昔よー、七月干てぃ、うりから七月雨降たんでぃ。うれー、今度や丁度よ、満七十二年、やー。今度、七十三しみそーちゃる人ぬ生まりたぬ年、うぬ被害でぃーしぇー。
とーうぬ場ぬやー、辰年に被害されー、雨たぼりーさしぇー、うりから上てぃ来ぬ、川平ぬ上でぃち。川平でぃぬ屋取ぬ在んよー、其処んかい。うれーやー、瀬名波ガーぬカーぬ坂ぬ上やぐとぅやー、うぬ名ぁ付ち川平やしがやー。
うぬ場に其処んかい、あぬーモーぬ在んよー。うぬモーとーてぃ村中出じてぃぬ雨たぼり、雨乞い、し、やー。あんし、山かい行ちゃーん、渡慶次、儀間ん人ぬ山かい行ちゃーやしがやー、来るうっさんかい全部水ぇくんちゃきてぃ、雨たぼりさっぬ、うぬカーぬ名所でぃーしぇー瀬名波ガー。
やしがやー、うんにーに水ぇ、井戸ぉ此処ねー無らん、瀬名波ガーから水ぇ汲りやー。朝ん暗さいに並り汲り、やー。又、夕さんでぃんまた並り汲りやー。あんさーに、くぬ字びかーじぇーあらん、渡慶次ん儀間ん全部ありっちー水ぇ汲らしがよー。有名なうぬカーでぃーしぇー瀬名波ガー。
うりとぅ、なー一ちぇー、瀬名波ガーに歌ぬ有しがやー。瀬名波ガーでぃぬカーや岩から湧ちゅん、岩から水ぇ湧ちゅぐとぅやー、『瀬名波ガぬ水や岩からる湧ちゅる 瀬名波二才達が言葉固さ』石から湧ちゅぐとぅ、言葉ぁ固さん。やしが、言葉ぁ固さしが、心は誠、うん。
昔ね、七か月干上がって、それから七か月雨が降ったんだって。それは、今年でちょうど満七十二年だよね。今年七十三歳のお祝いをした方が生まれた年なんだよ、その被害があったのは。
その辰年の旱魃時に、雨乞いをした場所は、瀬名波ガーから上ってきた所だった。そこには川平という屋取があるよ。そこはね、瀬名波ガー(湧泉)の坂の上なので川平と名がついたわけだがね。
また、そこには野原があってね。その野原に字民が集まって雨乞いをしたんだ。そして、山へ行く者、そこを通る渡慶次や儀間の人たちにも、皆に瀬名波ガーから汲んできた水をかけて、雨乞いをした湧泉といえば瀬名波ガーのことだよ。
その頃は、字には井戸がなく、瀬名波ガーから水を汲んで使っていたんだよ。朝もまだ明けない暗いうちに並んで汲んでね、また夕方も並んで汲んでいたんだ。それは、瀬名波だけじゃなく、渡慶次や儀間の人たちもそこに来て水を汲んだわけさ。瀬名波ガーというのは有名だよ。
それと、もうひとつ。『瀬名波ガーの水は岩から湧きでている 瀬名波の若者たちは言葉が荒い』という瀬名波ガーの歌があるんだがね。岩から湧いている瀬名波ガーの水を飲んでいるから、瀬名波の若者たちの言葉は荒いが、心根は優しいんだよ。