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用語解説

参考文献

― た行 ―

第三十二軍
 南西諸島守備にあたった日本陸軍部隊の総称。一九四四年(昭和十九)三月に大本営直轄の軍として創設された。
 
大詔奉戴日
 戦意高揚を目的とした記念日。一九四一年(昭和十六)十二月八日の開戦の詔勅発布にちなみ、毎月八日を指定。
 
大政翼賛会
 一九四〇年(昭和十五)十月十二日に結成された官制の国民統制組織。「率先して国民の推進力となり常に政府と表裏一体の関係に立ち、上意下達、下意上通を図り、以って高度国防国家体制の樹立に努む」ことを目的とし、首相を総裁、各府県知事を支部長として全国に支部がつくられた。沖縄県では翌年一月、県庁内に事務所を設置して正式に発足した。
 
大東亜共栄圏
 太平洋戦争期に日本が掲げたアジア支配正当化のためのスローガン。欧米勢力を排除して、日本を盟主とする「満州」・中国および東南アジア諸民族の共存共栄を説く。一九四〇年、外相松岡洋右の談話に由来。
 
大東亜戦争
 日本政府による太平洋戦争の正式呼称。
 
大日本帝国憲法
 明治憲法。天皇主権を基本原則とした日本初の近代的成文憲法。一八八九年(明治二十二)二月十一日発布、翌年施行。一九四七年(昭和二十二)廃止。
 
退避壕
 難を避けるために一時的に避難する壕。「防空壕」参照。
 
太平洋戦争
 第二次世界大戦のうち、主として太平洋方面における日本とアメリカ・イギリス・オランダ・中国の連合国軍との戦争。十五年戦争の第三段階で、中国戦線も含む。一九四一年十二月八日、日本のハワイ真珠湾攻撃によって開戦。戦争初期、日本軍は優勢であったが、四二年半ば頃から連合国軍が反攻に転じ、ミッドウェー・ガダルカナル・サイパン・硫黄島・沖縄本島等において日本軍は致命的打撃を受け、本土空襲、原子爆弾投下、ソ連参戦に及び、四五年八月十四日連合国のポツダム宣言を受諾、九月二日無条件降伏文書に調印した。戦争中日本では「大東亜戦争」と公称。
 
大本営
 陸海軍首脳を配する天皇直属の 「戦争の最高指導機関」。作戦計画、動員計画の決定機関。一八九三年(明治二十六)に制定。
 
大陸の花嫁
 一九三二年(昭和七)「満州」建国後、国策によって各種の開拓民として「満州」に渡った男性と結婚すべく大陸に行った女性たちのこと。
 
拓南訓練所
 沖縄県立沖縄拓南訓練所。一九四一年(昭和十六)三月、金武村に開設された南方開拓士を養成するための機関。
 
武部隊
 第九師団(原中将)の通称。沖縄守備第三十二軍配下にあったが、一九四四年(昭和十九)十二月台湾へ移動。
 
竹槍訓練
 竹の幹の先端を斜めに切り尖らせて、槍の代わりにしたものを使って行われた民間の戦闘訓練。
 
たこつぼ
 敵の攻撃に対する防御のための小さな一人用の壕。立射用散兵壕。
 
球部隊
 第三十二軍の通称、またその一部部隊の通称としても使われた。
 
駐屯
 軍隊が或る地域に留まること。駐留。
 
朝鮮人軍属(軍夫)
 沖縄戦に軍属として動員された朝鮮人労働者。その数三万人といわれるが、調査も十分になされず、生死の状態など不明な点が多い。石垣、船浮、那覇などの港では軍需物資の揚陸作業、本部半島や東村の山中では陣地構築用の用材伐採運搬作業などに従事させられ、日本軍に牛馬のように使役された。朝鮮人軍夫は作業単位ごとに各地を転々とさせられ、米軍上陸後は砲弾運びや壕掘りに使役され、戦争末期にはスパイ容疑で日本軍に虐殺される事件も多数発生した。読谷でも渡具知や古堅など各部落に朝鮮人軍夫が配置され、日本兵によって酷使されていたことが住民の証言で判明している。
 
徴発
 軍隊などが人民の物資を強制的に取り立てること。
 
徴兵検査
 徴兵適齢期(二十歳)の壮丁に対して、兵役の適否を身体・身上にわたって検査すること。甲乙丙種の等級に振り分けられた。
 
徴兵制
 国民に兵役の義務を強制的に負わせる制度。軍隊を平時において常設し、これに要する兵を毎年徴集し一定期間訓練して、戦時編成の要員として備えた。
 
徴兵令
 一八七三年(明治六)一月十日公布、太政官布告。男子は二十歳で徴兵検査を受け、三年間の常備軍(現役)に服し、除隊後も在郷軍人として戦時の動員を待つこととされた。満十七歳から四十歳の男子全員を兵籍に登録していた。一九〇四年の改正で、兵役年限の延長と免役条項の縮小が図られた。一九二七年(昭和二)兵役法と改称。
 
徴用
 国民徴用令(昭和十四年)による軍需工場等への強制動員、労務動員。沖縄では守備軍の基地構築等に動員した。
 
勅語
 明治憲法下で、天皇が臣民に対して発表した意思表示。大権に基づき、国務大臣の副署を要さなかった。教育勅語など。
 
勅諭
 天皇がくだした教えのことば。軍人勅諭など。
 
勅令
 大日本帝国憲法下で規定された法令。帝国議会の議決を必要とする法律に対し、天皇の裁可によるものをさした。国務大臣の副署を必要とした。緊急勅令を除いて法律の改変はできなかった。
 
対馬丸
 疎開船。昭和十九年八月二十二日、九州へ向かう途中、米海軍潜水艦の攻撃を受け沈没した疎開船。乗船者の大多数は学童。
 
偵察機
 敵情を調べて情報を得るための軍用機。
 
DDT
 有機塩素系の粉状殺虫剤。戦後使用されたが、現在の日本では環境汚染防止のため使用禁止。
 
擲弾筒(てきだんとう)
 携帯用小型迫撃砲。手榴弾・発煙弾・照明弾の発射に使用。
 
鉄血勤皇隊
 健児隊。沖縄県下の師範学校と県立第一・第二・第三中学校、県立工業学校、県立農林学校、県立水産学校、那覇市立商業学校、開南中学校、県立八重山中学校の男子生徒によって組織された学徒隊の総称。一九四四年十二月、米軍の沖縄上陸に備えて、第三十二軍司令部は沖縄県当局と協議し、県下の全中等学校生徒を軍人・軍属として動員することを決定、四五年三月組織された。それぞれ学校別に指定された部隊に入隊、米軍上陸後は陸軍二等兵に任じられ、築城・通信・食糧運搬・斬り込み攻撃など戦場でのあらゆる戦闘任務に就いた。鉄血勤皇隊に従軍した一七八〇人の学徒のうち、半数の八九〇人が戦死。
 
鉄の暴風
 一九五〇年八月、沖縄タイムス社編集・朝日新聞社発刊(再版以降は沖縄タイムス社刊)の沖縄戦記録集で、初の沖縄住民による戦争体験記であった。以後、沖縄戦で砲弾が暴風のように降ってきたことを形容する言葉として定着した。
 
天一号作戦
 敵をふところ深く抱き込み、空と陸からいっぺんに殱滅する作戦。連合艦隊は一九四五年(昭和二十)三月二十五日天一号作戦警戒を発令し、翌二十六日その発動を命じた。第十方面軍も二十四日に準備を、続いて二十六日に発動を命じている。
 
転進
 軍隊がある拠点を捨てて他に移ること。特に旧軍隊では「退却」の代わりに用いた。
 
トーチカ
 鉄筋コンクリートなどで作られた堅固な防御陣地。
 
特別高等警察
 特高。高等警察の一部。思想犯罪に対処するための旧制の警察。内務省直轄で、社会運動などの弾圧に当たった。
 
特攻艇
 爆弾または爆薬を積んで敵艦艇に体当たり攻撃する小型特殊艇。
 
隣組・部落常会
 戦時体制下において国民を総動員するためにつくられた全国的な末端統制組織。一九三九年(昭和十四)八月、東京市で「隣組回覧板十万枚」と「隣組回報」の配布が始まり、翌年九月には、全国に一二〇万の隣組と、約一万九千の町内会・部落会が整備された。内務省は「部落会町内会等整備要綱」を発表し、最小一〇戸内外の単位で隣保班・隣組が編成された。また、「常会」の設置を呼びかけ、「常会の時間」や「隣組の歌」がラジオから繰り返し放送され、国民生活を画一的に統制した。隣組は防空演習・国債消化・貯蓄奨励から日常生活物資の配給・防火・防諜など末端行政の役割を担わされ、沖縄では陣地構築作業の労役供出の任務まで命ぜられた。
 
トンボ
 米軍の小型偵察機(セスナ)の俗称。
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