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用語解説

参考文献

― あ行 ―

アイスバーグ作戦
 米軍の沖縄上陸作戦。一九四四年(昭和十九)十月、米軍は当初計画していた台湾進攻作戦を中止し、直接小笠原と琉球列島を攻撃する作戦に切り替えた。アイスバーグ(Iceberg)とは氷山のこと。
 
赤紙
 兵役義務者に軍隊入営の出頭を命ずる召集令状のこと。縦約一五センチ、横二五センチの赤色の紙を用いたので、俗に赤紙と言われ、沖縄では赤フダー(赤札)とも呼ばれた。
 
暁部隊
 日本軍部隊の一つで、いわゆる軍船舶隊の通称。第十一船舶団長大町茂大佐の率いる海上挺進隊・船舶隊などがあった。一九四五年二月以降、主力部隊は独立歩兵隊に改編された。
 
慰安所
 一九三七年十二月からアジア諸国、南洋諸島の日本軍駐屯地に設置された日本軍管理の買春施設。読谷山村内でも喜名・伊良皆・比謝矼などに設置された。
 
石部隊
 第六二師団(藤岡中将)の通称。昭和十九年七月、第三十二軍に編入され、同八月中国大陸から沖縄へ移駐した。
 
巌部隊
 海軍・南西諸島航空隊の通称。北(読谷)飛行場に駐留していた。
 
インヌミ屋取
 沖縄市(旧美里村)高原の南西の丘(「沖縄こどもの国」の東側)に位置する集落。戦後、この地に米軍が引揚者の収容所を設置、当初は「キャステロキャンプ」と称し、後に「インヌミ収容所」と改称。
 
内原訓練所
 戦前・戦中、茨城県内原町にあった満蒙開拓青少年義勇軍のための訓練所。
 
馬乗り攻撃
 地下陣地や壕の上を乗っ取り、洞口から爆雷を投入したり、洞口に向けて火炎放射するなどの攻撃戦法。
 
ウルマ新報
 戦後の沖縄で最初に発刊された新聞。米軍の情報宣伝機関紙として、一九四五年(昭和二十)七月二十五日、石川市で創刊。四六年五月二十六日から『うるま新報』、五一年九月十日から『琉球新報』に改題。
 
曳光弾(えいこうだん)
 弾道がわかるように、弾底から光を発しながら飛ぶ弾丸。
 
衛生兵
 兵隊の健康管理、病気や傷の治療などの任に当たる兵隊。
 
HBT
 アメリカ軍の野戦用軍服で、Herringbone Blouse and Trousers(杉綾模様織り)の略。戦後、沖縄住民も衣服が欠乏していたため、米軍から放出されたHBTを仕立て直して着用した。
 
衛兵
 警備をする兵士。師団長などの要人を護衛したり、兵営などの施設を守備した。番兵(俗称)。ガード。
 
ABCD包囲網
 一九四一年の日本の仏印進駐に対し、アメリカは屑鉄・石油の対日輸出禁止を強化、イギリス、オランダは日本の在外資産の凍結と石油の対日輸出全面禁止の措置をとった。これに対し、日本は、アメリカ(A)、イギリス(B)、中国(C)、オランダ(D)の頭文字をとって「ABCD包囲網」と称してその脅威を宣伝し、国民の敵愾心を掻き立てて太平洋戦争突入への準備を進めていった。
 
MP
 ミリタリーポリス(Military Police)の略称。米軍の憲兵。部隊の軍律・治安維持のための一般的警察行為のほか、軍隊内の行政・司法も行った。米軍政下の沖縄では民間警察以上の権限をもっていた。
 
LST
 Landing Ship Tankの略称。米海軍の戦車揚陸艦。第二次世界大戦の時、LST船団が読谷山村の渡具知や北谷村の砂辺の海岸に着岸し、武装兵とともに満載したM4戦車や上陸用装軌挺、水陸両用トラックなどを陸揚げした。戦後は、宮古・八重山・日本本土・外地などからの引揚者の輸送にも使われた。
 
掩体壕(えんたいごう)
 飛行機の機体を保護する壕。戦時中、読谷飛行場の北側に十数基あった。現在三基残っている。
 
黄燐弾(おうりんだん)
 爆発すると青白い炎と煙を出して燃える弾丸。暗い壕のなかでは壁などに付着した燐が燃えているように見える。
 
沖縄群島政府
 一九五〇年(昭和二十五)十一月四日に設置された沖縄本島における住民側の統治機構。米国海軍軍政府布令第二二号「群島政府組織法」(一九五〇年八月四日公布)により、沖縄本島及び周辺島嶼は「沖縄群島」と称する公法人となった。同九月、平良辰雄が群島知事に当選し、三五〇人の中央事務庁職員が任務に就いた。五二年四月一日、琉球政府の発足により廃止。
 
沖縄諮詢会
 戦後初の沖縄の中央政治機構。一九四五年八月二十日、米国海軍軍政府の諮詢機関として石川市に設置。沖縄民政府が創設(一九四六年四月)されるまで、米軍政府と沖縄住民の意思疎通を図る機関として機能した。一五人の委員が選出され、第一回諮詢会で志喜屋孝信が委員長に選出された。
 
沖縄守備軍
 第三十二軍のこと。
 
沖縄民政府
 戦後初期の沖縄における住民側の中央執行機関。一九四六年(昭和二十一)四月、米国海軍軍政府指令第一五六号「沖縄中央政府の創設」により設立。沖縄諮詢会の職能を引き継ぎ、志喜屋孝信が知事に任命された。五〇年十一月四日、沖縄群島政府設立にともない解消。
 
沖縄連隊区司令部
 一九一八年(大正七)五月二十九日、沖縄警備隊区司令部から改称、徴兵業務を行なった。沖縄では徴兵忌避者が多かったため、民間への軍事思想の普及・中学校の合同演習なども行った。
 
恩賜(おんし)
 天皇から賜ること・もの。タバコやお菓子(落雁・らくがん)などがあった。
 
オンドル
 温突(朝鮮語)。朝鮮半島や中国の寒冷地で使われる暖房装置。床下に煙道を設け、これに熱した空気を通して室内を暖めた。
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