読谷村しまくとぅば「むんがたい」

仮病の薬 けびょうのくすり

話者 奥原松助(1897・M30) 地域 古堅 時間 04:17
  • しまくとぅば
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 フユーな(むん)(はたら)ちゃーなたんりる(くくる)てーさい、(はなし)。こんなこと()いびーたんよ。


 まあ、下男(んーじゃ)二人(たい)(をぅ)るばーてーさい。御奉公人(ぐふーくにん)二人(たい)(をぅ)るばーてーさい。うぬ一人(ちゅい)御奉公人(ぐふーくにの)大事(でーじ)利口(りこう)(むん)、フユーな(むん)やるばーてーさい。一人(ちゅい)やまた、じこー(はたら)ちゃーなたくとぅ、うりがくぬ(はたら)ちゃーんかい(ならー)しぎさんてーさい。


 (ならー)しよーぬ、「ぃやーや(ぬー)んならんさー」「(ぬー)やが」んちゃくとぅ、「あぬだー、(いひ)なーや(ちぶる)()むんとぅか(わた)()むんりち(にん)じーるんしぇー、あぬ米飯(くみめー)()むるむんぬ。ぃやー、いちぐ(ぅんむ)びけーん()り。ちゃーにーじゃ(ぅんむ)()り、あんしぇーあらんさーやー」んり。「あんし()まん(わた)()むんり()んなー」り()ちゃくとぅ、「()むんりねー(たー)がん()からんしぇー」りち()ちゃくとぅよーさい。「あんしぇー、あんるやん」「とー、(わね)明日(あちゃー)()きーくとぅ、あんしぇー、ぃやー(にん)りよー。(わた)()むんち(にん)りよー」んち、「あんし、本当(ふんとー)なー、あんしぇー(わー)明日(あちゃ)(にん)じゅくとぅ、あんしぇー、ぃやー(んじ)てぃ草刈(くさか)てぃ(くー)よやー」んちゃくとぅ、「うん」ち、うぬフユーな(むの)ぉ、草刈(くさか)いが(ぅん)ぢぇーんてーさい。


 あんさくとぅ、うぬ主人(すじん)(ゐなぐ)(ぐゎ)ぬ、(あみ)()いたくとぅ、其処(ぅんま)んじかんし()っちょーてーるばーてー。うぬ(あみ)()いぐゎーんかい。アサギぐゎーぬ(しちゃ)んかい、()っちょーてぃさくとぅ、「異風(いふ)(はなし)すっさー」んち()ちゃーに、うり(うや)んかい()ちぇーるばーでぎさんでーさい。


 あんとぅ主人(しゅじの)ぉ、うぬ(ゐなぐ)(ぐゎ)から()ちゃーに、「とあんしぇー、ぃやー()いむん()ちぇーさ、くれーなー、かんしさんあれー、此達(くったー)がーなー(のー)らん。ちゃーフユーすんりやーに」()ぐヤブーぬ(やー)んかい(ぅん)ぢ。


 あんしちゃくとぅ、其処(ぅんま)んかい(ぅん)ぢゃーに、「(わっ)たーうぬ異風(いほー)(くとぅ)(わっ)たー使(ちか)とーる童達(わらんちゃー)やっさー」んち。「(ぬー)(ぬー)やが」んちゃくとぅ。「はー、ぃやーや。『()まんてぃん(わた)()むんち、ぃやー(にん)とーきよーや。()(くさ)()てぃ(ちゅー)くとぅ』んりやーに。今日(ちゅー)や、うぬ大変(いっぺー)()(はたら)ちゅぬ(わらばー)があんまさんち(にん)とーさー」んり。「あんやんなー」り。「うり、ちゃーしん(のー)(くぃ)らんあいねーなー大事(でーじ)でー」り()ちさくとぅよーさい。あんさーい、ヤブーや、なー(ちゃー)に。



 「ぃやー(ぬー)何処(まー)()むが」「(わた)()むんさい」んちて。あんさに、(てぃー)(かち)みらってぃ、「んちゃ、くれー腹熱(わたにち)」んち、「ぃやー腹熱(わたにち)(んじ)とーっさー」んり。「くれーヤブーぬ()んじ、ヤブー(たる)(くー)んあれーならんでー」りち、「とー、アンマー()くなーヤブー(たる)(くー)わ、なー大事(でーじ)やさなー」りち。あんさーいさぐとぅ、だーあれーなー、あんまさんち(にん)とーし、()()きてぃ(ふぃん)ぎる(わき)ぇならんしぇーやー。


 あんさい、ヤブーや(ちゃー)(てぃー)(かち)みやーに、「はっさびよー、くれーじこー(にち)れむん。なーくれーヤーチューんしっ、(はーい)()てぃらんあれーならんれー」りちよーさい。また()(はーい)()てぃいなー、ちゃふぃんなーフーチん()ちきてぃ。なーわちゃくどぅやくとぅよーさい。わざっとぅ(のー)すんちどぅやくとぅ、ちゃっぴなーヤーチューしぇーぎさんてーさい、皆掴(んーなかち)みてぃ。「アキサミヨーなーな、(なま)からなーけー(のー)とーくとぅなー、(なま)から(にん)じゃびらんどー」し()びーたんりよーさい。


 あんさーに、「ぃやー(ため)なか、(わん)ねー大事(でーじ)なたるむん。ぃやーかい(ならー)(やん)らりやーに、だー、(どぅー)いっぺー全部(むる)(はーい)()てぃらってぃヤーチューんさったしぇー」り()やびーたんりよ。


 また、うぬフユーな(むの)ぉ「なー一大事(いちでーじ)、なー(にん)じんでしーねー、うんぐとぅし()かりーしぇー」んりやーによーたい。あんさい、二人(たい)(はたら)ちゃーなてぃなー、大事(でーじ)んりやーに。大事(でーじ)(はたら)ちゃーなたんりしがよーさい。二人(たい)ぐーに、なー成功(せいこー)()なたんりぬ(はなし)()えさびたんどー。

 フユー(不精)な者が改心して働き者になったという話ね。こんなことがありましたよ。


 まあ、ある家に下男が二人いてね。奉公人が二人いるわけです。その一人の奉公人は大変小利口な怠け者であったわけです。もう一人はとても働き者であったので、このフユーな者がその働き者に教えたようだね。



 フユーな者が、「お前はどうしようもないなあ」と言うと、働き者が「どういうことか」と聞いた。「たまには頭が痛いとかお腹が痛いと言って休んだら、ご飯も食べられるのに。お前はいつも不味い芋だけ食べているじゃないか」ということだった。「だって痛くもない腹を痛いと言えるのか」と言うと、フユーな者は「人の痛みは誰も分からないよ」と言ったわけだよ。「そうか、それもそうだな」「そうさ、さあ、明日は私が仕事に出るから、今度は、お前は腹が痛いと言って休みなさいね」と。「本当にそれでいいのか、それじゃあ私は明日休むので、お前が草刈りをしてきてくれよ」と働き者が言って、「ああ」と、そのフユーな者が草刈りに行ったようだ。


 そんな話をしている時に、その家の娘が二人のいるアサギ(離れ)の軒下で、雨宿りをしていたわけさ。二人のそういう話を耳にして、「妙な話をしているなあ」と、それを親に話したわけだ。


 「そうか、お前は良いことを聞いたね」と、娘からそれを聞いた主人は、「下男たちはいつも怠けることを考えているんだな。これはなんとかしないといけない」とヤブー(鍼灸師)の家へ相談に行った。


 それで、ヤブーに、「うちの下男たちが変なことを考えているようだが」と話し、「どういうことか」「ああもう聞いてくれよ。下男たちが、『今日は私が草を刈ってくるから、お前は腹が痛いといって休んでおけよ』と企んだようで、いつも真面目に働いている下男が、具合が悪いと言って、今日は寝ているんだ」と。「そういうことか」「これを、なんとか治してくれないか」と前もって相談したわけだ。それでヤブーが主人の家に来ることになったようだね。


 主人が下男に「お前はどこが痛いのか」と聞くと、下男は「お腹が痛いです」と答えた。主人は、その手を掴んで「あら、これはお腹の熱、お前はお腹に熱があるよ」と言い、「これはもう大変だ。アンマー、早くヤブーを呼んできてくれ」と、妻に言った。そしたらもう、下男は具合が悪いと言って寝ているのだから、直ぐに起きて逃げることもできなくなってね。


 そこにヤブーがやって来て、下男の手を掴んで、「ああ大変!これはすごい熱だ。これはもうお灸をして鍼も立てないといけない」と言ってね。わざと鍼を立てて、また大きな(もぐさ)を置いてね。皆で下男を押さえて大きなお灸をしたようだね。「アキサミヨーなーな!もう治りましたから、これからはもう休みませんよ」と叫んだって。





 それで、「お前のせいで、私はひどい目にあった。お前に変なことを吹き込まれて、見ろ、身体中に鍼を立てられてお灸までさせられたんだぞ」と、フユーな者に言ったそうだ。


 そしたら、そのフユーな者も「もう大変、仮病を使ったりしたら、あのようにお灸をされて大変だ」と言ってね。お灸をさせられた下男と二人、一生懸命に働いてね、二人とも成功したという話がありましたよ。

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