソーラスン(添わせる)。②類:ハガスン。
アカスン ①喜名,渡慶次,儀間,古堅②喜名,渡慶次,儀間,楚辺,古堅
①明かす。夜を明かす。②明かす。物事を明らかにする。
- 用例
- ①チューヤ ナー ヤーンカイヤ ケーラン、ゥンマヲゥティ ユー アカスンテー(今日はもう家には帰らないで、そこで夜を明かすさあ)。否:アカサン(明かさない)希:アカシーブサン(明かしたい)過:アカチャン(明かした)継:アカチョーン(明かしている)。②シワグトゥヌ アラー、ムンシリヲゥティ アカスンテー(心配事があるなら、物知りの所で明らかにしてもらうさ)。クニンダンカイ、アマー リッパン スムチサーニ アカスンリヌムン、アマ ヤラチ ンリワル ヤッサー(久米村に、向こうはちゃんと易で明かすというから、向こうに行かしてみないといけないね)。
アガタ 渡慶次,儀間,楚辺
彼方〔あがた〕。あちら。向こう。
- 用例
- アガタナーリー マーレー(あちら側へ回りなさい)。
アカター 都屋
鳥名。都屋のアカターザチ(崎名)に群れをなしていた白い鳥。
アガター 波平,高志保,長浜
私たち。我々。
- 用例
- アガター ヤーニンジョー マーンカイ トゥマイガヤー(私たちの家族はどこに泊まるのかな)。アガター リューチューヌ ヲォーヤ、ジコー カンゲーティン カンゲーララン(私たち琉球の王は、ものすごく考えても考えられない)。
- メモ
- 音1:アギター・イガター。類:イガルー・ワッテー・ワンナー・ヰガタ・ンガター・ワッテー・イギター・ドゥーナーター。対:イッター・イッテー(お前たち)。
アカターザチ 都屋
地名。アカター崎。都屋の海浜地名。

- メモ
- 現在の都屋漁港内に海に向かってせり出した小さな岬があり、アカターザチと呼ばれている。*アカターと呼ばれる白い鳥がこの岬に群れをなしたことに由来している。漁港整備で先端部の一部などは削られたが、それ以前は岬には原っぱがあり、漁に使う網干し場として利用されたため、*アミフシモーと呼ばれた。戦前は美しい芝生が広がり、十五夜などには青年たちが集まって三線などを弾き遊ぶ憩いの場でもあった。松葉を焚きのろしを上げて県外へ行く船を見送る*フナウクイもここで行われた。
アガタヌカー 伊良皆
地名。伊良皆の井泉の名称。
- メモ
- 「向こうの井泉」という意味の井泉。*イーヌカーと水源が同じといわれるが、*クムイ(溜池)のようであまり利用されなかった。石で囲み目印としていたという。
アガタムティー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あちら側。あそこの方。
- 用例
- アガタムティーカイ イチュタサ(あちら側へ行きよったよ)。
- メモ
- 音2:アマムティー・アマムティ。
アカチキ 楚辺
暁。日の出前の仄〔ほの〕かに暗い時刻。明け方。
- 用例
- アカチキナーリー ウキティ ハイタンデー(朝の早い時間に起きて行きよったよ)。
- メモ
- 音1:アカチチ。音2:アカトゥンチ。
アカチキオーファングヮー 楚辺
植物。{あかつきあおはのこら(暁青葉の子等)}。ウスベニニガナ。
- 用例
- アネッ、アマンカイ ミートーシガ アカチキオーファングヮー ヤサ(ほら、あそこに生えているのがウスベニニガナだよ)。
アカチキミークファヤー 楚辺
おめざ。朝の目覚めの食べ物。
- 用例
- ニーブイカーブイサンヨークー、アカチキミークファヤー カマーニ ヘーク ヒージャークサ カティ クーワ(眠たそうにしないで、おめざを食べて早く山羊の草を刈ってきなさい)。
- メモ
- 音1:アカチチミークファヤー。音2:ミークハヤー・ミークファヤー。類:アサマカネー。
アカチチ 喜名,伊良皆,渡慶次,儀間,瀬名波,比謝,比謝矼
暁。日の出前の仄〔ほの〕かに暗い時刻。明け方。
- 用例
- アカチチナーリーヤ チュヌ ヤーカイヤ イカランサ(早朝から人の家へは行けないよ)。アカチチェー ワカミジ ンケーティ、ユーアチラチ アミミソーリヨー(暁には若水を迎えて、湯を温めて浴びてくださいね)。
- メモ
- →アカチキ。
アカチチミークファヤー 喜名,渡慶次,儀間
おめざ。朝の目覚めの食べ物。
- 用例
- アカチチミークファヤーディチ、パーパーガ ゥンムニー シコーテーサ(おめざといって、おばあさんがゥンムニーを準備してあるよ)。
- メモ
- →アカチキミークファヤー。
アガチャー 喜名,渡慶次,儀間
足掻きあ。足掻く人。働き者。頑張り屋。
- 用例
- アンシ アガチャー ヤル(あんなに働き者だね)。
- メモ
- 対:アカヒチムン・ウフゲンナー・オーヒチムン・オーヒチャー・フユーナー・フユーナムン(怠け者)。
アガチュン 親志,渡慶次,儀間,長浜,大木
①足掻く。働く。頑張る。精を出す。②捗る。
- 用例
- ①アガキワル カマリール(働けばこそ食えるのだ)。ナーヒン アガカントー ナラン バーイ(もっと頑張らないといけないのか)。否:アガカン(頑張らない)希:アガチーブサン(頑張りたい)過:アガチャン(頑張った)継:アガチョーン(頑張っている)。②チューヤ ウミチットゥ アガチュサ(今日は、思う存分に捗るよ)。
- メモ
- 音1:アガクン。
アカヂラー 喜名,高志保,渡慶次,儀間,楚辺,古堅
赤い顔。赤面。
- 用例
- ハジカサヌ、チュラーク アカヂラー ナティ ネーンサ(恥ずかしくて、すっかり顔が赤くなってしまったさ)。
- メモ
- 音2:アカンバチャー。
アカチンキー 喜名,渡慶次,儀間,古堅
赤チン。マーキュロクロム液。
- 用例
- アカチンキー ヌタレー、チヌンカイ タックヮトーサ(赤チンを塗ったら、着物についているさ)。
アガッタムン 渡慶次,儀間
大それた奴。たいした奴。
- 用例
- フユーナムンガ ゥンジトーティ、ジン モーキティ アガッタムン ヤサ(怠け者のくせに、お金を儲けて大それた奴だ)。
アガトゥー 喜名,高志保,渡慶次,儀間,長浜,楚辺,長田
{あがとほ(あが遠)}。あの遠さ。ずっと遠い所。
- 用例
- アガトゥーンカイル イチュンナー(あんな遠い所に行くのか)。
- メモ
- 音1:アガトー。音2:アガトゥーナー。対:ウガチカサ・ウガチチャサ(そんなに近く)。
アガトゥーナー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
{あがとほなあ(あが遠なあ)}。あの遠さ。ずっと遠い所を強調した言葉。
- 用例
- アガトゥーナーンカイル アティナー(あんな遠い所にあったのか)。
- メモ
- →アガトゥー。
アカトゥンチ 波平,高志保,渡慶次,儀間,長浜,楚辺
暁。日の出前の仄〔ほの〕かに暗い時刻。明け方。
- 用例
- アカトゥンチナーリー ヌー サワジョーガ(朝っぱらから何を騒いでいるのか)。ソーグヮチヌ アカトゥンチゲーナー、ワッターカイ チューンリチン アンナー(正月の暁早々、私の家にくるってもあるか)。
- メモ
- →アカチキ。
アガトー 座喜味
{あがとほ(あが遠)}。あの遠さ。ずっと遠い所。
- メモ
- →アガトゥー。
アカナバー 上地,波平,長浜,楚辺
植物。{あかなば(赤菜葉)}。赤紫蘇。
- メモ
- 漬け物にするだけで調理はしなかった。麻疹患者にアカナバーの煎じ汁を与えた。
アカヌクー 楚辺
{あかのこ(阿嘉の子)}。一般に赤犬子(あかいぬこ)と記される。赤犬子宮。楚辺の拝所の名称。

- メモ
- 歌と三線の始祖とされる赤犬子終焉の地に、楚辺では赤犬子宮を建てて、崇めている。
アカヌクーウグヮン 楚辺
{あかのこおぐゎん(阿嘉の子御願)}。行事。赤犬子御願(あかいぬこおぐゎん)。

- メモ
- 赤犬子は、楚辺の守り神で五穀豊穣の神とされ、旧9月20日に赤犬子御願を行う。この時、*グククヌゥンバン(米、粟、黍、小豆、唐黍を混ぜた御飯)を供える。戦前は*ムラヤー(現公民館)から*アカヌクー(赤犬子宮)まで、ホラ貝や鉦、太鼓を打ち鳴らしながら練り歩いたが、道中参加した子どもたちには一切れの餅が配られた。→アカヌクスーギ。
アカヌクウスメー 楚辺
{あかのこおしゅまへ(阿嘉の子御主前)}。赤犬子御主前(あかいぬこおしゅまへ)。赤犬子の尊称。
- 用例
- ウヌ ツエヌ イーカラ マーンカイガ メンソーチャラー、ユクイナシ ナタンリ(その杖の上からどこに行かれたのか、行方無しだったって)。
- メモ
- 楚辺の民話のなかに、瀬良垣の舟大工に追い詰められて現在の赤犬子宮まで来たアカヌクウスメーは、人に殺されるよりは自分で死んだ方がいいと、持っていた杖を立てて昇天したとう伝承されている。→アカインコ。
アカヌクーバル
{赤犬子原}。楚辺の小字。
アカヌクスーギ 楚辺
{あかのこしうぎ(阿嘉の子祝儀)}。赤犬子祝儀(あかいぬこしゅうぎ)。赤犬子祭。

- 用例
- アカヌクスーギネー、ジムスカラ アカヌクーマリ スネーティ イクン(赤犬子祝儀には、事務所〈公民館〉から赤犬子宮まで行列をつくって行く)。
- メモ
- この御願は現在も行われており、拝みを終えた後に、「かぎやで風」や「*イリベーシ」などの踊りを奉納する。→アカヌクーウグヮン。
アガネー 喜名,渡慶次,儀間
節約。倹約。
- 用例
- ユー アガネー シーヨーヤー(ちゃんと節約しなさいよ)。ユー アガネーティ ジノー チカリヨー(よく節約してお金は使いなさいよ)。
- メモ
- 類:スーテー。対:ウヮーバヂケー(浪費)。
アガネーイン 渡慶次,儀間
節約する。
- 用例
- アトゥアトゥヌ タミニ アガネーイン(後々のために節約する)。否:アガネーラン(節約しない)希:アガネーイブサン(節約したい)アガネータン(節約した)継:アガネートーン(節約している)。
- メモ
- 類:クバメースン。
アカバカマ 楚辺
赤袴。
- メモ
- 女性教員は正月、天長節、紀元節には赤袴と呼んだえんじ色の袴に下駄の礼装であった。
アカバク 渡慶次,儀間,楚辺
{あかばこ(赤箱)}。葬儀用具を収める赤い木箱。
- 用例
- ダビニ チカイル ドーグヤ アカバクンカイ ウサミテーサ(葬式に使う道具は赤箱に収めてあるよ)。
- メモ
- 龕の装飾品や葬列に使う天蓋や葬式旗等の葬儀用具を収めていた。
アカバクー 座喜味,楚辺
{あかばこ(赤箱)}。肉の行商人。
- 用例
- アカバクーガ チューンドー(肉の行商人がくるよ)。
- メモ
- 戦後、赤い箱に肉を入れて行商していたことから、そう呼ばれた。
アカハジ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
赤っ恥。赤面するほどの恥ずかしさ。
- 用例
- チュヌ メーヲゥティ アカハジ カカチ(人の前で赤っ恥をかかせて)。
アカハチマキ 高志保
{あかはちまき(赤□)}。赤い□〔はちまき〕。
- メモ
- z1〔はちまき〕は王府時代の礼装時の冠に相当するもので、位階によって色が違った。赤いz1は、位階としては下位にあたる。
アカバチャー 座喜味
昆虫。{あかはちあ(赤蜂あ)}。スズメバチ。
- メモ
- 音2:カーニーバチャー。子どもが蜂を退治する山遊びの中で、大きくて強いアカバチャーの巣を壊した者は勇気があると一目置かれた。
アカバナー 喜名,渡慶次,儀間,瀬名波,楚辺,大湾,古堅
植物。仏桑花。ハイビスカス。

- 用例
- アカバナーヌ ユー サチョーン(仏桑花がよく咲いている)。
- メモ
- 音2:グソーバナ。
アカハン 波平,高志保,瀬名波,長浜,楚辺
赤い。
- メモ
- 音1:アカサン。
アカビー 楚辺
赤い火。真っ赤な火。
- 用例
- アカビー ナルカ イシ ヤクン(真っ赤になるほど石を焼く)。
アカヒジー 村史
植物。稲の品種名。稲の在来種のひとつ。芒〔のぎ〕がやや赤色の米。
- メモ
- →ヒジメー。
アカヒチムン 渡慶次,儀間,楚辺
{あかひきもの(赤挽者)}。怠け者。無精者。
- 用例
- アカヒチムン ナテー ナランデー(怠け者になってはいけないよ)。
- メモ
- 音2:オーヒチムン・フユーナムン。類:ウフゲンナー・オーヒチャー・フユーナー。対:ハタラチャー・ハマヤー・ハタラカー(働き者)。
アカヒラーボー 長浜
長浜棒の型名。棒術。赤平棒。
- メモ
- 山内ウメーが首里の赤平で御殿勤めをしている時に、庭で棒の稽古をしているのを襖の隙間から見て覚えてきて、長浜の青年達に教えたという。→ナガハマボー。
アカブー 喜名,座喜味,都屋,渡慶次,儀間,楚辺
赤髪。赤茶髪。赤毛の人。
- 用例
- アンシ アカブー ヤル(とても髪の毛が赤いね)。
- メモ
- 音2:アカブサー・アカブシ。
アカブサー 喜名,伊良皆,渡慶次,儀間,楚辺,渡具知,大湾,古堅
赤髪。赤茶髪。赤毛の人。
- 用例
- アヌ アカブサー ワラビ ヤサ(あの髪の毛が赤い子どもだよ)。ウントーヌ カンター、アカブサー、ヤナワラバー、ワートゥジ ナインナー(そのようなぼさぼさ頭、赤毛の嫌な童が、私の妻になるのか)。
- メモ
- →アカブー。
アカブシ 渡具知,比謝
赤髪。赤茶髪。赤毛の人。
- 用例
- アマウティ タムン ホーチュル アカブシ ワラバー、イャー トゥジ ヤン(向こうで薪を掃いている赤毛の子どもが、お前の妻だ)。
- メモ
- →アカブー。
アカブックイ 伊良皆,渡慶次,儀間,古堅,大木
{あかほこり(赤ほこり)}。赤膨れ。赤みがかっていること。
- 用例
- イャームン チラー アカブックイ ソーンドー(お前の顔は赤く腫れあがっているよ)。
アカフリムン 渡慶次,儀間,長浜,比謝
{あかほれもの(赤惚者)}。馬鹿なことをする者。
- 用例
- ヤナ アカフリムン(なんて馬鹿な奴)。アカフリムンヤ、トゥーチ アシリ アッチンディチン アンナー(馬鹿な奴は、いつも遊び歩くってこともあるか)。
アカベー 親志,座喜味,伊良皆,大湾
皮膚病の一種。頭部の湿疹が細菌性感染にある状態。
- メモ
- 皮膚が赤くなるのでそういった。
アカマーミー 喜名,都屋,渡慶次,儀間,長浜,楚辺,古堅
植物。赤豆。小豆。

- 用例
- アンマーガ アカマーミー ニチェーンドー(お母さんが小豆を炊いてあるよ)。
- メモ
- 類:アジチャー。
アカマーミーゴハン 喜名,渡慶次,儀間,長浜,楚辺,古堅
料理。小豆入りご飯。赤飯。
- 用例
- スージネー アカマーミーゴハン ニラヤー(お祝いには赤飯を炊こうね)。
アカマカー 楚辺
爬虫類。アカマタ。夜行性で無毒の蛇。
- 用例
- アカマカーヤ チュラヰキガ ナティ、マイバン チュータンリヤ(アカマタは美男子になって、毎晩きたんだってよ)。
- メモ
- 音1:アカマター。*カマンタ(鍋蓋)を伏せて置くと中でアカマタが孵化するといわれた。美男子に姿を変えたアカマタの子を宿した娘が、海水に浸って清められたことから、旧3月3日の浜下り行事が始まったという民話が県内各地で伝承されている。
アカマク 高志保,渡慶次,儀間,楚辺
腕白。
- 用例
- ルク アカマク ナティ デージ ヤサ(余りにも腕白で大変だ)。
- メモ
- 音2:ウーマク・シティマク・ハティマク・マク。類:チリハブ。
アカマター 喜名,親志,座喜味,伊良皆,上地,波平,都屋,高志保,渡慶次,儀間,瀬名波,楚辺,大湾,古堅,大木,比謝矼,牧原,長田
爬虫類。アカマタ。夜行性で無毒の蛇。
- 用例
- アカマターンカイ ダマサットーン(アカマタに騙されている)。
- メモ
- 音1:アカマカー。
アカマチ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
魚名。ハマダイ。
- 用例
- アチャヤ スージデームン、アカマチ コーティ チャン(明日はお祝いだから、ハマダイを買ってきた)。
アカマッカーラ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺,比謝
真っ赤。真っ赤に。
- 用例
- トマトーヌ アカマッカーラ ソーシヨー(トマトが真っ赤にしていることよ)。
- メモ
- 音1:アカマッカーラー。音2:マッカーラ・マッカーラー。
アカマッカーラー 喜名,渡慶次,儀間,渡具知,古堅
真っ赤。真っ赤なもの。
- 用例
- アンシ、アカマッカーラー ヤルヤー(なんて、真っ赤なものなんでしょう)。カンターン アカマッカーラー シ キジムナーリシル ヤサヤー(髪も真っ赤っかでキジムナーというものだね)。
- メモ
- →音1:アカマッカーラ。
アカミー 渡慶次,儀間,楚辺
赤い実。
- 用例
- ウッサ アカミーヌ チチョール(あんなに赤い実がついているね)。
アカミー 喜名,儀間,古堅,大木
赤眼。
- 用例
- ミーンカイ グミヌ イッチ、アカミー ソーン(目にゴミが入って、目が赤くなっている)。
アカミー 喜名,渡慶次,儀間
卵黄。黄身。
- 用例
- シルミービカーン カリ、アカミーヤ ヌクチェーンデー(白身だけ食べて、黄身は残してあるよ)。
- メモ
- 音2:キーミー。対:シルミー(卵白)。
アガミーン 喜名,親志,渡慶次,儀間,楚辺,比謝矼
崇める。
- 用例
- アガミシェービリ(崇めてくださいませ)。イクチ ナティン、ウヤー アガミリワル ナイル(幾つになっても、親は崇めばこそなるのだ〈崇めないといけない〉)。否:アガミラン(崇めない)希:アガミーブサン(崇めたい)過:アガミタン(崇めた)継:アガミトーン(崇めている)。
- メモ
- 「アガミシェービリ」は士族が用いていた言葉。対:ウシェーイン(馬鹿にする)。
アカミンタマー 座喜味
地名。読谷村座喜味の喜名田原にある小地名。
アカムサー 座喜味,高志保,渡慶次,儀間,楚辺
{あかむしあ(赤虫あ)}。昆虫。テントウムシ類の総称。
- 用例
- クンドー アカムサーガ ウーサンヤー(今年はテントウムシが多いね)。
アカムヤー 喜名,座喜味,波平,高志保,渡慶次,儀間,宇座,瀬名波,長浜
高志保の地名。あかもりあ。
- メモ
- 沖縄戦後、避難先から高志保の東原(アガリバル)の北側に、主に長浜区民が帰村したところ。そこは赤土の国頭マージにおおわれ小高い丘状になっており、赤い丘(ムイ)という意味でそう呼ばれた。読谷初等学校渡慶次分校もここに位置した。
アカムル 村史
魚名。フエフキの一種。
アカムン 喜名,渡慶次,儀間,古堅,牧原
赤くなる。熟する。
- 用例
- ウヌ キンブヤ ヤガティ アカムンロー(そのミカンがやがて熟するよ)。否:アカマン(熟しない)継:アカローン(熟している)。ルゲーティ ティー シリハジ、アカドーン(転んで手を擦りむいて、赤くなっている)。
アカメー 座喜味,波平,渡慶次,瀬名波,楚辺
料理。赤飯。
アガヤーグヮー 楚辺
{あがりあごら(上がりあごら)}。植物。大根の種類。現浦添市小湾から入ってきた小ぶりの大根。
- メモ
- 音2:クワンアガヤーグヮー。
アカユクシムニー 喜名,渡慶次,儀間
真っ赤な嘘。大嘘つき。アカは接頭語。
- 用例
- アカユクシムニーヤ、イャーガ イーシェー シンヨー ナラン(真っ赤な嘘つきめ、お前が言うのは信用できない)。
アガヨー 座喜味
あ痛。痛い時に発する語。
- メモ
- →アイター。
アカラーグヮー 座喜味,古堅
{あかれおごら(離れおごら)}。乳離れした子豚やウサギなど。
アカラーウヮー 渡慶次,儀間,楚辺,大湾
{あかれあゐら(離れあゐら)}。乳離れした子豚。
- 用例
- アカラーウヮーヤ イクチ ヲゥガ(乳離れした子豚は何頭いるか)。
- メモ
- 音1:アカリーウヮー。
アガラサー 渡慶次,儀間,瀬名波
料理。菓子名。蒸し菓子。
- メモ
- →カシティラポーポー。
アカラフタラ 楚辺,比謝矼
きらびやかな様。
- 用例
- アカラフタラ イスガラチ ソーティ イチュタン(きらびやかに着せて連れて行きよった)。
- メモ
- 音1:アカルフタル。
アガリ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
東。
- 用例
- ワランチャーヤ アガリンカイ イチュタン(子どもたちは東に行きよった)。
- メモ
- 対:ニシ(北)。
アガリイーバル
{東上原}。楚辺の小字。
アカリーウヮー 伊良皆,大湾
乳離れした子豚。
- メモ
- 音1:アカラーウヮー。
アカリーン 喜名,座喜味,高志保,渡慶次,儀間,長浜
①離れる。分かれる。剥がれる。②家畜等の乳離れや幼鳥が巣立つこと。
- 用例
- ②ユークル フルイートーグトゥ、ヤガテー アカリーンテー(ほどよく大きくなっているから、やがては乳離れするよ)。否:アカリラン(離れない)過:アカリタン(離れた)継:アカリトーン(離れている)。
アガリウガン 楚辺
拝所名。東御願。楚辺の七御嶽のひとつ。
- メモ
- ウガンヒラー・アガリウタキともいう。雑木林に覆われた小高い丘の中にある。楚辺の守り神として拝まれ、戦時中は出征兵士の武運長久を祈願し拝んだ。戦前は石でできた祠があった。
アガリウフナー 波平
東大庭。波平集落の東側入り口にあるアガリジョーの古称。
アガリウマーイ 儀間
{あがるへおまはり(東御廻り)}。行事。島尻南部東側の旧知念村、玉城村を巡拝する門中行事。
- メモ
- 音1:アガリマーイ。7年ごとに旧8月から10月頃にかけて行なわれる。
アガリカタ 喜名,渡慶次,儀間
東の方。東方面。
- 用例
- アレー アガリカタカイ ハイタン(彼は東方面へ行きよった)。
アガリカミアサギグヮー 楚辺
拝所名。楚辺集落東側にある拝所。
- メモ
- アガリカミアサギ・カミーアサギグヮー・アガリカミサギグヮー・ヌファカミアサギグヮーともいう。昔は東がヌファ(禰覇)村、西がスビ(楚辺)村であったとの伝承がある。
アガリカミザ 村史
東側に設けた一番座。
- メモ
- 類:イチバンザー・ウフグイ・イージャー。対:イリカミザ(西側に設けた一番座)。東側に一番座を設けるのが一般的だが、地形によって西側に設ける場合もあった。床の間や仏壇が設けられ、日常は客間として使われたが、冠婚葬祭などには年配の男性が座す上座となった。
アガリクシバル
{東後原}。伊良皆の小字。
アカリクチ 渡具知,大木
引き剥がす糸口。
- 用例
- ウヌ アカリクチェー マーガヤー(その剥がし口はどこかね)。チャーサラー シニッチュトゥヌ アカリクチェー スガヤー(どうしたら死者の霊魂を引き離すことができるだろうか)。
アガリグミ 座喜味
東組。行政組織の名称。
- メモ
- 他の組名を表すことばに*イリグミ、*クシグミ、*メーグミがある。
アガリサクバル
{東佐久原}。伊良皆の小字。
アガリサチバル 宇座
{東崎原}。宇座の小字。
- メモ
- ムラアシビの計画が承諾されると、青年達はアガリサチバルで練習に励んだ。
アガリジャチミバル
{東座喜味原}。座喜味の小字。
アガリジョー 喜名,座喜味,波平,渡慶次,儀間
{あがるへぢゃう(上がる辺・東門)}。波平集落の東側入り口にある広場の呼称。

- メモ
- 農閑期における豊年祈願や娯楽の場として使われ、古くは*アガリウフナー(東大庭)と呼ばれたという。そこに植えられた松やガジュマル(2002年沖縄県の銘木に認定)の下で、旧7月16日の棒術や八月十五夜アシビが盛大に催される。現在ではそこをアガリジョーと呼んでいる。
アガリスバー 喜名,高志保,渡慶次,儀間
東側。
- 用例
- ヤシチヌ アガリスバーンカイ ヤシェー イーテータン(屋敷の東側に野菜を植えてあった)。
アガリニンジュ 渡慶次
{ひがしにんしゅう(東人衆)}。東の人たち。
- メモ
- 対:イリニンジュ(西の人たち)。主として綱引きなどで集落全体を二分した際の東側の人たちのこと。渡慶次では*ナカミチ(中道)を境にして、アガリニンジュ(東)が雄綱、*イリニンジュ(西)が雌綱と分けた。アガリンダカリ、*イリンダカリ、*メーンダカリ、*クシンダカリと分ける地域もある。
アガリバル
{東原}。喜名、座喜味、伊良皆、上地、波平、高志保、宇座、瀬名波、長浜、楚辺、渡具知、大湾の小字。
アガリマーイ 渡慶次,儀間,楚辺
{あがるへまはり(東廻り)}。行事。島尻南部東側の旧知念村・玉城村を巡拝する門中行事。
- 用例
- トゥーサグトゥ、アガリマーイヤ メーニノー イチーサンタン(遠いので、東御廻りは毎年は行けなかった)。
- メモ
- →アガリウマーイ。
アガリムティ 渡慶次,儀間,瀬名波,楚辺
東側。東方。
- 用例
- ワランチャーヤ アガリムティヲゥティ アシローン(子どもたちは東側で遊んでいる)。
- メモ
- →アガリスバー。
アガリムティーバル
{東表原}。長浜の小字。
アガリムティチャンプルー 楚辺
料理。婚礼当日、東側の縁側で食した豆腐炒め。
- メモ
- 楚辺では豆腐を油で炒めたアガリムティチャンプルーを、提灯持ちなど参会者にふるまった。
アガリメーバル
{東前原}。楚辺の小字。
アガリンケー 喜名,渡慶次,儀間
東向き。
- 用例
- ハーメーヤ アガリンケー シ、ニントーン(おばあさんは東向きになって、寝ている)。
- メモ
- 対:イリンケー(西向き)。
アガリンダカリ 座喜味
地名(字における区分)。東村渠。東組。
- メモ
- 主として綱引きなどで集落全体を二分する時の組の名。他に、*イリンダカリ、*メーンダカリ、*クシンダカリという呼び名もある。
アカルヒル 古堅
白昼。真昼間。
- 用例
- アカルヒル ヤグトゥ、ハジカサヌ アッカラン(真っ昼間なので、恥ずかしくて歩けない)。
- メモ
- 類:マッピルマ。
アカルフタル 渡具知
きらびやかな様。派手な様。
- 用例
- アカルフタル スガティ(派手に着飾って)。
- メモ
- 音1:アカラフタラ。
アカングヮ 喜名,座喜味,高志保,渡慶次,儀間,瀬名波,楚辺,大湾
赤子。赤ん坊。

- 用例
- アカングヮガ イーヤンベー ニントーン(赤ん坊が気持ちよく寝ている)。アカングヮンカイ ウヮーユー ヌマスン(赤子に重湯を飲ませる)。諺:アカングヮヤ、ミルクグヮチン ユチ フラスン(赤子は、旧6月の暑い時でも雪を降らせる〈外気に触れさせないよう、大切に育てなさい〉)」。
- メモ
- 類:イーヨーグヮー・クガナーグヮー・ボージャー・ボーボー・ボーボーグヮー。
アカングヮーイユ 楚辺,大湾
哺乳類。ジュゴン。
- 用例
- アカングヮーイユヤ ユー ンジーネー ウジラーハンドー(ジュゴンはよく見ると可愛いよ)。
- メモ
- 類:ジャン。
アカンクヮーラ 喜名,座喜味,渡慶次,儀間
色鮮やかで派手な様。赤々として豪華な様。
- 用例
- アカンクヮーラ シ ミーチラサヨー(赤々として眩しいことよ)。
アカンチャー 喜名,座喜味,渡慶次,儀間,楚辺
赤土。
- 用例
- アカンチャーブッター ッシ ヘーク チン ケーレー(赤土だらけで早く着替えなさい)。
- メモ
- 石けん類がない頃はアカンチャーで洗髪した。
アカンナグヮー 村史
貝名。貝の種類。赤貝。
- メモ
- 赤貝か。
アカンバチャー 牧原
赤い顔。赤面。
- 用例
- チラー アカンバチャー ッシ ハイタン(顔を真っ赤にして行きよった)。
- メモ
- →アカヂラー。
アカゥンブク 伊良皆,宇座,比謝矼
{あかおぶく(赤御仏供)}。料理。人生儀礼。神仏に供える赤飯。
- メモ
- 比謝矼では、数え61歳の祝いに小豆ご飯を小さな茶碗に円錐状に盛って、火の神に供えた。
アカゥンマー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
龕〔がん〕。棺を運ぶ朱塗りの輿。

- 用例
- アカゥンマーガ トゥーティ ハイタン(龕が通って行きよった)。
- メモ
- 類:ガン・コー。龕の全体は朱塗りなのでアカゥンマー(赤馬)と呼ばれ、側には僧や花などの仏画が描かれていた。野辺送りの際、遺骸の納まった棺箱を入れて4人で担ぎ、墓まで運んだ。7歳未満で亡くなった子は龕には入れずに抱いて運んだ。読谷では火葬が普及する昭和30年代まで使用していた。
アギ 座喜味,渡慶次,儀間,楚辺,渡具知,古堅,大木,比謝矼
陸。
- 用例
- アギンジ ウクリヨーディーネー カーラバターンジガ ウクイラー ワカランリチ(陸で葬りなさいと言うと、川辺に葬るのか分からないから)。カーミーヌ アギンカイ アガティ チョーン(亀が陸に上がってきている)。
- メモ
- 音2:ジギ。対:ウミ(海)。
アキーン ①喜名,渡慶次,儀間
①開ける。②空ける。空にする。③夜が明ける。
- 用例
- ①アチサグトゥ、ハシル アキティ トゥラシェー(暑いから、戸を開けてくれ)。②ヤー アキーン(家を空ける)・古。イッスビン アキーン(一升瓶を空にする)・木。③イチバンドゥイヌ ナチーネー、ユー アキーンドー(一番鶏が鳴くと、夜が明けるよ)。否:アキラン(あけない)希:アキーブサン(あけたい)過:アキタン(あけた)継:アキトーン(あけている)。
- メモ
- 対:ミチーン・クーイン・シミーン(閉じる)。
アギーン 喜名,渡慶次,儀間,渡具知,大湾
①上げる。物を上に上げる。位を上げる。②楽器や声を上げる。③揚げる。④吐く。もどす。
- 用例
- ①ニムチ ウヮービンカイ アギーン(荷物を上に上げる)。シクチ ハマイネー、イーンカイ アギーサ(仕事を頑張ったら、上に上げるよ〈昇格させるよ〉)。②ナー イヘー クィー アギレーワ(もう少し、声を上げなさい)。③ムヌ アギーブサン(ものを吐きたい)。ティンプラー アギーン(天ぷらを揚げる)。④アンマサヌ ムン ハカハカー ッシ、アギーン(具合が悪くて吐き気がして、もどす)。否:アギラン(あげない)希:アギーブサン(あげたい)過:アギタン(あげた)継:アギトーン(あげている)。
- メモ
- ①対:サギーン(下げる)。
アキガタ 喜名,渡慶次,儀間
明け方。
- 用例
- ワンガ ケーティ チーネー、アキガタ ナトータン(私が帰ってくる時には、明け方になっていた)。
アギサギ 喜名,渡慶次,儀間
上げ下げ。
- 用例
- ニムチ アギサギ シーネー、キー チキリヨー(荷物を上げ下げするときは、気をつけなさいよ)。
アキサミヨー 喜名,座喜味,伊良皆,上地,波平,都屋,渡慶次,儀間,楚辺,渡具知,大湾,古堅,大木,比謝矼,長田
あれまあ。ええっ。きゃあ。とても驚いた時や悲しい時、助けを必要とする時などに発する語。
- 用例
- アキサミヨー、チャー スガ(あれまあ、どうしようか)。アキサミヨー、ナー(ええっ、もう)。
- メモ
- 音1:アッキサミヨー・ハーキサミヨー・ハッキサミヨー。
アギジェ 渡慶次,儀間,楚辺,大湾
ええっ。あれ。ああ、もう。しまった。何かし損ねた時、予想に反した時に発する語。
- 用例
- アギジェ、ヌグヮ アン ナトール(えぇっ、なぜそういうふうになっているのか)。
- メモ
- 音1:アギジェー。類:アキサミヨー・アギジャバ・アギジャビ・アギジャビヨイ・アギジャビヨー・アギジャベ。
アギジェー 大湾
ええっ。あれ。ああ、もう。しまった。何かし損ねた時、予想に反した時に発する語。
- メモ
- 音1:アギジェ。
アギジャバ 大湾
あれ。ええっ。しまった。何かし損ねた時、予想に反した時に発する語。
- メモ
- →アーギジャビ。
アギジャビ 喜名,渡慶次,儀間,長浜,楚辺,古堅
あれ。ええっ。しまった。何かし損ねた時、予想に反した時に発する語。
- 用例
- アギジャビ、デージ ナトーン(ええっ、大変なっている)。
- メモ
- →音1:アーギジャビ。
アギジャビヨイ 喜名,渡慶次,儀間,長浜,楚辺
ああもう。あれ。ええっ。しまった。何かし損ねた時、予想に反した時に発する語。
- 用例
- アギジャビヨイ、アン ソール クトゥン アル(ああもう、あんなこともあるか)。
アギジャビヨー 親志,座喜味,高志保,渡慶次,儀間,長浜,楚辺,大湾,古堅,長田
ああもう。あれまあ。しまった。びっくりした時、何かし損ねた時、予想に反した時などに発する語。また驚いた時や助けを必要とするときに発する叫び。
- 用例
- アギジャビヨー、ビッチンヌ ネーン ナトーン(あれまあ、財布がなくなっている)。アギジャビヨー、ダー カラチ ンデー(アギジャビヨー、どれ貸してごらん)。
- メモ
- 音2:ハギジャビヨー。
アギジャベ 喜名,座喜味,渡慶次,儀間,楚辺
あれ。ええっ。しまった。何かし損ねた時、予想に反した時に発する語。
- 用例
- アギジャベ、アンル ナトーティナー(あれ、そんなことになっていたのか)。
- メモ
- →アーギジャビ。
アギター 座喜味,渡慶次,儀間,瀬名波
私たち。我々。
- 用例
- アギター、ザキミンジェー(我々、座喜味では)。
- メモ
- →音1:アガター・イガター。
アギドーフ 喜名,渡慶次,儀間
揚げ豆腐。厚揚げ豆腐。
- 用例
- アヌ マチヤヌ アギドーフヤ イッペー マーサン(あそこの店の厚揚げ豆腐はとても美味しい)。
アギヌ フリムン 大木
陸の触れ者。女郎にうつつを抜かしている男のこと。
アキネー 楚辺
商い。商売。
- 用例
- アヌ チョー アキネーッシ モーキトーサ(あの人は商売をして儲けているさ)。
- メモ
- 音1:アチネー。
アキバカ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
空き墓。
- 用例
- ルクジューカラー、アキバカンカイ ソーティ イチュタンディ(60歳からは、空き墓に連れて行きよったって)。ルクジューカラー アキバカンジ ヰシータンディ(60歳からは空き墓に座らせよったって<連れて行ったって>)。
アキハタキーン 喜名,渡慶次,儀間
開〔はだ〕ける。衣服の胸元や裾などをはだける。
- 用例
- チン アキハタキティ アッチョーサ(着物を開けて歩いているさ)。否:アキハタキラン(はだけない)希:アキハタキーブサン(はだけたい)過:アキハタキタン(はだけた)継:アキハタキトーン(はだけている)。
アキハティジューグヮチ 楚辺
{あきはてじふぐゎつ(飽き果て十月)}。特に節供のない10月。
- 用例
- ジューグヮチェー アキハティジューグヮチディチ、シチベー ヌーン ネーンタン(10月はアキハティジューグヮチといって、行事は何もなかった)。
- メモ
- 音1:アチハティジューグヮチ。音2:カリジューガチ・サビジューガチ。旧10月は1年の中でも行事がなく、ご馳走もないつまらない月という意味で、飽き飽きする10月といわれた。
アキヒルギーン 喜名,渡慶次,儀間,長浜
開け広げる。
- 用例
- アチサグトゥ ハシル アキヒルギーン(暑いから戸を開け広げる)。否:アキヒルギラン(開け広げない)希:アキヒルギーブサン(開け広げたい)過:アキヒルギタン(開け広げた)継:アキヒルギトーン(開け広げている)。
- メモ
- 音2:アキフィラキーン。対:クーイミチーン(閉め切る)。
アキフィラキーン 大木
開け広げる。
- 用例
- ビントー アキフィラキティ ウチャン(弁当は開け広げておいた)。
- メモ
- →アキヒルギーン。
アギマースン 喜名,座喜味,波平,都屋,渡慶次,儀間,瀬名波,楚辺
急かす。急き立てる。
- 用例
- ナー ウレー トゥジナカイ アギマーサッタグトゥ(もう彼は妻に急かされたから)。ジカヌンカイ ウクリトーグトゥ、アギマーチョーン(時間に遅れているから、急かしている)。否:アギマーサン(急かさない)希:アギマーシブサン(急かしたい)過:アギマーチャン(急かした)継:アギマーチョーン(急かしている)。
- メモ
- 類:アワティラカスン。
アキマドゥシ 楚辺
明くる年。新年。
- 用例
- アキマドゥシン ガンヂューサ アラチ クィミソーリ(明くる年も健康で有らしてください)。
- メモ
- 音2:ミードゥシ。大晦日の晩に1年の加護を感謝し、翌年の健康と繁栄を祈願した。
アキミックヮー 座喜味,渡慶次,儀間,楚辺
あき盲。目はあいているが見えない人。探し物が苦手な人にもいう。
- 用例
- アキミックヮーヤ、ミーヌメーンカイ アシン ミーランル アリー(あき盲め、目の前にあるのも見えないのか)。
- メモ
- 音1:アチミックヮー。
アギムン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
料理。揚げ物。

- 用例
- チューヌ ビントーヤ アギムンヌ ウーサル(今日の弁当は揚げものが多い)。
アギヤー 都屋,楚辺,渡具知
漁法。追い込み網漁。
- メモ
- 糸満の漁師が考案した伝統的な漁法で、漁師が海中に潜って魚を網に追い込んで捕獲した。都屋では1970年代まで行われていた。
アギヤーシンカ 都屋,楚辺,渡具知
追い込み網漁仲間。
- メモ
- 渡具知の漁業組合では、*ガチュンなどの魚群を発見した場合、北谷や名護に寄留している糸満のアギヤーシンカに頼んで獲らせていた。
アキヨ 渡具知
あれ。ええっ。予想に反した時に発する語。
- メモ
- 音1:アギヨ。
アギヨ 大湾
あれ。ええっ。予想に反した時に発する語。
- メモ
- 音1:アキヨ。
アギヨイ 座喜味
あれまあ。予想に反した時に発する語。
アギヨーナー 渡慶次,儀間,大湾
ええっ。ああもう。嘆いたり、驚いた時に発する語。
- 用例
- アギヨーナー ヲゥタティ、アッチーサンデー(ああもう疲れて、歩けないよ)。
- メモ
- 音1:アッギヨナー。能力否定の表現。
アギンチュ 大湾
陸の人。陸育ち。
- 用例
- ワッター アギンチュ ヤクトゥ、ウミヌ クトー ワカラン(私たちは陸育ちだから、海のことは分からない)。
- メモ
- 対:ウミンチュ(漁師)。
アク 喜名,渡慶次,儀間,渡具知,大湾,古堅,大木
①灰。灰汁。②淦〔あか〕。
- 用例
- チナ ウヌママ メーチ、アク ナチ(綱をそのまま燃やして、灰にして)。
- メモ
- 類:カラフェー・カラヘー・フェー・ヘー。用例は沖縄に古くから伝わるモーイ親方の民話に、薩摩から琉球に「灰で縄を綯ってこい」という難題がある。灰汁は藁灰や木灰を水に浸して上澄みをすくったアルカリ性の液で、洗濯や沖縄そばを作るのにも使われる。
アクー 喜名,高志保,渡慶次,儀間,楚辺
悪。悪者。悪い行いをする者。
- 用例
- アレー テーゲーネー アクードー(彼は相当に悪者だよ)。シトゥウヤンカイ アク サリーン(姑に意地悪される)。
- メモ
- 類:ヤナッチュ。対:ヰーチュ(善人)。
アグー 喜名,渡慶次,儀間,大木
哺乳類。沖縄在来の黒豚。

- 用例
- アグーヤ アグニカラ チョーンディンドー(アグーは粟国産だというよ)。
- メモ
- 沖縄在来の豚には*シマウヮー(島豚)と、アグーと呼ばれた黒豚と、白い色の入った*アヨーがあった。
アクゲーシ 喜名,伊良皆,渡慶次,儀間
悪返し。災厄防除。
- 用例
- ムーチーヌ ニージル ヤシチンカイ マチャーニ、アクゲーシ スン(鬼餅の煮汁を屋敷に撒いて、災厄除けをする)。
- メモ
- 音2:アクフーゲーシ・フーチゲーシ・ヤナカジゲーシ・ヤナムンゲーシ。旧12月に作る鬼餅の蒸し汁を、屋敷の周囲に悪返しとして撒いた。災厄防除のことで鬼餅や*カンカーなどの行事も悪風返しのひとつである。
アクシン 高志保
悪い心。
- メモ
- 類:ヤナヂム。対:マジム(真心)。
アクスーユクスー 渡具知,比謝
{あくしゃうよくしゃう(悪性欲性)}。悪くて欲深い性根。
- 用例
- チャッサ イェーキンチュ ヤティン、アクスーユクスー ムッチェー ナランドー(どんなに金持ちでも、欲深く悪い心をもってはならないよ)。
アクタ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
芥〔あくた〕。塵〔ちり〕。
- 用例
- アクタビケーン トゥイアチミティ、チャー スヌ チムエーガ(塵ばかり拾い集めて、どうするつもりか)。
アクタチクタ 楚辺
塵芥〔ちりあくた〕。
- 用例
- マーカラン、アクタチクタ ムッチ ッチ メーチャン(どこからも、塵芥を持ってきて燃やした)。
- メモ
- 音2:チリアクタ。
アクタヤーグヮー 楚辺
ぼろ家。みすぼらしい家。
- 用例
- ハー クマーナー クングトール ヤーグヮール アクタヤーグヮール ヤイビークトゥ(ああここはもうこんな小さな家、みすぼらしい家ですから)。
アクタン チクタン 渡慶次,儀間,楚辺
塵も芥も。何でも彼でも。
- 用例
- アクタン チクタン、ムル アチミレー(何でも彼でも、すべて集めなさい)。
アクヂナ 喜名,高志保,渡慶次,儀間
灰綱〔はいつな〕。灰縄〔あくぢな〕。藁を綯〔な〕ったまま焼いて縄の形を残した灰。
- 用例
- クージカラ アクヂナグユーヌ チャンディ(公儀から灰縄御用がきたって)。
- メモ
- 音2:ヘーチナ。
アクトゥイ 大湾
淦〔あか〕取り。船底にたまった水を汲み出す道具。

- メモ
- 音2:ユートゥイ。
アクビ 座喜味,古堅,大木
欠伸〔あくび〕。
- 用例
- アクビグヮー サギールムンヌ、ナー ニンジュンテー(あくびをしているようだから、もう寝るだろう)。イーチン アクビンシミラン(息も欠伸もさせない〈息つく間も与えない〉)。
アクビー 喜名
悪日。厄日。
アクフー 高志保
悪風。悪い風。霊気。
- メモ
- →ヤナカジ。
アクフーゲーシ 伊良皆,古堅
悪風返し。災厄防除。
- 用例
- アクフーゲーシンチ、ムラヲゥティ ウシ クルスタン(悪風返しということで、字で牛を潰しよった)。
- メモ
- →アクゲーシ。
アクブチ 瀬名波
腕などの皮膚が乾燥して皮がむけること。
アクミ 座喜味
ふけ。
- メモ
- 類:イリチ・ガファラ。
アクミ 座喜味
胎児を包んでいる羊膜。
- メモ
- 類:カイ・カヤ。アクミが早く取れるようにと、産湯の中に盃一杯の酒を入れた。浴びせた後はガサガサした肌触りの芭蕉布にくるんだ。
アゲー 喜名,渡慶次,儀間,長浜
ええっ。あれ。驚きを表す語。
- 用例
- アゲー、アネー サンケー(あれっ、そういうことはするな)。
アケーイン 渡慶次,儀間,楚辺,大木
夜が明ける。
- 用例
- ユーヌ アケーイシトゥ マンジュン ヤーカラ ゥンジーン(夜が明けると同時に家から出る)。ユー アケーイシガ ヘーク ナトーン(夜が明けるのが早くなった)。継:アケートーン(夜が明けている)。
- メモ
- 類:アキーン。対:ユックィン(日が暮れる)。
アコー 楚辺
毛色が赤い闘牛の名前。
- 用例
- オーヤーウシヌ アカギー ソーシカイ、アコーディ イータン(闘牛で赤い毛をしているのに、アコーといいよった)。
- メモ
- 闘牛の名前を付けるには牛の得意技、角の形や色、体の色や特徴が元になった。
アコー 楚辺
ああ。うなずきを表す語。
- 用例
- アコー、アンル ヤンナー(ああ、そうなのか)。
- メモ
- 音1:アゴー。
アゴー 楚辺
ああ。うなずきを表す語。
- 用例
- アゴー、アンル ヤティナー(ああ、そうだったのか)。
- メモ
- 音1:アコー。
アコークロー 渡慶次,儀間,楚辺,大木
黄昏時。夕暮れ時。
- 用例
- アリトゥ イチャタシェー アコークロージブン ヤタサ(彼と会ったのは夕暮れ時だったよ)。
- メモ
- 類:ユックイガタ・ユマングィ。物が判別しにくい夕方の薄暗い時間帯。
アサ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
朝。
- 用例
- アサ ヘーク ウキティ、ハルカイ ゥンム フイガ イチュン(朝早く起きて、畑へ芋堀りに行く)。
- メモ
- 対:ユール・ユル(夜)。
アザアガリバル
{字東原}。楚辺の小字。
アザイリバル
{字西原}。楚辺の小字。
アサイン 喜名,渡慶次,儀間,古堅
漁〔あさ〕る。探し回る。
- 用例
- マーンカイガ アラー ワカラングトゥ、アマクマ アサイン(どこにあるのか分からないから、あちこち探し回る)。否:アサラン(探し回らない)希:アサイブサン(探し回りたい)過:アサタン(探し回った)継:アサトーン(探し回っている)。
- メモ
- 音1:アサグイン。類:キジーン。
アサウキ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
{あさおけ(朝起け)}。早起き。
- 用例
- アヒーヤ マーンカイガ ヤラー、アサウキ シ ゥンジティ ハイタン(兄さんはどこにやら、早起きして出て行きよった)。
- メモ
- 対:アサナー・アサニ(朝寝)。
アサウグヮン 喜名,波平,高志保,渡慶次,儀間,宇座,瀬名波,長浜,比謝矼
{あさおぐゎん(朝御願)}。朝一番に神仏を拝むこと。
- 用例
- アチャ、アサウグヮン ウサギーン(明日、朝御願を供える〈朝一番に拝みをする〉)。
- メモ
- 元旦は、火の神と仏壇、床の間を拝するが、伊良皆では門と屋敷の四隅も拝したという。また、*トゥシビースージ等のときにもアサウグヮンと称して、火の神や仏壇を拝する。
アサカーギ 喜名,渡慶次,儀間
朝陰〔あさかげ〕。早朝の陽ざしが弱い時間帯。
- 用例
- アサカーギヌ エーマ ハルカイ イチュン(朝の陽ざしが弱いうちに畑へ行く)。
- メモ
- 対:ユーカーギ(夕陰)。
アサギ ①喜名,座喜味,伊良皆,高志保,渡慶次,儀間,長浜,楚辺,大湾,古堅,牧原,長田②座喜味,渡慶次
①家の前庭にある離れ。②ノロや神人が祭祀を執り行う場所。
- 用例
- ①ドゥシンチャー アチマティ、アサギヲゥティ ボーシ クローン(友達が集まって、離れで帽子を組んでいる〈作っている〉)。アガリアサギ、イリアサギ(東の離れ、西の離れ)。
- メモ
- ①帽子組みの場所としても使われ、友達が集まって夜なべをしたり、雑談を楽しんだりした。②音1:アシャギ。音2:カマサギ・カミアサギ・カミサギ。類:アタトーヤー・トゥヌ・トゥン。本来は祭祀を行う場所や小さな建物のことを指すが、*カミアサギそのものが拝する対象として拝所になっている事例も多い。座喜味では七柱それぞれの前に七つの門中の代表が座り、協議する場だったと伝えられている。
アサグイン 楚辺
漁る。探し回る。
- 用例
- ハジナーリー アサグイン(端に沿ってから探す)。
- メモ
- →アサイン。
アササー 座喜味,伊良皆,渡慶次,儀間,楚辺,渡具知,大湾,古堅,長田
昆虫。蝉。クマゼミ。

- 用例
- ヤマカイ アササー トゥイガ イチュン(山へクマゼミを取りに行く)。
- メモ
- 類:サンサナー・シラギサンサナー。
アサジー 楚辺
浅地。薄い藍色の着物や布。
アザシーミー 楚辺
{あざせいめい(字清明)}。行事。字が主体となって行う清明祭。
- 用例
- アザシーミーヤ アザヌ ヤクミンチャーガ ヲゥガムタン(字清明は字の役員たちが拝みよった)。
- メモ
- 音2:ムラシーミー。楚辺では旧3月の清明の入日に、字の役員が瓶子〔びんし〕と重箱を持って、按司墓、大城の墓、ノロ墓を拝む。
アサタビ 喜名,親志,都屋,比謝,牧原
首里勤め。政務を司る役。
- メモ
- 音1:アシタビ。
アサヂクン 高志保
{あさきこん(朝気根)}。朝飲むお茶は気力が出るという意味。
アサヂチアカガイ 村史
{あさつきあかがり(朝月明かがり)}。朝焼け。
アサチユ 大湾
朝露。朝方おりた露。
アサティ 喜名,親志,渡慶次,儀間,楚辺,牧原
明後日〔あさって〕。
- 用例
- アサティ、ガッコーヲゥティ イチャラナ(明後日、学校で会おうよ)。
アサティヌナーチャ 喜名,親志,渡慶次,儀間,楚辺
明後日の翌日。明々後日〔みょうみょうごにち〕。しあさって。
- 用例
- ナーファンカイ コーイムン シーガ イチュシェー、アサティヌナーチャドー(那覇に買い物をしに行くのは、明々後日だよ)。
アサナー 高志保
朝寝。朝寝坊。
- 用例
- 諺:ヲィナグヌ アサナー ナイネー、ナナヒヌカンウガマー ナイン(女が朝寝坊だと、7つのヒヌカンを拝む人になる)。
- メモ
- 音2:アサニ。対:アサウキ(朝起き)。女が朝寝坊だと三行半〔みくだりはん〕を下されて婚家を7回変わるといわれている。
アサナーリー 喜名,渡慶次,儀間
朝っぱらから。
- 用例
- アサナーリー チュヌ ヤーンカイ イチュンナー(朝っぱらから人の家に行くのか)。
- メモ
- 音2:アサンナーラ・アサナゲーイ。対:ユルナーリー(夜から)。朝早くからするのはあまりよくない事柄が後に述べられる。
アサナゲーイ 喜名,渡慶次,儀間
朝っぱらから。朝なのに。
- 用例
- アサナゲーイヤ チュヌ ヤーンカイヤ イカンケー(朝っぱらから人の家には行かないでおけよ〈行くな〉)。
- メモ
- →アサナーリー。
アサニ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
朝寝。朝寝坊。
- 用例
- アサニ シーネー ドゥーヌ スンル ヤンドー(寝坊したら自分の損だよ)。
- メモ
- →アサナー。
アサヌマール 喜名,渡慶次,儀間,大木
朝の間。午前中のちょっとした時間帯。
- 用例
- アサヌマールヲゥティ ゥンジ チューシェー マシ ヤサ(朝の間に行ってきたほうがいいよ)。
- メモ
- 音1:アサヌマル。
アサヌマル 大木
朝の間。午前中のちょっとした時間帯。
- 用例
- アサヌマルネー ウチナスサ(午前中には終えてしまうよ)。
- メモ
- 音1:アサヌマール。
アサハン 楚辺
浅はかである。軽率である。
- 用例
- アヌ ヰナゴー イッペー アサハンヤー(あの女はとても浅はかだね)。
アサバン 喜名,親志,渡慶次,儀間,瀬名波,長浜,楚辺,大湾
昼飯。昼食。
- 用例
- アサバン シコーティカラ イチュサ(昼ご飯を準備してから行くね)。アサバン ウサガミソーレー(昼ご飯食べて下さい)。
- メモ
- 類:メーシー。
アサバンスガイ 喜名,渡慶次,儀間
昼食の支度。
- 用例
- ヘークナー、アサバンスガイ サントー ナラン(早く、昼飯の支度をしないといけない)。
アサバンヲゥイ 喜名,波平,渡慶次,儀間,楚辺
昼食時。
- 用例
- ナー アサバンヲゥイ ナトーンドー(もうお昼時なっているよ)。アサバンヲゥイ ナタグトゥ、ケーティ チョーン(昼飯時になったから、帰ってきている)。
アザブー 伊良皆
{あざぶ(字賦)}。賦役〔ぶえき〕。夫役〔ぶやく〕。字の共同作業として労働提供すること。労働で納める課役。
- 用例
- アザブーヤ ゥンジランアレー ナランドー(字の作業には出なければならないよ)。
- メモ
- 伊良皆では、旧10月の*ヒーゲーシ(火返し)行事の祈願人夫として、年配男性2人をアザブー(字賦役)として頼んだ。
アサマカネー 楚辺
{あさまかなひ(朝賄い)}。おめざ。目覚めに軽く取る朝食。
- 用例
- アサマカネーヤ、ユークル ゥンムトゥ アンダンスー ヤタン(朝賄いは、ほとんど芋と油味噌だった)。
- メモ
- →アカチキミークファヤー。
アサマサン 喜名,渡慶次,儀間
浅ましい。卑劣。
- 用例
- イャームン シーヨーヤ アサマサン(お前のやりかたは卑劣だ)。
- メモ
- 音1:アサマハン。
アサマシムン 座喜味,渡慶次,儀間,楚辺
浅まし者。浅ましい奴。卑劣な奴。
- 用例
- アンシ アサマシムン ヤル(なんて卑劣な奴なんだ)。
アサマハン 楚辺
浅ましい。卑劣な。
- 用例
- アヌ チョー ヤバン ナティ アサマハン(あの人は野蛮で卑劣だ)。
- メモ
- 音1:アサマサン。
アザマンサン 楚辺
{あざまんさん(字満産)}。字全体の製糖が終了する祝い。
- 用例
- アザマンサヌン ウワティ ユルットゥ ナティヤー(アザマンサンも終わってほっとしたね)。
- メモ
- 旧4月下旬には各組の製糖が終わるので、日を決めて字で無事に製糖が終わったことを祝った。マンサンの漢字には、儀礼の終了を意味する仏教用語の「満散」、宿願の日限に達すること、また、その日に参詣する意味の「満参」を当てる場合もあるが、多くの書籍では、産の忌み明けの儀礼、子供が生まれて七日目の夜に催される祝宴を意味する「満産」が当てられている。
アサミーグチ 喜名,波平,渡慶次,儀間,楚辺,大木
{あさみいぐち(朝新口)}。朝の口開け。
- 用例
- アチネーシンカヤ アサミーグチ デーイチ ヤサ(商売人は朝の口開け第一だよ〈商売人は朝の口開けが一番大事だよ〉)。
- メモ
- 商売人にとって、朝の口開けは縁起の良いものとして喜び、おまけを付けたりした。地域によっては、朝一番のお客は男性だと縁起が良いが、女性だと縁起が悪いとされている。
アサミジ 楚辺
{あさみづ(朝水)}。葬式の翌朝、親戚や近所の人たちと茶と水と酒、香と花木を持って墓へ参ること。
- 用例
- チュガ マーシーネー サンニチビカーン、ハカンカイ アサミジ マチンガ イクン(人が亡くなったら3日間ほど、墓に水を供えに行く)。
- メモ
- 楚辺では葬式の翌日から3日間墓に水などを供えて拝んだ。音2:ミジマチ・ミジマチー。→類:ナーチャミー。
アサメークサメー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
ちょこちょこ動き回って落ち着きがない様。
- 用例
- クヌ ワラベー アサメークサメー ッシ、アンシ ウティチチン ネーンル(この子どもはちょこちょこ動き回って、なんて落着きがないんだ)。
アサユサ 喜名,都屋,渡慶次,儀間,長浜,楚辺
{あさゆふさ(朝夕さ)}。朝な夕な。朝から晩まで。一日中。
- 用例
- アサユサ ヒジュルク ナティヤー(朝夕冷たくなったね)。
アザワレー 喜名,渡慶次,儀間,宇座,楚辺
あざ笑い。嘲笑。
- 用例
- チュ アザワレー シェー ナランサ(人をあざ笑いしてはならないよ)。
アサヲゥー 座喜味,伊良皆
麻糸。麻苧〔あさお〕。
アサンナーラ 大木
朝っぱらから。
- 用例
- アサンナーラ ミンチャサン(朝っぱらからうるさい)。
- メモ
- →アサナーリー。
アサンユサン 喜名,渡慶次,儀間,長浜,渡具知,比謝,古堅
朝も夜も。一日中。
- 用例
- ワンネー サビサヌ、アサンユサン ナチ クラチョーサ(私は寂しくて、朝も夜も泣いて暮らしているさ)。
アシ 喜名,親志,座喜味,伊良皆,上地,波平,都屋,高志保,渡慶次,儀間,宇座,瀬名波,長浜,楚辺,渡具知,比謝,大湾,古堅,大木,比謝矼,牧原,長田
汗。
- 用例
- アンスカ アシ ダラダラ シ ヌー ソータガ(そんなに汗だくになって何をしていたのか)。ウレー アシ ハトーグトゥ、ナー カマランドー(それは汗をかいているから、もう食べられないよ)。時間が経ち、悪くなりかけた餅や芋などの表面に水分がにじみ出ているものなどにもいう。
アジ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
味。味見。
- 用例
- マジェー アジ ッシ ンディ(まずは味見してごらん)。
アジ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺,古堅
鰓〔えら〕。
- 用例
- クヌ イユヌ アジヌ マギサヨー(この魚のエラの大きいことよ)。
アジ 喜名,渡慶次,儀間,古堅,大木
口蓋〔こうがい〕。
- 用例
- アジンカイ タンナファクルーヌ タックヮトーン(口蓋にタンナファクルー(の菓子)がくっついている)。
アシー 渡慶次,儀間,大湾
間食。午後3時のおやつ。
- 用例
- チューヌ アシーヤ、ヌー シコーテーガヤー(今日の3時のおやつは、何を準備してあるのか)。
- メモ
- →音1:アーシー。
アシーダーグ 大木
盆の中日14日の午後に仏壇へ供える団子。
- メモ
- →アーシームーチー。
アジーン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
十字にする。交差する。十字に結ぶ。
- 用例
- マンナカヲゥティ チューク アジーン(真ん中で強く十字に結ぶ)。否:アジラン(十字にしない)希:アジーブサン(十字にしたい)過:アジタン(十字にした)継:アジトーン(十字にしている)。
アシウトゥ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
足音。
- 用例
- クヮヌ ニントーグトゥ、アシウトゥ タティンナヨー(子どもが寝ているから、足音を立てるなよ)。
- メモ
- 音1:アシトゥ。
アシガ 楚辺
足駄〔あしだ〕。下駄〔げた〕。
- 用例
- ワン アシガー アシガ(私の下駄はあるが)。
- メモ
- 音1:アシジャ。
アジガー 大湾
地名読谷村大湾の小地名。拝所のひとつ)。
アジカイグヮンス 渡慶次,儀間,牧原
{あずかりがんそ(預かり元祖)}。預かっている位牌。本来祀るべきではない位牌を預かっていること。
- 用例
- ブチダヌンカイ アジカイグヮンスヌ マチラットーン(仏壇に預かり元祖が祀られている〈他系の位牌を預かって祀っている〉)。
アジカイディマ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
{あづかりでま(預かり手間)}。預かり賃。
- 用例
- アジカイディマヤ ハラティー(預かり賃は払ったか)。
- メモ
- 対:アジキディマ(預け賃)。
アジカイン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
預かる。
- 用例
- ウヌ ジノー ワンガ アジカイン(そのお金は私が預かる)。否:アジカラン(預からない)希:アジカイブサン(預かりたい)過:アジカタン(預かった)継:アジカトーン(預かっている)。
アジカイングヮ 喜名,渡慶次,儀間
預かって育てている子ども。
- 用例
- アジカイングヮガ ミッチャイ ヲゥタン(預かって育てている子どもが3人いた)。
アシカチャー 長浜,古堅
汗かき。
- メモ
- 音2:アシハヤー。
アシガチャー 喜名,渡慶次,儀間
せっかちな人。
- 用例
- イャーヤ ルク アシガチャー ナティ(お前はあまりにもせっかちで)。
アシガチュン 喜名,渡慶次,儀間
焦る。やきもきする。
- 用例
- ナー ナイネー アシガチュンドー(いざとなったら焦るよ)。否:アシガカン(焦らない)過:アシガチャン(焦った)継:アシガチョーン(やきもきしている)。
アジキーン 喜名,渡慶次,儀間
預ける。託す。
- 用例
- ユービンチクンカイ ジン アジキーン(郵便局にお金を預ける)。否:アジキラン(預けない)希:アジキーブサン(預けたい)過:アジキタン(預けた)継:アジキトーン(預けている)。
アジキディマ 長浜
{あづけでま(預け手間)}。預け賃。
- 用例
- チナ アジカイル ヤーネー、アジキディマ クィタン(綱引きの綱を預かってくれる家には、謝礼をあげた)。
- メモ
- 対:アジカイディマ(預かり賃)。
アジクーター 喜名,座喜味,伊良皆,渡慶次,儀間,楚辺
①こくがあり、味わい深いもの。②人生経験豊富な人の味わい深い話や芸にもいう。

- 用例
- ①アンシ アジクーター ッシ マーサルヤー(とても味にコクがあって美味しいね)。②タンメー ハナシーヤ アジクーター ヤンヤー(おじいさんの話は味わい深いね)。
アシクシ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
足腰。
- 用例
- トゥシェー カサニティン、アシクシ ガンジューサ アリワル ナインデー(年は重ねても、足腰が頑丈であればこそなるのだよ〈頑丈でないといけないよ〉)。
アシクミ 楚辺
足慣らし。
- 用例
- ウマハラセー メーニ、アシクミ スタン(競馬の前に、足慣らしをしよった)。
- メモ
- 競馬を始める前の足慣らしで場内を1、2周した。
アシグン 高志保
足踏み。
- 用例
- キーヌファー アシグン ッシ ケーイン(木の葉を踏んで帰る)。
アジケー 喜名,親志,高志保,古堅,大木
貝名。シャコ貝。
- メモ
- アジケーやスイジガイは邪気を払うといわれ、門柱に設置して魔除けにした。
アシジャ 喜名,親志,座喜味,渡慶次,儀間,大湾,古堅,大木,比謝矼,牧原
足駄〔あしだ〕。下駄〔げた〕。
- 用例
- アシジャ クリ マーンカイ メンシェーガ(下駄を履いてどこに行かれるの)。なぞなぞ:ハー ターチ ミミ ターチ、ヌー ヤガ(歯二つ耳二つ、何だ。〈答えはアシジャ〉)。
- メモ
- 音1:アシガ。
アシダクダク 古堅
汗だくな様。
- メモ
- 音1:アシダクダクー。
アシダクダクー 座喜味
汗だくな様。
- メモ
- 音1:アシダクダク。
アシタビ 宇座,瀬名波,大木
首里勤め。政務を司る役。
- 用例
- ヤマトゥンカイ アシタビ シミシェール ッチュ(大和との政務をなさる役職の人)。
- メモ
- 音1:アサタビ。
アジチャー 長浜,楚辺,渡具知
植物。小豆。

- メモ
- →アカマーミー。
アジヂューサン 喜名,渡慶次,儀間
味が濃い。

- 用例
- アジヂューサグトゥ、ナー イフェー ミジグヮー ゥンベーレー(味が濃いから、もう少し水を足しなさい)。
アシティビチ 喜名,伊良皆,渡慶次,儀間,長浜,楚辺,大湾
料理。豚足料理。
- 用例
- ナービヌ ミー アシティビチ ニチェーサ(鍋のいっぱいに豚足料理を炊いてあるよ)。
- メモ
- 音1:アシテビチ。音2:ティビチ。一般的には大根や昆布と一緒に煮て味噌汁仕立てにして食べるが、煮つけにすることもある。
アシテビチ 座喜味
料理。豚足料理。
- 用例
- チージンジ アシテビチ カラン(辻で豚足料理を食べた)。
- メモ
- 音1:アシティビチ。音2:ティビチ。
アシトゥ 瀬名波
足音。
- 用例
- アシトゥ クラグトゥ、ヤナマヤーヤ ヒンギティ ハイタン(足音を立てたら、どら猫は逃げて行きよった)。
- メモ
- 音1:アシウトゥ。
アシバー 喜名,座喜味,渡慶次,儀間,楚辺,大湾
遊び人。
- 用例
- シクチン サン、アシバー ナテー ナラン(仕事もせずに、遊び人になってはいけない)。
アシハイミジハイ 喜名,渡慶次,儀間,長浜,楚辺,古堅
汗水流している様。
- 用例
- ジノー アシハイミジハイ ソーティル モーキールヨー(お金は汗水流して稼ぐものだよ)。
アシハヤー 喜名,座喜味,渡慶次,儀間,楚辺
汗かき。
- 用例
- ワンネー アシハヤー ヤグトゥ、スバンカイ クーンナケー(私は汗かきだから、側に来るな)。
- メモ
- 類:アシカチャー。
アシビ 喜名,親志,伊良皆,波平,高志保,渡慶次,儀間,宇座,瀬名波,長浜,楚辺,渡具知,比謝,古堅
{あすび(遊び)}。芸能。村芝居にもいう。
- 用例
- ルク アシビジチ ナティ、シクチン サン ナトーサ(あまりにも芝居好きで、仕事もしなくなっているさ)。ジューグヤアシビヌ シバイヤ ヌー スガ(十五夜遊びの村芝居は何〈の演目〉にするか)。
- メモ
- 音2:ムラアシビ。元は神事や歌舞をいったが、次第に奉納される歌三線、踊りや芝居などを差すようになり、のちに*ムラアシビや若い男女が遊ぶ*モーアシビにもいうようになった。
アシビイリミ 長浜,楚辺,渡具知
ムラアシビ(村芝居)などの経費。
- 用例
- アシビイリミヤ、ヌチ ウワトーミ(村芝居に使う経費は、徴収し終わっているか)。
- メモ
- 音1:アシビイルミ。ムラアシビを行うときの経費として、15歳から50歳の人から徴収した。その金は他所の部落を招待したときの経費や小道具等の購入費に充てられた。
アシビイルミ 喜名,波平,渡慶次,長浜,大湾
ムラアシビ(村芝居)に要する経費。
- メモ
- →音1:アシビイリミ。
アシビガシラ 喜名,儀間,長浜,楚辺
{あすびかしら(遊び頭)}。村芝居や祭りの責任者。
- 用例
- アシビガシラ アタトーティカラ、ハマラントー ナランサ(祭りの責任者に当たっているなら、頑張らないといけないよ)・楚。
- メモ
- アシビガシラは配役や踊りの指導はもちろん、*ムラアシビに関することの面倒をみた。
アシビカチャ 儀間
芸能。遊び蚊帳。ムラアシビの舞台の後ろに位置し、麻製の布に松竹梅、鶴亀の絵が描かれたもの。
- メモ
- 類:アシビマク。
アシビガミ 楚辺
ムラアシビの神様。
- メモ
- →サンジャーグヮー。
アシビクェークェー 大木
働いて得た金を遊興〔ゆうきょう〕に散財する者。
- メモ
- 類:クェークェー。
アシビグヮーセー 村史
子どもの遊び。村芝居ごっこ。ムラシバイを子どもが真似て遊ぶこと。
アシヒサ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
足。足の卑語。
- 用例
- ワン ミーヌ クルサヌ ウチェー、イカナシン ヤーンカイ アシヒサ イリラサン(私の目が黒いうちは、どんなことがあっても家に足を入れさせない)。
アシビトゥイケー 喜名,座喜味,伊良皆,高志保,渡慶次,儀間,宇座,瀬名波,長浜,楚辺,渡具知,比謝,大湾,古堅
芸能。村遊びや村芝居の交換。他所の字を招いて、お互いで得意としている芝居や踊り等の芸能を披露すること。
- 用例
- スビヤ アシビトゥイケー シーガ ナガハママディン イクタン(楚辺は村遊びの交流をしに長浜までも行きよった)。
- メモ
- 招待された側が芸を披露し、招いた側が経費を負担した。招待した字は、各家族から徴収した米や油、豆腐などを、一か所に集めて炊いてご馳走した。招待された側は次回には相手方の村芝居を招待したが、毎年行うわけではなかった。
アシビドゥシ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
遊び友達。
- 用例
- アヌ タイヤ イッペーヌ アシビドゥシ ヤサ(あのふたりはとてもよい遊び友達だよ)。
アシビナー 喜名,伊良皆,渡慶次,儀間,宇座,瀬名波,長浜,楚辺,渡具知,比謝,大湾,古堅,大木
{あすびみや(遊び庭)}。村芝居などを行う広場。
- 用例
- チューン アシビナーンカイ アチマラヤー(今日も広場に集まろうね)。
アシビブラ 伊良皆,楚辺
祭り用の法螺(ほら)。
- メモ
- 伊良皆では音が大きく鳴る*ミーブラ(雌の法螺)を用いた。
アシビブリ 喜名,渡慶次,儀間
遊ぶのに夢中になること。
- 用例
- アシビブリ ッシ ジカヌン ワカラン、ウクリティ ネーンサ(遊びに夢中になって時間が経つのも分からず、遅れてしまったさ)。
アシビマク 大湾
遊び幕。ムラアシビの舞台の後ろに位置し、見物客からは地謡が見えないように、地謡からは出演者が見えるように、鶴亀の絵が描かれた苧麻製の幕。
- メモ
- →アシビカチャ。
アシビモー 村史
若者が遊んだ野原。
アジヒャー 伊良皆
あまのじゃく。反対ばかりする者。
- メモ
- 音2:アジヤー。
アシビングェー 喜名,渡慶次,儀間
遊び食い。遊び食べ。
- 用例
- ワター ミッチル ヲゥラー、アシビングェー ッシ、イチマディン カローサ(お腹がいっぱいなのか、遊び食いして、いつまでも食べているさ)。
アシビングヮ 喜名,親志,座喜味,渡慶次,儀間,長浜,楚辺,大湾,古堅
婚外子。私生児。
- 用例
- ンカシェー アシビングヮヌ マンドータンヤー(昔は婚外子が多かったね)。
- メモ
- 音2:カキヌミーングヮ・カチヌミーングヮ・カチミングヮ・ヘージュリングヮ・モーアシビーングヮー・モーキングヮ・ヤグサミングヮ・ヤマングヮ。類:カチンミー・ガンマリヌクファイ・ヤマダニー。
アシブ 喜名,座喜味,渡慶次,儀間,長浜,大湾
汗疹〔あせも〕。
- 用例
- アチサヌ フシガラン、ワランチャーン アシブ フチタックヮチョーン(暑くてたまらない、子どもたちも汗疹がふきだしている)。サンサナーヌ アビーネー アシブヌ ワサワサー シ(クマゼミが鳴くと汗疹が一層痒くなる)。
- メモ
- 子どもに汗疹が出ると、ヨモギやニガウリの葉を湯に入れ浴びせた。汗疹が吹き出すと*バサーヂン(芭蕉布の着物)は背中を擦るのに都合がよく夏には芭蕉布は欠かせなかった。患部に酒を擦りつける。
アシブミイシ 楚辺
足踏み石。ノロが馬に乗る時の踏み石。
- 用例
- アシブミイシヤ ナマン ヌクティル ヲゥサニ(足踏石は今も残っているでしょう)。
- メモ
- 音2:ゥンマヌイイシ。楚辺では、飾りつけをした神馬がノロ殿内から祭りを行う広場まで来て、足踏石に横付けし、ノロがその石を踏み台にして馬に乗った。
アシブン 喜名,親志,座喜味,伊良皆,上地,波平,都屋,高志保,渡慶次,儀間,宇座,瀬名波,長浜,楚辺,渡具知,比謝,大湾,古堅,大木,比謝矼,牧原
遊ぶ。
- 用例
- アマンジ アシディ クーワ(あっちで遊んできなさい)。チューヤ アシバン(今日は遊ばない)。ヒッチー アシローンドー(一日中遊んでいるよ)。ウヤヌ ティガネーン ウワトーグトゥ、ナマカラ ドゥシンチャートゥ アシブン(親の手伝いも終わったから、今から友達と遊ぶ)。否:アシバン(遊ばない)希:アシビーブサン(遊びたい)過:アシダン(遊んだ)継:アシローン(遊んでいる)。
アシベー 喜名,渡慶次,儀間
遊び。遊ぶこと。
- 用例
- ワランチャーガ、ナーヲゥティ マーイ アシベー ソーン(子どもたちが、庭で毬遊びをしている)。
アジマー ①喜名,伊良皆,都屋,渡慶次,儀間,瀬名波,比謝,大湾,古堅,大木,牧原②喜名,渡慶次,儀間,大湾,古堅
①十字路。四つ角。辻。②桶の上に石臼をのせるための十字に組んだ台木。
- 用例
- ①アマヌ アジマー、ニジリンカイ マガレー(あそこの十字路を、右に曲がりなさい)。
- メモ
- ②豆腐や餅などを作るのに用いた。
アジマームスビ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
十字結び。
- 用例
- リッパ アジマームスビ シーヨー(ちゃんと十字に結んでね)。
アジマサリ 楚辺
植物。甘藷の品種名。
- メモ
- 沖縄県の奨励品種のひとつ。
アジマックヮ 古堅
1枚の板を切り抜いた折り畳み式の枕。
アシミジ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
汗水。
- 用例
- ニンジノー アシミジ タラチ、シクチン シワル モーキラリルヨー(人間は汗水垂らして働いてこそ、儲けることができるんだよ)。
アジャ 喜名,伊良皆,渡慶次,儀間,楚辺,古堅
ほくろ。
- 用例
- ハナヌ ウヮービヌ アジャグヮーヌ ウジラーサヨー(鼻の上のほくろの可愛いことよ)。
アジヤー 渡慶次,儀間
あまのじゃく。反対ばかりする者。
- 用例
- ウヌ ワラベー ウヤヌ イーシン チカン、アジヤー ヤテーンテー(その子どもは親の言うことも聞かない、あまのじゃくだったんでしょうね)。
- メモ
- 音2:アジヒャー。
アシャギ 伊良皆
ノロや神人が祭祀を執り行う場所。
- メモ
- →音1:アサギ。
アジャナ 伊良皆,高志保,渡慶次,儀間,楚辺
あだな。
- 用例
- アリガ アジャナヤ ヌーンリ イータガ(彼のあだ名は何と言いよったか)。
アジャマークジャマー 渡慶次,儀間,楚辺
めちゃくちゃ。しっちゃかめっちゃか。
- 用例
- チュラーサ アジャマークジャマー ッシ トゥラチェーサヤー(見事にめちゃくちゃにしてくれたな)。
- メモ
- →アーサムーサ。
アジラーサン 喜名,渡慶次,儀間
味があっておいしい。

- 用例
- ウヌ シルヌ アジラーサシヨー、アンシ マーサルヤー(その汁の味があることよ、とても美味しいね)。
アシレーイン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あしらう。軽んじた扱いをする。
- 用例
- ワラビトゥ ユヌグトゥ アシレーイン(子どもと同じようにあしらう)。否:アシレーラン(あしらわない)過:アシレータン(あしらった)継:アシレートーン(ああしらっている)。
アジン 喜名,座喜味,伊良皆,渡慶次,儀間,長浜,楚辺,大湾,古堅,大木,長田
竪杵〔たてぎね〕。搗〔つ〕き臼に穀物を入れて搗くのに使う木製の道具。

- 用例
- ウーシェー アティン、アジンヌ ネーンレー、チャーン ナランサ(臼はあっても、杵がなければ、どうしようもないさ)。アジンサーネー チカンヨーイ、アヌー スグ ミジ ヒッチャキタグトゥ(杵では突かずに、すぐ水を引っかけたら)。
- メモ
- 音1:アージン。結婚式の婿いじめのひとつで、ドードーゥンマの模擬馬として使われた。
アシゥンマ 伊良皆
{あしうま(足馬)}。竹馬。
- メモ
- 類:キービサー・ババーヌエー。
アシゥンマ 村史
墓の中で棺をのせるための台。
- メモ
- 棺をのせた台の足から、蟻や虫などが上がってこないように、水を入れたミジクブサー(手水鉢)などを置いた。
アダ 高志保,渡慶次,儀間
徒〔あだ〕。無駄。
- 用例
- チュ タシキテー アダー ナラン(人を助けては無駄にはならない)。
- メモ
- 「情けは人の為ならず」の意味。
アタイ 喜名,座喜味,渡慶次,儀間,長浜,比謝矼
くらい。ほど。
- 用例
- ウヌ アタイヌ クトー ナイサ(そのくらいのことはできるよ)。ウヌ アタイヤレー ワランチャーンカイ シミータルムン(それくらいなら、子どもたちにさせよったのに)。
アタイ 喜名,渡慶次,儀間,長浜,古堅,長田
屋敷内の菜園。

- 用例
- アタインカイ ビラ イーテーン(菜園に葱を植えてある)。メーヌ アタイカラ ヤシェー ヒチヌジ クーワ(前の菜園から野菜を引き抜いてきなさい)。
- メモ
- 音1:アッタイ。家の後ろや左右などにあり、葉野菜やネギ類などを植えた。
アタイ(~アタイ) 座喜味,伊良皆,長浜,楚辺
~係。~担当。
- 用例
- ムラアシビネー、ワンヤ ランプアタイ イーチキラッタン(村芝居の時には、私は照明係を言いつけられた)。クミアタイ(字の役員名)。シーシアタイ(獅子担当)。
- メモ
- 音2:~タイ。
アタイガフー 喜名,渡慶次,儀間,大木
{あたりかほう(当たり果報)}。思いがけない果報。幸運。
- 用例
- チュヌ フーヤ ターガン ワカラン、ウレー アタイガフール ヤル(人の幸運は誰がも分からない、それは時の運だよ)。クンドゥヌ シケノー アタイガフー チキティ クィミソーリ(今度の試験は幸運をつけてください〈合格しますように〉)。
アタイグヮー 大湾
屋敷内の菜園。
- メモ
- アタイグヮーには、糸芭蕉やミカン、バナナ、ネギ等を植えていた。
アタイダカ 渡慶次,儀間,楚辺
配分。
- 用例
- アタイダカヌ ブンッシ シムサニ(与えられた分でいいでしょう)。
アタイバル 喜名,楚辺
集落内にある字有地の畑。
- 用例
- アタイバルンデー カジーガ イカナ(畑でも耕しに行こう)。
アタイメー 喜名,座喜味,渡慶次,儀間,楚辺,牧原
当たり前。当然。
- 用例
- ウレー アタイメーヌ クトゥル ヤルヨー(それは当たり前のことだよ)。
アタイメーヌウケーメー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
{あたりまへのおかゆまい(当たり前のお粥米)}。当たり前をより強調した言葉。当然。
- 用例
- ウレー カンゲーランティン、ワカイル スル、アタイメーヌウケーメー ヤサ(それは考えなくても、分かりぞする〈分かるんであって〉、当たり前のことだよ)。
アタイン 喜名,座喜味,渡慶次,儀間,長浜,大木
①当たる。ぶつかる。(思い)当たる。②配分される。③合う。うまくいく。合格する。④食あたりする。
- 用例
- ①ハーヤンカイ アタイン(柱にぶつかる)。ドゥーヌ ククルンカイ アタトーン(自分の心に思い当たっている)。否:アタラン(当たらない)希:アタイブサン(当たりたい)過:アタタン(当たった)継:アタトーン(当たっている)。②クンドー シバイヌ ウフヤク アタインドー(今年は芝居の大役に当たるよ)。③サンミンヌ アタイン(計算が合う)。ウッサ ハマレーカラー シケヌン アタイサ(それだけ頑張れば試験も合格するさ)。④タク カディ、アタトーン(蛸を食べて、食あたりしている)。
- メモ
- 対:ハジリーン・ハンリーン(外れる)。
アタカー 伊良皆,渡具知,比謝,大湾,古堅,大木,比謝矼,牧原,長田
爬虫類。キノボリトカゲ。

- メモ
- →アータ。
アタガイン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺,大木,長田
身に降りかかる。体験する。
- 用例
- アタガリワル、チュヌ ナンジクンジン ワカイル(我が身にふりかけてこそ、人の難儀や苦労を知るのだよ)・木。ドゥーヌ ミーンカイ アタガイン(自分の身に降りかかる)。否:アタガラン(降りかからない)過:アタガタン(降りかかった)継:アタガトーン(降りかかっている)。
アタトー 高志保,渡慶次,儀間,宇座,瀬名波,長浜
ノロ。
- メモ
- 類:アタトーメー・ヌール。アートートゥ(ああ尊し)という語が変化したものと思われ、ノロのことをアタトー或いは美称辞をつけて*アタトーメーといった。これは瀬名波ノロの*カキジマ(管掌地)である瀬名波、高志保、宇座、儀間、渡慶次浜で聞く呼称で、他の字ではあまり聞かない。
アタトーウガミ 儀間
旧6月15日にノロが巡回するウマチー。
- メモ
- 儀間では*ノロが祈願巡回する*ウマチーをアタトーウガミ、あるいは*アタトーといった。鉦鼓の鳴る中、白衣装の瀬名波ノロがくるのを宗家の戸主と字三役が迎えた。
アタトーメー 長浜
ノロ。
- 用例
- アタトーメーガ メーンドー(ノロがおいでになるよ)。
- メモ
- 類:アタトー・ヌール。長浜では12、3歳の子どもが20銭ぐらいの手間賃を貰って、太鼓と鉦を「ポン クヮーン ポン クヮーン」と鳴らしながら*ノロがくるのを知らせたという。メー(前)は美称辞。
アタトーヤー 儀間,瀬名波,長浜
ノロや神人が祭祀を執り行う場所。
- メモ
- →アサギ。
アダナシ 都屋,楚辺
アダンの気根。またその繊維で作った縄。
- 用例
- アダナシッシ チューク クンレーワ(アダンの縄できつく縛ってよ)。
- メモ
- 音1:アラナシ。都屋では荒天時や夜に*アダンの繊維を裂いて漁に使う縄を綯った。
アダニ 座喜味,伊良皆,渡慶次,瀬名波,長浜
植物。アダン。アダンの実。

- 用例
- アダニヌ ミー(アダンの実)。
- メモ
- 音2:アダン・アダンナイ・アラン。お盆にアダンの実を供えた。
アダニガーサバ 楚辺
アダン葉草履。アダンの葉で作った草履。
- 用例
- アダニガーサバヤ クミヤッサン(阿旦葉草履は履きやすい)。
- メモ
- 音1:アラニガーサバ。音2:アダンバーサバ・アランバーサバ。
アダニバー 渡具知,比謝
植物。アダンの葉。

- メモ
- 音2:アダンバー・アランバー。
アダニバギー 高志保
植物。アダンの木。

アダニウヮーシェー 瀬名波
子どもの遊び。アダンの実をぶつけ合って割る遊び。

- メモ
- 旧盆の*ウークイの後、お下がりのアダンの実をぶつけ合って、実をはじかれた人が負け。
アタビー 喜名,親志,座喜味,上地,波平,都屋,渡慶次,儀間,瀬名波,長浜,楚辺,渡具知,大湾,古堅,大木,比謝矼,牧原,長田
両生類。カエル類の総称。

- 用例
- アタビー スグイガ イカナ(カエルを取りに行こう)。
- メモ
- →アータ。
アタビーディール 伊良皆
民具。捕らえたカエルを入れるカゴ。
- メモ
- 高さが60センチぐらいの徳利のような形のカゴで、獲物が逃げ出せないようになっていた。
アタビートゥヤー 伊良皆
カエルを捕る人。カエルを捕って売る商売人。
- メモ
- 伊良皆では3つの溜池で鯉を養殖していた。その鯉を仕入れに那覇の*ドーグヮーヤシチ(堂小屋敷)の人たちが来た。そのなかにはアタビートゥヤーもいた。
アタビーングヮ 渡慶次
両生類。オタマジャクシ。
- メモ
- →アミヌミーックヮ。
アタビカー 楚辺
両生類。カエル類の総称。

- 用例
- アタビカー トゥンガ イカナ(カエルを取りに行こうよ)。
- メモ
- 音1:アタビコー。→アータ。
アタビコー 波平
両生類。カエル類の総称。
- メモ
- 音1:アタビカー。→アータ。
アタビチ ①喜名,座喜味,高志保,渡慶次,儀間,長浜,楚辺,大湾,古堅,長田②喜名,座喜味,高志保,渡慶次,儀間,長浜,楚辺,大湾,古堅,長田
両生類。①カエル類の総称。②カエルの意だが、相手を軽蔑した時にも使われる。
- 用例
- ②チュヌ イーシン チカン、ヤナ アタビチヤ(人の言うことも聞かない、いやな奴め)。
- メモ
- ①→アータ。②音2:アタビチャー。
アタビチャー ①喜名,座喜味,伊良皆,波平,都屋,高志保,渡慶次,儀間,宇座,瀬名波,長浜,渡具知,比謝,大湾,古堅,大木,比謝矼,長田②喜名,座喜味,高志保,渡慶次,儀間,長浜,楚辺,大湾,古堅,長田
両生類。①カエル類の総称。②カエルの意だが、相手を軽蔑した時にも使われる。

- 用例
- ①アタビチャー トゥティ ガッコーンカイ ムッチ イチュン(カエルを取って学校に持って行く)。②ヤナヒャー アタビチャーヤ(いやな奴め)。
- メモ
- ①→アータ。②→アタビチ。
アタビチャーグチ 大木
{あたびきあぐち(蛙あ口)}。洋服の袖口についたフリル。
- メモ
- 女性の外出用肌着の袖口のフリルが、カエルの口に似ていることからアタビチャーグチといった。
アタマニ 喜名,渡慶次,儀間
頭から。根っから。生来。
- 用例
- アレー アタマニ フユーナムンル ヤンデー(彼は根っからの怠け者だよ)。
アタラ 座喜味,高志保,渡慶次,儀間,瀬名波,長浜,楚辺,渡具知,古堅,大木,比謝矼
可惜(あたら)。大切な。惜しくも。
- 用例
- アタラ ワカサヌ ヌチ ウシナティ(あたら若い命を失って)。
- メモ
- 音2:アッタル。
アタラサン 高志保,渡慶次,儀間,渡具知,古堅,大木,比謝矼
可惜(あたら)し。惜しい。大切である。
- 用例
- ドゥークル モーキテーヌ ジンシ コーテーシヤ、イッペー アタラサン(自分で稼いだお金で買ったのは、とても大切だ)。ヌチ アタラサ サーイ(命を大切にして)。アタラシ ナシグヮ(大切な我が子)。
- メモ
- 音1:アタラハン。
アタラハン 高志保,楚辺
可惜(あたら)し。惜しい。大切。
- 用例
- アタラハグトゥ シーバイ カキテー ナランムーンチ(大切だから小便をかけてはいけないと)。ウヤー アタラーハヌ ヒティーサン(親は可惜しくて捨てられない)。
- メモ
- 音1:アタラサン。
アダン 喜名,座喜味,渡慶次,儀間,宇座,楚辺,古堅,大木
植物。アダン。アダンの実。

- 用例
- シチグヮチネー ブチダヌンカイ アダヌン ウサギータンドー(お盆には仏壇にアダンも供えよったよ)。
- メモ
- →アダニ。
アタンガー 楚辺
{あたりかは(あたり川)}。屋敷内にある溜池。
- 用例
- ハルカラ ケーティ キーネー、アタンガーンジ ティーヒサン シミヤーナカイ、ソーソー ウチンカイ イレーワ(畑から帰ってきたら、溜池で手足を洗って早く家に入りなさい)。
- メモ
- 音1:アタンジャー。音2:アナガー。楚辺の事例では、門を入った左側にあり、大きいのは9尺(270㎝)×1間(182㎝)で3畳程もあった。深い所は4.5尺(135㎝)もあり、降り口は階段状になっていた。
アタンジャー ①伊良皆②大湾,古堅
①屋敷内にある溜池。②雨降りの時にできる水たまり。
- メモ
- ②大湾堅では溜池は*クムイといい、アタンジャーは水たまりのことを指す。→音1:アタンガー。
アダンスーブ 宇座
子どもの遊び。アダン勝負。アダンの実をぶつけ合って割る遊び。
- メモ
- →アダニウヮーシェー。
アダンナイ 長田
植物。アダンの実。

- メモ
- →アダニ。
アダンバー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
植物。アダンの葉。

- 用例
- アダンバーッシ ヰーリムン チュクイン(アダンの葉で玩具を作る)。
- メモ
- 音1:アランバー。→アダニバー。
アダンバーサバ 渡慶次,儀間,楚辺
アダン葉草履。アダンの葉で作った草履。
- 用例
- ナチ ナイネー アダンバーサバガル シラサル(夏はアダン葉草履が涼しいんだよ)。
- メモ
- 音1:アランバーサバ。→アダニガーサバ。
アダンバーボーシ 喜名,親志,座喜味,伊良皆,上地,波平,都屋,高志保,渡慶次,儀間,宇座,瀬名波,長浜,楚辺,比謝,大湾,古堅,大木,比謝矼,牧原,長田
アダン葉帽子。アダンの葉で作った帽子。
- 用例
- アダンバーボーシェー アンシ チュサラル(アダン葉帽子はとてもきれいだね)。
- メモ
- 音1:アランバーボーシ。1904年(明治37年)に商人の片山徳次郎氏が編み方を開発し、アダンの葉で帽子が作られるようになった。
アダンバームスル 渡慶次,儀間,楚辺
アダン葉筵。アダンの葉を細く裂いて、乾燥させて編んだ筵。
- 用例
- ナマン アダンバームスル チカイシン ヲゥガヤー(今もアダン葉筵を使う者もいるかね)。
- メモ
- 音1:アランバームスル。
アヂ 喜名,座喜味,伊良皆,波平,高志保,渡慶次,儀間,宇座,瀬名波,長浜,楚辺,渡具知,大湾,古堅,大木,比謝矼
按司。
- 用例
- ンカシ、サシチヌ コアヂリチ、アヂヌ メンシェーテール グトールムノー(昔、佐敷の小按司といって、按司がいらっしゃったようだが)。
- メモ
- 古琉球時代に各地の有力者や発祥に関わった人物が、政治的支配者になり按司と呼ばれる。三山統一後は、按司の上に国王(世の主)が君臨し、第二尚氏王統の尚真王代後は、近世の王府体制が整えられ、按司は国王、王子に次ぐ貴族の地位を占める位階名となり、王子、王妃、王女などにも按司加那志と呼んだ。廃藩置県(1879年)後は他の官位、官職とともに廃された。
アチアチートゥ 渡慶次,儀間
厚々と。厚めに。
- 用例
- シシェー アチアチートゥ チッチ ゥンジャシェー(肉は厚めに切って出しなさい)。
- メモ
- 対:ヒシビシートゥ(薄めに)。
アヂウシーミー 楚辺
{あぢおせいめい(按司御清明)}。行事。門中単位で行う清明祭。
- 用例
- クンドゥヌ アヂウシーミーヤ、タートゥ ターガ イチュガヤー(今度の按司御清明は、誰と誰が行くのかな)。
- メモ
- 音2:イチムンシーミー・カミウシーミー・ムンチューシーミー。
アチカイグリサン 渡慶次,儀間
扱いにくい。使いにくい。
- 用例
- アヌ タイヤ イーシン チカン、イッペー アチカイグリサン(あの2人は言うことも聞かない、とても扱いにくい)。
- メモ
- 音1:アチケーグルサン。
アチカイン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
扱う。物事をとりさばく。
- 用例
- アマヌ ヌーシェー ンジャックヮ、ウシゥンマヌ グトゥ アチカイン(あそこの主人は下男を、牛馬のように扱き使う)。否:アチカーン(扱わない)希:アチカイブサン(扱いたい)過:アチカタン(扱った)継:アチカトーン(扱っている)。
アチカジ 喜名,渡慶次,儀間
熱風。熱い風。
- 用例
- トー アキティン、アチカジヌル イッチ チュール(戸を開けても、熱い風しか入ってこない)。
- メモ
- 対:ヒジュルカジ・ヒグルカジ(冷風)。
アチキ 喜名,高志保,渡慶次,儀間,楚辺,渡具知
湯気。蒸気。
- 用例
- ヰーサク アチキン タッチョーンロー(ほどよく湯気が立ちこめているよ)。
アチグー 親志
熱々な物。
- 用例
- トートーメーンカイヤ、ナンドゥチ ヤティン アチグー ママ ウサギーンドー(仏壇には、いつであっても熱々のまま供えるんだよ)。
- メモ
- 音2:アチコーコー。
アチクヮンクヮン 喜名,渡慶次,儀間
とても暑い様。
- 用例
- ハシルン ミチクーティ、アチクヮンクヮン ッシ(戸も閉め切って、こんなに暑くして)。
- メモ
- 音2:アチプープー・アチヤーフーヤー。対:ヒーサガタガタ(とても寒い様)。
アチケー 喜名,渡慶次,儀間,古堅
扱い。
- 用例
- ワリムンヌ アチケーヤ キー チキリヨー(割れ物の扱いは気をつけなさいよ)。
アチケーグルサン 大木
扱いにくい。使いにくい。
- 用例
- クヌ ドーグヤ、アチケーグルサン(この道具は使いにくい)。
- メモ
- 音1:アチカイグリサン。
アチケーヨー 喜名,渡慶次,儀間
扱い用。扱い方。
- 用例
- アチケーヨー バッペーイネー ジャーフェードー(扱い方を間違えたら厄介だよ)。
アチコーコー 喜名,渡慶次,儀間,長浜,楚辺
熱々な物。湯気が立つほど温かい様。
- 用例
- ヘークナー アチコーコー イッティ、カムンレー サン(早く熱々のを入れて、食べようとしない)。
- メモ
- →アチグー。
アチサカマラサー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
暑がり。
- 用例
- イャーヤ アンスカ アチサカマラサー ヤルヤー(お前はそこまで暑がりなんだね)。
- メモ
- 音2:アチサミー。対:ヒーサミー(寒がり)。
アチサクリサ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
{あつさくれさ(暑さ苦しさ)}。とても暑いこと。
- 用例
- アチサクリサン、ナー イットゥチグヮー ヤサ(とても暑いのも、もういっときだよ)。
- メモ
- 対:ヒーサクリサ(寒さ苦しさ)。
アチサミー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
暑がり。
- 用例
- イャーヤ アンチュカナー アチサミー ヤル(お前はこんなにも暑がりだね)。
- メモ
- →アチサカマラサー。
アチサミーヌヒーサミー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
暑がりの寒がり。
- 用例
- アチサミーヌヒーサミー ヤレー、チャーン ナランサ(暑がりの寒がりだったら、どうにもならんよ)。
アチサン ①喜名,座喜味,渡慶次,儀間,瀬名波,長浜,古堅②喜名,座喜味,渡慶次,儀間,長浜,古堅
①暑い。②熱い。
- 用例
- ①クンドゥヤ クジュヤカ アチサンヤー(今年は昨年より暑いね)。チューン アチサイビーンヤー(今日も暑いですね)。②ウヌ チャーヤ ジコー アチサンドー(そのお茶はとても熱いよ)。
- メモ
- 音1:アチハン。①対:ヒーサン・ヒーハン(寒い)。
アチサン 喜名,渡慶次,儀間
厚い。分厚い。
- 用例
- ウヌ スムチヤ デージ アチサン(その本はとても分厚い)。
- メモ
- 音1:アチハン。対:ヒッサン(薄い)。
アヂスガイ 長浜
{あぢそがり(按司スガイ)}。扮装。
- 用例
- アヂスガイ ッシ、シバヤ スタン(按司の扮装をして、芝居をした)。
アチチー 喜名,渡慶次,儀間,古堅
①熱い物にさわった時に発する語。②幼児語。熱いこと。
- 用例
- ②アチチードー(熱いよ)。
- メモ
- 音2:アッチッチー。
アチナービナクー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
鋳〔い〕掛け屋。鞴〔ふいご〕を使って穴が開いた鍋などを修繕すること。
- 用例
- アチナービナクー サレー、ミーナービヌ グトゥ ナトーサ(鋳掛け屋を頼んだら、新品の鍋のようになったさ)。
- メモ
- →ナービナクー。
アチネー 喜名,伊良皆,渡慶次,儀間
商い。商売。
- 用例
- アヌ チョー アチネーッシ モーキトーン(あの人は商売で儲けている)。
- メモ
- 音1:アキネー。
アチネーサー 儀間
商いをする人。商売人。
- メモ
- 類:アチネーシンカ・アチョールー。婦人は頭上に荷を載せ、男性は天秤棒で荷を担いで、各集落に入って商売をしていた。
アチネーシンカ 渡慶次,儀間
{あきなひしんか(商い臣下)}。商いをする人たち。商売人たち。
- 用例
- マチカイ イチーネー、ウッサヌ アチネーシンカガ ヲゥルヤー(町へ行くと、たくさんの商売人がいるね)。
- メモ
- →アチネーサー。
アチネームン 村史
{あきなひもの(商い物)}。商品。
- メモ
- 読谷山からは芋や大根などの産物を町方へ売りに行き、帰りには田舎では入手しにくい品物を仕入れるのが主だった。その品物には鰹節や素麺、昆布などの乾物、小間物があった。(1895年生の話)。
アヂバカ 座喜味,高志保
按司墓。使われなくなった古い墓の呼称。
- メモ
- 古琉球期、その土地を治めた有力者や発祥に関わった人物のことを広く按司と言い表し、彼らを祀った墓をいう。具体的に「大湾按司之墓」(大湾)や「前田按司之墓」(喜名)と名称を伴う墓もあれば、単に「アヂバカ」と呼称される古墓が村内各地にある。多くは各字の清明祭で拝されている。
アチハティーン 喜名,渡慶次,儀間
呆れ果てる。ひどく嫌になる。
- 用例
- イッター シーヨー ンジーネー、ター ヤティン アチハティーサ(お前たちのやり方を見たら、誰でも呆れ果てるさ)。否:アチハティラン(呆れ果てる)過:アチハティタン(呆れ果てる)継:アチハティトーン(呆れ果てている)。
- メモ
- 類:ニリクサリーン・ユンチリーン。
アチハティジューグヮチ 喜名,伊良皆,渡慶次,儀間,長田
{あきはてじふぐゎつ(飽き果て十月)}。特に節供のない10月。
- 用例
- アチハティジューグヮチヤ クヮッチーン カマランタン(アチハティジューグヮチはご馳走も食べられなかった)。
- メモ
- →音1:アキハティジューグヮチ。
アチハン ①座喜味,波平,渡慶次,儀間,楚辺
①暑い。②熱い。
- 用例
- チューヤ カジ ティーチン ネーン、カワティ アチハンヤー(今日は風ひとつなく、いつになく暑いね)。チヌーヤ アチハヌ フシガランタン(昨日は暑くてたまらなかった)。
- メモ
- →音1:アチサン。
アチハン 座喜味,波平,渡慶次,儀間,楚辺
厚い。分厚い。
- 用例
- イャームノー ワームンヤカ アチハンヤー(お前のものは私のものより分厚いね)。ウヌ アチハシカラ ムッチ イチュサ(その厚いのから持って行くさ)。
- メモ
- →音1:アチサン。
アチビー 高志保,大木,長田
料理。柔らかいご飯。お粥とご飯との中間ぐらいの柔らかさ。
- メモ
- 音2:アチビーメー。子どもや病人などに食べさせた。
アチビー 渡慶次,儀間,楚辺
熱しやすいこと。熱くなりやすい性格。
- 用例
- アレー アチビー ヤグトゥ、ヌーン イラランドー(彼は熱しやすいから、何も言えないよ)。
アチビーメー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺,大湾
料理。柔らかいご飯。お粥とご飯との中間ぐらいの柔らかさ。
- 用例
- アチビーメー ニチェービーグトゥ、ウサガミソーレー(柔らかめのご飯を炊いてありますから、召し上がってください)。
- メモ
- →アチビー。
アチビーヤン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
(患部が)熱を持って痛むこと。ずきずき痛むこと。
- 用例
- キジヌ アチビーヤン ッシ、フシガラン(傷が熱をもって痛くて、たまらない)。
アチヒーラチヤン 親志
火傷の患部が熱を持って痛むこと。ずきずき痛むこと。
アチビタターヤン 渡慶次,儀間,楚辺
(患部が)熱を持って痛むこと。ずきずき痛むこと。
- 用例
- アチビタターヤン ッシ、デージ ナトーサ(熱っぽい痛みで、大変だ)。
アチプープー 喜名,渡慶次,儀間
とても暑い様。
- 用例
- ウッサヌ チュガ イッチョーグトゥ、アチプープー シ フシガラン(多くの人が入っているから、アチプープーしてたまらない)。
- メモ
- →アチクヮンクヮン。
アチマイ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
集まり。集会。
- 用例
- チューヤ ヌーヌ アチマイ ヤタガ(今日は何の集まりだったのか)。
- メモ
- 類:スリー。
アチマイン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
集まる。
- 用例
- ナー チュケーノー アチマインテー(もう1回は集まろうよ)。否:アチマラン(集まらない)希:アチマイブサン(集まりたい)過:アチマタン(集まった)継:アチマトーン(集まっている)。
- メモ
- 類:スリーン。
アチミーン 喜名,渡慶次,儀間,古堅
集める。
- 用例
- フルガニ アチミーン(古鉄〔ふるてつ〕を集める)。ウッサヌ チュ アチミーンナー(そんなに多くの人を集めるのね)。
アチミックヮー 伊良皆,大湾
あき盲。目はあいているが見えない人。探し物が苦手な人にもいう。
- メモ
- 音1:アキミックヮー。
アヂムークー ウンチケーサビラ 座喜味
予祝の言葉。按司の婿をお迎えしましょう。
- メモ
- 大晦日に箒を使う時に「アヂムークー ウンチケーサビラ」と言いながらゴミを外へ掃き出した。
アチムン 喜名,渡慶次,儀間
熱いもの。
- 用例
- ワラビンカイ アチムンヤ サーラサンケー(子どもに熱い物は触らすな)。
- メモ
- 対:ヒジュルムン(冷たいもの)。
アチャ 喜名,渡慶次,儀間,大湾
明日。
- 用例
- アチャヌ ユロー ムル アチマティ アシバナ(明日の夜は皆集まって遊ぼうよ)。
- メモ
- 音1:アチャー。
アチャー 親志,渡慶次,儀間,楚辺,大湾,牧原
明日。
- 用例
- アチャーヤ アミ フインディンドー(明日は雨が降るってよ)。
- メモ
- 音1:アチャ。
アチヤーフーヤー 喜名,渡慶次,儀間
とても暑い様。
- 用例
- アチサレー、カジンカイ アタランレー ネーン、アチヤーフーヤー ッシ(暑いなら、風に当たれなければならない〈当たればいいのに〉のに、アチヤーフーヤーして)。
- メモ
- →アチクヮンクヮン。
アチャヌヒー 喜名,渡慶次,儀間
明日の日。明日という日。明日。
- 用例
- ニービチェー アチャヌヒー ナトーンドー(結婚式は明日になっているよ)。
- メモ
- 明日をより強調している。
アチユー 喜名,親志,渡慶次,儀間,比謝矼
熱い湯。熱湯。
- 用例
- アチユー イッティ クーワ(熱い湯を入れてきなさい)。
アチュン 喜名,渡慶次,儀間
開く。
- 用例
- マチヤー ヒルマカラ アチュン(店は昼から開く)。否:アカン(開かない)過:アチャン(開いた)継:アチョーン(開いている)。
- メモ
- 対:シマイン(閉まる)。
アチョールー 渡具知,長田
商いをする人。商売人。商い。
- 用例
- イユアチョールー(魚の行商人)。
- メモ
- →アチネーサー。
アチラシケーサー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺,大木
①何度も煮かえすこと。②同じことを何度もくり返すこと。
- 用例
- ①ユヌムンビカーン アチラシケーサー カマサッティ、ニリトーッサー(同じものばかり何度も温め直して食べさせられて、飽きているなあ)。②ユヌクトゥビカーン アチラシケーサー サンケー(同じことばかり何度も蒸し返すな)。
- メモ
- 音2:タギラシケーサー・タジラシケーサー。
アチラスン 喜名,座喜味,渡慶次,儀間,楚辺
温める。
- 用例
- ヒジュリトーグトゥ、ナー チュケーン アチラスン(冷めているから、もう1回温める)。否:アチラサン(温めない)希:アチラシーブサン(温めたい)過:アチラチャン(温めた)継:アチラチョーン(温めている)。
- メモ
- 対:サマスン(冷ます)。
アチラン 喜名,渡慶次,儀間,大木,比謝矼
ちっとも。一向に。ひとつも。なかなか。
- 用例
- マッチョーシガ、アチラン チュール グトー ネーン(待っているが、ちっとも来る様子がない)。
- メモ
- 類:イッチン・ティーチン。
アチリーン 喜名,渡慶次,儀間
熱くなる。
- 用例
- ティーラカイ アティーネー アチリーンドー(太陽へ当てると熱くなるよ)。イユヌ シルヌ アチリトーン(魚の汁が熱くなっている)。否:アチリラン(熱くならない)継:アチリトーン(熱くなっている)。
アチレーイン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あつらえる。
- 用例
- ソーグヮチヂン アチレーイン(正月用の着物をあつらえる)。否:アチレーラン(あつらえない)希:アチレーイブサン(あつらえたい)過:アチレータン(あつらえた)継:アチレート―ン(あつらえている)。
アッカアッカ 喜名,渡慶次,儀間
歩きだそうとする様。
- 用例
- ウヌ ワラベー ナマニン アッカアッカ ソーンデー(その子は今にも歩き出そうとしているよ)。
アッカサーウヮー 座喜味,長浜
哺乳類。種豚。種付け用の雄豚。
- メモ
- 音2:アッチャーウヮー。主がムチを持って豚を歩かせて、依頼された所の豚に種付けに行ったことからアッカサーウヮーといわれた。
アッカスン ①喜名,渡慶次,儀間②喜名,渡慶次,儀間
①歩かせる。②走らせる。
- 用例
- ①トゥーサカラ ワラバー アッカスン(遠いところから子どもを歩かせる)。②クルマ アッカスン(車を走らせる)。
アッカランアッキ 楚辺
歩きにくそうに歩くこと。無理に歩くこと。
- 用例
- ナー アッカランアッキーヒチ(もう歩きにくそうにして)。
- メモ
- 音1:アッカランアッチ。
アッカランアッチ 喜名,渡慶次,儀間,大木
歩きにくそうに歩くこと。無理に歩くこと。
- 用例
- イクサネー、ヤマヌミーカラ ユールナー アッカランアッチ シル、ヤンバルカイ ゥンジャル(戦争の時は、山の中を夜中歩いて、山原へ行ったのだよ)。
- メモ
- 音1:アッカランアッキ。
アッキ 渡具知
ああ。あれ。ええっ。何かし損ねた時、予想に反した時に発する語。
- 用例
- アッキ、アレー ニンジノー アラン(ああ、あれは人間ではない)。
アッキサミヨー 座喜味
あれまあ。ええっ。きゃあ。とても驚いたときや悲しいとき、助けを必要とするときなどに発する語。
- メモ
- →音1:アキサミヨー。
アッキトー 渡具知
ああもう。あれまあ。ええっ。何かしそこねた時に発する。
- メモ
- 音2:アッキヨー。
アッキヨー 喜名,高志保,渡慶次,儀間,瀬名波,長浜,楚辺,渡具知
ああもう。あれまあ。ええっ。何かしそこねた時に発する。
- 用例
- アッキヨー、コーイシ ワシティ ネーン(ああもう、買うのを忘れてしまった)。アッキヨー ナーナー デージ(あれまあ、もう大変)。
- メモ
- →アッキトー。
アッキョッキョー 喜名,渡慶次,儀間,瀬名波,長浜
ああもう。ええっ。心配な時に発する語。
- 用例
- アッキョッキョー、アン ヤタンナー(ああもう、そうだったの)。
アッギヨナー 座喜味
ええっ。ああもう。嘆いたり、驚いた時に発する語。
- メモ
- 音1:アギヨーナー。
アック 喜名,渡慶次,儀間,楚辺,大木
叱責。いじめ。
- 用例
- ルク アック サッティ、ナラン(あまりにもいじめられて、どうしようもない)。
アックカタ 渡慶次,儀間,楚辺
{ありくかた(歩く方)}。行く先々。
- 用例
- アックカタ、マーンカイ ゥンジン ジンル チカイル(行く先々、どこに行っても金を使うんだ)。
- メモ
- 音1:アックルカタ。類:イクサチザチ。
アックルカタ 楚辺
{ありくかた(歩く方)}。行く先々。
- メモ
- →音1:アックカタ。
アックン 楚辺
歩く。
- 用例
- ウシェー ジコー アックグトゥ(牛はよく歩くから〈足が速いから〉)。否:アッカン(歩かない)希:アッキーブハン(歩きたい)過:アッチャン(歩いた)継:アッチョーン(歩いている)。
- メモ
- 音1:アッチュン。
アッケージュー 高志保
昆虫。トンボ類の総称。
- メモ
- 音1:アーケージュー。
アッケーヒッケー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あちこち行き来して忙しい様。
- 用例
- アッケーヒッケー、ヌー ッシ アッチョーガ(あちこち駆け回って、何をして歩いているのか)。
アッコッコー 渡慶次,儀間,楚辺
ああ、もう。ええっ、かわいそうに。
- 用例
- アッコッコー、イチデージ ヤサ(ええっ、かわいそうに、一大事だ)。
- メモ
- 音2:アッコナー。
アッコナー 楚辺
ああもう。ええっ、かわいそうに。
- 用例
- アッコナー、アンル ヤティー(ええっ、かわいそうに、そうだったの)。
- メモ
- 音2:アッコッコー。
アッコンテーグヮー 渡慶次,儀間
子どもの遊び。ままごと。
- メモ
- *アハコー(サザエ)を碗に見立てて遊んだのでそういった。
アッサ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あれだけ。
- 用例
- アッサル トゥティ チェール(あれだけしか取ってきてないよ)。
- メモ
- 音1:アッピ。音2:アヒ。
アッサイヨー 比謝矼
それはもう。大変だ、すごいという時に発する語。
- 用例
- アッサイヨー、チビラーサヌ(それはもう、素晴らしいよ)。
- メモ
- 音1:ハッサイヨー。音2:ハッサイナー・ハッサヤー。
アッサキー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あんなにたくさん。
- 用例
- アッサキー トゥティ ッチ(あんなにたくさん取ってきて)。
- メモ
- 音2:ウサキー・ウッサキー。
アッサキーナー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あんなにたくさん。
- 用例
- アッサキーナーヌ ムン、チャーシ カタヂキーヌ チムエーガ(あんなにたくさんのもの、どうやって片付けるつもりなの)。
- メモ
- 対:アッサグヮー・アッピグヮー・アフィグヮー・アヒグヮー・アンチェングヮー(たったあれだけ。)。
アッサグヮー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
少々。たったあれだけ。
- 用例
- アッサグヮーシェー、ヌーン ナランサ(たったあれだけじゃあ、何にもならないよ)。
- メモ
- 音1:アッピグヮー・アヒグヮー・アフィグヮー。音2:アンチェングヮー・アフィグヮー。対:アッサキー・アッサキーナー(あんなにたくさん)。
アッサビヨー 喜名,渡慶次,儀間,比謝,古堅
ああもう。もう本当に。すごいという時に発する語。
- 用例
- アッサビヨー、アンシ チュラバナ ヤル(ああもう、なんてきれいな花なんだ)。
- メモ
- →音1:アーッサビヨー。
アッサミヨー 渡慶次,儀間,楚辺,比謝,大湾
ああもう。もう本当に。すごいという時に発する語。
- 用例
- アッサミヨー、アン ソール クトゥン アル(ああもう、あのようなこともあるね)。
- メモ
- →アーッサビヨー。
アッサヨー 高志保,渡慶次,儀間,楚辺,比謝
はあ。もう。あれまあ。非常に驚いた時に発する語。
- 用例
- アッサヨー、アン ソール クトゥ シーゥンジャチ(もう、あんなことをしでかして)。
- メモ
- →アーッサ。
アッサン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
浅い。
- 用例
- ゥンマー アマヤカ アッサンドー(ここはあそこより浅いよ)。
- メモ
- 対:フカサン(深い)。
アッサンミー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
浅い所。
- 用例
- アッサンミーカラ イージ クーワ(浅い所から泳いできなさい)。
- メモ
- 対:フカイ・フカサンミー(深い所)。
アッシェ 牧原
はあ。もう。あれまあ。非常に驚いた時に発する語。
- 用例
- アッシェ、ナー ウヮーバグトゥ シ(はあ、もう余計なことをして)。
- メモ
- →アーッサ。
アッシャビヨー 大湾,古堅
ああもう。もう本当に。すごいという時に発する語。
- メモ
- →アーッサビヨー。
アッシャヨー 大湾
はあ。もう。あれまあ。非常に驚いた時に発する語。
- メモ
- →アーッサ。
アッタ~ 喜名,渡慶次,儀間,大木,長田
にわか~。突然の~。
- 用例
- アッタグトゥ ナティ ウドゥルチョーサ(急なことで驚いているよ)。
- メモ
- 不意、突然を表す接頭辞。
アッター 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
彼等。彼女等。
- 用例
- ゥンマンカイ ヌクトーシェー、アッター ムン ヤサ(そこに残っているのは、彼等のものだよ)。
アッタイ 座喜味,高志保,長浜
屋敷内の菜園。

- メモ
- →アタイ。
アッタニ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺,大湾
急に。にわか。突然。
- 用例
- トゥマティル ヲゥタシガ、アッタニ トゥリ ハイタン(止まっていたんだが、急に飛んで行きよった)。
- メモ
- 音2:アッタングヮー。
アッタバイ 喜名,儀間
急に出て行くこと。
- 用例
- マーカイガ ゥンジャラー、 アッタバイ ッシ トゥンジティ ハイタン(どこに行ったのか、急に飛び出して行った)。
アッタバジョー 渡慶次,儀間,楚辺
見た瞬間は美人だが大したことはない。
- 用例
- アレー ンジーシンレー、アッタバジョー ナティ(彼女は見るほどに、そんなに美人ではなくなって)。
アッタブイ 喜名,渡慶次,儀間
にわか雨。急に降りだす雨。
- 用例
- アッタブイ シ ンリティ ネーンサ(にわか雨で濡れてしまったさ)。
アッタマーシ 喜名,渡慶次,儀間
急死。
- 用例
- アンシ ワカサルムンヌ、アッタマーシ ッシヤー(あんなに若いのに、急死してね)。
アッタル 喜名,渡慶次,儀間,楚辺,大湾
可惜〔あたら〕。大切な。惜しくも。
- 用例
- アッタル カナサル トゥジ(あたらな愛しい妻)。アッタル クヮ(大切な子)。
- メモ
- →アタラ。
アッタングヮー 渡慶次,儀間,大木
急。突然。
- 用例
- ナママディ ゥンマヲゥティ アシドータシガ、アッタングヮーニ ヲゥランナ トーン(今までそこで遊んでいたんだが、急にいなくなっている)。
- メモ
- →アッタニ。
アッチカタ 座喜味
歩き方。
- 用例
- ゥンマハラセーヤ、アッチカタル ンージュタンドー(琉球競馬は、歩き方を見たんだよ)。
アッチカンティー 喜名,座喜味,渡慶次,儀間,古堅
歩きにくいこと。
- 用例
- タカアシジャシェー アッチカンティー スンドー(高下駄では歩きにくいよ)。アッピナーヌ ニムチ ムッチョーグトゥ、アッチカンティー ソーンデー(あんなに大きな荷物を持っているから、歩きにくそうにしているよ)。
アッチッチー 都屋,長浜,楚辺,古堅
①熱い物にさわった時に発する語。②幼児語。熱いこと。
- 用例
- ②アッチッチードー(熱いよ)。
- メモ
- →アチチー。
アッチナレー 喜名,渡慶次,儀間
歩き慣れ。歩行練習。
- 用例
- ウンナゲー チャーニンジ ソーテーグトゥ、 アッチナレーン サントー ナランドー(長いこと寝たきりだったから、歩く練習もしないといけないよ)。
アッチハジミーン 喜名,渡慶次,儀間,瀬名波
歩き始める。
- 用例
- タンカーン ナイルムン、ヤガティ アッチハジミーサ(満1歳になるんだから、やがて歩き始めるさ)。ヒサグヮー ミーティ アッチハジミトーンドー(足が生えて歩き始めているよ)。
アッチャー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
足が速い人。
- 用例
- アッピーヤ アッチャー ナティ、ハーエースーブーネー チャー イチバン ヤタン(兄は速い人になって〈足が速くて〉、かけっこではいつも一番だった)。
アッチャー(~アッチャー) 喜名,座喜味,渡慶次,儀間,渡具知,大湾,古堅,大木,長田
歩く人、通う人などの意。~する人。
- 用例
- ウミアッチャー(漁師)。ヤマアッチャー(山仕事をする人)。シクチアッチャー(仕事する人。勤め人)。
- メモ
- 通う場所を示す語の後に付き、そこによく通っている人という意味や職業を表す。
アッチャーアッチャー 長浜
あちこち歩き回る様。
アッチャーグヮー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
よく出歩く人。
- 用例
- アレー アッチャーグヮー ナティ、マーマディン アシビーガ ハイン(彼はよく出歩く人なので、どこまでも遊びに行く)。
アッチャーウヮー 渡慶次,儀間,楚辺,大湾,古堅
哺乳類。種豚。種付け用の雄豚。
- 用例
- アッチャーウヮーヌ チャーギンデー(種付け豚がやって来るよ)。
- メモ
- →アッカサーウヮー。
アッチャメーグヮー 喜名,渡慶次,儀間
テンポの速い雑踊り。
- 用例
- スージン ハネーチーネー、アッチャメーグヮー スタン(お祝いも華やぐと、テンポの速い雑踊りをしよった)。
- メモ
- 主に男性が踊ることが多かった。
アッチュー 都屋,大湾
幼児語。あちち。熱いこと。
- 用例
- アッチューロー(熱いよ)。
アッチュン 喜名,親志,座喜味,伊良皆,上地,波平,都屋,高志保,渡慶次,儀間,宇座,瀬名波,長浜,渡具知,比謝,大湾,古堅,大木,比謝矼,牧原
①歩く。②通う。進む。③~する。~して暮らす。
- 用例
- ①トゥーサー アシガ、ドゥーチュイシ アッチ イチュン(遠いけど、ひとりで歩いて行く)。否:アッカン(歩かない)希:アッチーブサン(歩きたい)過:アッチャン(歩いた)継:アッチョーン(歩いている)。②ヤマガッコー アッチャン(ヤマガッコーを歩いた〈学校をさぼった〉)。③トーフウヤー ッシ アッチュン(豆腐売りをして生活している)。
- メモ
- 音1:アックン。
アッチヨー 座喜味
歩きよう。歩く様。
- 用例
- アヌ ワラビヌ アッチヨーヌ ウジラーサヨー(あの子の歩く様子のかわいいこと)。
アットーメー 渡具知,比謝
奥様。士族の奥様の呼称。
- 用例
- スイヌ アットーメー(首里の奥様)。
- メモ
- 下位の者が上位の者に対して使う。
アッパヤー 座喜味,長浜
ああもう。ええっ。心配な時に発する語。
- 用例
- アッパヤー、ウレー シワ ヤサ(ええっ、それは心配だ)。
- メモ
- 音2:アッパヨイ・アッビヨイ。
アッパヨイ 長浜
ああもう。ええっ。心配な時に発する語。
- メモ
- 音1:アッパヤー。
アッパンガラー 渡慶次,儀間,楚辺,比謝矼
自暴自棄。やけくそ。
- 用例
- ウヤンカイ ヌラーッティ アッパンガラー ナティ、 ヤーカラ ゥンジティ ハイタン(親に叱られて自暴自棄になって、家を出て行きよった)。
アッピ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あれだけ。
- 用例
- イャーガ ムッチ チャシェー、タダ アッピ ヤサ(お前が持ってきたのは、たったあれだけだよ)。
- メモ
- →アッサ。
アッピー 喜名,座喜味,伊良皆,波平,都屋,高志保,渡慶次,儀間,宇座,瀬名波,長浜,楚辺,渡具知,比謝,大湾,古堅
親族語彙。兄。兄さん。
- 用例
- ワッター アッピーヤ フユーナムン ナティ、ムットゥ シクチン サン(私の兄さんは怠け者で、全く仕事もしない)。
- メモ
- 類:アヒー・アフィー・ニーニー。実の兄以外にも、年上の人に~アッピー(~兄さん)ともいう。
アッピーグヮー 波平
親族語彙。兄。兄さん。
- メモ
- 次兄以下の兄さんの呼び名のひとつで、長兄にはグヮーを付けない。
アッピグヮー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
少々。たったあれだけ。
- 用例
- タダ アッピグヮーシェー、ジョーイ タラーンデー(たったあれだけでは、とうてい足りないよ)。
- メモ
- →アッサグヮー。
アッピナー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あれほどの大きさ。あんなに大きい。
- 用例
- イャー アッピナーヌ ムン ムッチー スンナー(お前はあんな大きなものを持てるのか)。
- メモ
- 音2:アヒナー・アフィナー。
アッビヨイ 座喜味
ああもう。ええっ。心配な時に発する語。
- メモ
- 音1:アッパヤー。
アップアップー 喜名,渡慶次,儀間
あっぷあっぷと苦しくもがいている様。
- 用例
- ゥンブクティ アップアップー ソータン(溺れてあっぷあっぷしていた)。
アップリ 喜名,高志保,渡慶次,儀間,長浜,楚辺,大木
飴。あめ玉。
- 用例
- アップリンデー カマシーネー、ナチュシン トゥマイサ(飴でも食べさせたら、泣くのもやむさ)。イッセンッシ、アップリグヮー コーティ クーワ(1銭で、あめ玉を買っておいで)。
アティ 伊良皆,高志保,渡慶次,儀間,楚辺,大木
当て。目当て。覚え。
- 用例
- ワッターン アテー アン(私たちも覚えはある)。アテー ネーラン(覚えはない)。ヤーカラ トゥンジタシガ、イクアティン ネーン(家から飛び出したが、行く当てもない)。
- メモ
- 音2:アティムン・ミアティ。
アティーン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
当てる。
- 用例
- キーヌ ユダカイ イシ アティーン(木の枝に石を当てる)。ワームン ノージ、マジェー アティティ ンリ(私の名前を、まずは当ててごらん)。否:アティラン(当てない)希:アティーブサン(当てたい)過:アティタン(当てた)継:アティトーン(当てている)。
アティナシ 楚辺,大湾,古堅
あどけない者。無邪気な者。幼い者。
- 用例
- ヌーガ イャーヤ ウマンカイ チャル アティナシ、クマー イャーガ チュール トゥクロー アランドーヤー(どうしてお前はここに来たのか幼い者よ、ここはお前が来るところではあらないよ)。
アティムン 村史
当て。目当て。目印。
- メモ
- →アティ。
アトゥ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
後。後ろ。後方。
- 用例
- ワームン アトゥ、ウーティ クーワ(私の後ろを、ついてきなさい)。
- メモ
- 音2:アトゥジ・アトゥジー・クサー。対:メー(前)。
アドゥ 喜名,高志保,渡慶次,儀間,楚辺,長田
踵〔かかと〕。
- 用例
- アドゥヌ ユグリトーグトゥ ヒサダカー シ アッチュン(踵が汚れているから、つま先立ちで歩く)。
- メモ
- 音1:アル。音2:カドゥ。
アトゥアトゥ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
後々。
- 用例
- ウレー アトゥアトゥヌ タミニ マシェー アラン(それは後々のためによくない)。
アトゥアブシバレー 喜名,座喜味,楚辺,古堅,大木,牧原
{あとあぶしばらひ(後畦払い)}。行事。旧4月16日に行なわれる虫払いの行事。
- 用例
- アトゥアブシバレーネー、ビントー ムッチ、ゥンマハラセー ンジーガ イクタン(アブシバレーの2日目には、弁当を持って、琉球競馬を見に行きよった)。
- メモ
- →アブシバレー。
アトゥウーイ 喜名,伊良皆,渡慶次,儀間,瀬名波,楚辺
後追い。後を追って見届けること。
- 用例
- マジェー アトゥウーイ シ ゥンジ ンリ(まずは後を追って行ってごらん)。
- メモ
- 音2:アトゥミ。
アトゥカタ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
跡形。形跡。
- 用例
- ヌーヌ アトゥカタン ヌクトー ネーン(何の跡形も残っていない)。
アトゥカタヂキ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
後片付け。
- 用例
- アトゥカタヂケー リッパ シッカラル、アシブンディチン アル(後片付けはちゃんとしてから、遊ぶんだよ)。
アトゥガマ 大湾
後がま。後任。後妻。後夫。
アトゥグングヮチャー 古堅
{あとごぐゎつごにちごら(後五月五日小)}。行事。旧5月6日に、古堅で行った若者の交流。
- メモ
- 古堅では*グングヮチャーの翌日、青年たちが*アシビナーに竈〔かまど〕を作り、持ち寄った豆腐や肉などを調理して、*アトゥハチカーグヮーのお返しに娘たちを招待してもてなした。→アトゥハチカーグヮー。
アトゥサー 喜名,渡慶次,儀間
後継者。跡継ぎをする者。
- 用例
- ヤーヌ アトゥサーヤ キマトーミ(家の後継者は決まっているか)。
- メモ
- 音2:アトゥミ。
アトゥサチ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
後先。前後。
- 用例
- アトゥサチン ワカラン シーヨー ッシ(後先も分からないようなやり方をして)。
アトゥジ 楚辺
後。後ろ。後方。
- 用例
- アトゥジヌンカイ アマンカイ トゥンケーティ (後のほうに、あそこに振り返って)。
- メモ
- →アトゥ。
アトゥジー 喜名,高志保,渡慶次,儀間,渡具知,長田
後。後ろ。後方。
- 用例
- アトゥジーンカイ ヲゥル バーヨー(後方へいるわけよ)。
- メモ
- →アトゥ。
アトゥシンカー 楚辺
後退〔あとずさ〕り。
- 用例
- 「イェンミサイ、イェンミサイ」ヒチ アトゥシンカーサーニ マタ ヒンギヤーニ(「ごめんなさい、ごめんなさい」と、後ずさりして逃げて)。
- メモ
- 音1:アトゥシンチャー。
アトゥシンチャー 喜名,親志,波平,渡慶次,儀間,瀬名波,長浜
後退り。
- 用例
- アトゥシンチャー ッシ、メーカイ アッチュンデー サン(後退りして、前に歩こうとはしない)。
- メモ
- 音1:アトゥシンカー。
アトゥチビ 喜名,親志,渡慶次,瀬名波
後尻〔あとじり〕。人の後ろ。
- 用例
- ウヤヌ アトゥチビ ウーイン(親の後を追う)。
アトゥトゥジ 高志保
{あととじ(後刀自)}。後妻。
- メモ
- 音1:アトゥドゥミ。音2:アトゥドゥミアンマー。
アトゥドゥミ 喜名,波平,渡慶次,儀間,楚辺,大湾,古堅,大木
後妻。
- 用例
- トゥジ ウシナティ ナゲー ナイグトゥ、アトゥドゥミ カメーイシェー マシ ヤサ(妻を亡くして長いことなるから、後妻を迎えた方がいいよ)。ワッター タンメーヤ アトゥドゥミ カメータン(うちのおじいさんは後妻を求めた〉)。
- メモ
- →音1:アトゥトゥジ。
アトゥドゥミアンマー 渡慶次,儀間,楚辺
後妻。継母。
- 用例
- ワッター アトゥドゥミアンマーヤ、イッペー ハタラチャー ヤン(うちの後妻は、とても働き者だ)。
- メモ
- →アトゥトゥジ。
アトゥナイサチナイ 喜名,渡慶次,儀間,大湾,古堅,大木
相前後する様。
- 用例
- アトゥナイサチナイ ッシ ハイタン(相前後して出て行きよった)。
アトゥナイナイ 楚辺
だんだん後退〔あとずさ〕りする様。
- 用例
- アトゥナイナイ ッシ ヒンギティ ハイタン(だんだん後退〔あとずさ〕りして逃げて行きよった)。
- メモ
- 対:メーナイナイ(前に出て行くこと)。
アトゥナイメーナイ 渡慶次,儀間,楚辺
前後する様。後になったり前になったりする様。
- 用例
- アトゥナイメーナイ ッシ、ヌー ソーガ(後になったり前になったりして、何をしているか)。
アトゥヌ ゥンジミ 高志保,渡具知,古堅,長田
しまいには。結局。あげくの果て。
- 用例
- アトゥヌ ゥンジミネー(しまいには)。
- メモ
- 音1:アトゥヌ ゥンズミ。
アトゥヌ ゥンズミ 高志保,渡慶次,儀間,古堅,長田
しまいには。あげくの果て。結局。
- 用例
- アトゥヌ ゥンズミネー、ヒンギティ ヲゥラン ナトータン(あげくの果てには、逃げていなくなっていた)。
- メモ
- 音1:アトゥヌ ゥンジミ。
アトゥハチカーグヮー 古堅
{あとはつかごら(後二十日小)}。行事。旧1月21日に、古堅で行った若者同士の交流。
- メモ
- 古堅では、*ハチカソーグヮチ(正月二十日)の翌日、娘たちが御重を作って、男友達にご馳走した。→アトゥグングヮチャー。
アトゥバレー 喜名,渡慶次,儀間
後払い。
- 用例
- ジノー アトゥバレーシ シマビーミ(お金は後払いでいいですか)。
- メモ
- 対:メーバレー(前払い)。
アトゥビサ 喜名,渡慶次,儀間
後ろ足。
- 用例
- ゥンマヌ アトゥビサシ キラッタン(馬の後ろ足で蹴られた)。
- メモ
- 対:メービサ(前足)。
アトゥマサイガフー 喜名,波平,渡慶次,儀間,楚辺,渡具知,古堅,大木
{あとまさりかほう(後勝り果報)}。後の方が優っていること。残り物に福。
- 用例
- アトゥマサイガフーディチ アグトゥ、ヌクヤー ヤティン ムッチ イケー(残りものに福があるというから、残りものでも 持って行きなさい)。
アトゥミ 喜名,高志保,渡慶次,儀間,楚辺,比謝矼
後を追って見届ける。
- 用例
- チャール ソーラー、アトゥミ ッシ ンチ クーワ(どうしているのか、後を追って見てきなさい)。
- メモ
- →アトゥウーイ。
アトゥミ 渡慶次,儀間,楚辺
跡目。後継者。跡継ぎ。
- 用例
- ナームン アトゥミヤ キマトーミシェーミ(あなたの跡継ぎは決まっておいでですか)。
- メモ
- →アトゥサー。
アトゥムドゥイ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺,古堅
後戻り。
- 用例
- アトゥムドゥイ ッシ ケーティ ハイタン(後戻りして帰って行きよった)。
アトゥヤンリ 都屋
{あとうあぶれ(後破れ)}。大寒の後に起きる時化。
アトゥン サチン 喜名,渡慶次,儀間
後にも先にも。
- 用例
- アトゥン サチン、サントー ナランヌール ヤル ムンヌ(後にも先にも、やらなくちゃいけないものなのに)。
アトゥンジンケー 高志保
後ろ向き。
- 用例
- タンメーヤ アトゥンジンケー ッシ(おじいさんは後ろ向きになって)。
- メモ
- 音2:クサーンケー。対:メーンケー(前向き)。
アトゥゥンジー 喜名,渡慶次,儀間
徒競走のスタートで出遅れること。
- 用例
- アトゥゥンジー ッシ ネーン、オーピリ ナタン(出遅れてしまって、ビリになった)。
- メモ
- 対:サチゥンジー(先に出ること)。
アナー 楚辺
昆虫。蟻。
- 用例
- サーターンカイ アナーヌ シガトーン(砂糖に蟻がたかっている)。
- メモ
- →アイコー。
アナガー 高志保,楚辺
屋敷内にある溜池。
- 用例
- トゥティ チェール ヤシェーヤ、アナガーヲゥティ アラレー(取ってきた野菜は、溜め池で洗いなさい)。
- メモ
- 屋敷内の西南に設けられた、2間×1間半ほどの溜池。手足や農具、野菜などを洗った。→アタンガー。
アナガチサン 大木
懐かしい。
- 用例
- タンメー ゥンーメーヌ シャシン ンーチャレー、アナガチサヌ ウビゥンジャチャン(祖父母の写真を見ていたら、懐かしく思いだした)。
アナギ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あの長さ。あのぐらいの長さ。
- 用例
- ユヌ ナガサ ナイヌ グトゥ、アナギンカイ チレー(同じ長さになるように、あの長さに切りなさい)。
アナギナー 渡慶次,儀間,楚辺
あれほどの長さ。
- 用例
- アナギナーヌ ムンシェー、ナガサヂューサヌ チカーラン(あんなに長いものでは、長すぎて使えない)。
アナグイン 座喜味,儀間,楚辺
物事をほじくり返す。詮索する。
- 用例
- ジコー アナグイタン(しつこく詮索された)・座。ンカシヌ ヤナクトゥビケーン アナグイン(昔の悪いことだけをほじくり返す)。否:アナグラン(詮索しない)希:アナグイブサン(詮索したい)過:アナグタン(詮索した)継:アナグトーン(詮索している)。。
アナグー 村史
貝名。シャコ貝。
- メモ
- 類:アファクー・アファケー。
アナクジ 村史
{あなくじ(穴抉)}。潮干狩り。
- メモ
- 干潮時などに、岩礁をほじくり潮干狩りをした。
アナヤー 波平,渡慶次,儀間,楚辺
掘っ建て小屋。穴を掘り、石柱や木柱を使って建てた粗雑な小屋。
- 用例
- アミヌ フイネー、アナヤーンカイ クヮックィタン(雨が降ったら、掘っ立て小屋に隠れた)。
- メモ
- 農業や林業を営む人たちは、近くにアナヤーを造って休憩場にしていた。
アニク 渡慶次,儀間,楚辺
漁具。アイク(網代漁法)で用いる竹で編んだ網代籠。
- 用例
- アニクンカイ カカレーカラー、イヨー ヒンギラランサ(網代にかかったら、魚は逃げられないよ)。
- メモ
- 川や海で魚やエビ、カニなどを獲る時に使った。口縁部を広く編み、中に入るにしたがって漏斗状になっており、獲物が中に入ると出られないように工夫されている。→アイクバーキ。
アヌ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あの。
- 用例
- ワッター ヤーヤ アヌ ヤー ヤサ(私の家はあの家だよ)。
アヌー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あのう。
- 用例
- アヌー、ナマカラ イチュル トゥクローヨー(あのう、今から行くところはね)。
アヌーカヌー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
しどろもどろな様。
- 用例
- アヌーカヌー ッシ、ヌール イチョーラー ワカラン(しどろもどろで、何を言っているのか分からない)。
アヌグトゥ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あのように。あんなに。
- 用例
- アヌグトゥ シル シクチヤ スンドー(あのようにして仕事はするんだよ)。
- メモ
- 音1:アングトゥ。
アヌクル 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あの頃。
- 用例
- アヌクルヌ クチサヤ、ヌーディン イララン(あの頃の苦しさは、何ともいえない)。
アヌッチュ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あの人。
- 用例
- アヌッチュヌ イーヌトゥーイ ヤサ(あの人の言う通りさ)。
アヌトゥチ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あのとき。
- 用例
- アヌトゥチヌ シンカンチャーヤ、ナマン ガンヂュー ソーガヤー(あのときの仲間は、今も元気にしているかな)。
アヌヒャー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
彼奴〔あいつ〕。
- 用例
- アヌヒャーヤ、 チューヤ ヌガーラチェー ナラン(彼奴は、今日は許してはならない)。
アヌヒン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あの辺。
- 用例
- アヌヒンマディ イチーネー、ミール スラー ワカランサ(あの辺まで行ったら、見えるかもしれないよ)。
アヌフージー 喜名,渡慶次,儀間
あのようなもの。
- 用例
- ワンガ キサ イチャシェー、アヌフージー ヤサ(私がさっき言ったのは、あのようなもんだよ)。
- メモ
- 類:アングトールー。
アヌママ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あのまま。
- 用例
- アヌママ、ンカシトゥ ティーチン カワラン(あのまま、昔と何も変わらない)。
アヌユー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あの世。死後の世界。
- 用例
- アヌユー ゥンジマディン、イャー ウンジヤ ワシリランサ(あの世に行ってまでも、あなたの恩は忘れないよ)。
アヌヨー 喜名,伊良皆,渡慶次,儀間,楚辺
あのね。人に注意を与える語。
- 用例
- アヌヨー、チュガ イーシェー ユー チキヨー(あのね、人が言うのはよく聞きなさいよ)。
アヌヨー 喜名,渡慶次,儀間
あのよう。
- 用例
- アヌヨーナ クトゥヌ、アテー ナランサ(あのようなことが、あってはいけないさ)。
アネ 喜名,伊良皆,渡慶次,儀間,楚辺
ほら。
- 用例
- アネ、アリ ヤサ(ほら、あれだよ)。
- メモ
- 音2:アリ・ウネ。類:ウリ・ユー。
アネアネ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あれあれ。ほらほら。
- 用例
- アネアネ、ゥンマヲゥティ ヌー ソーガ(あれあれ、そこで何をしているのか)。
- メモ
- 音2:アリアリ・ウネウネ。類:ウリウリ。
アネー アラン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
そうじゃない。
- 用例
- アネー アランドーレー(そうじゃないってば)。
アネー サン 喜名,高志保,渡慶次,儀間
そうはしない。そうはせず。
- 用例
- アリ ヤレー、アネー サンサ(彼なら、そうはしないよ)。
アネー ヤシガ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
そうなんだが。
- 用例
- アネー ヤシガ、チャーン ナランル アンデー(そうなんだが、どうしようもないんだよ)。
- メモ
- 音2:アン ヤシガ。
アネヒャー 渡慶次,儀間
ええっ。ほら。それみろ。
- 用例
- アネヒャー、ウーティ チューンドー(ほら、追って来るよ)。
- メモ
- 音1:アリヒャー。音2:ウネヒャー・ウリヒャー。
アハー 喜名,座喜味,渡慶次,儀間,楚辺,大湾
ああ、なるほど。そうか。理解した時に発する語。
- 用例
- アハー、アンル ヤティナー(ああ、そうだったのか)。
- メモ
- →音1:アーハー。
アバー 座喜味,伊良皆,上地,波平,都屋,高志保,渡慶次,儀間,宇座,瀬名波,長浜,渡具知,比謝,大湾,古堅,大木
親族語彙。姉。姉さん。
- 用例
- ワッター アバーヤ ユー ハタラチュン(私の姉はよく働く)。
- メモ
- 音2:アワー・ネーネー。
アバーグヮー 座喜味,伊良皆,波平,古堅
親族語彙。姉。姉さん。
- メモ
- 類:ゥンミーグヮー。次姉以下の姉。
アハーッ 親志,古堅
ああ、なるほど。そうか。理解した時に発する語。
- 用例
- アハーッ、アンドゥ イービルイ(ああ、そう言うんですか)。
アバイチリーン 喜名,親志,渡慶次,儀間,楚辺
ひどい目にあう。大変な目にあう。
- 用例
- ドゥーヤカ マギサヌ ムン ムタサッティ、アバイチリタン(自分の体より大きいものを持たされて、ひどい目にあった)。過:アバイチリタン(ひどい目にあった)継:アバイチリトーン(ひどい目にあっている)。。
- メモ
- 本来の意味は「出産時に会陰が裂ける」ことで、その際の大変さを表現したもの。
アハコー 渡慶次,儀間
貝名。サザエ。
アバサー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
いい加減。軽率。
- 用例
- ヰナグングヮヌ、ルク アバサー ナティ(娘が、あまりにも軽率で)。
- メモ
- 類:トゥンバー。
アバサー 喜名,波平,渡慶次,儀間,渡具知,古堅,大木
魚名。ハリセンボン。
アバサーヰナグ 渡慶次,儀間
いい加減な女。軽率な女。
- 用例
- アバサーヰナグ ナテー ナランドー(いい加減な女になってはいけないよ)。
アバシ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
魚名。ハリセンボン。
- 用例
- ウヌ アバシヌ ハーイ ンチ ンディ(そのハリセンボンの針を見てごらん)。
アバチュン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
持て余す。着物などがだぶつく。仕事等を持て余す。
- 用例
- アバーカラ ヰーテーヌ チン ヤグトゥ、アバチョーン(姉からもらった着物なので、だぶついている)。マギシクチ ドゥーチュイシ スンディ ッシ、 アバチョーン(大仕事を一人でやろうとして、持て余している)。
アハハー 喜名,渡慶次,儀間
あはは。声をあげて笑う様。
- 用例
- アハハー シ、ウーワレー ソータン(声を上げて、大笑いしていた)。
アバラー 喜名,渡慶次,儀間
大食いな人。
- 用例
- ワッター ヤーニンジョー、ムル アバラー ヤン(私の家族は、みんな大食いだ)。
アバラガミ 渡慶次,儀間,楚辺
大食い。必要以上に大食いする。加減を知らない食べ方。
- 用例
- アンスカ アバラガミ シーネー、ワタ ヤンジュンドー(そんなに大食いすると、お腹をこわすよ)。
- メモ
- 音2:バーキガミ・フリガミ・ジャーマカミ。
アバリーン 喜名,渡慶次,儀間
暴れる。
- 用例
- ワンガ カラトール ゥンマー、ユー アバリーン(私が飼っている馬は、よく暴れる)。否:アバリラン(暴れない)希:アバリーブサン(暴れたい)過:アバリタン(暴れた)継:アバリトーン(暴れている)。
アヒ 楚辺
あれだけ。
- 用例
- イャー ムノー、アヒ ヤサ(お前のものは、あれだけさ)。
- メモ
- →アッサ。
アビ 親志
えっ。あれ。予想に反した時に発する語。
- メモ
- 音2:アベ・イビ・イビッ・チビ。類:イベ。
アヒー 喜名,渡慶次,儀間
親族語彙。兄。兄さん。
- 用例
- アヒーヤ シクチン サンヨーイ、アシビーガ イチュタン(兄さんは仕事もせずに、遊びに行きよった)。
- メモ
- 音1:アフィー。→アッピー。
アビーウドゥルカスン 喜名,渡慶次,儀間
大声で驚かす。大声でびっくりさせる。
- 用例
- ウッピナー アビーネー、アビーウドゥルカスンドー(そんなに大声を出したら、びっくりさせるよ)。
アビーグィー 喜名,親志,渡慶次,儀間,楚辺
叫び声。喋り声。
- 用例
- アビーグィーヌ チカリーシガ、ター ヤガ(叫び声が聞こえるが、誰かな)。
アビーチラカスン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
大声を出して騒ぎ立てる。
- 用例
- チュヌ ヤーヲゥティ、アンシ アビーチラカスンディチン アンナー(人の家で、そんなに大声を出して騒ぎ立てるってこともあるか)。否:アビーチラカサン(大声を出さない)希:アビーチラカシーブサン(大声を出したい)過:アビーチラカチャン(大声を出した)継:アビーチラカチョーン(大声を出している)。
アビーン 喜名,高志保,渡慶次,儀間,楚辺,渡具知,大木,牧原
①大声で話す。喋る。②ほえる。③呼ぶ。招待する。
- 用例
- ① アビンナ ディーグトゥ、アビラランサ(黙れと言うから、話せないさ)。チカラングトゥ、チャッピナー アビレー(聞こえないから、もっと大きな声で話しなさい)。ウヌ クトー ターニン アビンナヨー(そのことは誰にも喋るなよ)。否:アビラン(話さない)希:アビーブサン(話したい)過:アビタン(話した)継:アビトーン(話している)。②ウヮーヌ アビトーンドー(豚が鳴いているよ)。③タンメー アビティ クーワ(おじいさんを呼んできなさい)。キューキューシャ アビレー(救急車を呼べ)。スージネー ケートゥナイ アビーン(お祝いには隣近所を招待する)。否:アビラン(招待しない)希:アビーブサン(招待したい)過:アビタン(招待した)継:アビトーン(招待している)。
- メモ
- 類:ユブン。
アヒグヮー 楚辺
少々。たったあれだけ。
- 用例
- イャーガ トゥティ チェーシェー、アヒグヮール ヤンナー(お前が取ってきたのは、たったあれだけなのか)。
- メモ
- 音1:アフィグヮー。→アッサグヮー。
アヒナー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あれほどの大きさ。あんなに大きい。
- 用例
- イッター ウヤヌ ヤーヤ、アヒナーヌ ヤシチ ヤル(お前の実家は、あんなに大きな屋敷だね)。
- メモ
- 音1:アフィナー。→アッピナー。
アビビー 渡慶次
ええっ。きゃあ。びっくりした時に発する語。
アヒャー 座喜味,渡慶次,儀間,楚辺,古堅,長田
哺乳類。母豚。繁殖用雌豚。
- 用例
- アヒャー ソーティ アッチョーン(繁殖用の雌豚を連れて歩いている)。
- メモ
- 音2:アヒャーウヮー。類:ナサーウヮー。
アビヤー 喜名,座喜味,渡慶次,儀間
よくしゃべる人。おしゃべり。
- 用例
- イャーヤ アンチュカ アビヤー ヤル(お前はとってもおしゃべりだね)。
- メモ
- 類:②サンサナー・パークー・ベーラー・ユンタクー。対:ダマヤー・ムンイヤンヌー・ムヌイランヌー(無口な人)。
アビヤーアビヤー 喜名,伊良皆,渡慶次,儀間
声高に叫ぶ様。
- 用例
- アビヤーアビヤー ソーン(声高に叫んでいる)。アマヲゥティ ヌー アビヤーアビヤー ソーガヤー(あそこで何をアビヤーアビヤーしているのかな)。
アビヤークィーヤー 渡慶次,儀間,楚辺
わいわい騒ぐ様。
- 用例
- アビヤークィーヤー ソーシガ、ヌー ヤガヤー(わいわい騒いでいるが、なにかなあ)。
アビヤースン 喜名,渡慶次,儀間,古堅
①喋りまくる。わめく。②鳴きまくる。
- 用例
- ①タイナムンヌ アマヲゥティ アビヤーチョーンドー(ふたりの者が、あそこでわめいているよ)。②ヘーク ムン クィランネー ウヮーヌ アビヤースンドー(早く餌をやらないと、豚が鳴きまくるよ)。否:アビヤーサン(わめかない)希:アビヤーシーブサン(わめきたい)過:アビヤーチャン(わめいた)継:アビヤーチョーン(わめいている)。
アビヤーティーヤー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺,大木,牧原
言い争う様。喧喧ごうごう。
- 用例
- アビヤーティーヤー ソーシガ、マーン ヤマサンガヤー シワ ヤサ(言い争っているが、どこも怪我しないか心配だ)・儀。
アヒャーウヮー 伊良皆,大湾,牧原
哺乳類。母豚。繁殖用雌豚。
- メモ
- →アヒャー。
アビヨイ 比謝矼
ええっ。あれまあ。驚いた時に発する語。
- メモ
- 音2:アビヨー。
アビヨー 座喜味,大湾,比謝矼,長田
ええっ。あれまあ。驚いた時に発する語。
- 用例
- アビヨー、デージ(あらまあ、大変)。
- メモ
- 音2:アビヨイ。
アヒラー 喜名,座喜味,伊良皆,渡慶次,儀間,長浜,楚辺,大湾,古堅
鳥名。アヒル。
- 用例
- ヒミチンカイヤ、アヒラージル クスイ ヤンディサ(喘息には、アヒル汁が効くそうだよ)。
アヒラーバイ 座喜味,大湾,古堅
アヒルのように体を左右に揺らして歩くこと。
アヒラーマジムン 渡慶次,儀間,楚辺
アヒルの妖怪。
- 用例
- フルミシゲー アマクマンカイ ヒティーネー、アヒラーマジムンヌ ゥンジーンドー(古い杓文字をあちこちに捨てたら、アヒルの妖怪が出るよ)。
- メモ
- 読谷に伝承される動物の妖怪のひとつ。
アビラウンケン 渡具知
渡具知の拝所の名前。梵字碑。

- メモ
- 「ア ビ ラ ウン ケン」と読める梵字五文字が刻まれた石碑。「地・水・火・風・空」を意味し、防災厄除の働きがあるともいわれた。建立の詳細は不明であるが、16世紀前半琉球で布教した僧侶日秀上人に関連すると推測されている。石碑は津口、海を見渡せる位置にあり、航海安全の祈願のため建立されたとも考えられる。
アブ 座喜味
洞窟。洞穴〔ほらあな〕。
- 用例
- ウミヌ アブカラ キジムナービーヌ バンナイ アッチャギーン(海の洞穴にキジムナー火がたくさん行き交っている)。
- メモ
- 類:ガマ。
アファー 喜名,渡慶次,儀間,古堅,大木
白け。気まずいこと。
- 用例
- アファー ナティ、ケーティ チャン(白けて、帰ってきた)。アン イラッティ、アファー ナタン(そう言われて、気まずかった)。
アファクー 喜名
貝名。二枚貝。
- 用例
- アファクーグヮーヌ シル チュクタン(二枚貝の汁を作った)。
- メモ
- 音1:アファケー。→アナグー。
アファグチャー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺,古堅
薄口。薄味を好む人。
- 用例
- ルク アファグチャー ヤグトゥ、ナー イフェー ソーユーンデー イリレーワ(あまりにも薄口だから、もう少し醤油でも入れなさい)。ワー トゥジェー アファグチャー ヤン(私の妻は薄味を好む人だ)。
- メモ
- 対:スーヂューグチャー(濃口)。
アファケー 渡慶次,儀間,楚辺,大湾
貝名。二枚貝。
- 用例
- ハーマンカイ イチーネー ムル アファケール ヤタル(浜に行くとハマグリだらけだった)。
- メモ
- 音1:アファクー。→アナグー。
アファサン 喜名,座喜味,渡慶次,儀間
味が薄い。

- 用例
- ウヌ シロー アファサンレー、ナー イフェー ンス イリレー(その汁は味が薄いので、もう少し味噌を入れなさい)。
- メモ
- 音1:アワハン。対:スーヂューサン(味が濃い)。
アファティーン 楚辺
慌てる。急ぐ。
- 用例
- アファティティ トゥンジーネー(急いで飛び出すと)。
アファナカーニンジ 渡慶次,儀間,楚辺
仰向けで寝る。
- 用例
- クサミチ、アマヲゥティ アファナカーニンジ ソーサ(怒って、あそこで仰向けに寝ているよ)。
- メモ
- 音1:アファナチャーニンジ。対:ウッチンカーニンジ(うつぶせ寝)。
アファナチャーニンジ 大木
仰向けで寝ること。
- メモ
- →アファナカーニンジ。
アファナチュン 座喜味,高志保,古堅,大木
ふて寝する。寝るの卑語。
- 用例
- サンラーヤ アマヲゥティ アファナチョーン(三良は向こうでふて寝している)。
アファムン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺,渡具知
薄味の物。味気のない物。
- 用例
- メーナチ、アファムンビカーン カマサットーン(毎日味が薄いものだけ食べさせられている)。
アブイ 大湾
馬具名。鐙〔あぶみ〕。
アフィー 座喜味,渡具知,大湾,牧原,長田
親族語彙。兄。兄さん。
- メモ
- 音1:アヒー。→アッピー。
アフィグヮー 大木
少々。たったあれだけ。
- メモ
- 音1:アヒグヮー。→アッサグヮー。
アフィナー 大木
あれほどの大きさ。あんなに大きい。
- メモ
- 音1:アヒナー。→アッピナー。
アブー 楚辺
昆虫。虻〔アブ〕。
- 用例
- ウヒナーヌ アブー ヤル(こんなにも大きな虻だね)。
アブカー 渡慶次,儀間,楚辺
泡。あぶく。
- 用例
- クヌ サフンヤ アブカーン ゥンジラン(この石鹸は泡も出ない)。
- メモ
- 音1:アブクー。→アー。
アブクー 渡慶次,儀間,楚辺
泡。あぶく。
- 用例
- アブクーヌ ウスマサ ゥンジトーン(泡がとってもよく出ている)。
- メモ
- 音1:アーブク・アブカー。→アー。
アブクン 楚辺
息切れする。物事の途中で力尽きる。
- 用例
- アンシ ハーエー シーネー、ヤガテー アブクンドー(そんなに走ると、やがては息切れするよ)。ワンネー アブチョーサー(私は息切れしているさ)。否:アブカン(息切れしない)過:アブチャン(息切れした)継:アブチョーン(息切れしている)。
アブシ 喜名,座喜味,伊良皆,渡慶次,儀間,長浜,楚辺,大木
畦〔あぜ〕。田や畑の境に土を盛り上げて、仕切りにした所。
- 用例
- アブシヲゥティ イフェー ユックラナ(畦で少し休もうよ)。
アブシガタミ 村史
畦固め。水が漏れないように田圃の周囲の畦を固めること。
- メモ
- 田拵えの一連の作業のひとつで、荒起こしを済ませたあとに行った。
アブシバレー 喜名,親志,座喜味,伊良皆,上地,波平,都屋,高志保,渡慶次,儀間,宇座,瀬名波,長浜,楚辺,渡具知,比謝,大湾,古堅,大木,比謝矼,牧原,長田
{あぶしばらひ(畦払い)}。行事。旧4月15日、16日に行われる虫払いの行事。畦の除草、田畑の害虫駆除、農作祈願を行う。
- 用例
- アブシバレーネー クヮッチーン マンディ、タヌシミ ヤタン(アブシバレーにはご馳走もたくさんあって、楽しみだった)。アブシバレーネー ハルシクチェー ユックティ、スビガニクンカイ ゥンジャン(アブシバレーには畑仕事を休んで、楚辺兼久に行った)。
- メモ
- 音2:シングヮチアブシバレー。旧4月15日を*サキアブシバレー、16日を*アトゥアブシバレーといった。当日は物忌みで、肥料の扱いや畑仕事、針仕事、山に行くことが禁じられ、禁を犯すとハブが入るといわれた。楚辺や座喜味では、バッタなどの虫を麦の殻や青葉に乗せて、海や川に流した。*スビガニク(楚辺兼久)では、2日間にわたって*ゥンマハラセーが行われ、村内外から見物客が訪れ、多くの出店で賑わった。また、*スビポーポーを作って、親戚や友人をもてなし、夜は青年達による沖縄角力も行なわれた。海に近い渡慶次、儀間、渡具知では舟遊びをする者も多かった。伊良皆では、15日はスビガニクへ競馬を見に行き、16日は字内で闘牛大会を催した。
アブシバレーヂン 都屋,楚辺
琉球競馬見物に着ていく着物。
- メモ
- 音2:ゥンマミーヂン・カタノーヂン。アブシバレーの時に行われる競馬を見に行くための着物を、新調する者もいた。
アブシマックヮ 渡慶次,儀間,楚辺
{あぶしまくら(畦枕)}。稲穂が畦に枕をしているかのように垂れていること。豊作を表す語。
- 用例
- ゥンニヌ アブシマックヮ スカ ユカトーン(稲穂が畦にもたれかかるほど実っている)。
アブシミチ 楚辺,古堅
畦道。
- 用例
- ゥンマヌ アブシミチンジ ユックトーケー(そこの畦道で休んでいなさい)。
アブチュン 渡慶次,儀間
蒸し暑い。
- 用例
- カジ ティーチン ネーン、アブチュンヤー(風ひとつもなく、蒸し暑いね)。否:アブカン(蒸し暑くない)継:アブチョーン(蒸し暑くなっている)。
- メモ
- 音2:フミチュン。類:シプタイアチサン・フミクン。
アブチュン 渡慶次,儀間
吹きこぼれる。
- 用例
- ヘーク フタ アキレー、アブチョーンドー(早く蓋を開けなさい、吹きこぼれているよ)。否:アブカン(吹きこぼれない)継:アブチョーン(吹きこぼれている)。
アブナサン 渡慶次,儀間,楚辺
危ない。
- 用例
- ゥンマー ユク アブナサン(そこはかえって危ないよ)。
- メモ
- 音1:アブナハン。類:ウカーサン・ウッカーハン。
アブナハン 楚辺
危ない。
- 用例
- ヤガティ ゥンマンカイ ケーリティ チュール フージーグヮー ナー ナタグトゥ、アブナーハルムン(やがてそこに倒れてくるようになったので、危ないのに)。
- メモ
- →音1:アブナサン。
アブン 楚辺
窪〔くぼ〕み。
- 用例
- アブンカイ ヒサ チックリカラヤー(窪みに足を突っ込んでからはね〈大変だよ〉)。
- メモ
- 音1:クブン。類:クブー。
アベ 座喜味,長浜
えっ。あれ。予想に反した時に発する語。
- メモ
- →アビ。
アベアベ 喜名,渡慶次,儀間
あれあれ。予想に反した時に発する語。
- 用例
- アベアベ、イャーヤ ゥンマンカイル ヲゥティナー(あれあれ、あなたはそこにいたの)。
- メモ
- 類:イビイビ。
アベー 喜名,座喜味,波平,渡慶次,儀間,瀬名波,長浜,楚辺,渡具知,古堅
ええっ。あれ。ああもう。予想に反した時に発する語。
- 用例
- アベー、アン イチン アンナー(ええっ、そんなこともあるの)。
- メモ
- →チャベー。
アボーチ 高志保,儀間
土手。
- 用例
- ワー ウヤーヤ、ハルヌ アボーチヌ カタハラーンケー(私の親はね、畑の土手の傍らに)。
- メモ
- 音1:アモーチ。類:アムトゥ。
アマ 喜名,親志,座喜味,伊良皆,上地,波平,都屋,高志保,渡慶次,儀間,瀬名波,長浜,楚辺,渡具知,比謝,大湾,古堅,大木,比謝矼,牧原,長田
あそこ。あっち。あちら。
- 用例
- ドゥーチュイ アマンカイ イチュシェー マシ ヤサ(一人であそこに行ったほうがいいよ)。ヤクン タッタンシェー、アマンカイ イチクヮレー(役にも立たないのは、あそこに行きやがれ)。アマンジ ヰレー(あそこで座れ)。
アマイ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
余り。
- 用例
- チカティ アマイヤ ムッチ ケーイサ(使って余ったのは持って帰るさ)。
- メモ
- 対:フスク(不足)。
アマイカンジュン 喜名,渡慶次,儀間
有り余る。
- 用例
- アマイカンティ、ジャーフェー ナトーン(有り余って、厄介なことになっている)。ユカイ アマイカントーン(かなり有り余っている)。否:アマイカンラン(有り余らない)過:アマイカンタン(有り余った)継:アマイカントーン(有り余っている)。
アマイヌクサー 喜名,渡慶次,儀間
余り物。
- 用例
- ニッカ チューグトゥ、アマイヌクサール アタイサ(遅くくるから、余り物しかないよ)。
- メモ
- 音2:アマヤー。
アマイユ 楚辺
魚名。ミナミクロサギ。
- 用例
- ワッタヤ ユー アマイユ トゥイガ イクタン(私たちはよくアマイユを取りに行きよった)。
アマイン 喜名,渡慶次,儀間
余る。
- 用例
- ムルカイ ハジン アマイン(皆に配っても余る)。ムルカイ ハジーネー、フスクル スル、アマランサ(皆へ配ったら、不足するのであって、余らないよ)。否:アマラン(余らない)過:アマタン(余った)継:アマトーン(余っている)。
アマカー 伊良皆
比謝川の嘉手納側の岸近くにあった湧泉の名称。
アマカービラ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺,大湾,牧原
天川坂。嘉手納の地名。
- メモ
- 湧泉*アマカーにちなんだ坂道の名称。戦前は石畳の急な坂道で明治期に県道が開通した際に迂回路が造られた。1609年薩摩の侵攻の際には、神女の指揮下に嘉手納の夫人たちが熱いお粥を炊いて坂の上から熱々のお粥を流し、薩摩軍の侵攻を防ごうとしたと言い伝えられる。
アマガカー 座喜味,渡慶次,儀間,長浜,大木,比謝矼,牧原
両生類。アマガエル。
- 用例
- アマガカーヌ ナチョールムン、ヤガティ アミ フイサ(雨蛙が鳴いているから、やがて雨が降るよ)。
- メモ
- 類:アマガク。あまのじゃくな人に対しても使われる。沖縄の民話に親の言うことに反対ばかりする「雨蛙不孝」がある。
アマカカイクマカカイ 大木
あちこちに助けを求める様。
- 用例
- イサヌヤー アマカカイクマカカイ シン、イッチン マシェー ナラン(病院をあちこちかかっても、ちっともよくならない)。
アマガカラー 楚辺
両生類。アマガエル。
- 用例
- アマガカラーヨー、アレー マタ ウヤフコーヤンリー((雨蛙よ、あれはまた親不孝なんだって)。
- メモ
- 類:アマガカー・アマガク。
アマガク 喜名,伊良皆,都屋,高志保,儀間,楚辺,大木
両生類。オキナワアマガエル。アマガエル。
- メモ
- →アマガカー。
アマガサ 渡慶次,儀間
雨傘。
- 用例
- アミ フトールムン、クヌ アマガサ カンティ イケー(雨が降っているのに、この雨傘を被って行きなさい)。
アマガシ 喜名,親志,座喜味,伊良皆,波平,渡慶次,儀間,宇座,瀬名波,長浜,楚辺,渡具知,大湾,古堅
{あまかす(甘粕)}料理。大麦や小豆などで作ったぜんざい風の物。
- 用例
- グングヮチグニチネー、カンナージ アマガシ チュクティ、ソーブヌ ファー ウキティヤ、マチリ シーヨーヤー(五月五日には、必ずアマガシを作って、菖蒲の葉を浮かせては、祀りなさいよ)。
- メモ
- 旧5月5日の菖蒲の節供には、大麦と小豆を煮て、団子と黒糖を加えたアマガシを作り仏壇に供えた。伊良皆では、*ウニゲーシ(鬼返し)として食した。既刊村史には甘酒の一種という訳もあり、昔は麹を加え発酵させたものもあったようだ。
アマクマ 喜名,座喜味,高志保,渡慶次,儀間,長浜
あちこち。
- 用例
- アマクマカイ ウチャレー、マーンカイガ ウチャラー ワカラン ナトーン(あちこちへ置いたら、どこに置いたのか分からなくなっている)。
アマグム 上地,儀間
雨雲。
- メモ
- 音1:アミグム。音2:アミヌミーグム・アミフイグム。
アマサー 喜名,伊良皆,渡慶次,儀間
持て余している人。暴れん坊。やんちゃ坊。
- 用例
- ワラビヌ アマサー ナティ、アジカヤーン ヲゥランサ(子どもがやんちゃ坊主なので、預かる人もいないよ)。
- メモ
- 男の子に対して使うことが多い。
アマサーイクマサーイ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あちこち触っている様。
- 用例
- クヌ ワラベー、アマサーイクマサーイ ッシ(この子どもは、あっちこっち触りまくって)。
アマザキ 宇座
{あまざけ(甘酒)}。黒糖で作る酢のこと。

- 用例
- サーター チクティヌ アトゥヌ ナービシ ヘーイヤ チュクタン(製糖した後の鍋で酢を作った)。
- メモ
- 類:シー・ヘーイ。製糖後の大鍋に水を入れて鍋肌に付いている黒糖を溶かすように煮詰めた後、甕に入れて酢を作った。
アマサグイクマサグイ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あちこち探っている様。
- 用例
- アマサグイクマサグイ、ヌー カメートーガ(あっちこっち探って、何を探しているか)。
アマサン 喜名,親志,座喜味,伊良皆,上地,都屋,渡慶次,儀間,宇座,渡具知,比謝,大湾,古堅,大木,比謝矼,牧原
甘い。

- 用例
- クヌ クヮーシェー イッペー アマサン(このお菓子はとても甘い)。
- メモ
- 音1:アマハン。対:カラサン・カラハン(辛い)。
アマシタムン 渡慶次,儀間,楚辺
度を越した者。手に負えない者。
- 用例
- アンチュカ アマシタムン ヤル(なんて手に負えない奴だ)。
アマスン 座喜味,渡慶次,儀間,楚辺
持て余す。手を焼く。やんちゃ。
- 用例
- クヌ ワラベー アマスンヤー(この子どもは手を焼くね)。否:アマサン(手を焼かない)過:アマチャン(手を焼いた)継:アマチョーン(手を焼いている)。
- メモ
- 音2:ムティアマスン。類:シクェーイン・スックェーイン。
アマダイ 座喜味,伊良皆,渡慶次,儀間,楚辺,古堅
雨垂れ。軒。
- 用例
- アミ フイグトゥ、アマダインカイ ヲゥトーキヨーヤー(雨が降るから、軒下にいなさいよ)。アマダイヌ シチャ(軒下)。
- メモ
- 音1:アマデー・アマライ・アマレー。
アマダイミジ 座喜味,渡慶次,儀間,楚辺
雨垂れ水。軒から落ちる雨水。
- 用例
- ミジヌ フスク シ、アマダイミジ タミティ チカトーン(水が不足して、雨水を溜めて使っている)。
- メモ
- 音1:アマライミジ。
アマダイムシ 座喜味,古堅
節足動物。ヤスデ。
- メモ
- 音1:アマデームシ。→アーメージャー。
アマチカンクマチカン 渡慶次,儀間,楚辺
あちらにつかず、こちらにつかず。あちこち動きまわって落ち着きがない様。
- 用例
- クヌ ワラベー、アマチカンクマチカン、ウティチチン ネーン(この子どもは、あちこち動きまわって、落ち着きがない)。
アマッテン 渡慶次,儀間
甘々と。甘く。
- 用例
- イチュビヌ アマッテン シ、マーサギサヨー(苺が甘々としていることよ、美味しそうだね)。
アマデー 渡具知,比謝
雨垂れ。軒。
- メモ
- 音1:アマダイ・アマライ。
アマデームシ 古堅,大木
節足動物。ヤスデ。
- メモ
- 音1:アマダイムシ。→アーメージャー。
アマナシクマナシ 渡慶次,儀間,楚辺
物をあちこち動かす様。
- 用例
- ニムチェー アマナシクマナシ サンケー(荷物はあちこちに動かすな)。
アマニンクマニン 喜名,渡慶次,儀間,古堅
あっちにもこっちにも。
- 用例
- アマニンクマニン ハンナギランケー(あっちにもこっちにも放り投げないでよ)。
- メモ
- 音2:マーニンクィーニン。
アマヌブイクマヌブイ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あっちに上ったりこっちに上ったりしている様。
- 用例
- アマヌブイクマヌブイ ッシ、アブナサヌ(あっちこっち上って、危ないよ)。
アマハイクマハイ 喜名,座喜味,渡慶次,儀間,楚辺,大湾,古堅
あっち行きこっち行きする様。
- 用例
- イャーヤ アマハイクマハイ ッシ、マー アッチョーガ(お前はあっちこっち行って、どこをほっつき歩いているのか)。
- メモ
- →アマゥンジャイクマゥンジャイ。
アマハジ 波平,渡慶次,儀間,楚辺,大湾
{あまはじ(雨端)}。軒。軒下の空間部分。
- 用例
- イャー ムン チノー、アマハジカイ フーチェーサ(お前のものである着物は、軒下に干してあるよ)。
アマハン 波平,高志保,瀬名波,長浜,楚辺
甘い。

- 用例
- ウヌ ムーチーヤ アマハンデー(その餅は甘いよ)。
- メモ
- →音1アマサン。
アマヒンギクマヒンギ 喜名,渡慶次,儀間
あっちこっち逃げ回る様。
- 用例
- アレー アマヒンギクマヒンギ ソーンドー(彼はあっちこっちに逃げ回っているよ)。
アママガイクママガイ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あちこち曲がりくねっている様。
- 用例
- イャー ムノー、アママガイクママガイ シ チカーランサ(お前のものは、あちこち曲がって使えないよ)。
- メモ
- 音2:マガイヒガイ・マガヤーマガヤー・マガルーヒガルー。類:ヨーガーヒーガー。
アマミークマミー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あちこち見回している様。
- 用例
- アマミークマミー ッシ、ヌー ンチョーガ(きょろきょろして、何を見ているのか)。
アマミジ 渡慶次,儀間,楚辺
雨水。
- 用例
- アマミジヤ タミトーキヨーヤー(雨水は溜めておきなさいよ)。アマミジグヮーヌル タトータラー、ニンジュー ウヌ カーメー ミジヌ アイ(雨水が垂れていたのか、年中その甕は水があるし)。
アマムイ 喜名,渡慶次,儀間
雨漏り。
- 用例
- アマムイ ッシ、ユカン ンリトーン(雨漏りして、床も濡れている)。
アマムティ 古堅,大木
あちら側。あそこの方。
- メモ
- 音1:アマムティー。→アガタムティー。
アマムティー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あちら側。あそこの方。
- 用例
- アマムティーンカイ ヤティン、ウッチャンナギトーケー(あそこの方にでも、放っておきなさいよ)。
- メモ
- 音1:アマムティ。→アガタムティー。
アマムン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
甘い物。

- 用例
- マルケーテー アマムン フーサンヤー(たまには甘い物が欲しいね)。
- メモ
- 対:カラムン(辛い物)。
アマムンジョーグー 喜名,渡慶次,儀間
{あまものじゃうご(甘物上戸)}。甘い物が好きな人。
- 用例
- ヰナグンチャーヤ、アンシ アマムンジョーグー ヤル(女の人たちは、なんて甘い物好きなんだね)。
- メモ
- 対:カラムンジョーグー(辛い物のが好きな人)。
アマヤー 喜名,渡慶次,儀間
余り物。
- 用例
- アマヤーヤ アマンカイ ウッチェーサ(余り物はあそこに置いてあるよ)。
- メモ
- →アマイヌクサー。
アマヰークマヰー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あちこちに座って落ち着かない様。
- 用例
- アマヰークマヰー サンヨークー、ヘーク チュトゥクマンカイ ヰラニ(あちこちに座らないで、早くひと所に座らないか)。
アマユミクマユミ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あっち読みこっち読み。飛ばし読み。
- 用例
- アマユミクマユミ サレー、イミクジン ワカラン ナトーン(あっちこっち飛ばし読みしたら、意味が分からなくなっている)。
アマラ 村史
漁具。漁〔いさ〕りランプのひとつ。
- メモ
- 柄杓状の金網に松の芯を入れて燃やし、漁りの灯りにした。
アマライ 渡慶次,儀間,楚辺
雨垂れ。軒。
- 用例
- アマラインカイ クヮックトーン(軒に隠れている)。
- メモ
- 音1:アマダイ・アマデー・アマレー。
アマライミジ 渡慶次,儀間,楚辺
雨垂れ水。軒から落ちる雨水。
- 用例
- アマライミジ、ミジガーミンカイ タミトーン(軒から落ちる水を、水甕に貯めている)。
- メモ
- 音1:アマダイミジ。
アマリカー 喜名,高志保,渡慶次,儀間,長浜,楚辺,古堅
あの辺り。あちら辺り。
- 用例
- ワランチャーヤ、アマリカーヲゥティ アシローン(子どもたちは、あの辺りで遊んでいる)。アマリカーンカイ ヒンギティ ハイタン(あちら辺へ逃げて行きよった)。
- メモ
- 音2:アマンデー。類:アリカー。
アマルカ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
余るほど。
- 用例
- カムシェー アマルカ アイル スル(食べるものは余るほどあるよ)。
アマルカナー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
有り余る様。
- 用例
- アマルカナー ムッチ チューンディチン アンナー(有り余るほど持ってくるってこともあるか)。
アマレー 楚辺,渡具知,比謝
雨垂れ。軒。
- 用例
- アマレーヌ ヒチャヲゥティ アミ ハラサヤー(軒下で雨晴らそうね)。
- メモ
- 音1:アマダイ・アマデー・アマライ。
アマレーヒチャ 楚辺,渡具知,比謝
軒下。雨落ち。
アマン 楚辺
甲殻類。ヤドカリ。
- 用例
- アキサミヨー、アマンヌ マンドーシヨー(きゃああ、ヤドカリの多いことよ)。
- メモ
- 音1:アーマン。
アマングヮー 村史
針突文様の名称。
- メモ
- 類:マルブシ。両掌中央と左手首に施された丸い形の文様。
アマンジャナー 長浜,楚辺,渡具知
天降〔あまお〕り加那〔かな〕。阿麻和利。
- メモ
- 15世紀中頃に勝連按司として活躍し、「護佐丸・阿麻和利の変」を起した。これを題材とした組踊では敵役として有名である。
アマンジャナーセー 村史
子どもの遊び。阿麻和利に扮しての闘いごっこ。
アマンジャラーバカ 楚辺
阿麻和利の墓。
- メモ
- 類:ヤラバカ・ヤリバカ。→アマンジャナー。
アマンチュー 高志保
創造神の呼称。天の人。
- メモ
- →音1:アマンチュー。
アマンデー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あの辺り。あちら辺り。
- 用例
- ネーランラー、アマンデー カメーティ ンディ(ないんだったら、あそこら辺を探してごらん)。
- メモ
- →アマリカー。
アマゥンジャイクマゥンジャイ 座喜味
あっち行ったりこっち行ったりする様。
- メモ
- 音2:アマハイクマハイ。
アミ 喜名,親志,座喜味,伊良皆,上地,波平,都屋,高志保,渡慶次,儀間,宇座,瀬名波,長浜,楚辺,渡具知,比謝,大湾,古堅,大木,比謝矼,牧原,長田
雨。
- 用例
- アミ フイギサー ッシ、ヘークナー ヤーカイ ケーラナ(雨が降りそうだから、早く家へ帰ろう)。
アミ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺,比謝,大湾
網。
- 用例
- ウリカーンジ、アミ シカキーシェー マシ ヤサニ(そこら辺で、網を仕掛けたらいいんじゃない)。
アミアンダー 座喜味,大湾
網脂〔あみあぶら〕。豚や山羊などの内臓をおおっている網状の脂。
アミーン 喜名,座喜味,渡慶次,儀間,楚辺
浴びる。水浴する。入浴する。
- 用例
- チューヤ ルク イチュナサヌ、ナマカラ アミーン(今日はあまりにも忙しくて、今から浴びる〈風呂に入る〉)。否:アミラン(浴びない)希:アミーブサン(浴びたい)過:アミタン(浴びた)継:アミトーン(浴びている)。
- メモ
- 風呂に入ることにもアミーンと使うことが多い。
アミカジ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
雨風。
- 用例
- マギキー イートーチーネー、アミカジ フシジュン(大きな木を植えておくと、雨風を防ぐ)。
アミクェームージ 楚辺
{あめくらひもじ(雨食らいもじ)}。虹。

- 用例
- アミアガイヌ アミクェームージヌ チュラサヨー(雨上がりの虹のきれいなことよ)。
- メモ
- 音2:ムージ。類:ヌージ・ノージ・ノージャ・ニジ。
アミグム 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
雨雲。
- 用例
- アミグムヌ ゥンジトーグトゥ、ヤガティ アミ フインドー(雨雲が出ているから、やがて雨が降るよ)。
- メモ
- →音1:アマグム。
アミコーイン 喜名,都屋,渡慶次,儀間,楚辺
調合する。
- 用例
- ティンプラー アギーグトゥ、アミコーイン(天ぷらを揚げるから、衣を準備する)。否:アミコーラン(調合しない)希:アミコーイブサン(調合したい)過:アミコータン(調合した)継:アミコートーン(調合している)。
- メモ
- 石灰に藁・水を混合して漆喰を作ることにもいう。
アミシーン 喜名,座喜味,儀間
浴びせる。沐浴〔もくよく〕させる。
- 用例
- フーチバー イッティ、ワラビ アミシーン(よもぎを入れて、子どもを浴びせる〈風呂に入れる〉)。否:アミシラン(浴びせない)希:アミシーブサン(浴びせたい)過:アミシタン(浴びせた)継:アミシトーン(浴びせている)。
アミジャー 大湾,古堅
ミミズに似た小さな虫。触ると青白く光り、湿地に生息している。
アミジャー 喜名
両生類。オタマジャクシ。
- メモ
- →アミヌミーックヮ。
アミスミヤー 座喜味,都屋
魚網の染料。魚網の強度を上げるために使った豚の血のこと。
- メモ
- 都屋の漁師は、雇っていた子どもたちを比謝矼の屠殺場へ豚の血を買いに行かせた。
アミダカー 波平
両生類。オタマジャクシ。
- メモ
- →アミヌミーックヮ。
アミタボリ 瀬名波,長浜
{あめたびおはれ(雨結び御座れ)}。雨乞い。
- メモ
- 「アミ タボリ(雨を降らせてください)」と言って、雨乞いをした。
アミタマグ 喜名,座喜味,渡慶次,儀間,楚辺
魔除けとして投げ網や使い古した網に卵を入れたもの。
- 用例
- ンカシェー クヮ ナシーネー、アミタマグ サギータン(昔は子どもが生まれると、網に入れた卵を下げよった)。
- メモ
- 出産後に魔除けとして、産室の周囲に張り巡らした左縄にアミタマグを下げ、歌三線で夜伽をした。
アミダムシ 長浜
節足動物。ヤスデ。
- メモ
- →アーメージャー。
アミチユ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
雨露。
- 用例
- ヤーヤ グナサティン、アミチユ シヌゲー スムサ(家は小さくても、雨露を凌げばいいさ)。
アミチュージ 喜名,渡慶次,儀間,長浜,楚辺,渡具知,比謝
湯灌〔ゆかん〕。遺体を荼毘〔だび〕に付す前に浴びせ清めること。
- 用例
- ンカシェー、アミチュージヤ イェーカンチャーシル スタンドー(昔は、湯灌は身内でやりよったんだよ)。
- メモ
- 湯灌に使う水を男性2人で汲みに行き、水にお湯を継ぎ足して使った。
アミチュクヤー 都屋
網繕いをする人。
アミックヮー 大湾,古堅
両生類。オタマジャクシ。

- メモ
- →アミヌミーックヮ。
アミナー 喜名,牧原
両生類。オタマジャクシ。
- メモ
- →アミヌミーックヮ。
アミヌックヮー 波平
両生類。オタマジャクシ。
- メモ
- →アミヌミーックヮ。
アミヌックヮグヮー 楚辺
両生類。オタマジャクシ。
- メモ
- →アミヌミーックヮ。
アミヌミーグム 楚辺
雨の目雲。雨雲。
- 用例
- ンーチ ンディ、アミヌミーグムガ マックール ソーサ(見てごらん、雨雲が真っ黒くしているよ)。
- メモ
- →アマグム。
アミヌミーックヮ 楚辺
両生類。オタマジャクシ。

- 用例
- アミヌミーックヮ トゥティ アシローン(オタマジャクシを取って遊んでいる)。
- メモ
- →アミヌミーックヮ。
アミヌムー 比謝矼
馬具作りの際に帆布など厚手の物を縫うときに使った糸。
アミフイ 喜名,上地,波平,高志保,渡慶次,儀間,楚辺,大木
雨降り。
- 用例
- アミフイ ナティ、マーニン イカランサ(雨降りなので、どこにも行けないよ)。アミフイネー、トゥイヌン カックィン(雨降りには、鳥でも隠れる)。
アミフイギサー 喜名,渡慶次,儀間
雨が降りそうな天気。
- 用例
- マックールー ッシ、ナマニン アミフイギサー ソーン(〈空が〉真っ黒になって、今にも雨が降りそうだ)。
アミフイグマイ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
雨降りに家に籠もること。
- 用例
- アミフイグマイヤ、イーニーブイ ッシヤー(雨降りに家に籠もっていると、うとうと眠くなるね)。
アミフイグム 楚辺
雨雲。
- メモ
- →アマグム。
アミフイゲーイ 喜名,渡慶次,儀間
雨降りだというのに。
- 用例
- アミフイゲーイ、アシビーガ イチュンナー(雨降りだというのに、遊びに行くのか)。
- メモ
- 音1:アミフイゲーナー。
アミフイゲーナー 古堅,大木
雨降りだというのに。
- メモ
- 音1:アミフイゲーイ。
アミフシモー 都屋
都屋の地名。網干し広場。
- メモ
- *アカターザチ(かつて都屋漁港内の海にせり出した所にあった小さな岬)の原っぱにあった。せんぜんは美しい芝生が広がり、十五夜には、青年達の憩いの場だった。また、県外に行く船を見送るフナウクイも、ここで行っていた。
アミムユー 渡慶次,儀間
雨模様。
- 用例
- アミムユー ソータルムンヌ、ティーチン フランタン(雨模様だったのに、ちっとも降らなかった)。
アムトゥ 親志,高志保,渡慶次,儀間,宇座,楚辺,大木
土手。
- 用例
- ヲゥタヤーマ、アムトゥヲゥティ ユックトーン(疲れてから、土手で休んでいる)。アムトゥヌ シチャーンカイ、ロクジューイチ ナイネー ウンチケー シ(土手の下に、61歳なったらご案内して)。アタラサー アシガ、アムトゥヌ スバーンジ クラシンソーラサヤーンリ(大切だけど、土手の側で暮らさせようねって)。
- メモ
- →アボーチ。
アムン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
編む。
- 用例
- アミフイネー ハルカイン イカラングトゥ、ヤーヲゥティ アミ アムン(雨降りには畑へも行けないから、家で網を編む)。否:アマン(編まない)希:アミブサン(編みたい)過:アラン(編んだ)継:アローン(編んでいる)。
アメーイン 瀬名波,楚辺
蔓延する。はびこる。のさばる。
- 用例
- ヤナムシヌ アメーイン(害虫が蔓延する)。ヌスルヌ アメートーンドー(盗人がはびこっているよ)。
アメージャー 楚辺
昆虫。アメンボ。
- メモ
- →アーマークー。
アメリカパンツ 座喜味,大木
カーキ色の男物ズボン。
- メモ
- 終戦直後、基地内の米兵の洗濯を職業にしている婦人たちから流入した。野良着として女性が着ることもあった。
アメリカヤー 喜名,親志,渡慶次,儀間,古堅
終戦後、米軍関係者向けに建てた住宅。通称外人住宅。
アモーチ 高志保,渡慶次,儀間
土手。
- 用例
- アモーチンカイ アサバン ウッチェーンドー(土手に昼飯を置いてあるよ)。アモーチヌ カタハラーリタシェーヤー(土手の傍らといったでしょう)。
- メモ
- →音1:アボーチ。
アモーラ 宇座
魚名。ベラ類。
アモーラビキ 宇座
漁法。アモーラ(ベラ)曳き。20人ほどが両手に分かれて網で雑魚を囲い込む漁法。
アモールングヮー 楚辺
魚名。近海で捕れる雑魚の総称。
- 用例
- チカサヲゥティ トゥラリヌ イユンカイヤ、アモールングヮーディ イタン(近くで捕れる魚には、アモールングヮーといいよった)。
アヤ 喜名,座喜味,伊良皆,渡慶次,儀間,楚辺,大木
綾。模様。柄。
- 用例
- ニービチヂンヌ アヤヌ チュラサヨー(花嫁衣装の柄がきれいなことよ)。
アヤー 喜名,親志,渡慶次,儀間,大湾,古堅,比謝矼,牧原,長田
親族語彙。母。お母さん。
- 用例
- アヤーヤ チューン マーンカイ メンシェーガヤー(お母さんは今日もどこにいらっしゃるのかね)。
- メモ
- 音2:アヤーメー。士族の言葉。
アヤーメー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺,古堅,大木
親族語彙。母。お母さま。
- メモ
- 士族の言葉。→アヤー。
アヤカーイ 喜名,伊良皆,高志保,渡慶次,儀間,長浜,楚辺,渡具知,古堅,長田
あやかり。
- メモ
- 音1:アヤカイ。渡具知では七十三歳祝で出される赤飯をアヤカーイとして土産に持ち帰った。
アヤカーイン 宇座,古堅,大木
あやかる。
- メモ
- 音1:アヤカイン。
アヤカイ 古堅,大木
あやかり。
- メモ
- →アヤカーイ。
アヤカイン 喜名,伊良皆,渡慶次,儀間,長浜,楚辺,渡具知
あやかる。
- 用例
- ワッタン ゥンマガ フーサグトゥ、アヤカイビラナ(私たちも孫が欲しいから、あやかりましょう)。否:アヤカラン(あやからない)希:アヤカイブサン(あやかりたい)過:アヤカタン(あやかった)継:アヤカトーン(あやかっている)。
- メモ
- 音1:アヤカーイン。
アヤカキコーカキ 楚辺
色が混ざりあっている様。
- 用例
- アヤカキコーカキ ッシ、ヌーガ ヌー ヤラ ワカラン(いろんな色が混ざりあって、何が何だか分からない)。
アヤカチコーカチ 長浜
まだらに汚れた様。
- 用例
- アシ ハティ アトー、クルーヤ アヤカチコーカチ スタン(汗をかいたあとは、黒い服は汗の跡が白くまだらに残った)。
アヤダナシ 波平,楚辺
縞模様の礼服。芭蕉で作った嫁入り支度の着物。
- メモ
- 音1:アヤラナシ。
アヤヂン 村史
縞模様の入った着物。
アヤヌナーカー 長田
縞の中に絣模様のある着物。
- 用例
- スージネー アヤヌナーカール チチ イチュンドー(お祝いにはアヤヌナーカーを着ていくんだよ)。
アヤバサー 座喜味,長浜
縞模様がはいった芭蕉布の着物。
- メモ
- 主として外出用の着物。
アヤマイン 喜名,渡慶次,儀間
誤る。
- 用例
- チュヌ ミチ アヤマイン(人の道を誤る)。否:アヤマラン(誤らない)希:アヤマイブサン(誤りたい)過:アヤマタン(誤った)継:アヤマトーン(誤っている)。
アヤマチ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
過ち。
- 用例
- アヤマチヤ ニドゥトゥ ウクスナ(過ちは二度と起こすな)。
アヤムン 楚辺
こいつ。この野郎。
- 用例
- アヤムン、ヨーイ シミトーケー(こいつは、勝手にさせておけ)。
- メモ
- 類:クヌヒャー。
アヤヤージュートゥイグヮー 座喜味
爬虫類。アオカナヘビ。

- メモ
- 音2:オールージュートゥイグヮー。類:カキヌミーパーパーグヮー・カチヌミーパーパー・カチミーパーパー・カチンミーパーパー・ジュートゥイ・ジューミー。類:クミルー・ソーガークェー・タバククェー・マースクェー・カーキヌミーパーパーグヮー・カーミンジャーラー・カミンジャールー・コーレーグースー・ジューチラー・クースークェー。アオナカヘビは、体色によって呼び分けていた。
アヤラナシ 波平,楚辺
縞模様の礼服。芭蕉で作った嫁入り支度の着物。
- メモ
- →アヤダナシ。
アヨー 楚辺
哺乳類。縞模様をした牛や豚の呼称。
- 用例
- オーヤーウシヌ キーンカイ シルーガ イッチョーシェー、アヨーディ イータン(闘牛用の牛の毛に白い模様が入っているのは、アヨーといいよった)。
- メモ
- 闘牛用の牛には毛の色や角の形、得意技の特徴で名前が付けられた。
アラ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺,古堅
粗。雑な物。穀物等に混じったくず。魚肉を捌いたあとの少し身のついた骨。
- 用例
- アラー ジョーブニ トゥリヨー(雑な物はちゃんと取りなさいよ)。イユヌ アラシ シル チュクイネー、マーサンドーヤー(魚のアラで汁を作ったら、美味しいよね)。
アラ~ 喜名,波平,高志保,渡慶次,儀間,楚辺,大木
初~。最初の~。
- 用例
- アラングヮ(初子〔はつご〕)。アラドゥメーイ(男性の最初の結婚)。アラニービチ(女性の最初の結婚式)。
- メモ
- 新しいこと、はじめてのことを表す。
アラ~ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
粗~。荒い~。
- 用例
- アラウーシ(目の粗い石臼)。アラシグトゥ(荒仕事。力仕事)。アラモーキ(荒稼ぎ)。
- メモ
- 荒い・粗雑な・乱暴ななどの意を表わす。
アラーパンヤー 座喜味,儀間,楚辺
蟻が群がる様。
- 用例
- アラーパンヤー スカ、チュヌ アチマトータン(蟻が群がるように、人が集まっていた)。
アラアラ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
おおよそ。大まか。
- 用例
- アラアラー キミテー アシガ、チャーガ ナイラー ワカラン(おおよそは決めてあるが、どうなるかは分からない)。
アラアラザンミン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
概算。おおよその計算。
- 用例
- アラアラザンミン シ ウッチョーケー(おおよその計算をしておきなさい)。
- メモ
- 音2:テーゲーザンミン。
アライン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
洗う。
- 用例
- ムン カリウワティカラ、マッカイヤ アライサ(ご飯を食べ終わってから、お腕は洗うさ)。否:アララン(洗わない)希:アライブサン(洗いたい)過:アラタン(洗った)継:アラトーン(洗っている)。
アライゥンパナ 渡慶次,儀間,瀬名波
御願事や法事の時などに使う7回洗った米。
- 用例
- チュー チカイシェー アライゥンパナル ヤンドー(今日、使うのはアライゥンパナなんだよ)。
アラウーシ 喜名
民具。目の粗い石臼。
- メモ
- 大豆を割るために使った大きな臼。
アラサン 喜名,座喜味,渡慶次,儀間
荒い。粗い。雑。
- 用例
- アレー ティーヌ アラサン(あいつは手が雑だ)。
- メモ
- 音1:アラハン。対:クマサン(細かい)。
アラシー 座喜味,高志保
争い。競争。勝負。
- 用例
- ハヂチャーガ チーネー、ムル シーアラシー ヤタン(針突き施術師がきたら、みんなさせ勝負だった〈競ってやった〉)。カマスシガ ネーラン、ヲゥルッサ シニアラシー ヤタンディ(食べさせるのがなくて、みんな死に勝負だった〈ばたばた争うように死んでいった〉って)。
アラシグトゥ 渡慶次,儀間,楚辺
荒仕事。力仕事。肉体労働。

- 用例
- ワッター スーヤ アラシグトゥ ソーン(私の父は肉体労働をしている)。
- メモ
- 音2:アラワジャ。
アラジュールクニチ 楚辺
法事。後生の正月。前年に亡くなった者に対する旧1月16日に行われる法事。
- 用例
- トゥナイヤ アラジュールクニチドー(隣はアラジュールクニチだよ)。
- メモ
- 音2:ミーサ・ミージュールクニチ。
アラジョーロー 楚辺
{あらじゃうりゃう(新精霊)}。新仏〔あらぼとけ〕。前年の盆からその年の盆に亡くなった人の霊。
- メモ
- 音1:アラゾーロー。音2:ミーソーロー・ミーゾーロー。
アラスン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
荒らす。
- 用例
- ヤマシシガ ゥンジティ ッチ、ハルル アラスンデー(猪が出てきて、畑を荒らすんだよ)。否:アラサン(荒らさない)希:アラシーブサン(荒らしたい)過:アラサッタン(荒らされた)継:アラチョーン(荒らしている)。
アラゾーロー 楚辺
{あらじゃうりゃう(新精霊)}。新仏〔あらぼとけ〕。前年の盆からその年の盆に亡くなった人の霊。
- 用例
- チュガ ケーマーチ ハジミティヌ シチグヮチンカイ、アラゾーローディ イータン(人が亡くなって初めての盆に、アラゾーローといいよった)。
- メモ
- →音1:アラジョーロー。
アラダティーン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
荒立てる。
- 用例
- イチュナサイニ、クトゥ アラダティーンナー(忙しいときに、事を荒立てるのか)。否:アラダティラン(荒立てない)希:アラダティーブサン(荒立てたい)過:アラダティタン(荒立てた)継:アラダティトーン(荒立てている)。
アラタミーン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
改める。
- 用例
- クンドゥカラ キスク アラタミーン(今年から規則を改める)。否:アラタミラン(改めない)希:アラタミーブサン(改めたい)過:アラタミタン(改めた)継:アラタミトーン(改めている)。
アラトゥ 村史
粗砥〔あらと〕。砥石〔といし〕。
- メモ
- 音2:トゥシ・トゥイシ。*シチ(採石道具)を研ぐのに使った。
アラドゥメーイ 大木
男性の最初の結婚。
- メモ
- 対:アラニービチ(女性の最初の結婚)。
アラナシ 都屋
アダンの気根。またその繊維で作った縄。
- メモ
- 音1:アダナシ。
アラニ 渡具知
霰〔あられ〕。
アラニービチ 波平
女性の最初の結婚式。
- メモ
- 対:アラドゥメーイ(男性の最初の結婚)。
アラニガーサバ 楚辺
アダン葉草履。アダンの葉で作った草履。
- 用例
- アラニガーサバ ハチ、マーカイ メンシェーガヤー(アダン葉草履をはいて、どこにいらっしゃるのかな)。
- メモ
- →音1:アダニガーサバ。
アラバ 都屋
旧8月後の時化。
- メモ
- 鮫(さめ)しめ縄漁の好機だった。
アラバーキ 親志,伊良皆,渡慶次,儀間,楚辺
民具。目の粗いカゴ。目の粗い竹製のザルで農作物の運搬に使った。

- 用例
- ゥンモー アラバーキンカイル イリール(芋は目の粗いカゴに入れるんだよ)。
- メモ
- 対:カタバーキ・クマバーキ(目の細かいカゴ)。
アラバサー 村史
繊維の粗い芭蕉衣。
- メモ
- 夏の仕事着として着た。
アラハン 楚辺
荒い。粗い。雑。
- 用例
- アンマーヤ ティーヌ アラハン(お母さんは手が雑だ)。
- メモ
- →アラサン。
アラビ 喜名
祟り。
- 用例
- ヌーヌ アラビガヤー(何の祟りかな)。
アラブイ 楚辺
大雨。
- 用例
- ヤガティ アラブイ ナイグトゥ、ヘーク ヤーカイ ケーレー(やがて大降りになるから、早く家へ帰りなさい)。
- メモ
- 音2:ウーブイ。類:ウーアミ。
アラボーシクマー 喜名,親志,座喜味,伊良皆,上地,波平,都屋,高志保,渡慶次,儀間,宇座,瀬名波,長浜,楚辺,比謝,大湾,古堅,大木,比謝矼,牧原,長田
目の粗い帽子を組む人。
- 用例
- ワンネー アラボーシクマー ソータン(私は目の荒い帽子組をしていた)。
アラマカイ 親志,渡慶次,儀間,楚辺
汁用の碗。
- 用例
- アラマカイン ワリティ イキラク ナトーグトゥ、コーリワル ヤサ(汁用のお碗も割れて少なくなっているから、買えばこそだよ〈買わないといけないよ〉)。
- メモ
- 音2:アラマカヤー・シルマカイ。米食が少ない時代にあっては明確に飯碗、汁碗と区別はしなかった。
アラマカヤー 喜名,座喜味,大湾
汁用の碗。
- メモ
- →アラマカイ。
アラミ 渡具知,比謝
霊感の強い人。
- 用例
- ヤナムン ンージュル ッチュ、アラミンリ イル ッチュヌ(悪霊を見る人、アラミという霊感の人が)。
- メモ
- 音1:アラミー。*ヤナムンを見る人や、吉凶など聞くことのできる霊感の強い人にもいう。
アラミー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
霊感の強い人。
- 用例
- アレー ユカイ アラミードー(彼はかなり霊感が強いよ)。
- メモ
- →音1:アラミ。
アラミンナー 比謝,大湾,古堅
植物。ルリハコベ。

- 用例
- アラミンナー ヒージャーンカイ クヮースナヨー(ルリハコベは山羊に食べさせるなよ)。
- メモ
- 音1:アラメンナー。音2:ササミンナー・パラパラミンナ。類:ササメンナ・メンジャナサ・メンナ・ウミメンナ・ササグサ・パーラーメンナ。魚を捕るときの毒(ササ)として使った。
アラメンナー 座喜味,比謝,大湾,古堅
植物。ルリハコベ。
- 用例
- アラメンナー クヮーシーネー、クス ヒーンドー(ルリハコベを食わせると、下痢をするよ)。
- メモ
- →音1:アラミンナー。
アラモーキ 喜名,渡慶次,儀間
荒稼ぎ。
- 用例
- ワッター スーヤ、アラモーキ シ ヤー チュクタン(私の父は、荒稼ぎして家を建てた)。
アラユイ 村史
目の粗いふるい。
- メモ
- 大豆や米の選別などに使った。
アラユーチ 村史
石工〔いしく〕道具名。石斧〔せきふ〕。主に大きな石を切るのに使う。
アラワジャ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
荒仕事。力仕事。肉体労働。
- 用例
- アラワジャ シーネー、ユー キー チキリヨー(肉体労働をするときには、よく気をつけなさいよ)。
- メモ
- →アラシグトゥ。
アラワリーン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
現れる。
- 用例
- アンマー シガタガ イミ ナティ アラワリーン(母の姿が夢になって現れる)。否:アラワリラン(現れない)過:アラワリタン(現れた)継:アラワリトーン(現れている)。
アラン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
植物。アダン。アダンの実。
- 用例
- ヤマカイ アラン トゥイガ イチュン(山へアダンを取りに行く)。
- メモ
- 音1:アダン。→アダニ。
アラン 渡慶次,儀間,楚辺
ない。違う。
- 用例
- ウレー アランヨークー ビチヌ ムン ムッチ クーワ(それではなくて別の物を持ってきなさい)。イカナシン アネー アランドーレー(絶対にそうではないってば)。アネー アランドーレー(そうではないってば)。
- メモ
- 対:ヤン(である)。
アラングヮ 喜名,高志保,渡慶次,儀間,楚辺
親族語彙。初子〔ういくゎ〕。
- 用例
- アラングヮ ヤティカラ、キー チキリヨー(初めての子だから気をつけなさいよ)。
- メモ
- 音2:ハチングヮ。
アランバー 渡慶次,儀間,楚辺
植物。アダンの葉。
- 用例
- アランバー トゥッティ ッチ フースン(アダンの葉を取ってきて干す)。
- メモ
- 音1:アダンバー。→アダニバー。
アランバーサバ 渡慶次,儀間,楚辺
アダン葉草履。アダンの葉で作った草履。
- 用例
- アミフイニ、アランバーサバソーナムン チュクイタン(雨降りに、アダン葉で草履などを作っていた)。
- メモ
- 音1:アダンバーサバ。→アダニガーサバ。
アランバーボーシ 喜名,親志,座喜味,伊良皆,上地,波平,都屋,高志保,渡慶次,儀間,宇座,瀬名波,長浜,楚辺,比謝,大湾,古堅,大木,比謝矼,牧原,長田
アダン葉帽子。アダンの葉で作った帽子。
- 用例
- アランバーボーシ イクチン ムッチョーン(アダン葉帽子をいくつも持っている)。
- メモ
- 音1:アダンバーボーシ。
アランバームスル 渡慶次,儀間,楚辺
アダン葉筵。アダンの葉を細く裂いて、乾燥させて編んだ筵。
- 用例
- ナカメーンカイ、アランバームスル ヒチョーケー(居間に、アダン葉筵を敷いておきなさい)。
- メモ
- 音1:アダンバームスル。
アリ 喜名,親志,座喜味,伊良皆,上地,波平,都屋,高志保,渡慶次,儀間,宇座,瀬名波,長浜,楚辺,渡具知,比謝,大湾,古堅,大木,比謝矼,牧原,長田
①あれ。②彼。彼女。
- 用例
- ①アリンカイ ムル イットーケー(あれに全部入れておきなさい)。アリ トゥレー(あれをとれ)。②ワカランラー、アリンカイ トゥーレー(分からないなら、彼に聞きなさい)。
アリ 喜名,渡慶次,儀間,渡具知,古堅,大木
ほら。
- 用例
- アリ、アマカラ アッチャギーシェー(ほら、あそこから歩いているさ)。
- メモ
- →アネ。
アリアリ 喜名,渡慶次,儀間,古堅,大木
あれあれ。ほらほら。相手に注意を促す語。
- 用例
- アリアリ、ムタビーネー コースンドー(ほらほら、いじったら壊すよ)。アリアリ、ヒンギティ ハインドー(ほらほら、逃げて行くよ)。
- メモ
- →アネアネ。
アリアリー 喜名,渡慶次,儀間
あれよあれよ。何だかんだ。その場の雰囲気に慣れない様。
- 用例
- アリアリー ソール エーダニ、ウワトーシェー(何だかんだしているうちに、終わっているさ)。
アリイークリイー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あれこれ言って話がまとまらない様。
- 用例
- アリイークリイー スグトゥ、ヌーガ イチョーラー ワカラン(あれこれ言うから、何を言っているのか分からない)。
アリーン 喜名,渡慶次,儀間
荒れる。
- 用例
- カジヌ チューサヌ、チューヌ ウメー アリーンドー(風が強いから、今日の海は荒れるよ)。否:アリラン(荒れない)過:アリタン(荒れた)継:アリトーン(荒れている)。
アリウミークリウミー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あれこれ思い悩んでいる様。
- 用例
- アリウミークリウミー ッシ、ティーチン ニンララン(あれこれ思い悩んで、ちっとも眠れない)。
アリカー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あの辺り。
- 用例
- ゥンマンカイ ヲゥランラー、アリカーンカイ ゥンジ ンディ(そこに居ないなら、あちら辺に行ってごらん)。
- メモ
- →アマリカー。
アリカンゲークリカンゲー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あれこれと考えこんでいる様。
- 用例
- アリカンゲークリカンゲー シーガーチール、アトー ワカイルヨー(あれこれ考えながら、後は分かるんだよ)。
アリク 長浜,古堅,大木
植物。アデク。
- 用例
- ダシチャ グーサン、アリク クェーヌ ヰー(ダシチャは杖、アリクは鍬の柄)。
- メモ
- 弾力のある木で金槌〔かなづち〕の柄に使った。
アリクリ 喜名,渡慶次,儀間,大木
あれこれ。
- 用例
- アリクリ カンゲーティ、ニンダラン(あれこれ考えて眠れない)。
アリクル 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
彼自身。彼女自身。
- 用例
- アリクルル、シーゥンジャチェール ワジャル ヤル(彼自身が、やり始めたことだよ)。
アリサーイクリサーイ 喜名,渡慶次,儀間
あれこれ触ること。
- 用例
- アリサーイクリサーイ ッシ ヘーク トゥラニ(あれこれ触ってないで、早く取らないか)。
アリサマ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
ありさま。様子。
- 用例
- クヌ アリサマ ヤサ(このありさまだ)。
アリシークリシー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あれこれする様。
- 用例
- アリシークリシー シーネー、メーネー アガカンドー(あれもこれもやっていたら、前に進まないよ)。
アリハティーン 喜名,渡慶次,儀間
荒れ果てる。
- 用例
- ヌーシヌ ヲゥラン ナイネー、ヤシチン アリハティーン(主が居なくなると、屋敷も荒れ果てる)。否:アリハティラン(荒れ果てない)過:アリハティタン(荒れ果てた)。継:アリハティトーン(荒れ果てている)。
アリヒャー 喜名,渡慶次,儀間
それ。ほら。それみろ。
- 用例
- アリヒャー デージ ナトーンドー(ほら、大変なことになっているよ)。
- メモ
- →音1:アネヒャー。
アリマサラークリマサラー 喜名,渡慶次,儀間
あれが良い、これが良いと迷っている様。
- 用例
- アリマサラークリマサラー ッシ、イッチン イラビーサン(あれが良いこれが良いと迷ってばかりで、ちっとも選べない)。
アリヤークリヤー 喜名,渡慶次,儀間
あれやこれや。あれこれ。
- 用例
- アリヤークリヤー、イチュナサヌ フシガリヌ サコー アラン(あれこれ、忙しくてたまったもんじゃない)。
アリワル 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あればこそ。
- 用例
- ジンヌ アリワル ヌーン ナイルヨー(金があってこそ何でもできるんだよ)。
- メモ
- 「~があればこそ、~できる」「~がなければ、~できない」の文を作る。→~ワル。
アリンクリン 喜名,座喜味,渡慶次,儀間
あれもこれも。
- 用例
- ヌー ヤティン シムグトゥ、アリンクリン ムル アチミトーケー(何でもいいから、あれこれ全部集めておきなさい)。
アル 親志,古堅,大木
踵〔かかと〕。
- 用例
- ヒサヌ アル(足の踵)。
- メモ
- →音1:アドゥ。
アルッサ 喜名,高志保,渡慶次,儀間,楚辺,大木
ありったけ。
- 用例
- ジンヌ アルッサ ムッチ イケー(お金のあるだけって行きなさい)。
アルムン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あるもの。あり合わせもの。
- 用例
- チューヌ ユーバノー、アルムンシ シマサナ(今日の夕飯は、あり合わせのものですまそう)。
アレーガミ 喜名,渡慶次,儀間
洗い髪。
- 用例
- アバーヤ アレーガミヌ ママ ゥンジティ ハイタン(姉さんは、洗い髪のまま出て行きよった)。
アレームン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺,古堅
洗いもの。洗濯物。
- 用例
- ヤーニンジュガ ウーサグトゥ、アレームンヌ マンリ(家族が多いから、洗いものも多くて)。
アワ 喜名,波平,渡慶次,儀間,楚辺
植物。粟。
- 用例
- アワ マンキティ、アワメーン ユー カムタン(粟を混ぜて、粟ご飯もよく食べよった)。ンカシェー クミン ネーンシガ アワサーニ、アワグヮー トゥイアーチドー イチゴーナー(昔は米もないけど粟で、粟を取り集めてよ1合ずつ)。
- メモ
- →アー。
アワー 喜名,楚辺
親族語彙。姉。姉さん。
- 用例
- アワートゥ マジュン コーイムン シーガ イクン(姉さんと一緒に買い物をしに行く)。
- メモ
- →アバー。
アワウケーメー 楚辺
料理。粟のお粥。
- 用例
- チューヌ アーシーヤ、 アワウケーメー シコーテーン(今日の3時のおやつは、粟のお粥を準備してある)。
- メモ
- 楚辺では農繁期のおやつに粟のお粥(あわのおかゆ)やマーギンウケーメー(黍のお粥)を食べることもあった。
アワガーミ 村史
民具。粟を保存した甕〔かめ〕。
アワグサ 都屋
植物。エノコログサ。
- メモ
- 類:トゥブーグサ。
アワサン 喜名,渡慶次,儀間
間に合わない。追いつかない。つり合わないこと。
- 用例
- ワランチャー マンディ、チャッサ モーキティン アワサン(子どもが多くて、どんなに儲けても追いつかない)。
アワシリ 伊良皆
民具。木製の二段重ねの臼。木臼。
- メモ
- 音2:イニシリシリ・クミシリ。稲や粟を精製するのに使った。
アワセガニ 儀間
シンバルの小型のような鉦。
- メモ
- 儀間の*フェーヌシマ踊りの際、二人の*チャンクルー(鉦打ち)がアワセガニを打った。
アワティーカーティー 伊良皆,渡具知,古堅
慌てふためいている様。
- メモ
- 音1:アワティーハーティー・アワティーマーティー。
アワティーハーティー 渡慶次,儀間,楚辺,大木,長田
慌てふためいている様。
- 用例
- アワティーハーティー ッシ、ゥンジティ ハイタサ(慌てふためいて、出て行ったよ)。
- メモ
- 音1:アワティーカーティー・アワティーマーティー。
アワティーマーティー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺,大木
慌てふためいている様。
- 用例
- ウンジョー アワティーマーティー ッシ、マーカイ メンシェーガ(あなたは慌てふためいて、どこに行かれるの)。
- メモ
- 音1:アワティーカーティー・アワティーハーティー。
アワティーン 喜名,渡慶次,儀間
慌てる。急ぐ。
- 用例
- ヘーク シコーランネー アワティーンドー(早く支度しないと慌てるよ)。イェーヒャー、ニッカ ナトールムン アワティレー(おいこら、遅くなっているのに急ぎなさい)。アンシ アワティティ マーカイ イチュヌ チムエーガ(そんなに急いでどこへ行くつもりか)。否:アワティラン(慌てない)過:アワティタン(慌てた)継:アワティトーン(慌てている)。
アワティガミ 喜名,渡慶次,儀間
急いで食べること。
- 用例
- アンスカ アワティガミ サンケー(そんなに急いで食べるな)。
アワティラカスン 喜名,渡慶次,儀間
急かす。急き立てる。
- 用例
- ウガニッカ ナティ、マニアーランギサー ヤグトゥ、アワティラカスン(こんなに遅くなって、間に合いそうもないから、急かす)。否:アワティラカサン(急かさない)希:アワティラカシーブサン(急かしたい)過:アワティラカチャン(急かせた)継:アワティラカチョーン(急かしている)。
- メモ
- →アギマースン。
アワハン 楚辺
味が薄い。
- 用例
- ゥンマヌ ハンメーヤ ムル アワハン(そこの食事は全部味が薄い)。
- メモ
- →音1:アファサン。
アワヒチャー 伊良皆
民具。粟を挽く石臼。
アワムーチー 村史
料理。粟餅。
- メモ
- もち米と粟を混ぜて作った餅。
アワメー 長浜
料理。粟飯。
- メモ
- 米と粟を混ぜてて炊いた。
アワリ 喜名,伊良皆,渡慶次,儀間,楚辺,渡具知,比謝,大湾,古堅,大木
哀れ。苦労。
- 用例
- アンシ アワリ ヤルヤー(こんなにも哀れだこと)。イルイル アワリ サビタン(色々苦労しました)。
アワリクーリ 楚辺
辛く苦しいこと。
- 用例
- ナー チャースガヤーディチ アワリクーリニ(もうどうしようかと辛く苦しんで)。
アワリクチサ 喜名,渡慶次,儀間,古堅
辛く苦しいこと。
- 用例
- アン ソール アワリクチサン アタルヤー(あんなにも辛く苦しいこともあったね)。
- メモ
- 音1:アワリクリサ。
アワリクリサ 儀間,古堅
辛く苦しいこと。
- 用例
- ナマカラー アワリクリサン シミランサ(これからは難儀や苦労をさせないよ)。
- メモ
- 音1:アワリクチサ。
アワリサー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺,古堅,大木
哀れな人。不憫な人。
- 用例
- グナサイニカラ、チャー アワリサー ヤサ(小さい頃から、ずっと哀れな人だ〈苦労ばかりしている人だ〉)。
- メモ
- 音2:アワリナムン。
アワリナムン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
哀れな者。不憫な者。
- 用例
- アンシ イャーヤ アワリナムン ヤル(なんてお前は哀れな者だ)。
- メモ
- →アワリサー。
アワゥンバギー 楚辺
料理。出産祝いに作る粟の産飯。
アワゥンバン 楚辺
{あわおばん(粟御飯)}。料理。粟おこわ。
- 用例
- クミヌ イキラハイネー、アワゥンバン ニータン(米が少ないときには、粟おこわを炊いていた)。
アン 喜名,親志,座喜味,伊良皆,上地,波平,都屋,高志保,渡慶次,儀間,宇座,瀬名波,長浜,楚辺,渡具知,比謝,大湾,古堅,大木,比謝矼,牧原,長田
ある。
- 用例
- ミヤコンカン アイ、ウチナーンカン アン(宮古にもあり、沖縄にもある)。キッサマディ アマンカイ アタン(さっきまであそこにあった)。アマンカイ アニ(あそこにあるか)。チュー コーテーヌ チノー、タンシヌ ナカンカイ アン(今日買った着物は、箪笥の中にある)。ワン タマシマディ アンナー(私の分まであるね)。アティン ネーンティン ウッサー ムッチ イケー(あってもなくても、それだけは持って行きなさい)。否:ネーン(ない)過:アタン(あった)。
アン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
そう。
- 用例
- チヌー、イャーヤ アン イータシェー(昨日、お前はそう言いよったさ)。アン ヤタンナー、ワンネー ティーチン ワカランタサ(そうだったのか、私はちっとも分からなかったよ)。
アン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
料理。餡。
- 用例
- ウッサキーナーヌ アン シコーティ、ターガ カムガ(そんなにたくさんの餡を作って、誰が食べるの)。
アン イチャレー 喜名,座喜味,渡慶次,儀間
そういえば。
- 用例
- アン イチャレー、イャーヤ チヌーン チョータンドーヤ(そう言ったら、お前は昨日もきていたよね)。
アン イルカ 喜名,渡慶次,儀間
言うほど。言うほど以上に。
- 用例
- アン イルカヌ ヤッケームン ヤンディサ(言うほどに厄介者なんだって)。
アン サワン カン サワン チャー サワン 渡慶次,儀間
ああしようがこうしようがどうしようが。
- 用例
- アン サワン、カン サワン、チャー サワン、イャー カッティ ヤサ(ああしようが、こうしようが、どうしようが、お前の勝手だよ)。
アン ヤン 喜名,渡慶次,儀間,瀬名波,大木
そうなんだ。
- 用例
- アン ヤン、イャーガ イーシェー アタトーテーサ(そうなんだ、お前が言うのは当たっていたさ)。アンル ヤティナー、イャーカラ チカンネー ワカランサ(そうだったのか、お前から聞かないと分からないさ)。アハーッ、アンル ヤルイ(ああ、そういうことか)。
アンアン 渡慶次,儀間,古堅,大木
そういうこと。こういうこと。このようにして。
- 用例
- アンアンル ナトーンデー(そういうことになっているんだよ)・儀。
- メモ
- 類:カンカン。
アンイーカンイー 喜名,座喜味,渡慶次,儀間,楚辺
ああ言いこう言い。何だかんだとへりくつをこねている様。
- 用例
- アンイーカンイー ッシ、ムル イーシェー チカン(何だかんだ言って、ちっとも言うことを聞かない)。
アンエーヌ 渡具知
あのような。
- 用例
- アンエーヌ イシグヮー(あのような石)。
- メモ
- 音2:アングトール・アンネール。
アングトゥ 喜名,渡慶次,儀間,長浜
あのように。あんなに。
- 用例
- アングトゥ シェー、チョー チカイサンデー(あのようにしては、人を使えないよ)。
- メモ
- 音1:アヌグトゥ。
アングトーヌ 喜名,渡慶次,儀間
あのような。
- 用例
- アングトーヌ チュリチェー ウマーンタン(あんな人だとは思わなかった)。
アングトール 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あんな。あのような。
- 用例
- アングトール トゥクルンカイ イチュンナー(あのような所に行くの)。アングトール ムン ユルチェー ナラン(あのような奴は許してはならぬ)。
- メモ
- →アンエーヌ。
アングトールー 喜名,座喜味,渡慶次,儀間,楚辺
あのようなもの。
- 用例
- アングトールーガン チカーリーミ(あのようなものが使えるか)。
- メモ
- →アヌフージー。
アングヮー 波平,渡慶次,儀間,長浜,楚辺,渡具知,比謝,長田
若い女性の名称。
- 用例
- アングヮーター モーイヌ チュラサヨ(若い娘たちの踊りの美しいこと)。
アングヮーモーイ 上地
娘踊り。若い娘(女形)の踊り。主にテンポの早い踊り(雑踊)にいう。
アングヮーユイ 長浜
髪の結い方の一種。未婚女性の髪型。
アンサーイ 喜名,座喜味,高志保,渡慶次,儀間,宇座
そうして。それで。
- 用例
- アンサーイ チャー ナタガ(そうしてどうなったの)。
- メモ
- 音1:アンサーニ・アンサーマ。音2:アンサーナカイ・アンサーナカニ。
アンサーナカイ 大木
そうして。それで。
- 用例
- アンサーナカイ ヤーカイ ケータル バーテー(それで家に帰ったわけさ)。
- メモ
- →音1:アンサーイ・アンサーマ。
アンサーナカニ 楚辺
そうして。それで。
- メモ
- →音1:アンサーイ・アンサーマ。
アンサーニ 喜名,伊良皆,高志保,渡慶次,儀間,渡具知
そうして。それで。
- 用例
- アンサーニ ドゥーチュイ ケーティ チャン バーヨー(それで自分一人で帰ってきたわけさ)。
- メモ
- →音1:アンサーイ・アンサーマ。
アンサーマ 喜名,波平,渡慶次,儀間,瀬名波,大木,比謝矼,牧原
そうして。それで。
- 用例
- アンサーマ ゥンジャル バーテ(それで行ったわけさ)。
- メモ
- →音1:アンサーイ・アンサーマ。
アンサクトゥ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺,大木
そうしたから。だから。
- 用例
- アンサクトゥル、ヤーカラ ゥンジトーサ(そうしたから、家から出て行ったんだよ)。
- メモ
- 音1:アンサグトゥ。
アンサグトゥ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺,大木
そうしたから。だから。
- 用例
- アンサグトゥ ヤンメー ソーサ(だから病気になったんだよ)。
- メモ
- 音1:アンサクトゥ。
アンサンテーン 喜名,渡慶次,儀間
そうであっても。
- 用例
- アンサンテーン、カタヂキランネー、ヌーヌ ワジャン ナランサ(そうであっても、片付けないことには、何の仕事もできないよ)。
アンサンレー 喜名,渡慶次,儀間
そうしなければ。
- 用例
- アンサンレー、チャーン ナランテーサニ(そうしなければ、どうにもならなかったんでしょう)。
アンシ 喜名,座喜味,渡慶次,儀間,古堅,大木
なんて。そんなに。そんなふうに。
- 用例
- アンシ チュラサルヤー(なんてきれいなんでしょうね)。アンシ マーサルヤー(なんて美味しいね)。アンシ イャー ソーイラーグヮー ヤルンディ イヤーニ(なんてお前は賢い子なんでしょうと言って)。
- メモ
- ちょっとした感動の意を表すときに用いる。後ろは連体形で結ぶことが多い。
アンシ 喜名,座喜味,渡慶次,儀間,古堅,大木
それで。
- 用例
- アンシ、ウヌ アトー チャー サガ(それでその後はどうしたの)。
アンシーカンシー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
そうこうしながら。
- 用例
- アンシーカンシー ソーティン、サントー ナランサ(そうこうしながらでも、やらなくちゃいけないでしょう)。
アンシーネー 喜名,座喜味,渡慶次,儀間
そしたら。そうすると。
- 用例
- アンシーネー、チャー スガ(そうしたら、どうするか)。
- メモ
- 音2:アンスラー。
アンシェー 喜名,座喜味,伊良皆,渡慶次,儀間,楚辺,大木,比謝矼,牧原
そうしたら。それなら。それでは。
- 用例
- アンシェー、イャーガ イチュシェー マシ ヤサ(それなら、お前が行ったらいいさ)。
- メモ
- 音1:アンセー。
アンシガ 座喜味
だけど。
- 用例
- アンシガ ワンネー イカンドー(だけど私は行かないよ)。
- メモ
- 音2:ヤシガ。
アンジュン 喜名,高志保,渡慶次,儀間,長浜,楚辺,大湾,古堅
炙〔あぶ〕る。
- 用例
- シチグヮチネー ウチカビ アンジュン(お盆にはウチカビを炙る)。否:アンラン(炙らない)希:アンジーブサン(炙りたい)過:アンタン(炙った)継:アントーン(炙っている)。
- メモ
- →カビアンジ。
アンシル 喜名,渡慶次,儀間,大湾
それで。そういうわけで。そういう理由で。
- 用例
- アンシル、アマンカイ ゥンジャンナー(そういうわけで、向こうに行ったのか)。
アンシン 喜名,座喜味,渡慶次,儀間,大木
それでも。
- 用例
- アンシン、チカンル アンレー(それでも、聞かないんだよ)。アンシン、ヤマトゥヌ ヒーサヌ グトー ネーンサ(それでも、大和の寒さほどではないさ)。アンシン ナーヤ アラン、ヤーマディ ウーティ チョータサ(それでも終わりでなく〈気持ちがおさまらず〉、家まで追ってきていたさ)。
アンシンカンシン 喜名,渡慶次,儀間,長浜,楚辺
そうはいっても。
- 用例
- アンシンカンシン、クヮー ウヤ ワンライシェー アタイメー ヤサ(そうはいっても、子は親の面倒を見るのは当り前さ)。
アンスカ 喜名,座喜味,高志保,渡慶次,儀間,長浜,渡具知,大木,比謝矼
それほど。さほど。
- 用例
- チューヌ シバヤヤ アンスカ ウムサー ネーンタン(今日の芝居はさほどおもしろくなかった)。アンスカ イスガンティン シムサ(それほど急がなくてもいいさ)・木。
- メモ
- 後に否定的な表現が続く。
アンスカナー 喜名,渡慶次,儀間
そんなにまで。そこまで。
- 用例
- イャーヤ、アンスカナー シワル ナイディー(お前は、そこまでしなくちゃいけないの)。
- メモ
- 後に反語的な表現が続く。
アンスクトゥ 座喜味
そうだから。だから。
- メモ
- 音1:アンスグトゥ。
アンスグトゥ 渡慶次,儀間
そうだから。だから。
- 用例
- アンスグトゥ、イチャノー アラニ、イャーヤ(だから、言ったではないか、お前は)。
- メモ
- 音1:アンスクトゥ。
アンスラー 喜名,渡慶次,儀間,大木
そしたら。そうすると。
- 用例
- アンスラー、ワーガ イチュサ(そしたら、私が行くよ)・木。
- メモ
- →アンシーネー。
アンスルムンヌ 喜名,渡慶次,儀間
そうなのに。それなのに。
- 用例
- アンスルムンヌ、イチュンディチン アンナー(それなのに、行くってもあるか)。
- メモ
- 音2:アンソーティ。
アンスン 喜名,渡慶次,儀間
そうする。
- 用例
- ナマカラー アンスンテー(今からはそうするさ)。アンスシヤカ、ワンガ イチュシェー マシ ヤタルムン(そうするよりは、私が行った方が良かったのに)。ウシダマティ アンソーシガ、チャー サル バーガヤー(押し黙ったままだけど、どうしたのかな)。
アンセー 古堅
そうしたら。それなら。それでは。
- 用例
- アンセー、ワンガ トゥティ チューサ(それなら、私が取ってくるよ)。
- メモ
- 音1:アンシェー。
アンソーティ 喜名,渡慶次,儀間
そうなのに。それなのに。
- 用例
- アンソーティ、クヮ ウッチャンナギティ チューンディチン アミ(それなのに、子どもを置いてくるってこともあるか)。
- メモ
- →アンスルムンヌ。
アンソール 喜名,渡慶次,儀間
あんな。
- 用例
- アンソール クトゥン アタルヤー(あんなこともあったね)。アンソール ムン、アマンカイ ムッチ イケー(あんなもの、あそこに持って行きなさい)。
アンダ 喜名,親志,伊良皆,波平,高志保,渡慶次,儀間,瀬名波,長浜,楚辺,比謝,古堅,大木,比謝矼,牧原,長田
油。脂。髪油など。

- 用例
- アチャー チカイル アンダヤ、コーティ ウッチェーミ(明日使う油は、買っておいてあるね)。
- メモ
- 音1:アンラ。嫁入り支度のひとつとして着物や櫛と合わせて髪油も準備した。
アンダー 伊良皆,楚辺,渡具知
植物。大豆の品種名。白大豆。
- 用例
- アンダー イフェー ワキティ トゥラシェー(白大豆を少し分けてちょうだい)。
- メモ
- 音1:アンラー。
アンダークビ 渡慶次,儀間,楚辺
竹で編んだ壁。
- 用例
- アンダークビ チュクイケーイン(竹壁を作り替える)。
- メモ
- 音1:アンラークビ。
アンダウヤー 渡慶次,儀間,楚辺
油売り。石油や整髪油などを行商する者。
- 用例
- アンダウヤーガ ムラウチカラ アッチョータン(油売りが集落内から歩いていた〈行商していた〉)。
- メモ
- 音1:アンラウヤー。
アンダガーミ 親志,座喜味,伊良皆,高志保,渡慶次,儀間,楚辺,大湾,古堅
民具。油甕。食用油を入れる甕〔かめ〕。

- 用例
- アンダガーミヤ クチャカイ ウッチョーケー(油甕は裏座へ置いておきなさい)。
- メモ
- 音1:アンラガーミー・アンラガーミ。豚の脂を入れる甕で、両側に耳が付いた壺屋焼きであった。年の瀬にはほとんどの家で豚を潰し、約1年分の豚の脂をとって、油甕に保存した。
アンダカシー 喜名,渡慶次,儀間,長浜,楚辺
{あぶらかす(脂粕)}。料理。豚の脂身を炒めてできたかす。

- 用例
- アンダカシーン マンドーグトゥ、ワキティ ムッチ イケー(アンダカシーもたくさんあるから、分けて持って行きなさい)。
- メモ
- 音1:アンラカシー。塩をふって保存し、炒め物や汁物などに入れた。
アンタキ 渡慶次,儀間,楚辺
あの高さ。
- 用例
- アヌ ワラベー アンタキ ヌブティ ハイサ(あの子どもは、あんなに高い所まで登っていくさ)。アンタキグヮー ヌブイサンディチン アンナー(たったあれだけの高さを登れないってこともあるか)。アンタキナー チュクテール(あんなに高く造ってあるさ)。
アンダギー 渡慶次,儀間,楚辺
{あぶらあげ(油揚げ)}。菓子名。小麦粉に砂糖や卵を加えて丸めて、油で揚げた菓子。

- 用例
- アンシ マーサギサヌ アンダギー ヤル(なんて美味しそうなアンダギーだ)。
- メモ
- 音1:アンラギー。音2:サーターアンダギー。類:サーターティンプラー。戦前は裕福な家では生年祝いにサーターティンプラーを作りふるまった。
アンダクェー 親志,波平,瀬名波,長浜,比謝,牧原,長田
爬虫類。オキナワトカゲ。
アンダグェーイ 喜名,渡慶次,儀間
脂肪太り。
- 用例
- ワカサル ムンガ アンダグェーイ シ、フージン ネーラン(若者が脂肪太りして、みっともない)。
アンダクェーボージャー 喜名,座喜味,伊良皆,都屋,高志保,渡慶次,儀間,宇座,長浜,大湾,古堅,比謝矼
爬虫類。オキナワトカゲ。

- 用例
- キーヌ ユランカイ アンダクェーボージャーガ シガトーン(木の枝にオキナワトカゲが止まっている)。
- メモ
- 音1:アンダケーボージャー。体が油を塗ったように光っている。
アンダグチ 喜名,座喜味,渡慶次,儀間,楚辺
{あぶらぐち(油口)}。お世辞。おべっか。
- 用例
- ユヌナカヤ、アンダグチビカーンシェー ワタテー イカランサ(世の中は、お世辞ばかりでは渡っていけないよ)。
- メモ
- 音1:アンラグチ・メーシ。
アンダグチャー 喜名,座喜味,波平,渡慶次,儀間
{あぶらぐちあ(油口あ)}。お世辞のうまい人。お世辞ばかり言う人。
- 用例
- アンダグチャーヤ ウチクンジョー(お世辞ばかり言う人は、根性が悪い)。アンダグチャーヤ、チュカラ シカン サリーンドー(お世辞ばかり言う人は、人から嫌われるよ)。
- メモ
- 音1:アンラグチャー。
アンダケーボージャー 大湾,古堅
爬虫類。オキナワトカゲ。

- メモ
- 音1:アンダクェーボージャー。
アンダジシ 喜名,座喜味,伊良皆,渡慶次,儀間,長浜,楚辺
料理。脂肉〔あぶらにく〕。脂身の多い肉。
- 用例
- シンジントゥ、アンダジシビカーン ヌクチェーサ(よくまあ、脂身だけ残してあるさ)。
- メモ
- 音1:アンラジシ。類:シルビー。対:マシシ(赤肉)。
アンダチブ 渡慶次,儀間,楚辺,牧原
油壺。女性の整髪油を入れる掌ほどの大きさの壺。
- 用例
- ワームン アンダチブヤ、マーンカイ ウッチャガヤー(私の油壺は、どこに置いたのかね)。
- メモ
- 音1:アンラチブ。
アンダチャー 波平
爬虫類。オキナワトカゲ。
アンダチャーラー 大木
爬虫類。オキナワトカゲ。
アンダヂューサン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
{あぶらつよい(脂強い)}。脂っこい。
- 用例
- ウレー、ルクカラ アンダヂューサヌ(それは、あまりにも脂っこいね)。
- メモ
- 音1:アンラヂューサン。
アンダデー 大木
油代。女性の整髪油代。
- メモ
- 音1:アンラデー。嫁入り前に姉妹や友人からアンダデーと称して祝儀を貰った。
アンダナービ 喜名,親志,波平,渡慶次,儀間,楚辺
{あぶらなべ(油鍋)}。揚げ物用の鍋。
- 用例
- アンダナービ ウヌママ シェーシガ、チャーン ネーニ(油鍋をそのままにしてあるが、どうもないの〈大丈夫ね〉)。
- メモ
- 音1:アンラナービ。鉄製で弦〔つる〕が付いており、豆腐や天ぷらを揚げるのに使った。かつてはアンダナービを持っている所は数えるくらいで、行事のときは持っている家から借りた。
アンダハブグヮー 楚辺
爬虫類。オキナワトカゲ。
アンダプットゥルー 渡慶次,儀間,楚辺
脂っこい食べ物。脂身。
- 用例
- アーキサミヨー、アンダプットゥルーシ ティーチン カマラン(ああもう、脂っこくてちっとも食べられない)。
- メモ
- 音1:アンラプットゥルー。
アンダマース 座喜味
{あぶらしほ(油塩)}。料理。豚脂と塩を混ぜたもの。
- 用例
- ニーブターンデー アンダマースグヮール チキティ(おできには油塩をつけて)。
- メモ
- 治療薬として、できものに塗ったり、下痢の時におへそに塗ったりした。
アンダミー 喜名,儀間,古堅
{あぶらめ(脂目)}。目が潤んでいること。
- 用例
- アンダミー ソーシガ、アンマサル アリー(目が潤んでいるが、具合でも悪いの)。
アンダムチヒャーガー 村史
菓子名。法事。法事用の菓子。小麦粉に油を入れこね、丸型、三日月型、輪っか型に焼いた菓子。
- メモ
- 3種を揃えないと法要を済ませたことにはならないといわれた。
アンダムン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
{あぶらもの(油物)}。料理。油を使った料理。油っこい食べ物。
- 用例
- マルケーテー アンダムン フーシク ナインヤー(たまには油っこいものが欲しくなるね)。
- メモ
- 音1:アンラムン。
アンダムンジョーグー 喜名,渡慶次,儀間
油物上戸。脂っこい食べ物が好きな人。
- 用例
- アンダムンジョーグー ナテー ナランデー(油っこい食べ物が好きになってはいけないよ)。
- メモ
- 音1:アンラムンジョーグー。
アンダヤー 大湾
油屋。整髪油の行商。
アンダヰー 喜名,座喜味,儀間,大湾,古堅
{あぶらよい(油酔い)}。揚げ油の匂いや油っこい物を食べ過ぎて気分が悪くなること。
- 用例
- アンダヰー ッシ アンマサン(油酔いして気分が悪い)。
アンダンスー 座喜味,渡慶次,儀間,瀬名波,楚辺,比謝
料理。油味噌。味噌に細切れ肉や貝、砂糖を加え油で炒めたもの。
- 用例
- アンダンスー イッティ、ニジリメー チュクイサ(油味噌を入れて、お握りを作るさ)。マーサマーサ アンランスー チュクテーン(美味しそうに油味噌を作ってある)。
- メモ
- 音1:アンランスー。音2:タマゴアンダンスー。お茶請けや握り飯の具にする。油味噌は日持ちがするので、保存食としても重宝されている。昔は、芋を2、3個とアンダンスーを弁当にして学校へ持って行った。
アンチェングヮー 楚辺
少々。たったあれだけ。
- 用例
- アンチェングヮーヌ クトゥシ クサミカンケーワ(たったあれだけのことで怒らないでよ)。
- メモ
- →アッサグヮー。
アンチャ 喜名,座喜味,渡慶次,儀間,古堅
そうだ。なるほど。ほんとに。
- 用例
- アンチャ、アン ヤタサ(そうだ、そうだったよ)。
- メモ
- 音2:ンチャ。
アンチューカ 喜名,座喜味,高志保,儀間
それほど。そんなに。そこまで。
- 用例
- アンチューカマディ イラッティ、ニジラリンナー(そんなにまで言われて、我慢できるか)。
- メモ
- 音1:アンチュカ。
アンチュカ 高志保,楚辺
それほど。そんなに。そこまで。
- 用例
- アンチュカ ハマラン(それほど働かない)。
- メモ
- 音1:アンチューカ。
アンチョー 渡慶次,儀間,瀬名波,楚辺,大木
ふくらし粉。食用重曹。
- 用例
- アンチョー コーティ クーワ(ふくらし粉を買ってきなさい)。
アンティックトゥ 渡慶次,儀間
それほどのこと。そういうほど。
- 用例
- アンティックトー ネーンタン(それほどのことではなかった)。
アンテーカンテー 楚辺
あれかこれか迷う様。
- 用例
- アンテーカンテー ッシ、チャー スシェー マシガ ヤラ ワカラン(あれかこれかと迷って、どうしたらいいか分からない)。
アンナイカンナイ 高志保,楚辺
あれこれやっていく様。
- 用例
- アンナイカンナイ カンゲーイガチー ッシ、ハインテー(あれこれ考えながらで、進めていくさ)。
- メモ
- 音1:アンナシカンナシ・アンナリカンナリ。音2:アンニーカンニー。
アンナシカンナシ 楚辺
あれこれやっていく様。
- 用例
- アンナシカンナシ ッシ、ティーチナー シーアースサ(あれこれやりながら、ひとつずつやり終えていくさ)。
- メモ
- →音1:アンナイカンナイ・アンナリカンナリ。
アンナリカンナリ 楚辺
あれこれやっていく様。
- 用例
- アンナリカンナリ シーガチール、ヌーン ナイサ(あれこれやりながら、何でもやっていくんだよ)。
- メモ
- →音1:アンナイカンナイ・アンナシカンナシ。
アンニーアンニー 比謝矼
そのように。
- 用例
- アンニーアンニー シ、ハルマーイドゥ シミシェータン(こんなふうにして、畑廻りをなさっていた)。
アンニーカンニー 喜名,渡慶次,儀間
あれこれやっていく様。
- 用例
- アンニーカンニー スル エーカネー、ウワイサ(あれこれやっていくうちに、終わるさ)。アンニーカンニー シル、シクチェー ウビールヨー(あれこれやっていきながらだから、仕事は覚えるんだよ)。
- メモ
- →アンナイカンナイ。
アンニンカンニン 高志保
どうにもこうにも。
- 用例
- アンニンカンニン ナラン(どうにもこうにもならない)。
- メモ
- 後に否定的な表現が続く。
アンネー 喜名,渡慶次,儀間,渡具知,比謝
案内。招待。
- 用例
- アチャヌ アンネーヤ、ワンガ サビーサ(明日の案内は、私がしますよ)。
アンネール 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
あのような。あんな。
- 用例
- アンネール クトゥン アンナー(あんなこともあるのか)。アンネール ムンヤ ヤーカイ イリランケー(あんな奴は家へ入れないでよ)。
- メモ
- →アンエーヌ。
アンビラカーヰー 喜名,伊良皆,渡慶次,儀間
へたり込むこと。楽な座り方。
- 用例
- ミッチャイグーナー アンビラカーヰー ソーサ(3名ともへたり込んでいるさ)。
アンビン 高志保
綱引きの人数をほどよく調整するため、毎年東西に組み分けを調整される家。
アンビン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
陶器製の水差し。薬缶などの形をした大きい水差し。
- 用例
- ウヌ アンビノー ターガ タッチワタガ(そのアンビンは誰が割ったか)。
- メモ
- 大きくて広口なので水甕代用にもなった。家人が畑などへ出払って年寄り1人のときは、土間にある水甕まで足を運ばなくてすむように、水を入れたアンビンをジール(地炉)の側に置いて出た。
アンフィリーン 長浜
ありふれる。
- 用例
- ナマー ナー アンフィリトーシェーヤー(今はもう、ありふれているでしょう)。
アンブシ 渡具知
漁法。定置網。水深3尋(約5、4m)以内の浅瀬で潮の干満を利用して行われた漁法。
- メモ
- 2,3人の少人数でできる漁法で年中出来たが、大型定置網漁業に押された。
アンブシアミ 渡具知
漁具。アンブシ網。定置網漁に使う網。
アンベー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
按配。塩梅。
- 用例
- チョードゥ イーアンベー ヤサ(ちょうどよい塩梅だよ)。
アンマー 喜名,親志,座喜味,伊良皆,上地,波平,都屋,高志保,渡慶次,儀間,宇座,瀬名波,長浜,楚辺,渡具知,比謝,大湾,古堅,大木,比謝矼,牧原,長田
親族語彙。母。お母さん。
- 用例
- ワンネー アンマートゥ マジョーン イチュン(私はお母さんと一緒に行く)。「ワンニン アンマートゥ チュミチ ナチ クィンソーリ」ディ、イチャンリ(「私もお母さんと道ひとつにしてください」と言ったって)。
- メモ
- 類:オカー・オッカー。
アンマーウーヤー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺,大木
{ははおいびと(母追い人)}。母親の後ばかり追う子ども。
- 用例
- イャーヤ イクチマディ アンマーウーヤー スガ(お前は幾つまで母親の後を追って歩くの)。
アンマークートゥー 喜名,座喜味,波平,渡慶次,儀間,瀬名波,楚辺,渡具知,古堅,大木,牧原
まじないの言葉。呪文。
- 用例
- アンマークートゥー、ターガン ンーランドー、アンマー チュイガル ンージュンドー(アンマークートゥー、誰がも見てないよ、お母さんひとりが見ているんだよ)。
- メモ
- 乳児を連れて夜道を行く時には、子どもの額に*ナービヌヒング(鍋の煤)や唾を3度つけて「アンマークートゥー」を唱えた。
アンマーコーヤク 渡慶次,儀間,楚辺,大湾
{ははこうやく(母膏薬)}。塗り薬の一種。膏薬〔こうやく〕。
- 用例
- アンマーコーヤクンデー タックヮーチョーケー、スグ ノーイサ(膏薬でも塗っておけば、直ぐ治るさ)。
- メモ
- 音1:アンマーゴーヤク。
アンマーゴーヤク 親志,大湾
{ははこうやく(母膏薬)}。塗り薬の一種。膏薬〔こうやく〕。
- メモ
- 音1:アンマーコーヤク。
アンマーチーカー 楚辺
植物。イヌビワ。
- 用例
- アンマーチーカーヤ マーコー ネーラン(イヌビワは美味しくない)。
- メモ
- 音1:アンマーチーチー。類:ヒージャーベーベー。ビワに似た果実。
アンマーチーチー 座喜味,伊良皆,大湾,古堅
植物。イヌビワ。
- メモ
- 紫色の実ができ、チー(乳)のような白い液が出る。→音1:アンマーチーカー。
アンマーユイ 長浜
{ははゆひ(母結)}。髪の結い方の一種。既婚婦人の髪型。
アンマク 伊良皆
甲殻類。ヤシガニ。
アンマサン ①喜名,親志,渡慶次,儀間,長浜,古堅,大木②喜名,渡慶次,儀間,長浜,古堅,大木
①気分が悪い。具合が悪い。②面倒くさい。厄介。
- 用例
- ①チューヤ、チヌーヤカ アンマサン(今日は、昨日より気分が悪い)。②フユーナートゥ シクチ スシェー、アンマサン(怠けものと仕事をするのは、面倒くさい)。
- メモ
- ①音1:アンマハン。音2:チムアンマサン・ムンアンマサン。
アンマハン 長浜,楚辺
気分が悪い。具合が悪い。
- 用例
- アミンカイ ンリタレー、アンマハン(雨に濡れたので、具合が悪い)。
- メモ
- →音1:①アンマサン。
アンマヨー 大木
ああもう。あれまあ。困った時などに発する語。
- 用例
- アンマヨー、チャー スガヤー(ああもう、どうしよう)。
アンムチ 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
料理。餡〔あん〕の入った餅。
- 用例
- ワッター ウスメーヤ、ジコーヌ アンムチ ジョーグー ヤタン(私たちのおじいさんは、とても餡餅好きだった)。
アンヤグトゥ 儀間
そうだから。だから。
- 用例
- アンヤグトゥ、イチャノー アラニ(だから、言ったでしょう)。
アンヤシガ 喜名,渡慶次,儀間
そうなんだが。
- 用例
- アンヤシガ、チュケーノー イキワル ナイル(そうなのだが、一度は行かないといけない)。
- メモ
- →アネー ヤシガ。
アンヤティカラ 喜名,高志保,儀間
そういうことなら。
- 用例
- アンヤティカラ、イチュシェー マシテー(そういうことなら、行ったほうがいいよ)。
アンラ 親志,座喜味,上地,都屋,渡慶次,儀間,宇座,楚辺,渡具知,大湾,大木,長田
油。脂。髪油など。
- 用例
- クーブトゥ アンラトゥ ムジナクー コーイガ ゥンジャン(昆布と油とメリケン粉を買いに行った)。
- メモ
- 音1:アンダ。
アンラー 楚辺
植物。白大豆。
- メモ
- 音1:アンダー。
アンラークビ 渡慶次,儀間,楚辺
竹で編んだ壁。
- 用例
- アンラークビン フルク ナトーン(竹壁も古くなっている)。
- メモ
- 音1:アンダークビ。
アンラウヤー 渡慶次,儀間,楚辺
油売り。石油や整髪油などを行商する者。
- メモ
- 音1:アンダウヤー。
アンラガーミ 親志,渡慶次,儀間,楚辺
民具。油甕。食用油を入れる甕〔かめ〕。
- 用例
- アンラガーミヌ ワリトーン(油甕が割れている)。
- メモ
- 音1:アンダガーミ・アンラガーミー。→アンダガーミ。
アンラガーミー 座喜味,古堅
民具。油甕。食用油を入れる甕〔かめ〕。
- メモ
- 音1:アンダガーミ・アンラガーミ。→アンダガーミ。
アンラカシー 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
料理。豚の脂身を炒めた残りかす。
- 用例
- アンラカシー チュクティ タブイン(アンラカシーを作って保存する)。
- メモ
- →音1:アンダカシー。
アンラギー 渡慶次,儀間,楚辺
菓子名。小麦粉に砂糖や卵を加えて丸めて、油で揚げた菓子。
- 用例
- アンラギー ワップー シ カムン(アンラギーを分けあって食べる)。
- メモ
- →音1:アンダギー。
アンラグチ 渡慶次,儀間,楚辺
{あぶらくち(油口)}。お世辞。おべっか。
- 用例
- アンラグチビカーン シ ヤクン タッタン(お世辞ばかりで役にも立たない)。
- メモ
- →音1:アンダグチ。
アンラグチャー 渡慶次,儀間
{あぶらくちあ(油口あ)}。お世辞のうまい人。お世辞ばかり言う人。
- 用例
- アレー ルク アンラグチャー ナティ、ナランシガ(彼はあまりにもお世辞ばかり言う人だから、付き合いきれないけど)。
- メモ
- 音1:アンダグチャー。
アンラジシ 喜名,座喜味,渡慶次,儀間
料理。脂肉。脂身の多い肉。
- 用例
- アンラジシビカー カミーネー、クェーインドー(脂身ばかり食べていたら、太るよ)。
- メモ
- →音1:アンダジシ。
アンラチブ 渡慶次,儀間,楚辺,牧原
油壺。女性の整髪油を入れる掌ほどの大きさの壺。
- 用例
- ワームン アンラチブヤ ンランティー(私所有の油壺を見なかったね)。
- メモ
- 音1:アンダチブ。
アンラヂューサン 渡慶次,儀間,楚辺
{あぶらつよい(脂強い)}。脂っこい。
- 用例
- チューヌ チャンプルーヤ アンラヂューサン(今日の炒め物は脂っこい)。
- メモ
- 音1:アンダジューサン。
アンラデー 大木
油代。女性の整髪油代。
- メモ
- →アンダデー。
アンラナービ 喜名,波平,渡慶次,儀間,楚辺
{あぶらなべ(油鍋)}。揚げ物用の鍋。
- 用例
- アンラナービ シキーン(油鍋を据える)。
- メモ
- →音1:アンダナービ。
アンラプットゥルー 渡慶次,儀間,楚辺
脂っこい食べ物。脂身。
- 用例
- アンラプットゥルー シ マーサー ネーン(脂っこくて美味しくない)。
- メモ
- 音1:アンダプットゥルー。
アンラムン 喜名,渡慶次,儀間,楚辺
料理。油を使った料理。油っこい食べ物。
- 用例
- マルケーテー アンラムンヤ クヮッチー ヤサ(たまには脂っこいものはご馳走だよ)。
- メモ
- 音1:アンダムン。
アンラムンジョーグー 喜名,渡慶次,儀間
{あぶらものじょうご(脂物上戸)}。脂っこい食べ物が好きな人。
- 用例
- アンシ アンラムンジョーグー ヤル(なんて油物が好きなんでしょう)。
- メモ
- 音1:アンダムンジョーグー。
アンランスー 渡慶次,儀間,楚辺
料理。油味噌。味噌に細切れ肉や貝、砂糖を加え油で炒めたもの。
- 用例
- マーサマーサ アンランスー チュクテーン(美味しそうに油味噌を作ってある)。
- メモ
- →音1:アンダンスー。
アンリーン 喜名,座喜味,渡慶次,儀間,楚辺,古堅
溢れる。
- 用例
- ウッサ チュバチニ イリーネー、アンリーンドー(そんなに一度に入れると、溢れるよ)。否:アンリラン(溢れない)過:アンリタン(溢れた)継:アンリトーン(溢れている)。
アンリクヮンクヮン 楚辺
溢れかえっている様。
- 用例
- ウッサナー アンリクヮンクヮン シミティ、チャー スガ(こんなに溢れかえらせて、どうするの)。
- メモ
- →アンリコーコー。
アンリクヮンリ 楚辺
溢れかえっている様。
- 用例
- トゥミーシェー ワカラン、ナー ウヌ マーソー ナー アンリクヮンリ(止めるのは分らない、もうその塩はもう溢れかえって)。
- メモ
- →アンリコーコー。
アンリクンリ 大木
溢れかえっている様。
- 用例
- クミヌ アンリクンリ イッチョーン(米が溢れるほど入っている)。
- メモ
- →アンリコーコー。
アンリコーコー 喜名,渡慶次,儀間
溢れかえっている様。
- 用例
- アンリコーコー ミジ イッティ、ヤー チチュル エーマネー、アンリティ ネーンル ナイサ(溢れかえるほど水を入れて、家に着くまでには、こぼれてなくなってしまうよ)。
- メモ
- 音2:アンリクンリ・アンリクァンクヮン・アンリクヮンリ。

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