読谷村しまくとぅば「むんがたい」

猫と胡瓜 ねこときゅうり

話者 城間正二(1898・M31) 地域 上地 時間 00:44
  • しまくとぅば
  • 和訳を表示

 なーうれー、うりん大昔(うーむかし)(はなし)るやさにや。


 (まや)ぁどぅく(でー)()たくとぅ。(んかし)金持(いぇーき)(ちゅ)ぉ、(ぬーし)ぇかんし高御膳(たかうじん)でぃち、うりとぅ食事(むの)ぉうさがいしぇー。


 あんさくとぅ、うぬ食事(むぬ)うさがる(とぅくる)から、尻尾(じゅー)ささぎてぃ、うぬ御膳(うじん)ぬ、(ぬーし)食事(むぬ)うさがる(まかい)んかい、尻尾(じゅー)してぃよー。あんさぐとぅ、「かんねーる(むの)ぉ」でぃち、()(くる)ち、あんし()すたくとぅ。


 うりから、胡瓜(きゅーい)(みー)てぃよー、(てぃー)()とーたんでぃ。「(ひるま)しーむん、うぬ(まや)()すてーしが、其処(ぅんま)かい胡瓜(きゅーい)(みー)とーる」んち。(てぃー)()てぃ、なーむる()らんでぃよー。(ひるま)さし、あさてぃ()ちゃくとぅよ、うぬ胡瓜(きゅーい)(ぎー)(まや)目玉(みんたま)から(みー)とーたんでぃ。うりんなー、うり()みーねー、うぬ(ぬーし)()ぬるしじやてーんて。




 あんぐとぅ、うりからる()(むん)(てぃー)()(むの)()むしぇーあらんでぃち()ちょーんりんどー。

 もう、これも大昔の話でしょうね。


 ある家で、猫を長いこと飼っていた。昔、金持ちの家の主人は、高御膳で食事を召し上がるでしょう。


 そしたら、食事をなさっている側から、猫が尻尾を振ってね、主人のお碗に尻尾が触れてしまったんだって。すると、主人は怒って、「こんな奴は!」と殺して埋めてしまった。


 その後、埋めた所から胡瓜が生えてきて、実が一つついたんだって。「珍しい、猫を埋めた所から胡瓜が生えてきた」と。それには実が一つしかできず他には全くできなかったので、不思議に思い掘ってみた。すると、その胡瓜は猫の目玉から生えていたんだって。その胡瓜を食べていたら、それはもう主人の命はなかったのでしょうね。


 そういうことから一つだけ実がついた物は、食べるものではないと聞いているんだよ。

videocam
theaters
location_on
picture_as_pdf

解説

アクセスマップ