読谷村しまくとぅば「むんがたい」

犬の足 いぬのあし

話者 屋良朝乗(1892・M25) 地域 瀬名波 時間 01:00
  • しまくとぅば
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 (いん)(ひさ)(みー)()たんでぃしぇーよー。(わっ)たー(くー)てんぐゎーそーいにぬ(はなし)、うんに(げき)をぅてぃ()ちゃしがよー。


 (ひさ)(みー)ちなたぐとぅ、「なー、くぬ()(なか)(たみ)んならん」ぐとぅでぃち、「なー(てぃー)ちぇー(ひさ)(ゐー)らしみそーり」でぃ、神様(かみさま)んかい(にが)たぐとぅやー。


 神様(かみさま)やまた、「あんやさ」でぃち、可哀想(かわいそう)(うむ)やーに。自分(どぅー)(めー)んかい()ちょーる香炉(こーる)ぬよ、()(こー)()てぃーる香炉(こーる)(ひさ)(ゆー)()たんでぃ。


 「とー、ぃやーや()ちー(ぬー)んならん。(ぬー)んさんるあぐとぅ、ぃやー(ひさ)(てぃー)ちぇー(いぬ)んかい()きれー」でぃち。「あんししまびーん」でぃち、(いぬ)んかい()きたぐとぅやー、(いの)ぉなー大変(いっぺー)有難(ありがた)いし、神様(かみさま)んかい。




 ありが、(いん)小便(しーばい)しーに(ひさ)()ったてぃーしやー、「神様(かみさま)(くぃ)てーみしぇーぬ(ひさ)んかい、小便(しーばい)()っちゃきてーならん」でぃち、(ひさ)()ったてぃーんでぃぬ(はなしー)()ちゃさ。


 犬の足は三本だったという話はね。私が小さい頃に、劇で見たんだがね。


 足が三本しか無かった犬は「これでは世の中の為に尽くせない」と考えて、「もう一本足を下さい」と、神様にお願いした。


 それを聞いた神様は、「それもそうだな」と、犬を気の毒に思った。神様の前にある香炉には足が四本あったんだって。


 そこで、神様は香炉に、「そうだ、お前は座ってばかりで動くことはない。いつも座ってばかりだから、お前の足を一本犬にあげなさい」とおっしゃった。香炉は「いいですよ」と、犬に足を一本分けてあげたので、四本足になった犬は神様に心から感謝した。


 それから、犬が小便をする時に片足を上げるのは、「神様がくださった大切な足に、小便をかけてはいけない」と、片足を上げるようになったという話を聞いたよ。

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