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用語解説

参考文献

― さ行 ―

在郷軍人会
 正式には帝国在郷軍人会。兵役を終わった青壮年男子の組織。一九一〇年(明治四十三)十一月三日、靖国神社で発会式が行われ、同日、沖縄警備隊区司令部で沖縄支部が結成された。以来国防団体の役割を果たし、太平洋戦争時には翼賛運動の中心的役割を果たした。予備役、後備役などで組織。
 
催涙弾
 催涙ガスを詰めた弾。手または小銃で投射する。
 
三角布
 三角形の緑色をした布。戦場で、傷を受けたときに止血や包帯に利用した。
 
三角兵舎
 破風造りの長屋で、屋根は茅、さとうきびの枯れ葉などを使って建てられた日本軍の兵舎。
 
塹壕(ざんごう)
 野戦で敵の攻撃から身を隠す防御施設。溝を掘り、その土を前に積み上げたもの。散兵壕。
 
散兵壕
 兵を適当な距離で分散させるために掘った壕。射手の援護および往還を便利にした。塹壕。
 
CIV
 民間人。シビリアン。収容所で、軍人(PW)と区別して、沖縄住民をさした。
 
GMC
 米軍の二トン半トラック。(General Motors Corporationの略)
 
GHQ
 連合国最高司令官総司令部(General Headquarters Supreme Commander for the Allied Powers)。初代総司令官はマッカーサー。
 
C式委任統治地
 委任統治とは、第一次世界大戦後、敗戦国ドイツの海外領土とトルコの領有から分離された地域に適用されたもの。国際連盟の委任を受けた先進国がこれらの地域を統治するもので、あくまで国際連盟の代理統治であったが、実際には、戦勝国による植民地再分割の性質を持っていた。統治地域は、「文明化」の高い順からA、B、Cの三様式に分類され、南洋群島は最も後進的な地域としてC式とされた。日本は南洋群島を、南方への経済進出の拠点として、また太平洋の対米軍事戦略上の要地として活用した。
 
CP
 シビリアンポリス。民間の警察。
 
視学
 旧制の地方教育行政官。府県視学・郡視学・市視学などがあり、学事の視察、教育の指導監督、教員の任免等をつかさどった。
 
四大節
 一月一日の四方拝、二月十一日の紀元節、四月二十九日の天長節、十一月三日の明治節のこと。
 
師団
 軍隊は戦略単位の大きい順に師団・旅団・連隊・大隊・中隊に区分された。日中全面戦争以前の平時編制下の師団数は一七で、内地に一五、朝鮮に二個師団が置かれていた。一師団の兵力は平時で約一万二千人。師団は統御・経理・衛生の各機関を備え、歩兵・騎兵・砲兵・工兵・輜重兵などの各部を持ち、独立して作戦が展開できた。戦時には、数個師団をあわせて「軍」あるいは独立師団として使用されることもあった。師団長の下に師団司令部、各部隊のほか諸官が置かれていた。一九三七年(昭和十二)には、さらに四個師団、翌年には十個師団が臨時編制され、同年末には近衛師団以外の師団は戦地に置かれていた。終戦時には一九二個の師団があった。
 
輜重隊(しちょうたい)
 軍の食糧・被服・武器・弾薬などの輸送部隊。
 
自動小銃
 小型連発小銃。
 
自爆
 自ら爆死すること。手榴弾による自決など。
 
シベリア抑留
 一九四五年八月十五日のポツダム宣言受諾後も、旧「満州」地域や千島列島では戦闘が断続的に続いていた。九月十七日、日ソ両軍の間で停戦協定が結ばれ、約七〇万の関東軍は武装解除された。ところが、ポツダム宣言の規定に反し、約六〇万の関東軍将兵は捕虜として一般の在留邦人とともに、シベリアやモンゴルに強制連行され(シベリア抑留)、シベリア開発の労働力として動員された。二年から一一年に及ぶ強制労働により、約六万八千人が死亡した。
 
重火器
 火器のうち重機関銃・自動砲・大隊砲・連隊砲などの総称。
 
銃眼
 壕の中から外の敵を攻撃できるように壕壁にあけた穴。銃砲口を外に出せるようにしていた。
 
重機関銃
 口径が大きく重量が重い機関銃。命中精度も良く、長時間の連続発射が可能で射程距離も長い。
 
従軍看護隊
 女子救護班。女子青年団で編成された従軍看護隊。沖縄戦において、沖縄守備隊第三十二軍は野戦医療要員を現地徴集して野戦病院に配属したが、需要を満たせず、県下の女子中等学校・女子青年団から動員して補助要員にあてた。女学校生は学校別に従軍看護隊を編成して医療衛生教育を受けた後入隊した。女子青年団は各町村役場を通じて各字青年団ごとに割り当てられ、最寄りの野戦病院部隊に入隊した。戦線の後方で傷病兵の看護にあたっていた女子救護班は、沖縄戦末期には、激戦区で部隊と行動をともにし、多数の死者を出した。
 
銃剣
 小銃の先につける剣。
 
銃後
 戦場の後方で、直接戦闘が行われていない国土。
 
十五年戦争
 一九三一年(昭和六)の柳条湖事件から、一九四五年(昭和二十)の降伏まで日本が十五年にわたって行った一連の戦争。すなわち「満州事変」、日中戦争、太平洋戦争をひっくるめた呼称。
 
十・十空襲
 一九四四年(昭和十九)十月十日、南西諸島に対して行われた米軍最初の大空襲。マッカーサーのレイテ沖海戦作戦の一環として行われた。米第五八機動部隊の艦載機グラマンによる攻撃は五次にわたり、三次までは主として読谷山・嘉手納・小禄・伊江島などの飛行場、那覇・渡久地・名護・運天・与那原・馬天・泡瀬などの港湾施設および船舶に対して行われた。那覇市は灰燼に帰し、市民は夜を徹して国頭方面へ避難した。
 
修身
 戦前、小中学校で行われた道徳教育教科の名称。天皇への忠誠心を軸に、孝行・柔順・勤勉などを説いた。戦後廃止。
 
終戦の詔勅
 昭和二十年八月十四日に出された大東亜戦争終結の詔書。これは、翌十五日午前七時二十一分、「玉音放送」として全国に流された。
 
銃創
 銃弾による傷。
 
集団自決(集団死)
 沖縄戦で起こった、親が子を、子が親を殺したり、あるいは手榴弾などで集団的に死んだ事件のこと。日本軍は、重要な軍事機密(編成・動向・陣地など)が、捕虜になった兵士や住民から米軍に漏れることを恐れ、兵士はもとより住民にも投降を許さないという方針をとった。この方針に基づき軍は命令・誘導・示唆・強引な説得などによって住民に「自決」を強要したことから、「集団強制死」「社会的強制死」ともいわれている。
 
週番士官
 一週間交替で部隊の管理、維持にあたる将校。
 
重砲
 口径が大きく、砲身の長い大砲。強大な砲弾の威力を有する。
 
住民虐殺
 スパイ嫌疑等で、日本兵が沖縄住民を殺害した事件。
 
収容所
 囚人・捕虜・難民などを収容する施設。米軍上陸後の沖縄では、捕虜収容所(後に七か所に統合)と住民収容所(後に一六地区に統合)に区分されていた。
 
出征兵士
 軍隊に入隊して戦地へ赴く兵士。
 
酒保
 兵営内、艦内にある兵士相手の日用品・飲食物などの売店。
 
手榴弾
 手で投げる小型爆弾。時限信管で破裂し、爆風や破片で人を殺傷する。
 
殉国思想
 国のために命を投げ出すことを強制した思想。
 
巡洋艦
 軍艦の一つ。戦艦と駆逐艦の中間ぐらいの規模のもので、速力は戦艦より優れ、攻防力・耐波性は駆逐艦を凌いだ。
 
焼夷弾
 火災を起こさせるため、高熱を出して燃える物質を入れた爆弾。
 
少国民
 一九四〇年(昭和十五)、児童文化協会設立準備会で、山本有三が「児童」に代わる言葉として年齢の若い皇国民=「少国民」を提唱。以後日本少国民文化協会が発足し、「少国民」の用語が定着。
 
召集
 戦時などに在郷軍人・国民兵などを軍隊に呼び集めること。
 
召集令状
 定期入営・教育召集・動員などのため、在郷軍人や未教育の兵役義務者に、日時と場所を指定して出頭させるための命令書。一般には戦時や「事変」に際する動員のための召集を命ずる令状をさすことが多く、充員召集令状・臨時召集令状・国民兵召集令状があった。「赤紙」参照。
 
照明弾
 空中で炸裂し、強い光を発する装置の付いた弾丸。夜間、敵情を知るため、また航空機の着陸誘導などに用いる。
 
上陸用舟艇
 上陸作戦用の舟艇。「LST」参照。
 
植民地
 政治的・経済的に他国に支配され、国家の主権をもたない地域。本国にとって原料供給地・商品市場・資本輸出地をなし、政治上も主権を有しない完全な属領であった。近代以前には、従来の土地を離れて新たな地域に移住し、そこで形成する地域や社会を意味した。
 
食糧営団
 第二次大戦時に「食糧管理法」に基づいて設けられた国策遂行団体。中央食糧営団の指導のもと、各府県に設置。飯米不足の沖縄では、一九四〇年に「沖縄県臨時飯米配給要綱」が制定され、米穀の配給が行われていたが、四二年十一月には「沖縄県食糧営団」が発足し、県内六四二か所の配給所をとおして米穀の配給が実施された。
 
女子勤労挺身隊
 一般家庭の婦女子を軍需工場などに動員した労働組織。
 
初年兵
 入隊してから一年以内の兵士。
 
白紙召集
 一九三九年(昭和十四)七月、国民徴用令が施行され、当初は熟練工・技術者に重点をおいたものだったが、四一年(昭和十六)十二月の改正後は範囲が拡大され、ほとんど全ての労働力を網羅するようになった。軍隊への召集令状が赤紙だったのに対して徴用令状は白紙だったため、白紙召集と呼ばれた。
 
神州不滅
 神州は神国、つまり日本は神の国で、負けることがないという考え方。
 
真珠湾攻撃
 一九四一年(昭和十六)十二月八日(日本時間)、太平洋戦争の火ぶたをきったハワイ真珠湾への日本軍の奇襲攻撃。
 
進駐軍
 軍隊が他国の領土に進軍し、留まっていること。第二次世界大戦後の日本では、駐留している米軍のことをいった。
 
制海権
 軍事・通商・航海などに関して一定範囲の海上を支配すること。
 
制空権
 領土・国家の権益を保護するため一定範囲の空中を支配すること。
 
聖旨奉体教化村
 一九二三年(大正十二)十一月十日に発布された国民精神作興に関する詔を受けて、翌二四年に内務省社会局指導のもと教化団体が発足。一九四〇年十二月六日の大阪毎日新聞によると、「三ケ村を教化村に指定」の見出しで、「島尻郡玉城村、中頭郡読谷山村、国頭郡羽地村の三ケ村は今回中央教化団体連合会の聖紀記念、聖旨奉体教化村に指定された」ことが報じられている。
 
聖戦
 神聖な目的で戦う戦争。自らの戦争目的を聖なるものとした言葉。
 
聖断
 天皇の裁断・決断。
 
青年学校
 小学校卒の勤労青年に産業実務教育・普通教育および軍事教育を施した旧制の学校。一九三五年に実業補習学校と青年訓練所を統合、全国市町村に設置。三九年に男子のみ修学が義務づけられ、軍事教育を重視した。四七年廃止。
 
青年師範学校
 青年学校教員を養成した学校。一九四四年青年学校教員養成所を母体として設置。四七年廃止。
 
斥候兵(せっこうへい)
 地上戦闘で、敵情の偵察・捜索などのため本隊から派遣される少人数の兵士。
 
絶対国防圏
 一九四三年(昭和十八)九月三十日、日本は戦争遂行上、絶対確保維持すべき要域を千島・小笠原・内南洋(中部・西部)及びニューギニア・スンダ・ビルマを含む圏域と定め、この圏域を絶対国防圏と呼称した。
 
戦果
 戦闘により敵に損害を与えたことの意。今次大戦の俗語では米軍物資を盗み、手柄を上げることにも称した。
 
戦艦大和
 一九四一年(昭和十六)建造の日本海軍の巨大戦艦。昭和二十年四月米軍の沖縄上陸に際し、第三十二軍の攻撃に呼応し、特攻機と不離一体の作戦(菊水作戦)を展開するため出撃。四月七日、沖縄に達する前に九州西方沖、約一〇〇キロで米軍機の攻撃を受け轟沈。将兵約三〇〇〇人が運命を共にした。
 
戦時体制
 戦争時に、それに対応して敷かれる国内の戦争遂行体制。
 
戦車壕
 戦車の進撃を妨害するために掘られた堀。
 
千人針
 一片の布に千人の女性が赤糸で一針ずつ縫い込んで千個の縫玉を作り、出征兵士の武運長久・安泰を祈願して贈ったもの。「虎は千里行き千里帰る」という意味で、寅年生まれの女性は年齢の数だけ縫い玉を作ることができた。
 
宣撫班
 占領地区の住民に占領政策を理解させて人心を安定させること。沖縄戦の際に米軍は宣撫班を組織して、日本兵や沖縄住民に投降を勧めた。
 
掃海艇
 機雷等を取り除くための専用艇。
 
壮丁(そうてい)
 夫役または軍役にあたる壮年の男子。満二十歳に達した青年のこと。
 
掃討戦
 敗残兵狩りの戦闘。
 
疎開
 戦争時に、被害を軽減するため、人口を分散すること。老幼婦女子を安全地帯へ移動させること。県外疎開(学童疎開)、北部疎開等。
 
ソテツ地獄
 第一次大戦後の戦後恐慌期から世界大恐慌期の慢性的不況下における、沖縄経済及び県民生活の極度の窮迫状況を意味する用語。有毒成分が含まれるソテツを食さねば餓えてしまうほどの悲惨な窮状を例えて、『沖縄朝日新聞』の比嘉栄松記者が用いた新語で、以後一般に広まった。沖縄戦でも、食糧難にあえいだ人々はソテツを食して餓えを凌いだと証言している。
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