知能ぬ優りとーぬ盗人ぬよ、あぬ家庭ぬ牛盗みわるやるんりち。やしが盗みーねーなー、盗人ぬ名ぁ立ちゅくとぅんち、知恵んじゃち身体いっぺー塩塗てぃ、坊主ぬ装いし行ぢょーるふーじや。
坊主ぬ衣着ち、「私ねー何処から来る坊主やしが、汝達ぁ家庭んかい大事な災難ぬ有くとぅ。うぬ災難りーしぇー、汝達ぁ牛、私ねーちゃーる因果ぬ生まりがそーたらー、汝達ぁ牛ぇ実際ぬとぅくる、くれー私ぁ兄弟やんどー」り言ちぇーるふーじ。
「はー、私達ぁ牛ぬん汝ぁ兄弟んちんあんなー」んちょーるふーじやしが。「くれーやんどー、うぬ証拠ぬあんしぇー現さびらな」んち、身体いっぺー塩塗てぃ行ぢょーんりくとぅ。其処んかい行ちーにとーてぃ頭から足先までぃ。
「いったー牛んじゃち呉みそーれー。汝達ぁ牛ぬ『アイエーヤー、会ちゃたるやー兄弟』んでぃち、私でーなー、じこー舐みーるむんやれー、くれーなーはっきり私ぁ兄弟やくとぅ。くれー牛んかい姿現らちょーしが、くぬ牛、汝達に長ぇ置ちょーちーねー汝達ぁ災難遭たいくとぅ、私ねーくり添てぃ行きわるやくとぅ」でぃち。
ああ裸なてぃ、身体いっぺー舐みーるふーじ、其処ぬ家族ぁなーびっくりし、「とーなー、くぬ牛ぇ、なーあんしぇー添てぃ行ぢとぅらし、ありがとうやくとぅ にヘーんでぃ言くとぅ、なー添てぃ行ぢとぅらし」んち、あんさーい盗でーるふーじ。
あんさ、牛ぇ塩好きんりぬ事ぉ、うりからん現りとーるばー。牛ぇ大事な塩好きやんでぃよ。
とー うっさるやるむん。
ある所に悪知恵の働く盗人がいたそうだ。その盗人はある家の牛を狙っているが、盗人と呼ばれないように知恵を働かせた。どうしたかというと、体中に塩を塗りたくって、坊主の格好をしてその家に行ったわけさ。
そして、「私は〇〇から来た坊主だが、お宅には大変な災難がふりかかります。それは、貴方が飼っている牛のことですが、その牛はどういう因果なのか、実は私の兄弟なんですよ」と言ったようだ。
「はあー?うちの牛が、貴方の兄弟だということがあるか」と言われたが、「いや、その牛は確かに私の兄弟です。それでは、その証拠をお見せしましょう」と盗人は言った。盗人は、その家へ行く前に、頭から爪先まで身体中に塩を塗りたくって行っているからね。
それで、「貴方の牛を出して下さい。牛が、『アイエーヤー、やっと会えたね、兄弟よ』と、私を舐めてくるはずです。それが、私と牛が兄弟だという証拠です。これは私の兄弟が牛の姿を借りているだけで、長いことお宅に置いておくと災難に遭いますよ。だから、私は兄弟を連れて行かなくちゃいけません」と言って裸になった。
すると、出て来た牛は盗人の体中を舐めまわしたようだ。そこの家族はびっくりして、「そういうことなら、牛を連れて行ってくれ、ありがたいことだから連れて行ってくれ」と言い、盗人はまんまと牛を盗んだようだ。
だから、牛は塩が好物だってことは、それからも分かることさ。牛はとても塩が好きなんだってよ。
はい、これでおしまい。