読谷村しまくとぅば「むんがたい」

酒の始まり さけのはじまり

話者 福地蔡良(1894・M27) 地域 渡慶次 時間 01:32
  • しまくとぅば
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 (さけ)(ちゅく)(はじ)まてーしぇーよー。


 座喜味(ざきみ)(ぐしく)(にし)(はら)んかい、あぬークヮッキラんち田圃(たっぶっく)()るばーてー。クヮッキラでぃ()んよー、彼処(あま)ねー。クダユムドゥイ、(くめ)(くー)てぃ(ぅん)ぢぇー、()(ぬく)ちぇー、其処(ぅんま)んかい、(しー)(はな)(いー)(くぶ)んぐゎーんかい、(ぬく)いや(あち)まてー。だー、自分(どぅー)()(ぬく)しるやぐとぅ、うりしそーし。


 うりから、ある(たー)()っちゃーが()ち、(ひるま)しーむん。うぬ(しー)(はな)からー、うぬ(みじ)ぐゎーや()れー、パタパターし(いそー)さしぇー(みじ)ぐゎーんじ、なーうりしぇーしっしーし。なー(ゆるく)(あっ)ちゅし()ち、「(ひるま)しーむん、くぬクダーや(ひるま)しーむんやっさー」んち、(しー)(はな)んかい(ぬぶ)てぃ(ぅん)(んー)ちゃぐとぅ。


 んちゃ、うぬ(ぬく)ちぇーる(くみ)や、(あみ)ぐゎー()たぐとぅ(みじ)()まやーに、(こうじ)()っち。うぬ(こうじ)()っちょーる(なーか)んかい、またん(あみ)ぐゎー()たぐとぅ(みじ)()まやーに。あんしから、くぬお(さけ)(ちゅく)(ぅん)じゃちぇーんでぃ、(むるん)(ちゅく)てぃから蒸留(じょうりゅう)しみやーに。うぬクダーが()(いそー)さっし、パタパターし(をぃー)てぃ、うりから(さけ)(ちゅく)(ぅん)じゃちゃんでぃさりぬ(はなしー)やるばー。

 酒を造り始めた話はね。


 座喜味城の北側に、クヮッキラという田んぼがあるんだがね。そこにある岩の方で、雀が米を咥え行き来していた。クダユムドゥイ(雀)は食べ残しの米を集めて、岩の窪みの先端に溜めていた。



 ある時、田んぼ仕事をしている人がそれを見て、珍しく思っていた。岩の先端で水を飲んで嬉しそうに羽をパタパタしているのを見て、「珍しいなあ、この雀は何をしているんだろう」と、岩の先に上って見たんだね。




 そこには、雨水に浸かった米が発酵して(こうじ)ができていた。その麹が(もろみ)となって、お酒を造り出したようだ。それを飲んだ雀が酔いながら嬉しそうに、パタパタと羽ばたかせていた。その後から、酒造りが始まったという話なんだよ。

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