酒ぇ造い始まてーしぇーよー。
座喜味城ぬ北ぬ側んかい、あぬークヮッキラんち田圃ぬ在るばーてー。クヮッキラでぃ言んよー、彼処ねー。クダユムドゥイ、米ぇ咥てぃ行ぢぇー、食み残ちぇー、其処んかい、岩ぬ鼻ぬ上ぬ窪んぐゎーんかい、残いや集まてー。だー、自分ぬ食み残しるやぐとぅ、うりしそーし。
うりから、ある田打っちゃーが見ち、珍しーむん。うぬ岩ぬ鼻からー、うぬ水ぐゎーや飲れー、パタパターし嬉さしぇー水ぐゎーんじ、なーうりしぇーしっしーし。なー喜り歩ちゅし見ち、「珍しーむん、くぬクダーや珍しーむんやっさー」んち、岩ぬ鼻んかい上てぃ行ぢ見ちゃぐとぅ。
んちゃ、うぬ残ちぇーる米や、雨ぐゎー降たぐとぅ水ぇ溜まやーに、麹立っち。うぬ麹立っちょーる中んかい、またん雨ぐゎー降たぐとぅ水ぇ溜まやーに。あんしから、くぬお酒ぇ造い出じゃちぇーんでぃ、醪造てぃから蒸留しみやーに。うぬクダーが飲り嬉さっし、パタパターし酔てぃ、うりから酒ぇ造い出じゃちゃんでぃさりぬ話やるばー。
酒を造り始めた話はね。
座喜味城の北側に、クヮッキラという田んぼがあるんだがね。そこにある岩の方で、雀が米を咥え行き来していた。クダユムドゥイ(雀)は食べ残しの米を集めて、岩の窪みの先端に溜めていた。
ある時、田んぼ仕事をしている人がそれを見て、珍しく思っていた。岩の先端で水を飲んで嬉しそうに羽をパタパタしているのを見て、「珍しいなあ、この雀は何をしているんだろう」と、岩の先に上って見たんだね。
そこには、雨水に浸かった米が発酵して麹ができていた。その麹が醪となって、お酒を造り出したようだ。それを飲んだ雀が酔いながら嬉しそうに、パタパタと羽ばたかせていた。その後から、酒造りが始まったという話なんだよ。