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- しまくとぅば単語帳:イ
は、用例やメモ、音声などがあることを示しています
イー
うん。ああ。
- 用例
- イー、トゥッティ チューサ(うん、取ってくるよ)。
- メモ
- 同年か年下に対する返事。
イー
胃。
- 用例
- イーヌ ヤムン(胃が痛い)。
イー
上。
- 用例
- シナムンヤ イーカラ トゥレー(品物は上から取りなさい)。
- メモ
- 音1:ウィー。類:ウヮービ。対:シチャ・ヒチャ(下)。
イー~
良い~。
- 用例
- アンシ イイ ニーセーヤル(なんて良い青年だ)。
イー カミジャクグヮー
程よい量の食べ物。
- 用例
- ジコー イー カミジャクグヮー(とてもよい量の食べ物だ)。
イーアティーン
言い当てる。
- 用例
- イャーガ カンゲートーシ、ムル イーアティーン(お前が考えていることを、すべて言い当てる)。
否:イーアティラン(言い当てない)希:イーアティーブサン(言い当てたい)過:イーアティタン(言い当てた)継:イーアティトーン(言い当てている)。
イーイーカーカー
苦しそうにしている様。
- 用例
- イーイーカーカー ヒチ、アッカランアッキ ソーン(苦しそうにして、歩きにくそうにしている)。
イーウスントゥー
{うえだいどころ(上台所)}。床張りの台所。
- 用例
- ヰナグンチャーヤ イーウスントゥーンヲゥティ、 ヰーヌ マロー ネーランタン(女たちは板間の台所で、座る暇はなかった)。
- メモ
- 音2:ウシントゥー・ウスントゥー・シチャウスントゥー。類:ウスムトゥ・シム・トゥングヮ・スム・カマナー。
台所には床張りと一段下がった土間部分があった。イーウスントゥーには、湯茶や汁物を煮炊きする小さな竈があり、日常の食事はそこで済ませた。また、隣人や親しい人との雑談の場所でもあった。
イーウディ
二の腕。上腕部。
- メモ
- 音2:ケンナ。
イーエー
伝言。ことづて。
- 用例
- イャーヤ イーエーヤ チチョーミ(君は伝言を聞いているか)。
- メモ
- 音1:イエー。
イーガー
井泉の名。楚辺の七御嶽のひとつ。
- メモ
- クラガー(暗川)発見以前、集落の人々はこの井泉を頼りに生活したといわれる。付近一帯にカビギ(カジノキ、クワ科の落葉高木)が多かったのでカビギンガーとも呼ばれる。イーガーから水路を引き溜池に溜めた水を使ったので水質は悪かった。それ故にスビミーハガー(楚辺ただれ目・不美人)という言葉もうまれた。
イーガーイ
言い争い。口げんか。
- メモ
- 音2:イーガーエー・イーガーハーエー。
イーガーエー
言い争い。口げんか。
- 用例
- チョーデー タイ、トゥーチ イーガーエー ソーサ(兄弟ふたり、いつも口げんかをしているさ)。
- メモ
- →イーガーイ。
イーカーギ
きれいな姿。美人。美男子。美女。
- 用例
- ゥンマカラ、イーカーギヌ トゥーティ ハイタンデー(そこから、美人が通って行ったよ)。
- メモ
- 音2:チュラカーギー。類:チュラー・チュラヰナグ。対:ヤナカーギー(不美人)。
イーガーハーエー
言い争い。口げんか。
- メモ
- →イーガーイ。
イーガーラ
川の名称。波平のヰーヌハラの側を流れる川。
- メモ
- そこの水はシムクガマまで流れ込んでいた。ワンダガー、カーグヮー、ウフガーなどからの水と一緒になった所は田圃になって、一帯は藺草が栽培されていた。その後、藺草が大和から移入されるようになってターゥンム畑に代わった。
イーカンゲー
良い考え。名案。
- 用例
- ウレー イーカンゲー ヤサ、ナー ウリンカイ キミラナ(それは良い考えだ、もうそれに決めよう)。
- メモ
- 対:ヤナカンゲー(悪い考え)。
イーカンティー
言いかねる。声をかけづらい。
- 用例
- シクチ ヤミーブサシガ、ウヤンカイ イーカンティー ソーン(仕事を辞めたいが、親に言いかねている)。
- メモ
- 音2:イーグリサン・イーグルサン。対:イーヤッサン(言いやすい)。
イーキ
息。呼吸。
- 用例
- イフェー、イーキ トゥミティンディ(少し、息を止めてごらん)。
- メモ
- 音1:イーチ。
イーキー
縁談。結婚の約束。婚約。
- 用例
- ンカシェー イーキーヤ サンテーン、ドゥーカッティー シェー イチャーランタン(昔は婚約はしても、自分勝手には会えなかった)。
イーキハーハー
息が上がること。息づかいが荒い様。
- 用例
- イーキハーハー ヒチ、ハーエー ナティ チャーギーン(息を切らして、走ってくる)。
- メモ
- 音1:イーチハーハー。音2:イーチフーフー。
イーク
植物名。モッコク。
- 用例
- ンカシヌ マギヤシチンカイヤ、イークヌ イーラットータン(昔の大きな屋敷には、モッコクが植えられていた)。
イークトゥ
良い事。
- 用例
- ヌーガラ イークトゥヌル アテーサニ(何か良い事があったんでしょう)。
- メモ
- 対:ヤナクトゥ(悪い事)。
イーグリサン
言いかねる。声をかけづらい。
- 用例
- ヤナクトゥヤ イーグリサン(嫌なことは言いにくい)。
- メモ
- 音1:イーグルサン。→イーカンティー。
イークル
おおよそ。ほとんど。そろそろ。
- 用例
- イークル ナトーン(ほとんど出来ている)。
- メモ
- 音1:ユークル。
イーグルサン
言いかねる。声をかけづらい。
- メモ
- 音1:イーグリサン。→イーカンティー。
イークヮ チンクヮ スン
言い争う。
- 用例
- イークヮ チンクヮ サーニ、オーエーヌ ゥンジタン(言い争って、喧嘩になった)。
イークヮースン
言いくるめる。言い負かす。
- 用例
- クチヂューサヌ、チャンネール チュン イークヮースン(口が強くて、どんな人でも言い負かす)。
否:イークヮーサン(負かさない)希:イークヮーシーブサン(言い負かしたい)過:イークヮーチャン(言い負かした)継:イークヮーチョーン(言い負かしている)。
イークヮイン
喰ってかかる。
- 用例
- イヒ ヤティン ヌーガラ イーネー、スグ イークヮイン(少しでも何か言うと、直ぐに喰ってかかる)。否:イークヮラン(喰ってかからない)希:イークヮイブサン(喰ってかかりたい)過:イークヮタン(喰ってかかった)継:イークヮトーン(喰ってかかっている)。
イーグン
泳ぐ。
- 用例
- スビ ヌ ウミ ヲゥティ イーグン(楚辺の海で泳ぐ)。
- メモ
- 音1:イージュン・ウィージュン・ヲィージュン。
イーケーサー
くり返し言うこと。
- 用例
- イクケーヌン イーケーサー ソーン(何回も同じことを言いいかえしている)。
イーケーサーゲーサー
何度もくり返し言うこと。
- 用例
- アンスカ、イーケーサーゲーサー サンケー(そんなに、何度も同じことを言い返しすな)。
- メモ
- 音1:イーケーシゲーシ。
イーケーシゲーシ
何度もくり返し言うこと。
- 用例
- イーケーシゲーシ イリワル、ワカイルヨー(何度も同じことを言ってこそ、分かるんだよ)。
- メモ
- 音1:イーケーサーゲーサー。
イーケースン
言い返す。
- 用例
- シージャンカイ ヤティン、マキランヨークー イーケースン(年上であっても、負けずに言い返す)。
否:イーケーサン(言い返さない)希:イーケーシーブサン(言い返したい)過:イーケーチャン(言い返した)継:イーケーチョーン(言い返している)。
イーケーラスン
こぼす。
- 用例
- ウケーメー イーケーラスン(おかゆをこぼす)。
- メモ
- 音1:イッケーラスン。音2:タッケーラスン。
イーザイ
農具名。犂〔すき〕。
- メモ
- 音1:イージャイ。音2:イージェー。類:クルバシ・ジーグェー。
牛馬に引かせて、農作物の植え付け準備や砕土〔さいど〕や整地を行った。
イーサク
適量。ほどよい。
- 用例
- ウヌアタイ イリレー、チョードゥ イーサク ヤサ(このくらい入れたら、ちょうどほどよい)。
イーサク クヮッチー サン(結構な量をご馳走になった)。
イーシ
命令。伝令。言いつけ。
- 用例
- ヌールヌ イーシ(祝女の言い付け)。
ウカミヌ イーシ リシヤ、マムランレー ナラン(神の命令というのは、守らなければいけない)・波。
- メモ
- 類:イーチキ。
イージーマ
上儀間。
- メモ
- ナカガー(中川原)は渡慶次、儀間はイリバルまでイージーマ(上儀間)の管轄であった。二才頭は、イージーマ(渡慶次・儀間)合同でチグチマチあるいはハラゴーと称する農耕地や山林・海浜など規則違反の取り締りや風紀取締りに当たった。
イージェー
農具名。犂〔すき〕。
- メモ
- →イーザイ。
イーシチャ
上下〔うえした〕)。
- 用例
- イーシチャ ユー カメーティンディ(上下よく探してごらん)。
イーシトー アタラン
言行不一致。口ほどでもない。
- 用例
- イーシトー アタラン、ヌー シミティン バチン クヮーン(言うのと行動が合わず、何をさせても役に立たない)・儀。
イージャー
一番座。
- 用例
- タンメーヤ、イージャー ヲゥティ ユックティ メーサ(お祖父さんは、一番座で休んでいらっしゃるよ)。
- メモ
- →アガリカミザ。
イージャーイージャー
泳ぎ回る様。
- 用例
- ウミハブヌ イージャーイージャー ソーン(ウミヘビが泳ぎ回っている)。
イージャイ
農具名。犂〔すき〕。
- 用例
- ゥンマカイ イージャイ ヒカチ、ハル カジータン(馬に犂を引かせて、畑を耕していた)。
- メモ
- →音1:イーザイ。
イージュン
泳ぐ。
- 用例
- ワンネー メーナチ カーラヲゥテイ イージュン(私は毎日川で泳ぐ)。
否:イーガン(泳がない)希:イージーブサン(泳ぎたい)過:イージャン(泳いだ)継:イージョーン(泳いでいる)。
- メモ
- 音1:イーグン・ウィージュン・ヲィージュン。
イーシラシ
良い知らせ。吉報。
- 用例
- チューヤ、イーシラシ ムッチ チェーンドー(今日は、良い知らせを持って来たよ)。
- メモ
- 対:ヤナシラシ(悪報)
イースーブ
良い勝負。勝敗がつかず、同じ力を持っていること。互角。
- 用例
- アヌ タイヤ、チャー イースーブ ヤン(あの二人は、いつも良い勝負だ)。
イーソーグヮチ
良い正月。
- 用例
- アンシ イーソグヮチ デービルヤー(とても良い正月ですね)。
イータティーン
追い立てる。追い払う。
- 用例
- イッチン タッタングトゥ、ワーガ イータティーサ(いつまでも立たないから、私が追い立てるよ)。
否:イータティラン(追い立てない)希:イータティーブサン(追い立てたい)過:イータティタン(追い立てた)継:イータティトーン(追い立てている)。
イーチ
息。呼吸。
- 用例
- ヨンナー イーチ スーレー(ゆっくり息を吸いなさい)。
イーチン スナ(息をひそめなさい)・木。
イーチ フチュン(息をきらせる)・木。
- メモ
- 音1:イーキ。
イーチ
地名(読谷村上地)。
イーチ ククムン
ひきつけを起こしている状態。一時的な発作や痙攣〔けいれん〕。
- 用例
- ニチヌ チューサヌ イーチ ククムン(高熱でひきつけを起こす)。
イーチ ヌムン
息をひそめる。
- 用例
- ミーアティララングトゥ シ、イーチ ヌムン(見つからないように、息をひそめる)。
イーチアクビ
息とあくび。忙しい様子を表現するときに使う。
- 用例
- ルク イチュナサヌ、イーチアクビン ナラン(あまりにも忙しくて、息もあくびもできないほどだ)。
イーチウガン
拝所名。
- メモ
- 旧読谷中学校グラウンドに下りる辺りにかつては松林があり、そこに位置していた。中学校建設により、現在は村道沿いの座喜味地内に移動している。座喜味の屋号ノロ殿内(ヌンドゥンチ)が管理し、字座喜味の拝所でもあり、トリヌファウタキとも呼ばれた。
イーチカカラスン
喉を詰まらせる。
- 用例
- アワティガミ シ、イーチカカラスン(慌てて食べて、喉を詰まらせる)。
過:イーチカカラチャン(喉を詰まらせた)継:イーチカカラチョーン(喉を詰まらせている)。
イーチキ
言いつけ。命令。
- 用例
- ウヮービヌ チュヌ イーチキヤ、チカントー ナランサ(上の人の命令は、聞かないといけないよ)。
イーチキーン
言いつける。命令する。
- 用例
- ヤナクトゥ シーネー、スーンカイ イーチキーンドー(悪い事をしたら、お父さんに言いつけるよ)。
ウヮービカラ シクチ イーチキラッタン(上から仕事を命令された)。アリンカイ イーチキタン(彼に言いつけた)・木。
否:イーチキラン(言いつけない)希:イーチキブサン(言いつけたい)過:イーチキタン(言いつけた)継:イーチキトーン(言いつけている)。
イーチキガタ
指導。
- 用例
- クヮンカイヌ イーチキガタヤ、ユー シーヨー(子どもへの指導は、ちゃんとしなさいよ)。
イーチケー
上使い。使い。
- 用例
- イーチケーヤ ワラビンカイ タヌムサ(お使いは子どもに頼むさ)。
- メモ
- 音2:チケー。
イーチケームン
人に使われている人。使い走り。
- 用例
- イチマディ、チュヌ イーチケームン スヌ チムエーガ(いつまで、人の使い走りをするつもりか)。
- メモ
- 音2:チケームン。
イーチケーユン
息を継ぐ。
イーチヂン
絹の着物。
- メモ
- 音2:イーチュギン・イーチュヂン・イトゥヂン。類:イトゥヌムン。
イーチトゥカームヌイー
息切れぎれに話す様。
- 用例
- イーチトゥカームヌイー ッシ、ナンジュ ナゲー ヲゥランデー(息切れに話すから、そんなに長くはもたいよ)。
イーチヌビ
息抜き。
- 用例
- マルケーテー イーチヌビン サンネー(たまには息抜きもしないと)。
イーチハーハー
息が上がること。息づかいが荒い様。
- 用例
- アンシ イーチハーハー ッシ、 ナティ ヌーンカイ ウヮーットーガ(そんなに息を切らして、何に追われているの)。
- メモ
- →音1:イーキハーハー。
イーチフーフー
息が上がること。息づかいが荒い様。
- 用例
- ヒラ ヌブインディ、イーチフーフー ソーン(坂を登るのに、息が上がっている)。
- メモ
- →イーキハーハー。
イーチマリー
息が詰まる。
- 用例
- ウッピグヮーヌ ヤーカイ、ウッサヌ シンカガ イッチ、イーチマリースッサー(こんなに小さな家に、大勢の人が入って、息が詰まりそうだ)。
イーチュー
糸。
- 用例
- ミーン ワッシク ナティ、イーチューン ヌチグリサン(目も悪くなって、糸も通しにくい)。
イーチュークェー
甲虫名。カミキリムシ。
- メモ
- 音2:カラジクェー・カラジクェームシ・キークェームシ。
イーチュギン
絹の着物。
- 用例
- イーチュギン チークリ、マーカイガヤー(絹の着物を着こんで、どこに行くのかな)。
- メモ
- 音1:イーチュヂン。→イーチヂン。
イーチュクイ
良いつくり。
- 用例
- アヌ ニーセーヤ イーチュクイ ソーン(あの青年は非常にがっちりした体格だ)。
イーチュヂン
絹の着物。
- 用例
- ウッサキー、イーチュヂン ムッチョール(こんなにたくさん、絹の着物を持っていること)。
- メモ
- 音1:イーチヂン・イーチュギン。→イーチヂン。
イーチョーバー
植物名。ウイキョウ。
- 用例
- ウヮーヌ チーイリチャーカイヤ、イーチョーバー イリレー(チーイリチャーには、ウイキョーを入れなさい)。
- メモ
- →チーイリチャー
イーチリー
絣。絣の着物。
- メモ
- 類:トゥッチリヂン。
ニービチには既製のイーチリーの上等を着た。
イーチンチュ
上地の人。
イーチントーバル
{池ン当原}。座喜味の小字。
イーックヮ
良い子。
- 用例
- アンマーガ ヲゥランティン、イーックヮ ソーキヨーヤー(お母さんがいなくても、良い子にしておきなさいよ)。
アレー イーックヮドー(あれはいい子だよ)。
- メモ
- 自分よりも年下の人をほめるときにいう。
対:ヤナワラビ(嫌な子)。
イーッチュ
善人。良い人。
- 用例
- ワッター ヲゥジャサーヤ、 デージナ イーッチュ ヤタン(私の伯父は、とても良い人だった)。
- メモ
- 対:アクー・ヤナッチュ(悪人)。
イートゥクル
良いところ。
- 用例
- イャーヤ イートゥクルンカイ チェーサ、クヮッチーン マンドーグトゥ、ヘーク ウチンカイ イレーワ(お前は良いところに来たね、ご馳走もたくさんあるから、早く中に入りなさい)。
イーナ
こんなに早く。もう。
- 用例
- イーナ ナトーンナー(こんなに早く準備できたの)。
イーナ チャンバーイ(もう来たの)。
イーナーリー
上の方から。
- 用例
- イーナーリー、ウリティ クーワ(上の方から、降りて来なさい)。
- メモ
- 対:シチャナーリー(下の方から)。
イーナカ
良い仲。仲の良い間柄。
- 用例
- チョーデーンチャー イッペー イーナカ ヤン(きょうだいとても仲が良い)。
イーナヂキ
許嫁〔いいなづけ〕。
イーナラワシ
言い習わし。躾け。
- 用例
- ヰナゴー サガティ ムノー カミヨー リチヌ、イーナラワシ ヤタン(女は下がって食事をしなさいという、躾けだった)。
- メモ
- 音2:ナラーシ・ムンナラーシ。類:シチキ。
イーニーブイ
気持ちよく寝ること。
- 用例
- イーニーブイ ソーテーグトゥ、ウクサンル アタンレー(気持ちよく寝ていたから、起こさなかったんだよ)。
イーニン ウユバン
言うに及ばない。特に言うほどでもないこと。
- 用例
- ウレー、イーニン ウユバン ハナシー ヤサ(それは、言うに及ばない話だよ)。
イーヌカー
井泉の名称。
- メモ
- 喜名の旧集落地内にあり、牛馬を浴びせた井泉。上の方は鍛冶屋の山野だったのでカンジャーグムイともいっていた。かつては葬式後に、悪霊を追い払い、屋敷を清めるための棒振りという儀式が行われた。イーヌカーから川砂や小石を採ってきて屋敷の生け垣に投げつけ棒を振り屋敷内にいる悪霊を打ち払った。また龕を担いだ人たちは龕屋に龕を納めた後、イーヌカーで手足を洗った。
イーヌカー
井泉の名称。
- メモ
- サシジャー・サシジャーガーともいう。字伊良皆の黙認耕作地内にある井泉。干ばつのときも枯れなかったといわれ、現在でも水質がよく、水量も豊富。正月の若水を汲んだ井戸でもある。戦後もしばらくは飲料水として利用されたが、近くに生活排水が流れてくるようになってからは農業用水として使われている。
イーヌクスン
言い残す。
- 用例
- クヮンカイ イグン イーヌクスン(子どもに遺言を言い残す)。
否:イーヌクサン(言い残さない)希:イーヌクシーブサン(言い残したい)過:イーヌクチャン(言い残した)継:イーヌクチョーン(言い残してる)。
イーヌジュン
追い越す。
- 用例
- ヒサヌヘーサヌ、ウビジ ミッチャイ イーヌジャン(足が速くて、直ぐに3人追い越した)。
否:イーヌガン(追い越さない)希:イーヌジーブサン(追い越したい)過:イーヌジャン(追い越した)継:イーヌジョーン(追い越している)。
イーヌハラ
上の方。
- 用例
- イャームノー、イーヌハラカイ ウッチェーサ(君の物は、上の方に置いてあるよ)。
- メモ
- 対:シチャヌハラ(下の方)。
イーヌムイ
丘の名称。
- メモ
- 伊良皆集落内にあったイーヌムイは眺望がよく、側には相撲ができる広場もあった。
イーヌンシェー
言わば。
イーノースン
言い直す。
- 用例
- ナマヌ イーヨーシェー マシェー アラングトゥ、ナー チュケーン イーノースン(今の言い方では良くないから、もう一度言い直す)。
否:イーノーサン(言い直さない)希:イーノーシーブサン(言い直したい)過:イーノーチャン(言い直した)継:イーノーチョーン(言い直している)。
イーバー
上の歯。
イーバー
良い頃合い。良い機会。
- 用例
- イャーヤ、イーバーワッターヤーンカイ チェーサ(お前は、よい時に私の家に来たね)。
イーバー、メンソーチェーサ(良い時に、いらっしゃいましたね)。
- メモ
- 音1:ヰーバー。
イーバー
いい気味。
- 用例
- イーバー ヤサ(いい気味だ)。
イーバキカーカー
吐き気を催している様。
- 用例
- クルマヰー ヒチ イーバキカーカー ヒチョーン(車酔いして吐き気がする)。
- メモ
- 音1:イーバチカーカー。音2:イーバキノーリ・イーバキハッター・ムヌハカハカー・ムンハカハカー。
イーバキノーリ
吐き気を催している様。
- 用例
- ユーベー サキ ヌミ ヂューハヌ、イーバキノーリ ヒチョーン(昨夜は酒を飲みすぎて、吐き気を催している)。
- メモ
- →イーバキカーカー。
イーバキハッター
吐き気を催している様。
- 用例
- アマヲゥティ、イーバキハッター ヒチョーシェー ター ヤガ(あそこで、吐き気を催しているのは誰か)。
- メモ
- →イーバキカーカー。
イーバクン
吐き気がする。
- 用例
- ミー マーティ イーバクン(目が回って吐き気がする)。
- メモ
- 音1:イーバチュン。
イーバス
良い時。良いところ。
- 用例
- イャーガ クーランネー、カシーサーン ヲゥラン デージ ヤテーサ、イーバスニ チェーサ(お前が来なかったら、加勢する人もいなくて大変だったさ、良い時に来てくれたね)。
イーバチカーカー
吐き気を催している様。
- 用例
- ヤナ カジャシ、イーバチカーカー ソーン(嫌な臭いがして、吐き気を催している)。
- メモ
- →音1:イーバキカーカー。
イーバチュン
吐き気がする。
- 用例
- ムン カミヂューサヌ、イーバチュン(食べすぎて、吐き気がする)。
過:イーバチャン(吐き気がした)継:イーバチョーン(吐き気がしている)。
- メモ
- 音1:イーバクン。
イーバッペー
言い間違い。
- 用例
- イーバッペーヤ ターニン アイル スル(言い間違いは誰にでもあるさ)。
- メモ
- 音2:イーマチゲー。
イーバッペーイン
言い間違える。
- 用例
- ヌーン カンゲーランヨークー アビーネー、イーバッペーインドー(何も考えずに話すと、言い間違えるよ)。
否:イーバッペーラン(言い間違えない)過:イーバッペータン(言い間違えた)継:イーバッペートーン(言い間違えている)。
イーハンスン
言いそびれる。言い損なう。
- 用例
- ヘーク イランネー、イーハンスンドー(早く言わないと、言いそびれるよ)。
過:イーハンチャン(言いそびれた)継:イーハンチョーン(言いそびれている)。
イーハンスン
言い放つ。言い退ける。
- 用例
- ヌーガラ アイネー、ドゥークル イーハンスン(何かあったら、自分で言いのける)。
否:イーハンサン(言い退けない)希:イーハンシーブサン(言い退けたい)過:イーハンチャン(言い退けた)継:イーハンチョーン(言い退けている)。
- メモ
- 何か悪い事があったときに、自分で呪文を唱えながら言い返す、言い放つこと。良くないことを退ける時にも使う。
イービ
指。
- 用例
- イーベー マーンカイ ヲゥーリーガ、イービヤ ウチンカイドゥ マガユル(指はどこに折れるか、指は内側にしか曲がらない〈諺〉)。
- メモ
- 用例は、身内ほど自分のことを考えてくれる人は他にないという意味の諺。
イーヒー
はい。うん。同意を表すイーと、返事のヒーがくっついた言葉。同等か目下に対する応答。
- 用例
- ナマドゥ イーヒー ナトール(今でこそ対等になっているんだよ)。
- メモ
- 対:ウーフー。「イーヒーの仲」とは対等の関係の意味。
→イー。
イーヒーアーハー
談笑している様。笑い転げている様。
- 用例
- アン イチャレー、イーヒーアーハー ソータサ(そう言えば、笑い転げていたさ)。
イーヒーアーハーソータン(談笑していた)。
イービガキ
ゆびきり。
- 用例
- イービガキ スミ(ゆびきりするか)。
イービグヮー
小指。
- メモ
- 音2:クーイービ・ックヮイービ。
イービサシ
指差し。
- 用例
- ハカンカイ イービサシェー サンキヨー(墓に指差はするなよ)。
- メモ
- 音2:イービヌチ。
イービザンミン
指算。指折り数えること。
- 用例
- ソーグヮチ マチカンティーヒチ、イービザンミン ソータン(正月が待ち遠しくて、指折り数えて待っていた)。
イービナギー
指輪。
- 用例
- アンシ チュラ イービナギー ヤルヤー(なんてきれいな指輪でしょう)。
- メモ
- 音1:イービンガニー。
イービナギーグヮークヮーエー
子供の遊び。玩具の指輪を出し合って手の甲や手のひらで受ける遊び。
- メモ
- ムートゥトゥエーと同様の遊び。サトウキビの葉を輪っかにして指輪に見立てた。
イービヌサチ
指先。
- 用例
- イービヌサチカイ ンジガ タッチョーン(指先にトゲがささっている)。
イービヌチ
指差し。
- 用例
- チュンカイ イービヌチシェー ナラン(人に指を差してはいけない)。
- メモ
- 音2:イービサシ。
イービヌフシ
指の関節。
イービヌマタ
指のまた。
イービヨイ
驚きの感嘆詞。
イービンガニー
指輪。
- 用例
- ウヌ イービンガニーヤ、イャーンカイ マギハーネーニ(その指輪は、あなたには大きくないねぇ)。
- メモ
- 音1:イービナギー。
イーフ
流出土。土砂。
- 用例
- イーフン リシェー、アミフイニ ナガリティ チャル ンチャ ヤサ(イーフというのは、雨降りに流れてきた土だよ)。
イーブー
魚介名。ハゼ科魚類の総称。トビハゼなど。
- 用例
- イーブー クヮーチャンドー(ハゼを釣ったよ)。イーブー サーニ、タマン チユン(トビハゼで、フエフキダイを釣る)・諺。
- メモ
- 用例は、「えびで鯛を釣る」と同じ意味の諺。
イーフェー
位牌。
- メモ
- 音1:イーヘー。音2:イーヘーヌウドゥン・イーフェーヌウドゥン。類:グヮンス。
イーフェーヌウドゥン
{いはいのうどぅん(位牌の御殿)}。位牌。
- メモ
- 音1:イーヘーヌウドゥン。音2:イーヘー・イーフェー。→イーヘー。
イーフォーイン
追い払う。
- 用例
- ヤナムン イーフォーイン(厄を追い払う)。
カシマサ サッティ、イーフォーラッタン(邪魔だと言われて、追い払われた)。
- メモ
- 音1:イーホーイン。
イーブサカッティー
言いたい放題。
- 用例
- イーブサカッティー、ヌー イチョーガ(言いたい放題、何を言っているか)。
イーフラスン
言いふらす。
- 用例
- アリヤ スグ、ンナンカイ イーフラスンドー(彼は直ぐに、皆に言いふらすよ)。否:イーフラサン(言いふらさない)希:イーフラシーブサン(言いふらしたい)過:イーフラチャン(言いふらした)継:イーフラチョーン(言いふらしている)。
イーブン
言い分。
- 用例
- ターニン イーブンヤ アイルスル(誰にも言い分はあるよ)。
イーヘー
位牌。
- 用例
- イーヘー チュクイ ケーイン(位牌を作り替える)。
- メモ
- 音1:イーフェー。音2:イーヘーヌウドゥン・イーフェーヌウドゥン。→イーヘー。
イーヘーヌウドゥン
{いはいのおとの(位牌の御殿)}。位牌。
- 用例
- ワッタヤ イーヘーンカイ イーヘーヌウドゥンディン イータン(私たちは位牌にイーヘーヌウドゥンとも言っていた)。
- メモ
- 音1:イーフェーヌウドゥン。音2:イーヘー・イーフェー。→イーヘー。
イーホーイン
追い払う。
- 用例
- ジャマナティ、アマンカイ イーホーレー(邪魔だから、あそこに追い払いなさい)。
否:イーホーラン(追い払わない)希:イーホーイブサン(追い払いたい)過:イーホータン(追い払った)継:イーホートーン(追い払っている)。
- メモ
- 音1:イーフォーイン。
イーマカスン
言い負かす。
- 用例
- クチヂューサグトゥ、チャー アリンカイ イーマカサットーン(口が強いから、いつも彼に言い負かされている)。
否:イーマカサン(言い負かさない)希:イーマカシーブサン(言い負かしたい)過:イーマカチャン(言い負かした)継:イーマカチョーン(言い負かしている)。
イーマギーン
言い曲げる。ねじ曲げる。
- 用例
- アレー チャー、チュガ イーシ イーマギーン(彼はいつも、人が言うのをねじ曲げる)。
否:イーマギラン(言い曲げない)希:イーマギーブサン(言い曲げたい)過:イーマギタン(言い曲げた)継:イーマギトーン(言い曲げている)。
イーマチゲー
言い間違い。
- 用例
- クトゥバヌ イーマチゲーヤ ノーサリーサ(言葉の言い間違いは直せるさ)。
- メモ
- →イーバッペー。
イーママ
言うがまま。言いなり。
- 用例
- トゥジヌ イーママ ヌーン アビーサン(妻の言いなりで何も言えない)。
イーミスン
価値があること。重宝する。それを味わうこと。
- 用例
- ウッサシカ ネーングトゥ、イーミシ チカリヨー(これだけしかないから、大切に使いなさいよ)。
ウヌ クヮーシヤ、イーミシ カミヨー(そのお菓子は、味わって食べなさいよ)。
- メモ
- 音1:イミスン。
イームティ
上のほう。
- 用例
- イームティカラ ウルサナ(上の方から降ろそう)。
- メモ
- 対:シチャムティ(下の方)。
イームン
良い物。
- 用例
- ウヌ クスイヤ イームン ヤサ(その薬は良い物だよ)。
- メモ
- 対:ヤナムン(悪い物)。
イーヤー
胞衣〔えな〕。臍帯を含む胎盤のこと。
- 用例
- ワッター ウヤンチャー ジブンマデー、イーヤーヤ ヤーヌクシカイ ウミータン(私の親の頃までは、胞衣は家の後ろに埋めていた)。
- メモ
- 胞衣は芭蕉や月桃の葉、あるいは藁束などに包んで家の後ろに埋めた。
イーヤーハーヤー
喜んでいる様。
- 用例
- ナマジブノー、ナー イーヤーハーヤー ソーサ(今頃は、もう大喜びしているね)。
イーヤーワレー
{えなわらい(胞衣笑い)}産後の儀礼のひとつ。
- 用例
- イーヤー ウミーネー、ワランチャー アチミティ、イーヤーワレー シミータン(胞衣を埋める時には、子どもたちを集めて、イーヤーワレーをさせた)。
- メモ
- 雨落ちに胞衣を埋めると、赤子の目が悪くなるということで、夫が家の後ろに埋め、さらに平たい重い石で覆った。また、子どもたちを集めてイーヤーワレーと称して、埋めた胞衣の上を笑いながら数回飛び越えさせ、その上にお粥をかけた。そうすることで生まれた子は、愛嬌のある子に育つといわれていた。
イーヤッサン
言いやすい。
- 用例
- ウンナ クトゥヤレー、ジコー イーヤッサン(そんなことなら、とても言いやすい)。
- メモ
- 対:イーグリサン・イーカンティー(言いにくい)。
イーヤンジュン
言い損なう。不適当な事を言う。
- 用例
- ワッター スーヤ、ユー クトゥバ イーヤンジュン(私の父は、よく言葉を言い損ねる)。
アン イール チモー アランタシガ、チュラーク イーヤンティネーン(そういうつもりではなかったが、見事に言い損ねてしまった)。
否:イーヤンラン(言い損ねない)過:イーヤンタン(言い損ねた)継:イーヤントーン(言い損ねている)。
イーヤンベー
いい塩梅〔あんばい〕。心地よい。快適。
- 用例
- ナマネー、ドゥーチュイ イーヤンベー ヤサニ(今はもう、ひとりで快適でしょう)。
イーユヌミータークヌミー
手遊び歌。魚の目蛸の目。
- メモ
- 幼児をあやしながら歌う。
イーヨー
言いよう。
- 用例
- イーヨーン アレー、チチョーン アイル スル(言い様もあれば、聞きようもある)。
アレー ムヌイーヨーン ネーン(彼はものの言い方がなっていない)。
イーヨーグヮー
赤子。赤ん坊。
- 用例
- イーヨーグヮー ダチ、アッカギーン(赤ちゃんを抱いて、歩いている)。
- メモ
- →アカングヮ。
イーラーサン
老けてみえる。
- 用例
- ワッター アバーヤ、ターヤカ イーラーサン(私の姉は、誰よりも老けてみえる)。
イーリキサン
嬉しい。楽しい。
- メモ
- 音1:イールキサン・イリキサン・ウィーリキサン・イリキハン。音2:イソーサン・イソーハン・ウッサン。
イールカージ
言うたび。
- 用例
- ウヌ ワラベー、イールカージ ムル チカン(この子は、言うたびに全然聞かない)。
イールキサン
嬉しい。楽しい。
- 用例
- イールキサル バー(嬉しいわけさ)。
- メモ
- 音1:イーリキサン・イリキサン・ウィーリキサン・イリキハン。→イーリキサン。
イールンサー
言うならば。
- 用例
- イャーガ ウングトゥー イールンサー、ワッターン イーンドー(あなたがそんなこと言うならば、我々も言わせてもらうよ)・木。
イールンシェー
言わば。
- 用例
- イールンシェー、アン ナイル バー ヤサ(言わば、そうなるわけだよ)。
イーワキ
言い訳。
- 用例
- ターン ワームン イーワキヤ チカンサヤー(誰も私の言い訳を聞かないんだね)。
イーワタ
上腹部。
- 用例
- チヌーカラ、イーワタヌ ヤムン(昨日から、腹の上の方が痛い)。
- メモ
- 対:シチャワタ(下腹部)。
イーウヮーチチ
良い天気。晴天。
- 用例
- アンシ イーウヮーチチ ヤイビルヤー(とても良い天気ですね)。
- メモ
- 対:ヤナウヮーチチ(悪い天気)。
イーン
言う。
- 用例
- ウヌクトー ワンガ イーン(そのことは私が言う)。
ナントゥイチン ワカランヌーヤ、ウッチャンナギトーケー(何回言っても分からない奴は、ほっときなさい)。
否:イラン(言わない)希:イーブサン(言いたい)過:イチャン(言った)継:イチョーン(言っている)。
- メモ
- 音1:イン・イユン。
イーン
植える。
- 用例
- ハルカイ ヤシェー イーン(畑に野菜を植える)。
否:イーラン(植えない)希:イーブサン(植えたい)過:イータン(植えた)継:イートーン(植えている)。
- メモ
- 音1:ウィーン。
イーン
老いる。
- 用例
- アヒーヤ、ターヤカ イーティ ミーンヤー(兄さんは、誰よりも年上に見えるね)。ターヤティン、アトー イーティ イチュン(誰でも、後は老いていく)。
- メモ
- 音1:ウィーン。
イーン
入る。
- 用例
- アミ フトーグトゥ、ヤーヌ ウチカイ イーン(雨が降っているから、家の中に入る)。
否:イラン(入らない)希:イーブサン(入りたい)過:イッチャン(入った)継:イッチョーン(入っている)。
- メモ
- 対:ゥンジーン(出る)。
イーン
射る。
- 用例
- ヤマシシ イーン(猪を射る)。
イーングヮ
上の子。初めての子。
- メモ
- 音2:アラングヮ。
イーンジャサリーン
追い出される。
- 用例
- ウヤンカイ イーンジャサッタン(親に追い出された)。
過:イーンジャサッタン(追い出された)。
イーゥンジャスン
言い出す。
- 用例
- フントーヌクトゥ イーゥンジャスン(本当のことを言いだす)。
否:イーゥンジャサン(言いださない)希:イーゥンジャシーブサン(言い出したい)過:イーゥンジャチャン(言いだした)継:イーゥンジャチョーン(言いだしている)。
イーゥンジャスン
追い出す。
- 用例
- ヤコー タッタンヌーヤ、ヤーカラ イーゥンジャスン(役に立たないのは、家から追い出す)。
否:イーゥンジャサン(追い出さない)希:イーゥンジャシーブサン(追い出したい)過:イーゥンジャチャン(追い出した)継:イーゥンジャチョーン(追い出している)。
イーゥンジャニ
遺言。
- 用例
- ワンカラヌ イーゥンジャニ、ヤグトゥ ユー チキヨー(私からの遺言だから、よく聞きなさいよ)。
- メモ
- 音2:ゥンジャニ。類:イグン。
イエー
伝言。ことづて。
- 用例
- イエー サグトゥ(連絡すると)・木。ナー イエー シウーサン(もう連絡ができなくて)。
- メモ
- 音1:イーエー。
イカイユー
疑似餌。
- メモ
- 木製のエビをかたどったものと平たい魚の形をした2種類があった。那覇の垣花方面から売りに来たのを買い求めた。
イカイン
出会う。会う。
- 用例
- ゥンマカラ イキーネー イカインドー(そこから行くと出会うよ)。
ナマ、ウマヲゥティ イカタン(今、そこで出会った)。
過:イカタン(会った)。
- メモ
- 音1:イチャイン。
イカグトゥ
行きたがらないこと。
- 用例
- ウヤヌヤーカイ イカグトゥ シ、ジャーフェー ヤッサー(実家に行きたがらないので、困ったもんだ)。
イカサンパー
行かさないようにすること。
- 用例
- ヰナグヌウヤー、ヒータイカイ イカサンパー スタン(母親は、兵隊に行かせたがらなかった)。
イカシー
碇〔いかり〕。碇岩。
- メモ
- 石灰岩に穴を開けて碇として使っていた。
イカタ
帽子の型や菓子の型にもいう。鋳型〔いがた〕。
- メモ
- アダン葉帽子作成のための鋳型は木製だった。
イガター
私たち。我々。
- 用例
- イガター ユミンカイ イカンドー(私たちは嫁にいかないよ)。イガター ゥンマカラ(私たちのところから)。
- メモ
- 音1:アガター・ヰガタ・ンガター・イガルー。→アガター。
イカナ
いくら。たとえ。どんなに。
- 用例
- イカナ アリガ イカンティン、ワンネー マジョーン イチュサ(たとえ彼が行かなくても、私は一緒に行くよ)。
イカナ ヌー ヤラワン、ワン ウッチャンナギティ イチュンディチン アンナー(いくらなんでも、私を置いて行くってこともあるか)。イカナ マーサムン カマサッティン、イャーガ イーシェー チカンサ(どんなにおいしいものを食べさせられても、お前が言うことは聞かないよ)。
- メモ
- 音1:イキナ。
イカナシン
どうしても。何と言おうとも。
- 用例
- イカナシン、チューヤ イサヌヤーカイ ソーティ イキワル ヤル(どうしても、今日は病院に連れて行かなくちゃいけない)。
- メモ
- 音1:イキナシン。音2:チャーシン。
イカビチ
漁法名。イカ曳き。
- メモ
- イカイユーという疑似餌を曳いて釣る漁法。
イガルー
私たち。我々。
- メモ
- →アガター。
イカングートゥー
行かないこと。
- 用例
- アマンカイヤ イカングートゥー サーヤー(あそこには行かないようにしようね)。
イキー
勢い。活気。
- 用例
- アンシ、トゥーチ イキーヌ ネーランヤー(なんて、いつも活気がないんでしょう)。
- メモ
- 類:イチュイ。
イキグラハン
息苦しい。
- 用例
- イバミーカイ ヲゥイネー、イキグラハン(狭い所にいると、息苦しい)。
- メモ
- 音1:イチジラサン。
イギター
私たち。我々。
- 用例
- イギターヤ、チャー ナンギビカーンソーン(私たちは、いつも難儀ばかりしている)。
イキチゲー
行き違い。
- 用例
- ダー! イキチゲー ヒチ ネーランセー(ほら!行き違いしてしまったさ)。
- メモ
- 音2:イチャイチゲー・イチェーチジェー。
イキッチュ
生きている人。
- 用例
- シニンチュトゥ イキッチュガ、シマ トゥインディヌ ハナシーン アタン(死人と生きている人が、相撲を取るという話もあった)。
- メモ
- 音1:イチッチュ。
イキナ
いくら。たとえ。どんなに。
- 用例
- イキナ フユニン(たとえ冬でも)。
- メモ
- 音1:イカナ。
イキナシン
どうしても。何と言おうとも。
- 用例
- イキナシン ナラン(どうしてもできない)。
- メモ
- →音1:イカナシン。
イキネースーネー
散々。
- 用例
- イキネースーネー マキタシェー(散々負けたさあ)。
- メモ
- 類:イッペーサッペー。
イキムシ
動物。家畜。
- 用例
- イキムシビカーン カラティ、チャースル チムガ(動物ばかり飼って、どうするつもりか)。
- メモ
- 音1:イチムシ。
イキムシヌヤー
家畜小屋。
- 用例
- カジフキ ヒチ、イキムシヌヤーン ムルコーリ ヒチョーン(台風で、家畜小屋も全壊だ)。
- メモ
- 音1:イチムシヌヤー。
イキラサウーサ
多い少ない。
- 用例
- イフィヌ イキラサウーサー アイル スル(少しの多い少ないはあるでしょう)。
イキラサニカタヂキルー
少ない方に片付ける。多数決。
- メモ
- 類:ウーサニカタヂキルー。子どもの遊びなどで、多数決をとる時に右手を左脇にはさんで「イキラサニカタヂキルー(少ない方が勝ちよ)」と言いながら手のひらか甲を上にして出し、多い方に決める。
イキラサン
少ない。
- 用例
- ワー ムノー、タームンヤカ イキラサン(私の物は、誰の物より少ない)。
- メモ
- 音1:イキラハン。対:ウーサン・ウフサン・ウーハン(多い)。
イキラニンジュ
少人数。
- 用例
- ウッサヌ シクチ、イキラニンジュシェー ナランドー(こんなにたくさんの仕事は、少人数ではできないよ)。
- メモ
- 音2:イクタイニンジュ。
イキラハン
少ない。
- 用例
- ウッサグヮーシェー イキラハンデー(たったこれだけじゃ少ないよ)。
- メモ
- →イキラサン。
イキラムン
少ない物。
- 用例
- シンカンチャー ウーサヌ、イキラムンシェー タラーンドー(人数が多いから、少しの物では足りないよ)。
イクケーン
幾度。何回。
- 用例
- イクケーン アビティン、ヒントー ネーン(何回呼んでも、返事がない)。
イクサ
戦。
- 用例
- イクサヌ クトゥヤ、ワシティン ワシララン(戦のことは、忘れようにも忘れられない)。
イクサチ
行く先。行方。将来。今後。
- 用例
- イクサチヤ、ターガン ワカラン(行く先は、誰にも分からない)。
イクサチザチ
行く先々。
- 用例
- イクサチザチ、シッチョールー ビカーン(行く先々、知り合いばかりだ)。
- メモ
- →アックカタ。
イクサユー
{いくさよ(戦世)}。戦争をしていた時代。
- 用例
- イクサユーヌ ハナシヤ シーブサーネーン(戦世の話はしたくない)。
イクタイニンジュ
少人数。
- 用例
- イクタイニンジュシェー、ワジャー メーネーアガカンデー(少人数では、仕事は捗らないよ)。
- メモ
- →イキラニンジュ。
イクチ
いくつ。何歳。
- 用例
- ハクヤ イクチ アチミタガ(箱はいくつ集めたか)。
イクチ ナミシェービーガ(何歳になられますか)。
イクチン
いくつも。
- 用例
- イクチン ユージュヌ カサナティ イチュナサン(いくつも用事が重なって忙しい)。
イクチンミーチン
いくつも三つも。たくさん。
- 用例
- チュバチニ イクチンミーチン スンディチン アンナー(いっぺんにいくつも三つもやるってもあるか)。
イクトゥバ
言葉。言うこと。
- 用例
- トゥシーヌ イクトゥバヤ、ワシテー ナランサ(年寄りの言うことは、忘れてはいけないよ)。
イグマスン
意気込ませる。やる気にさせる。
- 用例
- ヘーク スージ シーヨーシ イグマスン(早くお祝いをしなさいと意気込ませる)。
否:イグマサン(意気込ませない)過:イグマチャン(意気込ませた)継:イグマチョーン(意気込ませている)。
イクン
行く。
- 用例
- アチャ、ナーファカイ コーイムン シーガ イクン(明日、那覇に買い物に行く)。
- メモ
- 音1:イチュン。対:チューン(来る)。
イグン
遺言。
- 用例
- ワンネー イグン カチョーン(私は遺言を書いている)。
- メモ
- →イーゥンジャニ。
イケーハーエー
大勢の人が行き来している様。
- 用例
- イケーハーエー、アンシ イチュナサ ギハル(大勢の人が行き来して、とても忙しそうだね)。
イケガチュー
魚介名。ニジョウサバ。
- メモ
- 類:クサラー。
イケマー
釣り上げた魚を貯蔵するサバニの生け簀〔す〕。
イサ
医者。
- 用例
- ビョーチヤ イサン カカランレー、ノーランサ(病気は医者に診てもらわないと、治らないよ)。
イザイ
漁〔いさ〕り。漁。
- 用例
- チューン ワントゥ イザイカイ イカヤー(今日も私と漁に行こうね)。
イサガカイ
医者にかかること。
- 用例
- イサガカイ シッカラ ナゲー ナイシガ、ティーチン マシェー ナラン(医者にかかってから長いことなるが、ちっとも良くならない)。
イサトゥー
昆虫名。カマキリ。
- 用例
- イクチン イサトゥー トゥッティ、チャー スヌバーガ(何匹もかまきりを取って、どうするつもりなの)。
- メモ
- 音2:マーミーサートゥー・マーミサートゥー・マーミヌハートゥー・マーミナサートゥー・マーミナトゥー。
イサヌヤー
病院。
- 用例
- イサヌヤーヌ トゥーサヌ、アッチェー イチーサンサ(病院が遠くて、歩いては行けないさ)。
イサマカシ
医者任せ。
- 用例
- ナゲー カユティン ノーランティカラ、イサマカシビカーンシェー ナランドー(長く通院しても治らないなら、医者に任せてばかりではいけないよ)。
イサマスン
励ます。勇気づける。
- 用例
- イサマスル タミ、テーク ウッチャン(勇気づけるために、太鼓を叩いた)。
- メモ
- →イサミユン。
イサミユン
励ます。勇気づける。
- 用例
- ククル イサミユン(心を励ます)。
- メモ
- 音2:イサマスン。
イシ
石。
- 用例
- グナイシ アチミティ、イシガチヌミー フサジュン(小石を集めて、石垣の穴を塞ぐ)。
イジ
意地。気力。意気地。
- 用例
- イジェー チューク ムッティヨーヤー(気は強く持ちなさいよ)。
イジヌ ゥンジラー ティー ヒキ(意地が出たら手を引け)〈諺〉。
ワン ワラベー、イジグヮーン ネーン(私の子どもは、意気地がない)。
- メモ
- 音2:イジリ。
イジ チキーン
度胸をつける。勇気づける。激励する。
- 用例
- アチャー タビカイ ハイグトゥ、ンナシ イジ チキーン(明日旅に行くから、皆で勇気づけよう)。
否:イジチキラン(度胸をつけない)希:イジチキーブサン(度胸をつけたい)過:イジチキタン(度胸をつけた)継:イジチキトーン(度胸をつけている)。
イシアーファ
石のように座り込む様。
- 用例
- ウンナガレー、ゥンマンカイ イシアーファ ナティ ヰチョール チュン ヲゥル!(そんな長いこと、そこに石のように座り込んでいる人もいるか!)。
イシアナ
石穴。採石場。
イシウーサー
石を運搬する者。
- メモ
- 宇座や楚辺などで、採石を行う者やそれを運搬する者が多くいた。
イシウーシ
石臼。
- 用例
- イシウーシシ トーフマーミ ヒチュン(石臼で大豆を挽く)。
イシオーラセー
子どもの遊び。紐を括りつけた石をぶつけ合って遊ぶこと。
イシガクイ
石囲い。
- 用例
- ヤシチヌ イシガクイヤ、リッパ チマットーン(屋敷の石囲いは、立派に積まれている)。
イシカジ
聞き分け。
- 用例
- イシカジン チカンヌー ワラビ(聞き分けのない子ども)。
- メモ
- →カジ。
イジカスン
動かす。
- 用例
- ミッチャイシ マギイシ イジカスン(3人で大きな石を動かす)。
否:イジカサン(動かさない)希:イジカシーブサン(動かしたい)過:イジカチャン(動かした)継:イジカチョーン(動かしている)。
イシガチ
石垣。
- 用例
- イシガチェー トーリラングトゥ、チャンリッパ チミヨーヤー(石垣は崩れないように、しっかり積みなさいよ)。
イシガナ
石工〔いしく〕道具名。墓造り等に用いる。
- 用例
- 類:カニガラ。
イシガンガラー
石ころだらけ。
- 用例
- イシガンガラー ナティ、アッチーグリサン(石ころだらけで、歩きにくい)。
イシガントー
石敢當。
- 用例
- イシガントーンカイ チチアタイネー、ヤナムノー イッチェー チーサンディ(石敢當に突き当たると、悪者は入って来れないそうだ)。
- メモ
- ヤナムン(悪いもの)を返すということで、T字路の突き当たりに石敢當と刻んだ石柱を魔除けとして立てた。
イシグー
石粉〔いしこ〕。石灰岩をこまかく砕いたもの。
- 用例
- クブンカイ イシグー マチョーケー(窪みに石粉を撒きなさい)。
イシグーアナ
石灰岩をとったあとの穴。
- メモ
- 音2:イシアナー。
イシグーミチ
砂利道。
- 用例
- ゥンマカラアトー、ムル イシグーミチ ヤサ(そこから後は、ずっと砂利道だよ)。
イシグーヤマ
石灰岩がとれる山。
イシグェー
石鍬〔いしぐわ〕。石を削って刃にした鍬。
- 用例
- ンチャガ クヮーハヌ、イシグェーシル カジラリール(土が硬くて、石鍬でしか耕せない)。
イシグジン
小石が積まれている所。
- 用例
- ハルカラ ゥンジール イシヌ、アマクマカイ イシグジン ナティ アタン(畑から出た石が、あちこちに積まれていた)。
イジクチ
出口。
- メモ
- 音2:ゥンジリグチ・ゥンジーグチ。
イシクビ
石壁。
イシグフー
石があちこちとび出ているような所。
イシグルー
石ころ。
イシグヮームートゥトゥエー
子どもの遊び。山のように積んだ小石の真ん中に立てた棒を倒さないように1個ずつ石を取って行く遊び。
イシグン
足の裏が内出血した傷。
- メモ
- 音2:ウチグン。
裸足〔はだし〕でとがっている石などを踏むとそうなるといわれた。
イジクン
動く。
- 用例
- トゥッチーヌ ハーイガ イジクン(時計の針が動く)。
- メモ
- 音1:イジチュン。
イシジ
礎〔いしずえ〕。踏み石。
イシジェーク
石大工。石工〔いしく〕。石細工。
- 用例
- マーヌ イシジェークヌ チュクタガ、アンシ ミグトゥナ ハカ ヤル(どこの石大工が造ったのか、なんて見事な墓だろう)。
イシジューサー
鳥名。イソヒヨドリ。
- メモ
- 音:イシスーサー。類:イシジューシ・スーサー・ピ^カラカラー・モージューサー。昔は海岸や川岸の岩壁にいたが、近年は住宅地に巣を作っている。
イシジューシ
鳥名。イソヒヨドリ。
- メモ
- イシジューサー参照。
イシズ
落ち着き。
- 用例
- クヌ ワラベー、ティーチン イシズヌ ネーン(この子は、ちっとも落着きがない)。
- メモ
- 類:ウティチチ。
イシスーサー
鳥名。イソヒヨドリ。
- メモ
- イシジューサー参照。
イジスーブ
度胸比べ。意地勝負。
- 用例
- ヰキガンチャーガ アチマイネー、イジスーブ スタン(男たちが集まると、度胸比べをした)。
イシダニ
浜の砂利。
イシヂク
植物名。イシギク。モクビャッコウ。
- メモ
- 石垣でよく見られる白っぽい葉で、黄色い花がつく。9月9日菊酒の日には酒に浮かべて飲んだ。→チクザキ。
イシチヤー
石切屋。石を切る者。
- 用例
- ウミヌ イシ ワイシェー イシチヤー シクチヤタン(海の石を切り出すのは石工の仕事だった)。
- メモ
- 石工の部類だが、読谷山では加工細工を行うイシジェークとは分けていた。→イシウーサー・イシジェーク。
イシチャー
地名。うるま市石川。
イジヂューサン
意地が強い。勇気がある。度胸がある。
- 用例
- ウヌ ワラベー ルク イジヂューサンヤー(その子はとっても勇気があるね)。
イジチュン
動く。
- 用例
- ヤガテー イジチュンドー(やがて動くよ)。
否:イジカン(動かない)希:イジチーブサン(動きたい)過:イジチャン(動いた)継:イジチョーン(動いている)。
- メモ
- 音1:イジクン。
イシドウバル
{石動原}。上地の小字。
イシトゥヤー
採石場から石を切り出す者。石採り。
- メモ
- →イシウーサー・イシジェーク・イシチヤー。
イシナーグー
子どもの遊び。石子〔いしなご〕。小石を使って遊ぶ。
- 用例
- ヰナグワランチャーガ、イシナーグーアシビ ソーン(女の子たちが、石子遊びをしている)。
イシナギエー
子どもの遊び。石合戦。
イシヌミーバカ
幼児墓。
- 用例
- ナナチマデー ウフバカンカイヤ イリラン、イシヌミーバカンカイ ホームタン(7歳までは本墓に入れずに、幼児墓に葬った)。
- メモ
- 音2:ワランチャーバカ・ミーグヮーバカ。類:ユシリ。
昔は幼児の死亡率が高く、7歳以下の子は本墓に入れずに、人里離れた岩穴などに葬った。
イジバー
意地が強い人。度胸がある人。
- 用例
- イャーヤ アンシ イジバー ヤテール(君はとても意地が強い人だったんだね)。
- メモ
- 音2:イジャー。
イシバーイ
石柱。海岸の石を切り出して造る石柱。
- 用例
- イシバーイヤ ウージャ ウミカラ トゥッテイ チュータン(石柱は宇座の海岸から採ってきた)。
- メモ
- 音1:イシバーヤ。
石柱はクサビや石切斧を使って干潮時に切り、畜舎や台所に使い、母屋に使うことはあまりなかった。
イシバーヤ
石柱。海岸の石を切り出して造る石柱。
- メモ
- →イシバーイ。
イシバイ
促歩〔そくほ〕。競馬の時の馬の歩き方のこと。
- 用例
- イシバイ スヌ ゥンマヤ、チビラーハタンドー(促歩する馬は、格好よかったよ)。
- メモ
- 早さを競うのではなく、馬や騎手の姿勢等を重視して勝負を決めた。
イシマーシバル
{石廻原}。座喜味の小字。
イシマチャー
漁法名。こぶし大の石に餌を巻きつけて海底に下して、魚を釣った。
イジモッパラー
意地だけで物事を片付けようとすること。独りよがり。
- 用例
- イジモッパラー シェー、ヌーン ナランサ(独りよがりでは、何もできないさ)。
イシヤー
拝所名。石屋。
- メモ
- 石板でできた祠で、ビジュル(賓頭盧、霊石)のかわりとされる。波平の神アサギ、戸加喜友名(トゥカーチョンナー)の前、松元西(マチムトゥイリ)、川之上(カーヌイー)の4か所にある。9月9日の菊酒にちなんで拝まれる。神アサギの石屋は初御願でも拝まれている。
イジャー
意地が強い人。度胸がある人。
- 用例
- ワラビヌ ユカイ イジャー ヤテールバーヨー(子どもがかなり度胸があったわけよ)。
- メモ
- →イジバー。
イシャギ
魚介名。イサキ。
イジュ
植物名。イジュ。ヒメツバキ。
- メモ
- 以前は建築資材として使われた。
イシユーチ
石工〔いしく〕道具名。石斧〔せきふ〕。
- メモ
- 音2:ユーキ・ユーチ。
イジュン
漁具名。銛〔もり〕。一本銛。
- 用例
- イジュン コーイガ イチュン(銛を買いに行く)。
イジュン
泉。湧泉。
- 用例
- アガリムティヌ イジュンカラ、ミジ クリクヮー(東側の泉から、水を汲んで来なさい)。
イジュンダー
湿田。水はけが悪く、年間通して水が引かない田んぼ。
イジリ
意地。気力。
- 用例
- イジリ チューク ムッチ、ハマリヨー(意地を強く持って、頑張ってね)。
イジリヌ マンドーン(気力にあふれている)。
- メモ
- →イジ。
イシンニーバル
{石根原}。座喜味、波平の小字。
イシンミー
①石垣の隙間。②石ころだらけ。
- 用例
- ①イシンミーンカイ ボー チックリ クールー チュクタン(石垣の中に棒を入れて独楽を作った)。②イシンミーカラ アッチーネー ヒサガ ヤムン(石ころだらけの中から歩いたら、足が痛い)。
- メモ
- ①→クールー。②→イシガンガラー。
イシンミバカ
石で囲われた墓。
イシンミバル
{石嶺原}。長田の小字。
イスジュン
急ぐ。
- 用例
- ガッコーンカイ ウクリーギサー ヤグトゥ イスジュン(学校に遅れそうだから急ぐ)。
否:イスガン(急がない)希:イスジーブサン(急ぎたい)過:イスジャン(急いだ)継:イスジョーン(急いでいる)。
イセーダバル
{石田原}。高志保の小字。
イセーラバル
{石良原}。宇座の小字。
イソー
衣装。
- 用例
- クンドゥヌ シバヤヌ イソーヤ、チビラーサタン(今度の芝居の衣装は、立派だった)。
イソーサクヮッター
嬉しくてはしゃいでいる様。
- 用例
- イチバン ナティ、イソーサクヮッター ソーン(一番になって、嬉しくてはしゃいでいる)。
イソーサン
嬉しい。楽しい。
- 用例
- ゥンマガンチャーガ アシビーガ チーネー、イッペー イソーサン(孫たちが遊びに来たら、とても嬉しい)。
- メモ
- 音1:イソーハン。→イーリキサン。
イソーハン
嬉しい。楽しい。
- 用例
- ミーヤー チュクイ アーチ、イッペー イソーハン(新しい家を造ることができて、とても嬉しい)。
- メモ
- 音1:イソーサン。→イーリキサン。
イタジリー
板切れ。
- 用例
- イタジリー アチミティ、インヌヤー チュクイサ(板切れを集めて、犬小屋を作るさ)。
イチ
いつ。
- 用例
- ウフヤーカイ イチ アチマイガ(本家にいつ集まるねぇ)。
イッター ヤーフチ スージェー、イチヌイッカ ナトーガ(君たちの新築祝いは、何月何日になっているか)。
イチ
池。
- 用例
- イチンカイ クーイユ チカナトーン(池に鯉を飼っている)。ナーンカイ イチ フティ クーイユ カライン(庭に池を造って鯉を飼う)。
イチ
墓室の部所名。祖先の遺骨を合祀する墓室内の奧のこと。池。
- 用例
- サンジューサンニンチ ナトーグトゥ クチェー イチンカイ ナセー(三十三年忌を終えたから、遺骨はイチに移した)。
イチ
易。
- 用例
- イチヌ ヤー(易者の家)。
イチ ナティン
いつになっても。
- 用例
- イチ ナティン、イャー ウンジェー ワシランサ(いつになっても、お前の恩は忘れないよ)。
イャーヤ イチ ナティン、ウッサン ワカランナー(お前はいつになっても、それだけも分からないのか)。
イチェーチジェー
行き違い。
- 用例
- ナマル ハイタンリー、アイヤー、イチェーチジェー シェーサ(今行ったそうだ、あれまあ、行き違いになったね)。
- メモ
- 音1:イチャイチゲー。→イキチゲー。
イチカ
いつか。
- 用例
- イチカ マジョーン アシビーガ イカヤー(いつか一緒に遊びに行こうね)。
イチカスン
生かす。
- 用例
- スーマース チキティ ヤティン、イチカシーブサン(塩漬けにしてでも、生かしたい)。
否:イチカサン(生かさない)希:イチカシーブサン(生かしたい)過:イチカチャン(生かした)継:イチカチョーン(生かしている)。
- メモ
- 音2:イチキーン。
大事な人や動植物に長らえて欲しいときなどに使う。
イチガナイラー
いつになるのか。
- 用例
- イチガナイラー ワカランシガ、ヤー チュクイブサン(いつになるのか分からないが、家を造りたい)。
イチカマドー
昆虫名。アメンボ。
- 用例
- イチカマドーンカイ スンカリンドー、ヘーク ヤーンカイ ケーレー(アメンボに引っぱられるよ、早く家に帰りなさい)。
- メモ
- →アーマークー。
イチカユヤー
行き通い。通うこと。
- 用例
- ウヤヌヤートゥ メーナチ イチカユヤー ソーサ(実家と毎日行き来しているさ)。
- メモ
- 結納から結婚式までの間、新郎新婦が互いの家を行き来して労働力を提供する期間にもいった。
イチカランイチキ
苦しみに満ちた生き方。貧苦や病気など苦しいなかで生き様。
- 用例
- タユイシン ヲゥラン、イチカランイチキル ヒチョーンデー(頼る人もいなくて、どうにかこうにか生きているんだよ)。
- メモ
- 音1:イチカランイチチ。
イチカランイチチ
苦しみに満ちた生き方。貧苦や病気など苦しいなかで生きる様。
- 用例
- ルク ヒンスー ナティ カムシン ネーン、イチカランイチチ ソーン(あまりにも貧乏で食べるのもなく、どうにかこうにか生きている)。
- メモ
- 音1:イチカランイチキ。
イチカリーン
生きられる。
イチカンティー
行きにくい。行きかねる。
- 用例
- クヌメーン ヌラーッテーグトゥ、シージャヌ ヤーカイヤ イチカンティー スン(この前も叱られたから、兄の家には行きにくい)。
- メモ
- 音2:イチグリサン。対:イチヤッサン(行きやすい)。
イチキーン
生かす。
- 用例
- カリーガター ナトール ガジマル イチキーン(枯れそうになっているガジュマルを生かす)。
否:イチキラン(生かさない)希:イチキーブサン(生かしたい)過:イチキタン(生かした)継:イチキトーン(生かしている)。
- メモ
- →イチカスン。
イチク
いとこ。
- 用例
- イチクマデー チョーデートー ユヌムン ヤサ(いとこまでは兄弟と同じだよ)。
- メモ
- 音2:イチュク。
イチグ
一語。生涯。いつも。
- 用例
- チュール カージ、イチグ ムヌイミービカーン ッシ(来るたびに、いつも物をねだってばかりで)。
- メモ
- 類:シッチー・チャー・トゥーチ・ヒジュー。
イチグ イチマディン
いついつまでも。
- 用例
- ミートゥンダヤ、イチグ イチマディン カナサ シーヨーヤー(夫婦は、いついつまでも仲良くしなさいよ)。
イチクビー
5枚重ねの死装束。
- メモ
- 渡具知ではサルマタ、ハカマ、ジュバン、芭蕉衣、ウチカキー(打ち掛け)の順に5枚重ねて着せた。
イチクミーックヮ
いとこの子ども。
- 用例
- イチクミーックヮヌチャーン、ムル アチマトータン(いとこの子どもたちも、みんな集まっていた)。
- メモ
- 音1:イチュクミーックヮ。
いとこの子どもは、男も女も同じ名称。
イチクムイ
1銭。
- メモ
- →イッカグヒャーク。
イチグリサン
行きにくい。行きかねる。
- 用例
- アマヌ ヤーカイヤ イチグリサン(あそこの家には行きにくい)。
チュマーシヤーンカイヤ、イチグルサン(人が亡くなった家には、行きにくい)。
- メモ
- →イチカンティー。
イチグル
いつ頃。
- 用例
- イチグル ナイガ(いつ頃できるか)。
イチグヮチ
1月。
- 用例
- ナー ヤガティ イチグヮチドー(もうやがて1月だよ)。
イチクヲゥジャサー
父母の従兄弟。
イチケーイン
生き返る。
- 用例
- ンカシェー カソーヤ アランテーグトゥ、ハカヌ ナカヲゥティ イチケータンディヌ ハナシン アタサ(昔は火葬ではなかったから、墓の中で生き返るという話もあったさ)。
否:イチケーラン(生き返らない)希:イチケーラシーブサン(生き返らせたい)過:イチケータン(生き返った)継:イチケートーン(生き返っている)。
イチゲーイン
生き返る。
- 用例
- アー、ナマネー イチゲータサ(ああ、やっと生き返ったなあ)・木。
- メモ
- 音:1
イチゴーザキ
1合酒。
- 用例
- タンメーヤ メーユル、イチゴーザキ ミセーン(おじいさんは毎晩、1合のお酒を召し上がる)。
- メモ
- 「1合の酒」の意味だが、サキムイ(結納)の別称としても使われる。
イチゴーユー
喪家に対する相互扶助。
- メモ
- 音2:イックヮンユー・ユー。→スーゲー。楚辺では隣保班からをイチゴーユーとして粟一合を集め、米と一緒にして粥を作った。
イチジャマ
生霊〔いきりょう〕の呪い。生きている人の怨霊〔おんりょう〕。
- 用例
- ガヌンカイ イービ ネーイネー、イチジャマ サリーンドー(龕〔がん〕に指を差すと、呪われるよ)。
イチジューコー
模擬葬式。
- メモ
- トーカチ祝い(米寿祝)の前夜か早朝に、祝いを迎える人を死者に見立て、模擬葬式を行なった。
イチジラサン
息苦しい。
- 用例
- ウッピグヮーヌ ヤーンカイ チュヌ マンリ、イチジラサン(こんな小さな家に人が多くて、息苦しい)。
- メモ
- 音1:イキグラハン。
イチチ
5。5つ。5歳。
- 用例
- ワッター チャクシェー、 ヤガティ イチチ ナイン(私の長男は、やがて5歳になる)。
- メモ
- 音2:イチ。
イチチキ
5か月。
イチチグン
5品。御願に供える5品。
- メモ
- 高志保では旧1月9日のウガンメーの祝いに5品(飯・水・塩・花米・酒)。或いは7品の御馳走を作った。
イチチチ
5か月。
イチヂバル
{掟地原}。伊良皆の小字。
イチチブシ
五つ星。ハジチの紋様の名称。
- メモ
- 右手首の模様のこと。
イチチュン
生きる。
- 用例
- ガンクースーヤ、ヒャークマディン イチチュンディ(頑固おやじは、百歳までも生きるってよ)。
クサティ ウシナティ、イチカラン(後ろ盾を失って、生きていけない)。
否:イチカン(生きない)希:イチチーブサン(生きたい)過:イチチャン(生きた)継:イチチョーン(生きている)。カミワル イチカリーサ(食べてこそ生きていけるさ)。
イチッチュ
生きている人。
- 用例
- ユーリーヤカ イチッチュルヌル ウトゥルサル(幽霊よりも生きている人が恐いものだ)。
- メモ
- 音1:イキッチュ。
イチデー
一代。
- 用例
- イチデーッシ ウワテー、ヌーン ナランサ(一代で終ったら、何にもならないよ)。
イチデージ
一大事。
- 用例
- ナー イチデージ ナトーン(もう大変なことになっている)。
イチトゥ
5年。
イチナーギ
一帯。
- 用例
- イチナーギ マーチガ イーラットーン(一帯に松が植えられている)。
- メモ
- 音2:チュナーギ。
イチナンカ
{ごなのか(五七日)}。死後35日目の法事。
- 用例
- ナー ヤガテー、イチナンカ アラニ(もうやがて、5週目の法事じゃないの)。
イチナンドゥチ
いつ何時。いつでも。
- 用例
- イチナンドゥチ ヤティン、シムグトゥ クーワ(いつでも、いいから来なさい)。
イチニチジューコー
決められたその日だけしかできない法事。1日焼香。
- 用例
- ジュールクニチャーヤ、イチニチジューコーヤンディ(ジュールクニチャーは、その日で終わらないといけないんだって)。
- メモ
- 「シーミーとジュールクニチャー」『儀間の民話』より。
イチニンメー
一人前。
- 用例
- シクチン イチニンメー ナランネー、トゥジン カメーイサンドー(仕事も一人前にできないと、妻も探せないよ)。
イチヌクイ
生き残り。
- 用例
- ワッターヤ イクサヌ イチヌクイ ヤサ(私たちは戦争の生き残りだよ)。
イチヌハタバル
{池之端原}。瀬名波の小字。
イチヌミーニ
いつの間に。
- 用例
- アンマーヤ、イチヌミーニ ケーティチャガヤー(お母さんは、いつの間に帰って来たのかな)。
イチハジ
生き恥。大恥。
- 用例
- チュヌメーヲゥティ イチハジ カカサッティ、ハジカサヌ フシガランタン(人前で大恥をかかされ、恥ずかしくてたまらなかった)。
イチバンオージメー
一番扇舞。ムラアシビの演目。
- メモ
- 最初に扇を使う踊り。座喜味ではかぎやで風が踊られた。
イチバンザー
一番座。住居の東側に設けた客間。
- メモ
- →アガリカミザ。
イチハンスン
行き損ねる。
- 用例
- ヘーク シコーランネー、イチハンスンドー(早く準備しないと、行きそこねるよ)。
過:イチハンチャン(行き損ねた)。
イチバンドゥイ
一番鶏〔いちばんどり〕。
- 用例
- イチバンドゥイン ウタイルムン、ユー アキーサ(一番鶏も鳴くから、夜が明けるさ)。
イチブイ
げっぷ。胸焼け。
イチブコーネーン
行きたくない。
- 用例
- ワンネー ガッコーカイ イチブコーネーン(私は学校に行きたくない)。
- メモ
- 音1:イチブサーネーン。
イチブサーネーン
行きたくない。
- 用例
- シクチンカイ イチブサーネーン(仕事に行きたくない)。
- メモ
- 音1:イチブコーネーン。
イチマディン
いつまでも。
- 用例
- ウヤヌクトー イチマディン ワシンナ(親のことはいつまでも忘れるな)・古。
イチマナー
糸満の人。
イチマブイ
生霊〔いきりょう〕。
- 用例
- イチマブイディシェー チチル ンチャル、ナーダ アタガテーンラン(生霊というのは聞いたことはあるが、まだ体験したことはない)。
イチマンウイ
糸満売り。
- 用例
- ンカシェー イチマンウイ サリーンディシェー、ウトゥルムン ヤタン(昔は糸満売りされることは、恐ろしい事だった)。
ヌーン チカンレー、イチマンウイ サリンドー(何も聞かないなら、糸満の漁師の所に売り飛ばされるぞ)。
- メモ
- 音1:イトマンウイ。困窮している家では、借金のカタや口減らしのために、糸満の漁師のもとに「糸満売り」と称する年季奉公をさせた。
親志では、幼少時に女中奉公に出されたことにも糸満売りされたといった。
イチミ
生身〔なまみ〕。現世に生きている人。
- 用例
- イチミトゥ グソーヤ、リッパ ワカシワル ヤル(現世と後生は、ちゃんと分けないといけない)・儀。
イチミトゥトゥーミ
生きている間。生涯。一生。
- 用例
- イチミトゥトゥーミ、ゥンマンカイ ヲゥヌチムエール ヤルイ(一生、そこにいるつもりか)・儀。
イチミヌショーガチ
現世の正月。
- 用例
- ソーガチェー イチミヌショーガチ ヤグトゥ、ウコーヤ ウサギランティン シムサ(正月は生きている人の正月だから、焼香はしないでよい)。
- メモ
- 音2:イチミヌニントゥー。
盆は3食、祖霊に供えるが、正月はチータチウニゲー(朔日祈願)に御馳走を供えるだけ。チータチウニゲー→
イチミヌニントゥー
現世の正月。年頭。
- メモ
- →イチミヌショーガチ。
イチムシ
①動物。生き物。家畜。②イチムシグヮーともいい、人を侮る時の言葉。
- 用例
- ①イチムシ ダテーン チカナトーン(家畜をたくさん飼っている)。
①イチムシヌ ムノー クィティー(家畜の餌はやったか)。
②イチムシグヮーヒャー!(畜生め!)。
- メモ
- 音1:イキムシ。
イチムシヌヤー
家畜小屋。
- 用例
- イチムシヌヤーン、カジフチシ、チュラーク ウットゥバサッティネーン(家畜小屋も、台風ですっかり飛ばされてしまった)。
- メモ
- →イキムシヌヤー。
イチムドゥイ
行き戻り。行き来。
- 用例
- アマクマ イチムドゥイ スル エーマネー、シクチン ウワインデー(あちこち行き来している間には、仕事は終わるよ)。
- メモ
- 音2:イチムリー。
イチムドゥヤー
行き戻り。行き来すること。
- 用例
- メーナチ イチムドゥヤー ッシ ヌー シ、アッチョーガ(毎日行き来して、何をしているのか)。
イチムリー
行き戻り。行き来。
- 用例
- ウニマングラー マデー、イチムリー ソータン(その頃までは、行き来していた)。
- メモ
- →イチムドゥイ。
イチムリケームリ
行き戻り。行き来している様。
- 用例
- イャーヤ、イクケーン イチムリケームリ ソーガ(お前は、何回行ったり来たりしているのか)。
- メモ
- 類:ハッケーヒッケー。
イチムン
父系一門。
- 用例
- イチムン スリトーティ、ジンミ スン(一門揃って、協議する)。
イチムンウーエー
一門追い。元祖追い。
- メモ
- 音2:グヮンスウーエー。
瀬名波では綱引きの時に分家している次男、三男が、親とは争えないからといって、親元(実家)の組に入って綱を引くことをいった。
イチムンシーミー
{いちもんせいめい。(一門清明)}。行事名。門中単位で行う清明祭。
- 用例
- イチムンシーミーヤ イチ ナトーガヤー(一門清明はいつかね)。
- メモ
- 音2:アジウシーミー・カミウシーミー・ムンチューシーミー。
イチムンバカ
父系一門の墓。門中墓。
- メモ
- 音2:ムンチューバカ。
イチャ
イカ。烏賊。
- 用例
- チューヤ ダテーン イチャ トゥッティ チャン(今日はたくさんイカを取ってきた)。
イチャイカジ
害をもたらす風。悪風。
- 用例
- イチャイカジ ハッチャカティ、タレーマ フチ ゥンジトーサ(悪風に出会って、あっという間に吹き出物ができているさ)。
- メモ
- 夜道を歩いていて、急に体に湿疹ができたりすると、悪風に出会ったといわれた。
イチャイカンティー
会いにくい。会いづらい。
- 用例
- アリトー オーテーグトゥ、イチャイカンティー スン(彼とは喧嘩をしたから、会いにくい)。
- メモ
- 音2:イチャイグリー・イチャイグリサン。
イチャイグリー
会いにくい。会いづらい。
- 用例
- アレー ルク イチュナサヌ、イチャイグリーデー(彼は余りにも忙しくて、会いにくいよ)。
- メモ
- →イチャイカンティー。
イチャイグリサン
会いにくい。会いづらい。
- 用例
- アレー ムチカシー チュ ヤグトゥ、イチャイグリサン(彼は難しい人だから、会いにくい)。
- メモ
- →イチャイカンティー。
イチャイチゲー
行き違い。
- 用例
- イチャイチゲー ナイネー ジャーフェー ヤグトゥ、 ナー イフェー マッチョーカナ(行き違いになったら大変だから、もう少しは待っておこう)。
- メモ
- 音1:イチェーチジェー。→イキチゲー。
イチャイハンチャイ
自問自答。
- 用例
- イチャイハンチャイ、イチマディン カンゲーヌ マトゥマラン(自問自答ばかりで、いつまでも考えがまとまらない)。
イチャイボー
棒術の型名。出会い棒。
イチャイン
出会う。会う。
- 用例
- ゥンマカラ イチーネー、イチャインドー(そこから行くと、出会うよ)。
イチャリバ チョーデー(出会えば皆きょうだいのようなものだ)・田。
否:イチャラン(会わない)希:イチャイブサン(会いたい)過:イチャタン(会った)継:イチャトーン(会っている)。
- メモ
- 音1:イカイン。
イチャイン
手が届く。
- 用例
- イャームン トゥクマカラ、ゥンママディ イチャインナー(お前の所から、そこまで届くねぇ)。
- メモ
- 音1:インチャイン。類:トゥドゥチュン。
イチャガラス
イカの塩辛。
- 用例
- トーフンカイ イチャガラス ヌシティ、ソーユー カキティ カムン(豆腐にイカの塩辛をのせて、醤油をかけて食べる)。
イチャグヮートゥエー
イカ捕り。
イチャサ
苦しみ。痛み。
- 用例
- ウヤヤ イチャサ スタン(親は苦しんだ)。
イチャサン
痛ましい。気の毒な。
- 用例
- アリガ シーヨーヤ、イチャサヌ ンラランシガ(あいつのやり方は、痛ましくて見ておれない)。
- メモ
- 音1:イチャハン。
イチヤッサン
行きやすい。
- 用例
- ユミガ ディキトーグトゥ、ウヤヌヤーカイ イチヤッサン(嫁ができた人だから、実家に行きやすい)。
- メモ
- 対:イチグリサン・イチカンティー(行きにくい)。
イチヤティン
いつでも。
- 用例
- イチヤティン シムグトゥ、カンナジ マーティ クーヨーヤー(いつでもいいから、必ず尋ねて来なさいよ)。
イチャバーバル
{板針原}。座喜味の小字。
イチャハン
痛ましい。気の毒な。
- 用例
- アリガ イキムシ アチカイシェー、イチャハヌ フシガラン(あいつが動物をこき使うのは、かわいそうでたまらない)。
- メモ
- 音1:イチャサン。
イチャンダ
ただ。無料。
- 用例
- ヌーヤティン イチャンダー ヰーランサ(何でもただでは貰わないよ)。
イチャンダシ カマチ(ただで食べさせて)・高。
イチャンダヂケー
無駄遣い。
- 用例
- マンドーグトゥ ディチン、イチャンダヂケーヤ サンケー(たくさんあるからといっても、無駄遣いはするな)。
イチャンダフークー
ただ働き。
- 用例
- ニンカラニンジュー イチャンダフークー ッシ(年から年中ただ働きして)。
イチャンダムン
ただの物。ただ同然で手に入る物。
- 用例
- イチャンダムン クバインネー サンケー(ただの物を配っているんじゃないよ)。
イチャンダムノー ニーダカサンドー(ただの物は高くつくよ)。
イチャンテーン
言ったって。
- 用例
- ナントゥ イチャンテーン、アリガー チカンサ(何回言ったって、彼は聞かないよ)。
イチュイ
勢い。活気。
- 用例
- ンジュル カージ、イチュイヌ ネーラン チュン ヲゥル(見るたび、活気がない人もいるね)。
- メモ
- →イキー。
イチュク
いとこ。
- メモ
- 音1:イチク。
イチュクカサバイ
いとこが同じ仏壇に祀られること。
イチュクミーックヮ
いとこの子ども。
- メモ
- →イチクミーックヮ。
イチュクヲゥバマー
父母の従姉妹。
- メモ
- 呼称では使わない。
イチュター
ちょっと。少しの間。一時。
- 用例
- トゥナインカイ イチュター ヌバガティクー(隣にちょっと顔を出しにいこう)。
- メモ
- 音1:イッチュター・音2:イッチチャ・イットゥカ・イットゥチ・イットゥチャ。
イチュナサン
忙しい。
- 用例
- イャーヤ アンシ イチュナサンナー(君はそんなに忙しいの)。
チューヤ イチュナサヌ(今日は忙しくて)。イチュナサグトゥ イカン(忙しいので行かない)。
- メモ
- 音1:イチュナハン。
イチュナシヤー
多忙な家。
- 用例
- イッター ヤーヤ、ユカイ イチュナシヤー ヤンムナー(お前の家は、たいそう忙しい家だね)。
イチュナシンチュ
多忙な人。
- 用例
- イャーヤカ アレー イチュナシンチュデー(お前より彼は忙しいよ)。
イチュナハン
忙しい。
- 用例
- ユージュビカーン チヂチ イチュナハン(用事ばっかり続いて忙しい)。
- メモ
- 音1:イチュナサン。
イチュビ
植物名。苺〔いちご〕。野いちご。
- 用例
- ウヌ イチュビヌ マーサギサシヨー(その野いちごの美味しそうなことよ)。
- メモ
- 類:タカイチバー。
イチュン
行く。
- 用例
- アチャー、ドゥシンチャートゥ ナーファカイ アシビーガ イチュン(明日、友達と那覇に遊びに行く)。
否:イカン(行かない)希:イチブサン(行きたい)過:ゥンジャン(行った)継:ゥンジョーン(行っている)。
- メモ
- →イクン。
イチュンテー イカンテー
行くか行かないかはっきりしない様。
- 用例
- イチュンテー イカンテー ッシ、ヌー ヤルバーガ!(行くと言ったり行かないと言ったり、どういうつもりか!)。
イチルンサー
行くなら。
- 用例
- イチルンサー マジョーン イチュサ(行くんだったら一緒に行くよ)。
イチワカリ
生き別れ。
- 用例
- ウヤックヮ イチワカリ シーママ、イチャティン ンラン(親子生き別れたまま、会ったこともない)。
- メモ
- 対:シニワカリ(死別)。
イチンモー
溜池。池。
- 用例
- ゥンムソーナムノー、イチンモーヲゥティ アライタン(芋などは、溜池で洗っていた)。
- メモ
- 類:クムイ・ヌーリ。
主に集落内に造られた溜池で、農業用水として使われた。
イッカグヒャーク
お金の単位。1貫500。3銭。
- メモ
- 1貫は2銭。1銭がイチクムイ、タンナファクルーが1銭で2個買えた。タムイグンジューは5厘。
イックヮンミー
お金の単位。1貫。
- メモ
- 伊良皆では、お年玉にイックヮンミー(一貫)を貰った。
イックヮンユー
{いっかんゆ(1貫結)}喪家に対する相互扶助。1貫。
- メモ
- 音2:イチゴーユー・ユー。類:スーゲー。
イッケーラスン
こぼす。
- 用例
- チカイ ウワテーヌ ミジェー、ゥンマヲゥティ イッケーラスン(使い終わった水は、そこでこぼす)。
否:イッケーラサン(こぼさない)希:イッケーラシーブサン(こぼしたい)過:イッケーラチャン(こぼした)継:イッケーラチョーン(こぼしている)。
- メモ
- →音1:イーケーラスン。
イッケーリーン
こぼれる。
- 用例
- ゥンマカイ ウチーネー、イッケーリーンドー(そこに置くと、こぼれるよ)。否:イッケーリラン(こぼれない)過:イッケーリタン(こぼれた)継:イッケーリトーン(こぼれている)。
イッサン
一散。一目散。
- 用例
- イッサン ナティ ゥンジャン(わき目もふらずに行った)。
イッサン イッサン ハーエー スタン(一目散に走って行った)。
イッサンハーエー
一目散に走ること。
- 用例
- イッサンハーエー ッシ、マーカイガ ヤラ(一目散に、走ってどこに行くのやら)。
イッサンハーエー ッシ ヒンギタン(一目散に逃げた)。
- メモ
- 類:イットーバイ。
イッサンバーエー
一目散に走ること。
- 用例
- イッサンバーエー ッシ、ヒンギティ ハイタン(一目散に、逃げて行った)。
- メモ
- →イッサンハーエー。
イッシー
志。
- 用例
- イッシーヌ アン(志がある)・具。
イッスク
1束。茅などを数える単位。
- メモ
- 茅など束ねたの物を数えた単位
イッスダチー
鍋の大きさ。1升炊き用の鍋。
- 用例
- ウッサヌ シンカレームン、イッスダチーンカイ ニーシェー マシ ヤサ(こんなに大勢の人だもの、1升炊きの鍋で炊いたほうがいいよ)。
- メモ
- ニスダチー(二升炊き)、サンジュダチー(三升炊き)もあった。
イッスビン
1升瓶。
イッスマシ
1升枡〔ます〕。
- 用例
- イッスマシッシ ハカレーワ(一升枡で量りなさい)。
イッスンベー
一目散に走ること。
- 用例
- イッスンベー シ ヤーカイ ケータン(わき目もふらずに家へ帰った)。
イッソー
日頃。普段。
- 用例
- イッソーヤ、ゥンマンカイ ユティカラル ハイシガヤー(いつもは、ここに寄ってから行くのだがね)。
イッソーナーシー
片っ端から。
- 用例
- イッソーナーシー カタジキリヨー(片っ端から片付けなさいよ)。
- メモ
- 音1:イッソーナーリー。
イッソーナーリー
片っ端から。
- 用例
- イッソーナーリー トゥッティ イチュタン(片っ端から取って行った)。
- メモ
- 音1:イッソーナーシー。
イッター
お前たち。君たち。同年か目下の人にいう。
- 用例
- ウレー イッターンカイ イーチキーサ(それはお前たちに言いつけるよ)。
- メモ
- 音1:イッテー。
イッタイゥンジャチャイ
物を出し入れする様。
- 用例
- イッタイゥンジャチャイ、チャーヌ ワジャン スサ(入れたり出したり、どんなことでもするね)。
イッチガ
一番。初め。
- 用例
- イッチガ ハジマイヤ、オージメーカラ(一番始まりは、扇舞いからだよ)。
イッチガ マーサシェー、マース(一番美味しいのは、塩)座。
アリヤ イッチガ イチバンヌ シンシー(彼は一番最初の先生)。
イッチガウットゥングヮー
末っ子。
- 用例
- イッチガウットゥングヮーヤ、ナー イクチェー ナトーガ(末の子は、もう何歳になったかねぇ)。
- メモ
- 類:ウッチリーグヮー・チビー・チラーグヮー。
イッチチャ
ちょっと。少しの間。一時。
- 用例
- イッチチャー マッテー(ちょっとは待って)。
- メモ
- 音1:イットゥチャ。→イチュター
イッチャイゥンジタイ
出入りする様。
- 用例
- イッチャイゥンジタイ シ、 ヌーシ アッチョーガ(出たり入ったり、何をしているのか)。
イッチャカイ
すぐそこ。
- 用例
- イャーガ カメートーシェー、ゥンマヌ イッチャカイグヮーカイ アサ(お前が探しているのは、すぐそこにあるよ)・儀。
イッチュター
ちょっと。少しの間。一時。
- 用例
- イッチュター ゥンマンカイ クーワ(すこしの間はそこにおいで)。
- メモ
- →音1:イチュター。
イッチン
一向に。ちっとも。
- 用例
- チャッサ ウクチン イッチン ウキラン(どんなに起しても、一向に起きない)。イッチン ミー ナラン(ちっとも実にならない)。
- メモ
- →アチラン。
イッチン イカラン
入るに入れない。
- 用例
- ドゥク クラサヌ、イッチン イカラン(あまりに暗くて、入るに入れない)。
イッテー
お前たち。君たち。
- メモ
- 音1:イッター。
→イランマイッテー。
イットゥカ
ちょっと。少しの間。一時。
- 用例
- イットゥカー、ゥンマンカイ ヲゥトーケー(少しの間、そこにいなさい)。
- メモ
- 音1:イットゥチ・イットゥチャ。→イチュター
イットゥカグシク
一時城。波平にある遺跡。
- メモ
- 波平の西方にあるグスク。平坦な松山で石垣などの遺構はない。
伝承によると、護佐丸が座喜味城を築造する際、一時ここに城を構えていたことからイットゥカグシク(一時の城)という地名がついたという。護佐丸が一時休んだ所ということで、イットゥカグスクと呼ばれたという説もある。
イットゥカグシクには、こんもりした丘がふたつあって、右側の丘の下の方には波平のガンヤー(龕屋)があった。
イットゥガユー
子どもの遊び。おはじき。貝殻や石を使う。
- メモ
- 音1:イットゥカヨー。
イットゥカヨー
子どもの遊び。おはじき。貝殻や石を使う。
- 用例
- ナマサチマディ、ゥンマヲゥティ イットゥカヨー ッシ アシドータンデー(今先まで、そこでおはじきで遊んでいたよ)。
- メモ
- 音1:イットゥガユー。
イットゥチ
ちょっと。少しの間。一時。
- メモ
- 音1:イットゥカ・イットゥチャ。→イチュター
イットゥチャ
ちょっと。少しの間。一時。
- 用例
- アサ ヘーク イチーネー、イットゥチャネー ゥンジ チューサ(朝早く行くと、ちょっとで行ってくるよ)。
- メモ
- 音1:イットゥカ・イットゥチ。→イチュター
イットーバイ
一目散に走ること。
- 用例
- ヌーン ンランヨークー、イットーバイ ッシ ハイタン(わき目もふらずに、一目散に走って行った)。
- メモ
- →イッサンハーエー。
イッパー
子どもの遊び。木片を使った遊び。
- メモ
- 類:ゲッチョー。
長短の棒を2本作り、短い棒を地面に置いて、長い棒で打ちつけて、短い棒が飛んでいく距離を競った、主に男児の遊び。昭和30年代生まれも、遊んでいた。
イッパイカッパイ
いっぱいいっぱい。
- 用例
- イッパイカッパイ ソーン(いっぱい満ちている)。
イッペー
とても。ものすごく。非常に。
- 用例
- チュイ ヰナグングヮ ヤティカラ、イッペー カナサンテー(一人娘だったら、とてもかわいいでしょう)。
- メモ
- 類:ジコー・ジッコー。
イッペーサッペー
散々。
- 用例
- イッペーサッペー カメーラチョーティ、ヌーリン イランナー!(散々探させておいて、何も言わないのか!)。
イッペーサッペー カチホーイン(散々散らかす)。
- メモ
- →イキネースーネー。
イトゥイン
①嫌う。厭う。②妬む。羨む。
- 用例
- ①タビンカイ イチュシ イトゥイラー、モーキラランサ(出稼ぎに行くのを厭うなら、金を稼ぐことはできないよ)。ハルシクチ イトゥイン(畑仕事を嫌がる)・木。②チュンカイ クィーネー アリガ イトゥインドー(人にあげたら彼が羨むよ)。
イトゥイン
厭う。嫌がる。
- 用例
- タビンカイ イチュシ イトゥイラー モーキラランサ(出稼ぎに行くのを厭うなら、金を稼ぐことはできないよ)。ハルシクチ イトゥイン(畑仕事を嫌がる)。
イトゥヂン
絹の着物。
- メモ
- 嫁入り支度として、夏用と冬用の絹の着物を1枚ずつ持たせた。→イーチヂン。
イトゥヌムン
絹の着物。
- メモ
- →イーチヂン。
イトゥヤー
嫉妬深い人。
- 用例
- アレー イトゥヤーヤンドー(彼は嫉妬深い人だよ)。
イトカマバル
{糸蒲原}。大湾、大木の小字。
イトマンウイ
糸満売り。
- メモ
- →イチマンウイ。
イナカー
田舎者。洗練されない人をさげすんでいうこともある。
- 用例
- アンソール スガイ シーネー、スグ イナカーディチ ワカイサ(そんな恰好では、直ぐに田舎者だと分かるさ)。
イナムルチ
料理名。白みそ仕立ての肉汁。
- 用例
- イナカヲゥテー、イナムルチヤ カラル クトー ネーンタン(田舎では、イナムルチは食べたことがなかった)。
- メモ
- お祝い料理のひとつ。短冊切りにした豚の三枚肉とこんにゃくやかまぼこ、しいたけ等を甘い白味噌仕立てにしたもの。
イナヨー
甘藷・芋〔イモ〕の品種名。
- メモ
- 昭和15年頃からあった。
イナン
楚辺の地名。イナン干瀬。
- 用例
- スビイナン ヲゥティ ミジュンジレー シチャン(楚辺イナンでイワシ漁を行った)。
- メモ
- 楚辺兼久(現トリイビーチ)前にある広いリーフ。豊かな漁場として知られる。
イニシリシリ
磨り臼。木臼。
- メモ
- 類:キーウーシ。籾から玄米にするために用いた。
イニンビー
{いねんび(遺念火)}。ひとだま。
- 用例
- イニンビーヤ、アガタカラル アガイタサニ(遺念火は、あそこから上がったんでしょう)。
- メモ
- 無念を遂げて死んだ人の霊魂。
イニンブシ
{いねんぼし(遺念星)}。彗星。
- メモ
- 音2:イリガンブシ。
彗星が出るのは争いの前兆といわれた。
イヌイビー
法事。一年忌。
- 用例
- ナー イヌイビー ナイビンドーヤー(もう一年忌になりますよね)。
- メモ
- →ユニー。
イヌジュークェー
子どもの遊び。鬼ごっこ。
- メモ
- 音2:マヤーヌジュークェー。類:チビフリハナフリ・チブルサーエー。
前の人の帯や着物をつかまえて縦一列になり、インヌジュー(犬の尾)と呼ぶ最後尾の人を、最前列の鬼がつかまえる遊び。
イヌチ
命。
- 用例
- シージャンカイ イヌチ タシキラッタン(兄に命を助けられた)。
- メモ
- 音2:ヌチ。
イヌトゥーイ
言うとおり。
- 用例
- ウレー ウヤガ イヌトゥーイ ヤサ(それは親が言うとおりだよ)。
- メモ
- 音1:イルトゥーイ。
イヌマンユカ
細長い竹で編んだ床。
- 用例
- イヌマンユカヤ リッパ ナトーサヤー(イヌマンユカはきれいにできたね)。
イノー
礁池〔しょうち〕。
イノーサバ
魚介名。鮫の俗称。30斤前後の鮫。
- メモ
- 読谷海域には、サバヌヤーと称されるサバの入るヤナがある。夜それらのヤナには5、6匹ぐらいイノサバが頭を突っ込んで寝ているのが見られる。
→サバ。
イハ イシチャー
地名(うるま市の伊波と石川)。
- メモ
- 隣接するふたつの地域を並べていう呼び方。
イバイン
威張る。
- 用例
- ヤコー タッタン ムンヌ、チュヌメーヲゥティ イバインナー(役も立たないのに、人前で威張るのか)。
否:イバラン(威張らない)希:イバイブサン(威張りたい)過:イバタン(威張った)継:イバトーン(威張っている)。
- メモ
- 音1:イバユン。
イバサーキーサー
狭苦しい様。
- 用例
- アンソール トゥクルンカイ、ウッサヌ シンカ イバサーキーサー シ(そんな所に、大勢で狭苦しくして)。
- メモ
- 音2:イバサーコーコー。
イバサーコーコー
狭苦しい様。
- 用例
- ウッサヌ チュヌ イッチイバサーコーコー ソーン(こんなに多くの人が入って、狭苦しくしている)。
- メモ
- →イバサーキーサー。
イバサン
狭い。
- 用例
- ワザトゥ イバサン トゥクマカラ トゥーティ ハイサ(わざと狭い所から通って行くね)。
ヤーン イバサン(家も狭い)。イバサー アイビーシガ(狭いですが)。
- メモ
- 音1:イバハン。対:ヒルサン(広い)。
イバサンミー
狭い所。
- 用例
- イバサンミーヲゥテー、アブナサグトゥ アシブナヨー(狭い所では、危ないから遊ぶなよ)。
- メモ
- 音1:イバランミー。音2:イバドゥクル・イバミー。対:ヒルサンミー(広い所)。
イバドゥクル
狭い所。
- 用例
- アブナサヌ、アンソール イバドゥクルンカイ イッチ!(危ないよ、そんな狭い所に入って!)。
- メモ
- →イバサンミー。
イハナシ
お話。
- 用例
- ンカシン チュヌ イハナシ(昔の人のお話)。
- メモ
- イは尊敬の意を表す接頭辞。
イバハン
狭い。
- 用例
- ウヌミチェー ユカイ イバハンデー(その道はかなり狭いよ)。
- メモ
- →イバサン。
イバミー
狭い所。
- 用例
- ワザトゥ イバミービカーン アッカギーサ(わざと狭い所だけ歩いているさ)。
- メモ
- →イバサンミー。
イバヤー
威張っている者。威張りん坊。
- 用例
- アレー、ターヤカ イバヤーヤサ(彼は、誰よりも威張りん坊だ)。
イバユン
威張る。
- 用例
- チュヌメーヲゥティ イバユン(人前で威張る)。
- メモ
- 音1:イバイン。
イバランミー
狭い所。
- 用例
- イバランミーンカイヤ、イッチェーナランドー(狭い所には、入ってはいけないよ)。
- メモ
- →音1:イバサンミー。
イヒ
少し。僅か。
- 用例
- ワームノー イキラサグトゥ、イャームンカラ イヒ ワキランナー(私の物は少ないから、お前の物から少し分けてちょうだい)。
イヒン ヤナカンゲー シーネー ナランドー(少しでも悪い考えをしたらいけないよ)。
- メモ
- 音1:イフィ。類:ウフィ・クーテン。対:ウホーク・ダテーン・チャッサキーン・チャッサン・ダテーン・ダッテーン・ンジャーリ(たくさん)。
イヒ ユル
少しの間。
- 用例
- トゥビゥンジティ イヒ ユル サーニ(飛び出してちょっとしたら)。
イビ
ええっ。あら。あれ。
- 用例
- イビ、イャーヤ イチ チャガ(あれ、お前はいつ来たか)。イビッ、アンル ヤンナー(あら、そうなのか)。
イビー
ええっ。あら。あれ。
- 用例
- イビ、ヌーガ(ええ、どうして)。
イビー、イャーヤ チャー ガンジュー ヤティー(あら、君は元気だったか)。ユンタンザ イビーイビー(読谷の人はよくイビーイビーという)。
- メモ
- イビともいう。
予想に反した時に発する語。
驚かされた時、珍しいものを見た時、何かおかしい時などに発する語。
イビイビー
あらあら。
- 用例
- イビイビ、アンル ヤンナ(あらあら、そうなのか)。
- メモ
- 類:アベアベ。予想に反した時に発する語。
イヒグヮーナー
少しずつ。
- 用例
- イフィグヮーナー ワキティ イケー(少しずつ分けて息なさい)。
- メモ
- 類:イフィナーグヮー。
イビッ
ええっ。あら。あれ。
- 用例
- イビッ イャーヤ ハンジャンチュル ヤンナ(ええっ、あんたは波平の人なの)。
- メモ
- 予想に反した時に発する語。
イヒナー
少しずつ。少し。
- 用例
- ヲゥタティ、イヒナール ムッチースル(疲れて、少しずつしか持てない)。
イビバカ
使われなくなった古い墓。
- メモ
- 音2:アジバカ・カミバカ。類:カミグシンジュ。
イビヨーイ
ふん。ちぇっ。
- 用例
- イビヨーイ クングトール ムン(ちぇ、こんなもの)。
- メモ
- 不満や軽視の気持ちを表わすときに出る語。
イヒョーナ
変な。おかしな。
- 用例
- イヒョーナ チン チチ、アッチョーン(変な服を着て、歩いている)。
- メモ
- 音1:イフーナ・イホーナ・イフォーナ。
イヒョーナー
変なもの。おかしなもの。
- 用例
- ナマ チュヌ ハインネー スタシガ、ターン ヲゥラン イヒョーナー ヤッサー(今人が行くようだったが、誰もいない、おかしいなあ)。
- メモ
- 音1:イホーナー・イフォーナー。音2:イフォーナムン・イホーナムン・イヒョーナムン。
イヒョーナムン
変なもの。おかしなもの。
- 用例
- チューヤ イヒョーナムン ンチャサー(今日は変なものをみたな)。
- メモ
- 音1:イフォーナムン・イホーナムン。→イヒョーナー。
イビラ
しゃもじ。
- 用例
- フルク ナトール イビラヤ、マーニンクィーニン ヒティーシェー アラン(古くなったしゃもじは、あちこちに捨てるものではない)。
- メモ
- 類:ミシゲー。
昔は古くなったしゃもじや杓子をあちこちに捨てると、それが化けるといわれていた。
イビラー
ケチ。ケチな人。
- 用例
- ルク イビラー ナイネー、チュカラ シカン サリーサ(あまりにもけちんぼだと、人から嫌われるよ)。イッペーヌ イビラー(大変なケチ)。
- メモ
- 類:グンジューグマー。
イファ イシチャー
地名(うるま市の伊波と石川)。
- メモ
- 隣接する2つの地域を並べていう呼び方。
イフィ
少し。僅か。
- 用例
- イフィナーヤ ムタシミシェータン(少しは持たせてくれました)。
イフィグヮー マテー(ちょっと待って)。
ワッタークトゥン イフェー カンゲーティ トゥラシェー(私たちのことも少しは考えてくれ)。
- メモ
- →音1:イヒ。
イフィナーグヮー
少しずつ。
- 用例
- イフィナーグヮー ムッチ ケーイン(少しずつ持って帰る)。
- メモ
- →イヒグヮーナー。
イフーナ
変な。おかしな。
- 用例
- イフーナ ウタ チチョーンデー(変わった歌を聞いているよ)。
- メモ
- 音1:イヒョーナ・イホーナ・イフォーナ。
イフェーマチー
{いはいまつり(位牌祀り)}。位牌参り。正月16日のこと。
- メモ
- 昔はジュールクニチャーのことをイフェーマチーといって、正月16日に祖先を祀ってある家へ重箱を持って行った。その日は婿や子どもたちが揃うので楽しみだった。
イフォーナ
変な。おかしな。
- 用例
- イフォーナ ワジャ(変わった仕事)。
- メモ
- 音1:イヒョーナ・イフーナ・イホーナ。
イフォーナー
変なもの。おかしなもの。
- 用例
- イフォーナー ナタン(ばつが悪くなった)。
- メモ
- →音1:イヒョーナー・イホーナー。
イフォーナムン
変なもの。おかしなもの。
- 用例
- メーナチヌ ウチャトー サンネー、イフォーナムン ヤッサー(毎日のウチャトーをしないと、違和感があるなあ)。
- メモ
- 音1:イホーナムン・イヒョーナムン。→イヒョーナー。
イフドーバル
{伊保堂原}。比謝の小字。
イフドーバル
{伊保道原}。伊良皆の小字。
イフバル
{伊保原}。高志保の小字。
イベッ
ええっ。あら。あれ。
- 用例
- イベッ、アンドゥ ヤティー(ええっ、そうだったのか)。
- メモ
- 予想に反した時に発する語。
イホーナ
変な。おかしな。
- 用例
- アンシ、イホーナ クトゥン アルヤー(なんて、おかしなこともあるんでししょうね)。
- メモ
- 音1:イヒョーナ・イフーナ・イフォーナ。
イホーナー
変なもの。おかしなもの。
- 用例
- ウングトゥ シーネー、イホーナー ヤッサー(そんなことをしたら、変だよね)。
- メモ
- →音1:イヒョーナー・イフォーナー。
イホーナムン
変なもの。おかしなもの。
- 用例
- ナママディ アタシガ ネーンナインディシェー、イホーナムン ヤッサー(今まであったのがなくなるって、おかしなことだ)。
- メモ
- 音1:イフォーナムン・イヒョーナムン。→イヒョーナー。
イマイマートゥ
新鮮な。
- 用例
- ウヌ イユヌ イマイマートゥ ソーシヨー(その魚の新鮮なことよ)。
イマイユ
{いまさかな(生魚)}。獲れたての魚。新鮮な魚。
イマムン
{いまもの(生物)}。新鮮な物。
- 用例
- マチカイ ゥンジャーニ、イマムン コーティ クーワ(町に行って、新鮮なものを買って来なさい)。
イマメー
現在。最近。目前。
- 用例
- イマメーヌ クトゥビカーン カンゲーランヨークー、アトゥアトゥヌ クトゥン カンゲーリヨー(目の前のことばかり考えないで、後々のことも考えなさいよ)。
ウレー イマメーヌ ハナシドー(それは最近の話だよ)。
イミ
意味。
- 用例
- イャーガ イチョーシェー、ワッターガー イミン ワカランサ(お前が言っていることは、私たちには意味も分からないさ)。
- メモ
- 音2:イミクジ。類:キムエー・チムエー。
イミ
忌み。
- 用例
- イミン ハリリワル、フカニン ゥンジラリーンドー(忌が晴れてこそ、外にも出られるんだよ)。
イミ
夢。
- 用例
- チヌーヌ クトー イミヌグトゥル アル(昨日のことは夢のようだ)。
イミークジー
根掘り葉掘り。
- 用例
- イミークジー キカッタン(根掘り葉掘り聞かれた)。
- メモ
- 音2:ミージクージ・ミーミークージ。
イミーン
催促する。請求する。ねだる。
- 用例
- ジン カラチェーシ イミーン(お金を貸してあるのを請求する)。イミトーサヤー(ねだっているんだな)。
否:イミラン(催促しない)希:イミーブサン(催促したい)過:イミタン(催促した)継:イミトーン(催促している)。
イミグクチ
夢心地。
- 用例
- ナマ イーヤンベー ニンティ、イミグクチ ヤタルムン(今良い具合に眠れて、夢心地だったのに)。
イミクジ
{いみこじ(意味故事)}。意味。
- 用例
- イャーガ イチョーシェー、ムル イミクジヌ ワカラン(お前が言っていることは、全く意味が分からない)。
- メモ
- →イミ。
イミスン
価値があること。重宝する。それを味わうこと。
- 用例
- マギ フクルンカイ イッチョーシェー、ジコー イミスン(大きな袋に入っているのは、とても価値がある)。
イャーガ クィテール ヤーシェーヤ、イッペー イミスン(お前がくれた野菜は、とても重宝する)。
- メモ
- 音1:イーミスン。
イミンクジン
意味も故事も。意味が全く分からない時に使う。
- 用例
- イミンクジン ワカラン ムヌイー ッシ(全く意味も分からないようなことを言って)。
ヌーリチル カチェーラー、イミンクジン ワカラン(何と書いてあるのか、全く意味が分からない)。
イメンシェーン
いらっしゃる。「居る」「行く」「来る」の丁寧語。
- 用例
- トゥンチンカイ イメンシェーン(殿内〈お屋敷〉にいらっしゃる)。
ウチンカイ イメンソーリ(中にお入りください)。
- メモ
- 元々は士族の言葉。
イヤ
石工〔いしく〕道具名。くさび。石に打ち込むくさび。
- メモ
- 先が矢のようになっている。
イヤリン
多分。おそらく。
- 用例
- イヤリン カミンデール ヤミシェーテーサニ(おそらく神であったんでしょうね)。イヤリン ヤテーンテー(多分そうだったでしょう)。
- メモ
- →イェーリン。
イユ
魚介名。魚。魚の総称。
- 用例
- マルケーテー、イユヌ シル カミブサンヤー(たまには、魚の汁を食べたいね)。イユクヮーシーガ イチュン(魚釣りに行く)。
イユウヤー
魚売り。
- 用例
- ムラウチカラ イユウヤーガ アッチュタン(字内から魚売りが行商していた)。
- メモ
- 類:イユカミヤー。主に漁師の婦人が行商していた。
イユカミヤー
魚を頭上に載せて行商する人。
- メモ
- →イユウヤー。
イユグヮー
魚介名。小魚。小魚及び魚の総称。
- メモ
- 鰯などの小魚を臼で搗いて出汁〔だし〕にした。
イユジー
釣り針。
- 用例
- ヘーク イユジー シカキレーワ(早く釣針を仕掛けなさい)。
- メモ
- 類:チー。
イユダシグヮー
魚の出汁〔だし〕。
- 用例
- イユダシグヮーシ シルワカチェーサ(魚の出汁で汁を作ったよ)。
- メモ
- 乾燥させた魚粉などを臼で搗いて出汁にしたもの。
イユヌクスイ
{さかなのくすり(魚の薬)}。魚は薬。
- メモ
- 子どもの発熱にはイユヌクスイといって魚介をあげていた。
イユヌハニ
トビウオの翼状〔よくじょう〕の鰭〔ひれ〕。
イユヌミー
魚〔うお〕の目。イボ。
- 用例
- ヒサヌワタカイ イユヌミーヌ ゥンジティ、アッチーネー ヤミルスンデー(足の裏に魚の目が出来て、歩くと痛いんだよ)。
- メモ
- 足の裏などにできる角質が豆粒状になったもの。
イユミーバンタ
魚を見る崖。
- メモ
- 各地にあり、魚群を発見するために海の見通しが良い崖のこと。
渡具知ではデンシンヤー(電信屋)の上のヒラマーチュー(平松)、楚辺はユーバンタ、高志保は連道原の岬だった。
イユン
言う。
- 用例
- アネー イヤンタンドー(そうは言わなかったよ)。ゥンジティ イキディチ イヤットールバー(出て行けと言われているわけ)。
- メモ
- 音1:イーン・イン。
イラースン
貸す。
- 用例
- アマヌ ヤーヤ ヌーン イラーサンドー(あそこの家は何も貸さないよ)。
否:イラーサン(貸さない)希:イラーシブサン(貸したい)過:イラーチャン((貸した)継:イラーチョーン(貸している)
- メモ
- 類:カラスン。
イラーユン
借りる。
- 用例
- イラティ ハチゴー、ナチ イッス(借りて8合、返すのは1升)・高。
- メモ
- 音2:イライン。類:カイン。対:ケースン(返す)。少量の物品を分けてもらうこと。
用例は「8合の物を借りて目的が達成したら1升返すものだ」という意味の諺。
イライン
借りる。
- 用例
- クミガ ネーングトゥ、トゥナイカラ クミ イライン(米がないから、隣から米を借りる)。
否:イラーン(借りない)希:イライブサン(借りたい)過:イラタン(借りた)継:イラトーン(借りている)。
- メモ
- →イラーユン。
イラナ
農具名。鎌。
- 用例
- イラナ ムッチ アシビーネー、アブナサヌ(鎌を持って遊ぶと、危ないよ)・儀。
- メモ
- 音2:イラン。
イラナナギエー
鎌投げ遊び。
- メモ
- 類:ナーギー・チチャークー・チージェークー。
草刈りに行って、刈った草を賭けて鎌投げをして遊んだ。
イラビイラビ
えらびえらび。よりによって。こともあろうに。選び選び。
- 用例
- イラビイラビ、ミートゥンダ ヤクミ アタタルバーイ(よりによって、夫婦で役員に当たったの)・儀。
イラビジョージ
選び上手。
- 用例
- イャーヤ アンシ イラビジョージ ヤル(お前はなんて選び上手なんでしょう)。
イラビヌクサー
選び残し。
- 用例
- ヌクテー ネーンラー、イラビヌクサー ヤティン シムグトゥ、トゥティ クーワ(残ってないなら、選び残しでもいいから、取ってきなさい)。
イラビヤンジュン
選び損ねる。
- 用例
- アワティラカシーネー イラビヤンジュンドー(急かすと選び損ねるよ)・儀。
過:イラビヤンタン(選び損ねた)継:イラビヤントーン(選び損ねている)。
イラビゥンジャスン
選び出す。
- 用例
- ウッサヌ ナカカラ イラビゥンジャスシェー、デージナワジャデー(そんなたくさんの中から選び出すのは、大変なことだよ)・儀。
否:イラビゥンジャサン(選び出さない)希:イラビゥンジャシーブサン(選び出したい)過:イラビゥンジャチャン(選び出した)継:イラビゥンジャチョーン(選び出している)。
イラブ
沖永良部島。
- 用例
- ユンヌ イラブカラ、ウラッティ チョータン(与論・沖永良部から、身売りされてきていた)。
イラブー
魚介名。エラブウミヘビ。
- 用例
- イラブージルヤ、クンチ チチュンディサ(イラブーの汁は、栄養がつくそうだ)。
イラブチャー
魚介名。ブダイ科魚類の総称。
- 用例
- イラブチャーヤ ンジヌ ウーサグトゥ、キー チキティ カミヨーヤー(アオブダイはトゲが多いから、気をつけて食べなさいよ)。
- メモ
- 和名の「アオブダイ」は沖縄県には分布しないとのこと。
イラブチャーカキエー
漁法名。追い込み漁。
- メモ
- イラブチャーの通り道の珊瑚礁の割れ目に建て網を仕掛ける。
イラブン
選ぶ。
- 用例
- ドゥーガ マシヤシ イラブン(自分の好きなのを選ぶ)。
否:イラバン(選ばない)希:イラビーブサン(選びたい)過:イララン(選んだ)継:イラローン(選んでいる)。
イラランミー
入れないところ。干渉してはいけないところ。
- 用例
- イラランミーカイ イッチネーンサー(立ち入ったところに入ってしまったさ)。
イラリーン
言われる。
- 用例
- メーナチ、ユヌクトゥ イラリーンディチン アンナー(毎日、同じことを言われるってこともあるか)。シジミレーリチ イラットーシガ、ナーマ シジミラン(片付けろと言われているが、まだ片付けてない)・木。
否:イララン(言われない)過:イラッタン(言われた)継:イラットーン(言われている)。
イラン
農具名。鎌。
- 用例
- イランシ クサカレー(鎌で草を刈りなさい)・高。
- メモ
- →イラナ。
イランマ
地名(読谷村伊良皆)。
イランマ イッテー
字民生。伊良皆の人は「あなた」を「イッテー」と言ったことから、他字の人から、イランマイッテーと呼ばれれている。
イランマ カタンチャー
字民生。伊良皆の人は一斉に同じ方向へ行き、傾く。
- メモ
- 伊良皆の人は年長者の意見や新しいことを取り入れて実行するということ。
イランマ ナガタ
伊良皆と長田。
- メモ
- 長田は元は伊良皆の一部で、後に字として分離したためイランマナガタと呼んだ。
イランマバル
{伊良皆原}。伊良皆の小字。
イランマンチュ
伊良皆の人。
イリ
西。
- 用例
- ヤシチヌ イリカイ チュクレーワ(屋敷の西側に作りなさい)。
- メモ
- 対:アガリ(東)。
イリイーバル
{西上原}。楚辺の小字。
イリータシメー
不足を補う分。
イリーノーシ
入れ直し。
イリーン
入れる。
- 用例
- フクルンカイ ヤシェー イリーン(袋に野菜を入れる)。
否:イリラン(入れない)希:イリーブサン(入れたい)過:イッタン(入れた)継:イットーン(入れている)。
- メモ
- 対:ゥンジャスン(出す)。
イリカー
炒め物。
- 用例
- キレークニ イリカーヌ マーハヨー(人参炒めの美味しいこと)。
- メモ
- 音2:イリチャー・イリチー・イリチムン。
イリガー
西井戸。
- メモ
- 読谷各地に同名のカーがある。その集落の西側に位置することから称される。各地ともかつての水の恩に感謝し拝されている。
字上地のイリガーは専ら飲料水として用いられた。正月の若水はここから汲んだ。イリガー周辺から旧読谷中学校一帯にかけては湿地帯で水が豊富に流れ込むところであり、戦前の旧読谷中学校敷地には田んぼが多くあったという。
字宇座のイリガーは、ウブガー(産井)でもある。そこでは出産の報告と赤子への加護を祈願した。宇座の与久田門中に伝わる伝承では、義本王(舜天王統最後の王、在位1249~59年)が与久田の屋敷に逗留し、漁の帰りにここで網を洗ったことから「網洗井戸(アミアレーガー)」とも呼ばれる。戦前に造成された半円型の見事な石積みで、宇座の石工の技術の高さがうかがえる。
字喜名のイリガーは、旧県道沿いにあり生活用水として大通りや近隣の人たちで使っていた。国道建設により元の場所より東に30メートルほど移動した。
字長浜のイリガーは、ウブガーとして使われていた。
字波平ではイリヌカー(西之井戸)と呼ばれ、屋号亀倉根の屋敷前にあるので、カミークランニーメー(亀倉根前)のカーとも呼ばれている。
イリガサ
はしか。麻疹。
- メモ
- 音1:イリガサー。
イリガサーは神様が与えるものだと信じられ、お願いしたら発疹は3日で引くと言われた。
イリガサー
はしか。麻疹。
- 用例
- イリガサーヤ、チューチャンナカイ フチゥンジャスンドー(麻疹は、一気に噴き出るよ)。
- メモ
- 音1:イリガサ。
イリガサーヤンリ
麻疹の後遺症。
- 用例
- アンシ ウジラーサタルムン、イリガサーヤンリ ナティヤー(とても可愛かったのに、麻疹の後遺症が残ったね)。
- メモ
- 以前は麻疹にかかると、皮膚に跡形が残ったり、高熱で障害が出ることがあった。
イリガサガナシ
麻疹の神様。
- 用例
- イリガサー カカイネー、イリガサガナシンカイ 「ガッシク ナチ トゥラシミソーリ」ディチ ニガイタン(麻疹にかかると、麻疹の神様に「軽くしてください」といって願った)。
- メモ
- 麻疹はイリがサの神が罹らせるものと信じられ、軽くしてくれるように祈願し水撫でした。
イリガサチュラガサ
「麻疹の瘡〔かさ〕はきれいな瘡」。
- 用例
- ンカシンデー、ウタサンシン ソーティ イリガサチュラガサ カミヌ サニ マチンシェーンチ ユートゥジェー シンソーチャンディ(昔は、三線に合わせてイリガサチュラガサの神が種を蒔いていらっしゃるよと歌って夜伽をしていたそうだ)。
- メモ
- 誰でも罹る麻疹は神様が罹らせるものと信じられており、麻疹を軽くすませてくれるよう三線にのせてイリガサチュラガサと歌い夜伽をした。
イリガサドゥシ
麻疹が流行した年。
- 用例
- イリガサドゥシヤ、デージ ヤタンヤー(麻疹が流行した年は、大変だったね)。
イリカジ
西風。
イリガニー
庚〔かのえ〕の日。
イリカミザ
西側に設けた一番座。
- メモ
- →アガリカミザ。
イリカワイン
入れ替わる。
- 用例
- イャートゥ ワントゥ タゲーニ イリカワイン(君と僕とお互いに入れ替わる)。
否:イリカワラン(入れ替わらない)希:イリカワイブサン(入れ替わりたい)過:イリカワタン(入れ替わった)継:イリカワトーン(入れ替わっている)。
イリガン
{いれがみ(入れ髪)}。かもじ。添え髪〔そえがみ〕。
- メモ
- 類:イレーガン。
イリガンや、たたまれた着物が道に置かれているのを取ってはいけないと伝えられている。
イリガンブシ
入れ髪星〔いれがみぼし〕。彗星。
- メモ
- →イニンブシ。
イリキサン
嬉しい。楽しい。
- 用例
- シバイガ イリキサタン(芝居が楽しかった)。
ゥンマガンチャーガ アシビーガ チーネー、イッペー イリキサン(孫たちが遊びに来たら、とても嬉しい)。
- メモ
- 音1:イリキハン・イーリキサン・イールキサン・ウィーリキサン。→イーリキサン。
イリキハン
嬉しい。楽しい。
- 用例
- ドゥシンチャー アチマイネー イリキハン(友達が集まったら楽しい)。
- メモ
- 音1:イリキサン。→イーリキサン。
イリキムン
楽しいこと。
イリクージ
いざこざ。
- 用例
- チュヌ イリクージカイヤ、クチェー イリンナ(人のいざこざには、口をはさむな)。
イリクシバル
{西後原}。伊良皆の小字。
イリクマックヮ
入れ子枕。
- メモ
- 大小の箱形の枕で、大きいものに小さい箱が収まるよう細工された枕。
イリグミ
西組。行政組織・地区の名称。
- メモ
- →アガリグミ。
イリケーイン
①入れ替える。②おかわりをする。
- 用例
- ①ナチムントゥ フユムン イリケーイン(夏物と冬物を入れ替える)。
否:イリケーラン(入れかえない)希:イリケーイブサン(入れかえたい)過:イリケータン(入れかえた)継:イリケートーン(入れかえている)。②シルヌ マーサグトゥ、イリケーイン(汁がおいしいので、おかわりをする)。
イリケータチケー
何度もおかわりすること。
- 用例
- イリケータチケー、メー イッティ カムタン(何度もおかわりして、ご飯を入れて食べていた)。
イリサクバル
{西佐久原}。伊良皆の小字。
イリサチバル
{西崎原}。宇座の小字。
イリシーイン
少し多めに入れ添える。おまけする。
- 用例
- アマヌ マチヤヤ、チャー イリシーイン(あそこの店は、いつもおまけする)。イリシーン(おまけした)
- メモ
- 類:シーイン。
イリシガマーシ
よりによって。あいにく。
- 用例
- イリシガマーシ イチュナサイニ、ワジャ ウクチ(よりによって忙しい時に、事を起こして)。
イリジャチミバル
{西座喜味原}。座喜味の小字。
イリジョーバル
{西門原}。座喜味の小字。
イリシワキ
説明。相手によく分かるように説明すること。
- 用例
- ワカランアラー、ユー イリシワキシ チカサンネー ナランサ(分からないなら、ちゃんと説明して聞かさないといけないよ)。
イリチ
ふけ。
- 用例
- ナマー、イリチ ゥンジール チュン ヲゥラン(今は、フケが出る人もいない)。
- メモ
- →アクミ。
イリチ
鱗〔うろこ〕。
イリチー
炒め物。
- メモ
- →イリカー。
イリチムン
炒め物。
- メモ
- →イリカー。
イリチャ
甍〔いらか〕。茅葺き屋根の上方部分。
- 用例
- イリチャ フケーカラー、ヤーヤ ナトーシトー ユヌムン ヤサ(甍を葺いたら、家は出来上がったようなもんだ)。
イリチャー
炒め物。
- 用例
- イャーガ チュクテール クーブイリチャーヤ、イッペー マーサン(あなたが作った昆布炒めは、とても美味しい)。
ウレー イリチャーグヮー シーネー マシ ヤサ(これは炒め物にしたらいいよ)。
- メモ
- →イリカー。
イリチャヌユーエー
{いらかのいわい(甍の祝い)}。屋根を葺き終えた祝い。
- 用例
- アチャヤ イリチャヌユーエー ヤグトゥ、ンナンカイ イェージ シーヨーヤー(明日は茅を葺き終えた祝いだから、みんなに連絡しなさいよ)。
イリチュン
炒める。
- 用例
- アサバノー トーフ イリチュン(昼ご飯は豆腐を炒める)。
否:イリカン(炒めない)希:イリチーブサン(炒めたい)過:イリチャン(炒めた)継:イリチョーン(炒めている)。
イリチリー
住み込み。住み込みで働く人。
- 用例
- イリチリーヤ、 クンチカーッティ デージヤタン(住み込みで働くというのは、扱き使われて大変だった)。
イリナーリー
西の方から。
- 用例
- アガレー シマトーグトゥ、イリナーリー イッチクーワ(東側は閉まっているから、西の方から入って来なさい)。
イリニンジュ
西の人たち。
- メモ
- 主として綱引きなどで集落全体を二分する時の組の名。アガリニンジュ参照。
イリバル
{西原}。喜名、座喜味、伊良皆、波平、儀間、長浜、楚辺、渡具知、比謝、大湾、古堅の小字。
イリバルヤードゥイ
西原屋取。
- メモ
- 廃藩置県前後に喜名のイリバル(西原)にできた屋取集落。喜名の一部ではあったが、行事はムラウチ(本集落)とは別に行われ、ガン(龕)も独自に保有していた。近辺に楚辺、伊良皆の屋取集落も位置している。
イリヒ
経費。費用。
- メモ
- 音1:イリミ・イルミ。
イリヒ
西日。
- 用例
- シムヌ イリヒヌ チューサヌ、ムヌ ニーンチ アシ ハイサ(台所の西日が強くて、食事を作るのに汗をかくさ)。
イリヒントー
返事。返答。
- 用例
- アビティン イリヒントーンネーン(呼んでいるが返事がない)。
- メモ
- 音2:フィジフィントー。
イリファ
①{いりふぁあ(入羽)}。舞台を退場すること。②入口。
- 用例
- ①ボーシンカヤ、ゥンジファン イリファン ヰヌ トゥクマ ヤタン(棒術をする人は、入場も退場も同じ所だった)。
②ジョー イリファチャクトゥ ウットウマトールバーテー(〈墓の〉門入口に来たら、止まってしまったんだよ)。
- メモ
- ①対:ゥンジファ(出羽)。登場人物が舞台に登場することを「出羽」、退場を「入羽」という。
②「歌い骸骨」『牧原の民話』より。
イリファヂチ
入り口。
- 用例
- トゥグチンナトゥヤ、トー ヤ ヤンバルカラヌ イリファヂチ ナトータン(渡具知港は、唐や山原からの入り口になっていた)。
イリブサー
宵の明星。日没後の西の空に輝く明るい星。金星。
- メモ
- →ユーバンマンジャー。
イリベーシ
楚辺に伝わる舞踊。赤犬子まつりやムラアシビで演じられる。
- 用例
- アカヌクスーギネー、ヤクミンチャーガ アカヌクー トーティ イリベーシ ウルイタン(赤犬子祭には、役員が赤犬子宮でイリべーシを踊った)。
- メモ
- 神の降臨を求めるため、10人余の若者が太鼓の音と空手風の踊りで座を清め祈る舞踊。ムラアシビの際にも最初に演じられた
イリマックヮ
西枕。
- 用例
- イリマックヮヤ マシェー アランムンヌ、トゥーチ イリマックヮ ソール(西枕はよくないのに、いつも西枕しているね)。
- メモ
- 死者はイリマックヮ(西枕)にして寝かせる。
イリミ
経費。費用。
- メモ
- 音1:イリヒ・イルミ。
イリムーク
入り婿。婿養子。
- メモ
- 音1:イリムークー。類:ムクヨーシ。
跡取りの男児がいない家では、継承するために入り婿をとった。
イリムークー
入り婿。婿養子。
- 用例
- アレー イェーキンチュヌ イリムークー ナティ、バチクヮトーン(彼は金持ちの入り婿になって、上出来だ)。
- メモ
- →イリムーク。
イリムサー
虫食い芋。甘藷の害虫。
- 用例
- クンドゥヌ ゥンムヤ イリムサー イッチ、カミンナラン(今年の芋は虫食いで、食べられたものじゃない)。
イリムシ
アリモドキゾウムシ。イモサルハムシ。
- メモ
- サツマイモに入る害虫。芋が虫に食われると芋自体が独特な嫌な匂いがする。
イリムティ
西側。
- 用例
- ワランチャーヤ、イリムティカイ ハーエー シ ハイタン(子どもたちは、西側に走って行った)。
- メモ
- 対:アガリムティ(東側)。
イリメーバル
{西前原}。楚辺の小字。
イリユー
入り用。必要。
- 用例
- イリユー ナティル カティチェールムン、イーナナー ケースンディチン アンナー(必要だから借りてきたのに、そんなに早く返すってこともあるか)。
イリユー ハンサリーン(必要とされない)。ジンヌ イリユー ナティル、マーティ チェーサニヤー(お金が入用で、回って来たんでしょうね)。
イリンケー
西向き。
- 用例
- アマヲゥティ イリンケー ソーシガ、 ワー ウヤ ヤサ(あそこで西向きになっているのが、私の親だよ)。
- メモ
- 対:アガリンケー(東向き)。
イリンダカリ
いりんだかり〔西村渠〕。字〔あざ〕における区分。
- メモ
- 座喜味では、イリンダカリ・アガリンダカリで区分した。→アガリンダカリ。
イル
色。
- 用例
- イャーヤ ヌーイルガ マシヤガ(お前は何色が好きか)。
イルイル
色々。いろいろ。
- 用例
- アワティランヨークー、イルイル カンゲーリヨー(急がずにいろいろ考えなさいよ)。
イルカジ
{いろかず(色数)}。色々。
- 用例
- アマヌ マチヤヤ、イルカジ ヌーヤティン アサ(あそこの店は、色々何でもあるよ)。
イチムシヌ イルカジ(いろんな動物)。
イルクチ
入り口。
- メモ
- 対:イジクチ・ゥンジリグチ。
イルソーモーソー
怯えている様。血の気が引いて顔色が悪いこと。青ざめる。
- 用例
- イルソーモーソー ヒチ、アンソール クトゥン アタル(怖くてたまらず、あんなこともあったね)。
イルトゥーイ
言うとおり。
- 用例
- アリガ イルトゥーイ シェー、チケー ネーンサ(彼が言うとおりにすれば、間違いないよ)。
- メモ
- 音1:イヌトゥーイ
イルヌガー
血の気がひいて顔色が悪い。青ざめる。
- 用例
- アンシ イルヌガー シ、チケーネーニ(そんなに青ざめて、大丈夫ねえ)。
イルミ
経費。費用。
- メモ
- 音1:イリヒ・イリミ。
イルミーベーサン
顔に表れやすい。表に出やすい。
- 用例
- イャーヤ、アンシ イルミーベーサル(お前は、とても顔に表れやすいね)。
イルミシーン
顔に表れる。
- 用例
- ワッター アンマーヤ シワグトゥヌ アイネー、スグ イルミシーン(私の母は心配事があると、直ぐに顔に表れる)。
イルワキ
区別。分け隔て。
- 用例
- ンナ ユヌグトゥル スル、イルワキ シェー ナランサ(みんな同じようにするんであって、分け隔てしてはいけないよ)。
イルンナムン
いろいろな物。
- 用例
- ワー シージャヤ、イルンナムン ムッチョーン(私の兄は、いろいろな物を持っている)。
イレーイン
答える。返事する。
- 用例
- イクケーン アビティン、イレーイン サンナー(何回呼んでも、返事しないのか)。
否:イレーラン(答えない)。
- メモ
- 音:イレーユン。
イレーガン
入れ髪。かもじ。添え髪。
- 用例
- カラジヌ インチャハヌ、イレーガン イリランネー ユーララン(髪が短くて、かもじを入れないと結えない)。
- メモ
- 類:イリガン。
イレーガン
入れ墨。
- 用例
- チカグルヤ イレーガンヌ ヘートーン(最近は入れ墨が流行っている)。
イレーユン
答える。返事する。
イワリ
謂れ。事情。
- 用例
- ヌーヌ イワリヌル アラー、ワッターガー ワカラン(何の謂れがあるのか、私たちには分からない)。
イン
犬。
- 用例
- ミーヤー チュクイネー、イン チカナイン(新しい家を造ったら、犬を飼う)。
イン
言う。
- 用例
- アン イン(そういう)。
- メモ
- 音1:イーン・イユン。
インカサナガサ
{みじかいながい(短い長い)}。長短のバランスがとれないこと。
- 用例
- イャー ムノー、ムル インカサナガサ ヒチ(お前の物は、全部短かったり長かったりして)。
- メモ
- 音2:インチャーナガー。
インカハン
短い。
- 用例
- ウヌ ボーヤ ユカイ インカハンレー(その棒はかなり短いよ)。
- メモ
- 音2:インチャサン・インチャハン。対:ナガサン・ナガハン(長い)。
インギーマ
植物名。ハマヒサカキ。
- メモ
- 野山でハマヒサカキの実を採って食べた。
イングェーバル
{犬桑江原}。波平の小字。
インゲンマーミ
植物名。インゲン豆の総称。
- 用例
- インゲンマーミヤ イリカー シン マーハン(インゲン豆は炒めても美味しい)。
インジョージン
結納金。
- 用例
- イャーヤ インジョージン シコーテーミ(お前は結納金を準備してあるねぇ)。
インダカリ
地域区分の名称。{うえむらだかり(上村渠)}。
- メモ
- →アガリンダカリ。
インチャーナガー
{みじかいながい(短い長い)}。長短のバランスがとれないこと。
- 用例
- イャームン チノー、インチャーナガー ッシ(お前の着物は、あちこち長さが違うよ)。
- メモ
- →インカサナガサ。
インチャイン
手が届く。
- 用例
- ゥンマヤレー ワン ヤティン インチャイン(ここだったら私でも届く)・儀。
否:インチャラン(届かない)継:インチャトーン(届いている)。
- メモ
- →イチャイン。
インチャサン
短い。
- 用例
- ナントゥ ハカティン インチャサン(何回測っても短い)。
- メモ
- 音1:インチャハン。→インカハン。
インチャハン
短い。
- 用例
- ジューヌ インチャハン(尻尾が短い)。
- メモ
- 音1:インチャサン。→インカハン。
インディー
植物名。蕪〔かぶ〕。
イントゥ マヤー
犬と猫。仲が悪いことのたとえ。
インドゥーマーミ
植物名。エンドウ豆。
- 用例
- インドゥーマーミ トゥティチェーグトゥ、カー ンチトゥラシェー(えんどう豆を取って来たから、皮をむいてね)。
イントゥク
陰徳〔いんとく〕。ひそかに行う善行。
- 用例
- イントゥクヌ マンローグトゥ、ヌー シミティン チュヤカ ウヮービ ナイン(陰徳があるから、何をやっても人より上に行く)。
イントゥク モーキーン(陰徳を積む〈儲ける〉矼。
インドゥシ
戌年〔いぬどし〕。
- 用例
- インドゥシニ ゥンマリタシヤ、イクタイ ヲゥガ(戌年に生まれたのは、何人いるねぇ)。
インドーマーミ
植物名。エンドウ豆。
インニーカニー
庚戌〔かのえいぬ〕。
- 用例
- インニカニーニ ハラウービ マチュン(庚戌に腹帯を巻く)。
- メモ
- 妊婦の腹帯を巻くのに最良の日が庚戌の日。多産でお産の軽い犬にあやかり戌の日が吉とされた。
インヌ タチナチ
犬の遠吠え。
- メモ
- 犬が遠吠えするのは厄だといわれた。
インヌッチュ
戌年生まれの人。
- 用例
- インヌッチュヤ、ハナシー チチジョージ ヤンディ(戌年生まれの人は、話を聞くのが上手なんだって)。
インヌマー
蚤。ノミ。
- 用例
- イクサユーネー、インヌマー マンリ フシガランタンドー(戦時中は、蚤が多くて大変だったよ)。
インヌミ
蚤。ノミ。
インヌミヤードゥイ
地名(沖縄市高原)。
- メモ
- 第2次世界大戦後、海外引き揚げ者のための収容所のあった所。
インヌヤー
犬小屋。
- 用例
- インヌヤーン イバク ナトーグトゥ、チュクイ ケーイン(犬小屋も狭くなったので、造り替える)。
インネーカタイ
言うように語ると。そうしているうちに。
- 用例
- インネーカタイッチ、ワラバーヌ ゥンマリタン(そうしているうちに、子どもが生まれた)。
インネースンネー
言うやいなや。案の定。
- 用例
- ヤー!インネースンネー サッタシェー(ほら!言うやいなややられたさ)。
インマヤー
犬や猫。犬畜生。
インマユー
化け物。
- 用例
- ハカヌ マユカラ インマユーヌ ゥンジティ チャン(墓のマユから化け物が出てきた)。
イャー
あなた。君。お前。
- 用例
- イャームントゥ ワームントゥ スーブ シンダナ(お前の物と私の物を勝負してみよう)。
- メモ
- 類:ウンジュ・ナー・イッテー。
イャーグトールムン
お前みたいな奴。
- 用例
- イャーグトールムンヤ、ゥンジティ イケー(お前みたいな奴は、出て行け)。
- メモ
- 音2:イャーフージーナムン。
イャーフージーナムン
お前みたいな奴。
- メモ
- 音2:イャーグトールムン。
イェー
ああ、そうか。あの。
- 用例
- イェー、クレーヨー(ああ、これはね)。
- メモ
- 相手の話しかけに対して思い当たることがある時や理解した時に発する語。
イェー
おい。もし。
- 用例
- イェー、ゥンマヲゥティ ヌー ソーガ(おい、そこで何をしているか)。
- メモ
- 人に声をかけるときに発する言葉。目上の人に呼びかけるときは「イェーサイ」という。
イェー
藍。
- 用例
- アンシ イェーヌ ユカトーシヨー(こんなにも藍がよくできているね)。
- メモ
- 音1:エー・ヱー。
イェーイ
和え物。酢の物。
- 用例
- ナチヌ アチハイネー、イェーイ チュクティ、ゥンジャスシェー マシ ヤサ(夏の暑いときには、和え物を作って、出した方が良いよ)。
- メモ
- 音2:イェームン。類:スーネー。
イェーイン
和える。
- 用例
- キューイ ヘーイシ イェーイン(胡瓜を酢で和える)。否:イェーラン(和えない)希:イェーイブサン(和えたい)過:イェータン(和えた)継:イェートーン(和えている)。
- メモ
- 音1:イェーユン。
イェーカ
親戚。
- 用例
- ワントゥ イャートー イェーカ ナトーンドー(私とお前は親戚だよ)。
- メモ
- 音1:ウェーカ。
イェーガー
親川。座喜味の井泉の名。
- メモ
- 類:ウェーガー・グスクガー。座喜味城主専用の古い井泉と言われ、産水もそこから汲んだ。ハジマカー(湿疹ができること)、イリガサー(麻疹)になると、ここの水でミジナディすると早く治るといわれた。
イェーガーミ
藍甕。藍を発酵させるための甕。
イェーカヌチャー
親戚。親戚の人たち。
- メモ
- 音1:イェーカンチャー。類:イェーカハロージ。
イェーカハロージ
親戚の人たち。同じ血筋の人たち。
- 用例
- ウッサヌ イェーカハロージガ、アチマトール(大勢の親戚一族が、集まっているね)。
- メモ
- 類:イェーカヌチャー・イェーカンチャー。
イェーカンチャー
親戚。親戚の人たち。
- 用例
- イェーカンチャー アチマティ スージ スン(親戚が集まってお祝いする)。
- メモ
- 音1:イェーカヌチャー。
イェーキ
富。財産。金持ち。
- 用例
- チュケーヌンチョー、イェーキ シーブサンヤー(一度だけでも、金持ちになりたいね)。
- メモ
- 音1:ウェーキ。対:クンチュー・ヒンスー・フェンスー・ヘンスー(貧乏)。
イェーキタンメー
富をもたらす鼠のこと。金持ちのおじいさん。
- メモ
- 昔の家は母屋と台所の屋根の間に鼠がお金をくわえて置くという伝えがあり、鼠のことをイェーキタンメーと呼んでいた。
イェーキンチュ
金持ちの人。財産家。
- 用例
- アマヌ ヰナグングヮヤ、イェーキンチュヌ ユミ ナトーンディ(あそこの娘は、金持ちの嫁になっているそうだ)。
- メモ
- 音1:ヲェーキンチュ。類:ジンムチ。対:ヒンスームン(貧乏者)。
イェーク
生まれつき身体にある痣や印。奇形児。
- 用例
- ウヌ ワラベー ナガリカイ イェークヌ アン(その子は背中に痣がある)。
ヒーヌ イェーク(火のような赤痣)。
タクヌ イェーク(骨がしっかりしていない様)。
- メモ
- 妊婦が火事や事故、驚くことなど、ある事象に衝撃を受けると、胎児にそれが伝わって関係するような形で表れると信じられていた。
イェーク
櫂〔かい〕。
- 用例
- イェークシ フニ クージュン(櫂で船を漕ぐ)。
- メモ
- 音1:ウェーク・エーク。
イェーグヮー
魚介名。アイゴの一種。
- 用例
- イェーグヮーヤ タッペーラーイユ ヤサ(アイゴは平べったい魚だよ)。
- メモ
- 類:エー。
あいごの一種で、稚魚はスクと呼んでいる。
イェーサチ
挨拶。
- 用例
- マーヲゥティ チュ イチャラワン、イェーサチェー リッパ シーヨーヤー(どこで人に会おうと、挨拶はちゃんとするんだよ)。
イェージ
合図。
- 用例
- イッター ニービチネー、ワンニンカイ イェージ シーヨーヤー(お前たちの結婚式には、私にも連絡しなさいよ)。
- メモ
- 類:シラシ。
イェージャ
隙間。
- 用例
- ムスルヌ イェージャ(筵の間)。
- メモ
- 類:タバサ。
イェージュー
同僚。仲間。
- 用例
- アッターヤ ワン イェージュー ヤサ(彼らは私の仲間だよ)。
- メモ
- 音1:エージュー。類:グー・シンカ。
イェージューシンカ
同僚の者たち。仲間たち。
- 用例
- イェージューシンカ ンナ アチミレー(仲間たちを皆集めなさい)。
- メモ
- 音1:イェージュードゥーサー。
イェージュードゥーサー
同僚同士。仲間同士。
- 用例
- イェージュードゥーサー、マジョーン アシビーガ イカナ(仲間同士、一緒に遊びに行こう)。
- メモ
- 音1:イェージューシンカ。
イェージューブニ
相中船。相棒船。船着き場に停泊する時に繋ぐ相手の船のこと。
イェーズミ
藍染め。
- 用例
- ンカシェー チヌン ヌーン イェーズミ スタサ(昔は着物なども藍で染めたさ)。
イェーズミティサージ
藍で染めた手ぬぐい。
- 用例
- ウヌ イェーズミティサージェー、ワン ヰーラナ(その藍染の手ぬぐいは、私がもらおう)。
イェースイェーゴー
相性。
- 用例
- イェースイェーゴー アタラチ ウタビミソーリ(相性良くさせてください)。
- メモ
- 神仏への祝詞の一部で「皆で仲良く暮らせるように」との意。
イェースン
潰す。
- 用例
- ニーブター イェースン(おできを潰す)。
否:イェーサン(潰さない)希:イェーシーブサン(潰したい)過:イェーチャン(潰した)継:イェーチョーン(潰している)。
イェースン
配る。
- 用例
- シージャシデー イェーシェーワ(年上の方から配りなさい)。
- メモ
- 類:クバイン・ハグン・ハジュン。
イェーソー
愛想。
- 用例
- アンシ、イェーソー ユタサルヤー(なんて、愛想が良いんでしょうね)。
イェーソー
相性。
- 用例
- ウヤックヮ イェーソー ワッサン(親子の相性が悪い)。
- メモ
- 類:イェースイェーゴー・グートゥミートゥ。
イェーソームチ
愛想が良いこと。
- 用例
- トゥジ カメーイラー、イェーソームチカラ カメーレー(妻をめとるなら、愛想が良い娘から探しなさい)。
イェーダイ
官職。王府勤め。
- 用例
- クンドー イェーダイ イラバッテーサヤー(今年は官職に選ばれたね)。
ヲゥジャサーヤ スイヌ イェーダイ シミシェータン(おじさんは首里勤めをされていた)。
- メモ
- 音1:イェーライ。
イェーチブー
藍壺。紺屋。
- メモ
- 字喜名にあった。
イェーティ
相手。
- 用例
- ワーガ チュール エーダ、イェーティ ソーキヨー(私がくるまで、相手していてね)。
イェーディン
多分。おそらく。
- 用例
- イェーディン ナー、クーランサニ(多分もう、来ないでしょう)。
- メモ
- 音1:イェーリン。音2:イヤリン。
イェーバ
どんなに。どれほど。さぞかし。
- 用例
- イェーバ、サビサタラー ワカラン(どれほど寂しかったのか分からない)。
イェーバーキ
藍籠。藍玉の入った籠。
イェーヒャー
おい。こら。
- 用例
- イェーヒャー!ゥンマヲゥティ ヌー ティーガンマリ ソーガ(おい!そこで何をいたずらしているか)。
イェームン
和え物。酢の物。
- 用例
- クチニーサラー、イェームンヤティン カリンディ(食欲がないなら、和え物でも食べてごらん)。
- メモ
- →イェーイ。
イェーヤ
比謝の小地名。
- メモ
- 比謝から残波岬へとつながる旧道は、戦前から、嘉手納へと行き来する主要道路であった。この道のうち、現在の県営比謝団地辺りをイェーヤと呼んだ。
戦前は幽霊やハブが出る怖い場所とされていた。イェーヤには石橋が架けられており、現在の架橋の下にそれをみることができる。
イェーユン
和える。
- 用例
- ニンブトゥカー イェーユン(スベリヒユを和える)。
- メモ
- 音1:イェーイン。
イェーユン
したたり出る。乳や膿などが出る。
- 用例
- ニーブターヌ ゥンベーティ イェートーン(おできが化膿して膿が出ている)。
イェーライ
官職。王府勤め。宮仕え。
- 用例
- ヰヌ イェーライ ヤタン(首里王府で同じ宮仕えだった)。
- メモ
- 音:イェーダイ。
イェーリン
多分。おそらく。
- 用例
- イェーリン イカンタヌ ハジ ヤシガヤー(多分行かなかったはずだがね)。
イェーリン、グソーディチ アテールバール ヤハニ(多分、後生といってあったんでしょう)。
イェーリン ヰンヌ ネーンテール バーテー(いわば縁がなかったのでしょう)。
- メモ
- →音1:イェーディン。
イェンダー
温厚な人。
- 用例
- アリガ ヲゥトー イェンダー ヤン(彼女の夫は温厚だ)。
イッター ウヤサク イェンダーヤ ヲゥランサ(君たちの親ほど、温厚人は居ないよ)。
- メモ
- 音1:ウェンダー。音2:イェンダープー。
イェンダサン
温厚だ。
- 用例
- ワン ヲゥトー イッペー イェンダサン(私の夫はとても温厚だ)。
イェンチュ
鼠〔ネズミ〕。
- 用例
- イェンチュンヌ ムル ウチュクヮティ、ネーラン ナトーン(ネズミが全部喰って、なくなってしまった)。
- メモ
- 音1:ウェンチュ。
鼠がいなくなるのは火事の予兆といわれた。また、航海中の船から鼠が逃げ出すと、船が沈没するといわれている。昔の家は母屋と台所の屋根の間に鼠がお金をくわえて置くという伝えがあり、鼠のことをイェーキタンメーと呼んでいた。
イェンチュヌクェー
虎刈り。
- メモ
- 刈り方が不揃いでネズミにかじられたように見える髪型。
イェンチュビーチャー
ネズミなどのように被害を及ぼすもの。
- メモ
- イェンチュ(ネズミ)もビーチャー(ジャコウネズミ)もネズミの一種。
イェンチュヤーマ
ネズミ捕り。
- 用例
- イェンチュヌ マンディ イェンチュヤーマ カキトーチュサ(ネズミが多くてネズミ捕りを仕掛けておくさ)。
イェンミ
降参。詫び。戦いに負けて、相手に屈服すること。
- 用例
- イェンミ サビタン(降参しました)。
- メモ
- 音1:ウェンミ・エンミ・ヱンミ。
イェンミモー
地名(読谷村楚辺の小地名)。
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