なーうれー、うりん大昔ぬ話るやさにや。
猫ぁどぅく代経たくとぅ。昔ぬ金持ん人ぉ、主ぇかんし高御膳でぃち、うりとぅ食事ぉうさがいしぇー。
あんさくとぅ、うぬ食事うさがる所から、尻尾ささぎてぃ、うぬ御膳ぬ、主ぬ食事うさがる碗んかい、尻尾してぃよー。あんさぐとぅ、「かんねーる者ぉ」でぃち、叩っ殺ち、あんし埋すたくとぅ。
うりから、胡瓜ぬ生てぃよー、一ち生とーたんでぃ。「珍しーむん、うぬ猫ぁ埋すてーしが、其処かい胡瓜ぬ生とーる」んち。一ち生てぃ、なーむる生らんでぃよー。珍さし、あさてぃ見ちゃくとぅよ、うぬ胡瓜木や猫ぁ目玉から生とーたんでぃ。うりんなー、うり食みーねー、うぬ主ぇ死ぬるしじやてーんて。
あんぐとぅ、うりからる生い物ぬ一ち生い物ぉ食むしぇーあらんでぃち聞ちょーんりんどー。
もう、これも大昔の話でしょうね。
ある家で、猫を長いこと飼っていた。昔、金持ちの家の主人は、高御膳で食事を召し上がるでしょう。
そしたら、食事をなさっている側から、猫が尻尾を振ってね、主人のお碗に尻尾が触れてしまったんだって。すると、主人は怒って、「こんな奴は!」と殺して埋めてしまった。
その後、埋めた所から胡瓜が生えてきて、実が一つついたんだって。「珍しい、猫を埋めた所から胡瓜が生えてきた」と。それには実が一つしかできず他には全くできなかったので、不思議に思い掘ってみた。すると、その胡瓜は猫の目玉から生えていたんだって。その胡瓜を食べていたら、それはもう主人の命はなかったのでしょうね。
そういうことから一つだけ実がついた物は、食べるものではないと聞いているんだよ。